長らくお待たせしました。
38弾です。どうぞ!!
シベリア連邦管区 ロシア開発局内
あの後、順調にコルネールとセーラの二人とも合流し、敵の監視の薄い兵士の衣服を置いている更衣室にて一時的な
と言っても、ちょっとした状況確認だけの筈なのだが・・・少しこの基地に対して気味が悪く思える。
何故なら・・・
「・・・・・・さて、順調に作戦は進んでいるが、問題の制服だが全員サイズに問題は?」
「いや、特にないが・・・」
「・・・・・・なんだ?」
「・・・下層エリアの制服って、このエリアに無かったんじゃ?」
「あれぇ?ピッタリです」
そう・・・気味が悪くなったのは、事前の敵情報では、この集合している兵員用更衣室に『無い』はずのグリーンカム迷彩服が『有る』ことなのだ。
それも、全員分の制服がありサイズも全員ピッタリと言うおかしな現象が起きているのだ・・・
「・・・・・・分からん。何故俺たちの制服があるのか・・・だが、手間が省けた」
確かに気味も悪いが、敵から奪うより危険性が少なく手間が省けた・・・
「俺たち思いっきり、嵌められてるんじゃないか?」
「そうですね・・・確かに可笑しいですよ」
「・・・どうする?作戦中止するの?」
中止か・・・確かに嵌められている可能性が大きいだろうが、作戦を中断したら『愛国者達』によって『BIG BOSS』の場所が、また行方知らずになるのは絶対だ・・・
「・・・・・・いや、中断はしない。このまま進むぞ」
このチャンスを逃したら、もう見つけられないと俺はどこからくるか分からない
「良いのか?」
「・・・・・・あぁ。制服を用意したと言うことは『どうにかしてくれ』と言うことだろう。最悪の事態になった所でどうにかできるだろうしな」
自身の能力に過信している訳ではないのだが・・・俺を含んだこの4人のチームは、見た目にそぐわず純粋に能力があるのだ。
俺は『人外レベルの反射神経を含む身体能力』をコルネールは『正確な狙撃性と氷による超能力』をセーラは『弓を使ったサイレントキルと風を使った超能力』を猴は『人外の身体能力と孫の力(ヒヒイロカネ)』を持つ・・・
普通であれば、軍事基地に4人で攻めに行くと言う時点で舐めているのだが・・・俺と猴の2人はおおよそ『1人でRランクに匹敵』し、コルネールとセーラの2人はおおよそ『1人でAランクに匹敵』している。
Rランクは、1人で小国の軍隊を相手できる実力を持っており、Aランクは1人で中型ギャング組織を相手できる実力を持っており・・・実質上この4人で既に一つの小国を潰せる程の実力を持っているのだ。
そして全員がイ・ウーメンバーであることも考えると普通の軍隊では、
だが、今回の作戦は潜入救出ミッションであることから一度のミスが起きると再度のミッションが行えない一度っきりのミッションである。
その為、基地を制圧してしまうと救出対象が移動する可能性が非常に大きく、救助後の制圧も対象への被害を考えるとあまりお勧めできない。
だからこそ潜入した痕跡を残さず、まるで最初からその場にいなかったかの様に救出対象を救助する・・・
なのに・・・先ほど言ったようにない筈の制服が置いてあるのだが・・・
まぁ・・・最悪の状況も考えた方が良いだろうな・・・
「・・・・・・ライフルは各自現地で入手するしかないからな。ライフルが手に入るまで見つからず早急に進もう」
「「「了解」」」
誰かに誘導されている様に感じてしまうのは気のせいか・・・?
