ハイスクール・フリート ~護衛艦『やまと』出航ス~ 作:大艦巨砲主義者
彼との初対面は、私が孤児院に入ってからしばらくたった時のことだった。
呉の孤児院に入り、ミケちゃんや、その他の子たちとの生活も慣れてきたときのことだった。
ある日、いつものようにミケちゃんと一緒に学校から帰ってきて、宿題をやっていた時……
「うーん……」
「ミケちゃん、どうしたの?」
「宿題のここが分からなくて……」
「そこ?難しいよね」
「最近の先生の宿題、難しすぎるよ~!」
「あはは……私も教えてあげるから、一緒に頑張ろ?」
「うん……」
『みんな、一階にきてー!』
「あれ?雫さん?」
「どうしたのかな?」
「もしかして新しい子かな!?」
「そうかも、行こ、ミケちゃん」
「うん!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「皆集まったかしら?」
「うん!」
「どうしたの?雫さん、皆あつめて」
「今回は!新しいお友達を紹介します!」
「本当!?」
ざわざわ……
「それじゃあ、おいで」
隣の部屋のドアが開く、そして、中から出てきたのは……
「男の子?」
自分達よりとほぼ同じ体格、もしくはもう少し小柄の男の子が出てきた。
「自己紹介、よろしくね?」
「は……、波戸修です……よろしくお願いします……」
(声!)
「み、ミケちゃん……?」
「わー……」キラキラ
隣にいるミケちゃんを見ると、目をキラキラと輝かせていた。
その後、ミケちゃんは波戸君に近づいた
「私、岬明乃!よろしくね、シューくん!」
「……。よろしく……」
彼の第一印象は、内気な男の子、という感じだった。
後で雫さんに聞いたのだが、最近、海賊による孤児が増えている影響もあって、この孤児院でも、女の子だけではなく、男の子も受け入れ始めたそうだ。
そこで、手始めに大人しそうな子を一人受け入れた。ということらしい。
しかし、この孤児院で初めてで唯一の男の子だった彼は、他の子とも上手く馴染めず、次第に孤立していった。
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彼との関係の転機が訪れたのは、数週間後のことだった。
「モカちゃーん!はーやーくー!」
「うん!」
あの日、ミケちゃんと一緒に海を見に来ていた時のことだった。
「やっぱり、海っていいなー!」
「うん、いいよね」
芝生に二人で寝転がりながら見る岬の先の広大な海は、私たちの憧れの場所だった。
「モカちゃん」
「なに?ミケちゃん?」
「ブルマーって、なるの難しいんだよね……」
ブルーマーメイド、通称『ブルマー』は、当時から女の子からはかなりの人気職業で、ブルマー養成校である女子海洋学校もかなりの受験倍率だ。
そんな狭き門を知り、ミケちゃんは落ち込んでいるようだった。
「私、ブルマーになれるかな……」
「大丈夫だよ!諦めなければミケちゃんも絶対になれるよ!」
「うん……そうだよね……!」
「うん!」
「そうだ、モカちゃん!あれやろ!あれ!」
「あれ?」
「ブルマーのやつだよ!」
「あっ!」
「海に生き!」
「海を護り!」
「海を行く!」
「「それが!」」
「「ブルーマーメイド!!」」
そんな、自分達の夢をそれぞれに語り合う他愛のない時間、事は突如起こった。
『おーい!』
「?」
どこからともなく、男性の声が響き渡る。
声のした方角に振り向くと、一人の男性がこちらに向かってと手を振っているのが見えた。
「どうしたんだろう?」
『おーい!』
男性は、依然として手を振り続ける
「何かあったのかも……私、行ってくる!」
「えっ……ミケちゃん……!」
ミケちゃんは立ち上がると、そのまま走って行ってしまった。
「はあはあ……待ってよー!」
