ハイスクール・フリート ~護衛艦『やまと』出航ス~ 作:大艦巨砲主義者
「そしてようこそ。イージス護衛艦やまとへ」
「ああ。今日はよろしく頼む」
「「「よろしくお願いします!」」」
海上自衛隊とブルーマーメイド、二つの組織の人間は、向かい合いながら敬礼を行う。
いくら異世界とはいえ、同じ海を護るべく生まれた組織の人間だ。お互いにリスペクトは欠かさない。これが海に生きる者としてのマナーだ。
「副長の門倉楓です。本日の案内は艦長の波戸が担当いたしますが、よろしくお願いします」
「ああ。ニイハウ島要塞基地司令の武蔵野と、秘書の大野だ」
「大野淀実と申します」ぺこり
一通り、挨拶が終わると、艦の案内が始まる。
「艦ももちろんだが、やはり、主砲もとてつもなくデカいな」
「はい……」
やはり、まず目につくのがやまとの誇る46cm三連装砲塔のようだ。武蔵野と大野のほかに、乗艦中の隊員たちも、その大きさに圧倒されたようで、一部は手持ちのスマホで写真を撮ろうとしている。
「そちらは、18式60口径46cm三連装砲です。西暦2018年に、従来の45口径砲を置き換える目的で開発され、本艦に配備されました」
「60口径!?」
大野はその砲身の長さに驚く。全長27600㎜のこの砲は、45口径の物よりも7mも砲身が延長されているのだ。
「はい、砲口初速は榴弾で860m/s、射程は通常砲弾で62㎞、ロケット推進による補助をつけた誘導砲弾を用いれば、250㎞まで砲撃できます」
「長いな……。しかし、250㎞もの遠距離で当たるのか?」
250㎞、戦艦の主砲としては、世界最長の射程だろう。しかし、現実はそんなに甘くはない。風向きや風速、気温湿度はもちろん。砲身の摩耗度合や、果ては地球の自転すら砲弾の挙動に大きく影響してくる。実際、アメリカ戦艦に対してアウトレンジが期待された大和型戦艦でも、現実的に命中が期待できるのは28㎞付近からと、ライバル分のアイオワ級戦艦とさして変わらなかったのだ。
「はい。ですがこの砲弾は、中間誘導に慣性航法装置を用いての進路調整、終端誘導にレーザーなどによって目標をピンポイント砲撃をすることが可能です」
「それは……。砲弾自体が意思を持つように敵を追尾する、と言うことか?」
『ピンポイント砲撃』この言葉に武蔵野は反応する。この世界にはミサイルなどの誘導兵器は存在しない。敵を追尾する兵器など、夢の兵器だ。もし、そんな兵器があれば敵の補給や後方支援のみを攻撃し、味方の被害を最小限に、敵に大ダメージを与えるという理想の戦いも夢ではない。
「はい、ですが、諸事情で遠隔で誘導できる装置が使えないので、味方の航空機や地上部隊のレーザー支援を受けないと誘導できません。そのうえ、半ば対地専用の兵器なので、対水上もあまり期待できません……」
この世界には、GPSなどといった人工衛星がない。一応、砲弾の誘導装置自体は電波妨害下でGPSが使えない状況に備えるため、GPSが使えなくても動作はするが、完全に装置の能力を引き出せるとは言えない。
「それでは、対水上戦闘はVLSの墳進魚雷ですか?」
ブルーマーメイドの隊員の一人が聞く。
墳進魚雷とは、この世界独自の兵器で、ロケットによって敵艦の近傍に短魚雷を投射する兵器だ。
「墳進魚雷……。07式ASROCという対潜兵器ならありますが、メインの対水上兵器は、17式艦対艦誘導弾やトマホーク巡航ミサイルが、主に使用されます」
「17式は射程約400㎞、トマホークは約1600㎞で、弾頭のレーダーによって誘導されます」
「「「射程1600㎞!?」」」
400㎞でも長いのに1600㎞という超長射程の兵器。東京から撃てば、日本列島どころか北は樺太、南は沖縄本島まで飲み込んでしまう。おまけにそれ自体も目標に向かって誘導されるのだ。驚くのも無理はない。
「そんな兵器が……」
「17式やトマホークのほかにも対空目標を迎撃するためのミサイルもあります」
「「「はあ……」」」
しれっと紹介される超兵器の数々に隊員たちは開いた口がふさがらないようだ。
「主砲の以外にも、MK.71 8インチ60口径単装速射砲4基、OTO社製の54口径127㎜速射砲6基、ファランクス20㎜機関砲、ミレニアム35㎜機関砲各4基も装備してあります」
「すごいな……。元大和型とは聞いていたが、ぱっと見の外見以外、面影がほぼない位に改装されている」
「まるで魔改造ね……」
とあるブルーマーメイド隊員がつぶやく。
「魔改造、そうですね。このやまとは、旧帝国海軍から米海軍、そして海上自衛隊の時代を生き抜いた艦です。時代と共に、少しずつ姿を変えていき、今の姿になりました」
修は語り始める。
「この艦は、敵を叩くための最強の『矛』として生まれた艦ですが……。今の役目は違います。あれをご覧ください」
艦橋の司令塔の部分を指さす。
「あれは……。フェイズドアレイレーダーか」
「はい。あれは本艦の戦闘システムであるイージスシステムの目です」
「イージス……。ギリシア神話で、主神ゼウスが娘のアテネに与えたありとあらゆる邪悪と厄災を払う盾……。だったか、ずいぶん大層な名前を付けたものだ」
神の盾というすさまじい名前に、武蔵野は少しの呆れが混じったような声を出す。
「はい。本艦はかつて敵を滅ぼす『矛』でしたが、味方をいかなる邪悪な攻撃から護る『盾』となりました。このやまとは、護るために生まれ変わったんです」
武蔵野は口元に手を当てる。
「矛から盾に、矛盾か」
「ははは……」
修は気まずそうに笑う。
「だが、人間なんていつも矛盾だらけだ。艦にもその影響が出ただけだ。人の考えなんてコロコロ変わる。時代と共に真反対の考えになることもあるさ」
「そうですね……。とりあえず、気を取り直して、艦の見学を続けましょう」
やまとの見学は、続くのであった。
どうも、作者です。突然ですが、質問です。今の作者の作品って、台本形式と台本形式じゃない方のどっちが読みやすいですか?もしよかったら、アンケートお願いします!
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台本形式「こっちの方が読みやすい!」
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「こっちの方が読みやすいに決まってる!」