私も慌てて立ち上がり、ミケちゃんを追う。
「どうしたんですかー?」
ミケちゃんは男性に走って近寄る。
「ああ……車で道に迷ってしまってね……」
「良かったら案内してくれるかい?」
「はい!」
「あっ!ミケちゃん!」
「モカちゃん!」
「この人が車で道に迷っちゃったんだって」
(でも……知らない人について行っちゃだめだよ……!)ヒソヒソ……
(でも……)ヒソヒソ……
「……」
「あ、あの!」
「ん?」
「この先に交番があるので!そこのお巡りさんに聞いてください!」
「行こ!ミケちゃん!」
「え?ええ……?」
私はミケちゃんの手を引いて急いでその場を離れようとする。ところが……
「チッ……おい!」
男性が合図をする
ガサッ
「え!?」
先ほどの男性とは別の男性が茂みから二名現れ、私たちを素早く羽交い絞めにする
「は、離して!」
「モカちゃん!」
私たちはどうにか逃げようと暴れるも、成人男性相手に力で叶うわけもなく、地面に抑えつけられる
「暴れんじゃねえ!」
「うっ!」
「たくっ……最近のガキは無駄に頭がよくなりやがって……カンが鋭くて捕まえにくいったらありゃしない……」
「おい!サツが来る前に車に乗せてさっさとずらかるぞ!」
誘拐犯は、私たちを持ちあげると、車に乗せるため、移動させる
「ご、ごめんね……モカちゃん……私のせいで……」ポロポロ
「ミケちゃん……」
ミケちゃんは泣いて私に詫びる。
しかし、そんな時だった。
ドンッ
「え?」
私を抱えていた誘拐犯が突然体制を崩す。その衝撃で拘束か解かれた私は、地面に転がる
付近を見渡すと、見覚えのある姿が目に映った。
「修……くん?」
地面から起き上がろうとする修くんだった。
どうやら、さっきの衝撃は修くんが、誘拐犯に体当たりした衝撃だったらしい。
「このっ!」
「!?」
誘拐犯が、拳を握りこみ、修くんに殴りかかろうとする。
「っ!」
シュッ
誘拐犯から放たれた一発目の拳を、間一髪で修くんはよけた。
だが、体制が悪かったらしく。二発目の拳が、修くんの腹に突き刺さる。
「がっ!」
攻撃のせいで身動きの取れない修くんに、誘拐犯は、馬乗りになるようにして殴り始める。
「この……クソガキィ!!」
「グッ!」
「あ、ああ……」
「に……逃げ……グッ!」
恐怖で動けない私は、彼を見つめることしかなかった。
いくらかの時間がたった時、事は起こった。
「おい!貴様!何をしている!」
「くそ!しまった!サツだ!」
「逃げろ!」
パトロールをしていたお巡りさんが私たちを見つけてくれたのだ。
そこでハッとした私は、ボロボロになった修くんに急いで駆け寄る。
「修くん!修くん!」
私は浅く息をする彼の肩を揺さぶることしかできなかった。
この後のことはよく覚えていない。
ミケちゃんが近所の人に言って呼んでくれた救急車だったり、警察官の人との事情聴取だったり色々なことがあったんだと思う。
この後にミケちゃんや他の子から聞いた話でも、ボーっとして過ごしていたらしい。
その後、何日かして病院から帰ってきた彼は、顔全体に包帯が巻かれ、何とも痛々しい姿だった。
帰ってきた彼に私とミケちゃんは泣きながら抱き着きついて詫びた。そこで、彼の放った「大丈夫だよ」という言葉にどれだけ救われたかはわからない。
あの事件を期に、彼と私たちとの関係は深くなっていった。
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「ねえ、シューくん」
「?どうしたのミケちゃん?」
この日も私たちは例の岬にきていた。そこでミケちゃんはシューくんに話しかける。
「シューくんのお父さんお母さんってどんな人だったの?」
そういえば、聞いていなかった。しかし、それが彼にとって良い質問とはかぎらない。
「ミケちゃん、その質問は……」
「ううん。大丈夫だよ」
ミケちゃんを静止させようとした私の言葉を彼はさえぎる。
「でも……」
「大丈夫」
「それじゃあ……」
「お母さんのことはあんまり覚えてなくて、僕が小さいころに病気で死んじゃったんだって」
「そうなんだ……」
「で、お父さんはホワイトドルフィンで、『すずゆき』っていう艦に乗ってたんだって」
はつゆき型中型戦闘艦12番艦すずゆき、ホワイトドルフィン所属の戦闘艦で、当時にはもうすでに戦没していた艦だ。
後ほど調べたところによると、海賊の活動が活発化していた当時、海賊の大規模住居フロート襲撃を防ぐため、単艦で応戦。旧式ながら海賊を殲滅し、フロートの住民数万人を全員避難させるだけの時間を稼いだとのことだ。
しかし、単艦での応戦のため海賊から集中攻撃を受け、当時は最新鋭の装備であった三重の安全装置を装備していなかったすずゆきは大破。救援に駆け付けたブルーマーメイドの目の前で大爆発を起こして轟沈。乗員は全員戦死し、ホワイトドルフィン初の戦闘で喪失した艦艇となった。
その後、この事件の影響で、現艦艇のダメージコントロールの低さや、乗員の安全性が指摘され、三重の安全装置の装備が急がれたらしい。
「それで、お父さんはすずゆきの艦長にだったんだって」
「へー……」
「それで、お父さんが最後に言った言葉が『誰かを守れる人になりなさい』だったんだ」
「だから私たちを助けてくれたの?」
「うん。あの日、ミケちゃんとモカちゃんが襲われているのを見たときにその言葉を思い出したんだ」
「お父さんを無くしたショックで忘れてたけど、二人のおかげで思い出せたんだ」
「こういうのは少しおかしいかもしれないけど、ありがとね」
本来は私たちが謝らなくてはならないところを彼は「ありがとね」と言って許してくれた。
私たちは、そんな彼のやさしさに惹かれたのかもしれない。
しかし、そんな彼も、海賊の襲撃に遭って行方不明になってしまった。
私たちは、まだ彼に恩を何も返せていない。だからこの海がどんなに広くたって、ミケちゃんと一緒に絶対に探し出すよ。シューくん。
私は、武蔵の艦橋でそう誓った。
キャラ紹介
名前:波戸 修
NAME:HADOMI SYUU
所属:海上自衛隊呉基地
所属艦:護衛艦やまと BBG-01
役職:艦長
階級:一等海佐
好きなもの:シチュー
苦手なもの:トマト(ただし、加工済みなら可)
得意教科:全部
苦手な教科:無し
好きな言葉:一人では何も出来ぬ。だが、まず誰かがはじめなければならぬ。
性格・特徴:基本的に優秀で性格はおとなしい、ただし若干シャイなところがある。昔はやや内気な性格だったが、明乃やもえかと触れ合ううちに克服した。
趣味:カヌー
出身地:広島県広島市
誕生日:8月15日
星座:しし座
身長:158cm
血液型:A型
呼称:艦長、シューくん
概要:この物語の主人公であり、護衛艦やまと艦長、一応出身ははいふり世界だが、海賊の襲撃の際に何故か海上自衛隊の存在する世界に転生。明乃ともえかと一緒に約束したホワイトドルフィンに入れないことを悟った彼は、海上自衛隊に入隊。やまと艦長になる。しかし、やまとと共にRIMPACへ向かっている最中に再転生してしまう。
どうも、作者です。突然ですが、質問です。今の作者の作品って、台本形式と台本形式じゃない方のどっちが読みやすいですか?もしよかったら、アンケートお願いします!
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台本形式「こっちの方が読みやすい!」
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「こっちの方が読みやすいに決まってる!」