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シベリア連邦管区 ロシア開発局 中枢深層エリア 重要人物冷凍睡眠室
その部屋は、辺り一帯が真っ白な空間であり、汚れが何一切ない清潔な空間であるのだが、その空間の中心には近未来的な機械で大きな装置に繋がれた強化ガラスと特殊な金属で作られたかの様な長方形の箱が設置されていた。
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そんな異質な空間に鳴り響くのは、患者の心臓の動きを電極にて感知して知らせる心電図モニタ。
そして、その音が鳴り響く部屋に設置されている長方形の箱の近くに立ち箱を眺めているのは、茶色の革を主体としたロングコートを纏う白髪の男性であった。
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???Side
そろそろ『土産』を『見つけた』頃合いか?
態々、周辺警戒を行っている兵士たちの巡回ルートを外してやったのだ・・・『土産』が見つかることもないだろう・・・
全く・・・あの『天才探偵』め・・・こちらがどれだけ大変か理解しているだろうに態々『土産』を『用意させる』とは・・・
しかし、この作戦が全て私の・・・いや私たちの思惑通りに進むんだとしたら『呪縛』という名の『拘束』からの『解放』に繋がる・・・
「BOSS・・・予定より早いですがアナタを再び眠りから目覚めさせます。彼らと共に行動し『この呪縛』を終わらせましょう」
この様な装置に入れられて・・・眠りにつくなど・・・
BOSSが入っているカプセルに向けて視線を向けながら語り掛ける。
ザンジバーランド騒乱事件で『あの男』に倒されたBOSSは、複数の銃創と全身の肌が焼き爛れるほどの大火傷を負い瀕死の状態で最後には息絶える筈であった。
しかし、『愛国者達』の設立者にしてメンバーの一人である『ゼロ少佐』はBIGBOSSの持つ英雄性を自身たちの象徴に据えようとすると言う意思により、密かに回収し瀕死状態のBOSSを最先端技術を惜しみなく使い、ザンジバーランド騒乱で受けた傷を『人工皮膚』などを使い火傷の痕跡を無くし、目覚めさせないように老化現象を遅める『冷凍睡眠』によって、今も尚・・・眠っている。
あの戦いで欠損した部位は、現代で再現できるだけの技術を使用したバイオニックアームタイプの義手と同じくバイオニックレッグタイプの義足の両方を使用することで応急処置に近い状態で補っている。
腕などの欠損部位は、未だにちゃんとしたモノに修復できていないが、それ以外の内臓・器官の類は修復されている。
しかし、BOSSを目覚めさせるにも問題が多いのだ。
四肢損壊と内部器官の損傷による重傷を治したとはいえ、BOSS本人の体力にも限界がある。
20年前、キプロス野戦病院で9年間も昏睡状態になっていた頃に比べて短いが、その頃とは怪我の範囲が広すぎるのだ。
「BOSS・・・」
しかし、このまま目覚めさせない訳にもいかない・・・
私はBOSSが収納されている装置の横にあるコンピューターシステムである装置のキーボードを弄り解除コードを打ち込んでいく。
「目を覚ましてください。BOSS」
予定通りに来て欲しいものだな・・・
???Side
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シベリア連邦管区 ロシア開発局 中枢深層エリア 第2区通路
現在、コルネールとセーラの二人には、怪しまれない様に別行動を行い、このエリアのHQの制圧を頼み俺と猴の二人でBIGBOSSが眠っているとされる場所に向かって進行している。
「・・・・・・・さて、どうにか問題なく侵入で来たな。」
「はい、そうですね。まさか、疑問に思われることなく通れるとは思いませんでした」
そう・・・制服とIDカードがあるからといって、俺の身長は156㎝で猴の身長は140㎝と子供らしい大きさしかないのだ。
普通であれば、違和感と不自然さに警戒すると言うのに奴らは警戒どころか『この制服』と『IDカード』を一瞥するだけで通らせるとは・・・・・・
それ程までに『この制服』『IDカード』が特別であると思うべきなのか・・・それともただ単に無関心だったのか・・・
いや・・・流石に無関心はないか・・・おおよそこの制服とIDが特別なのだろうな・・・
「・・・・・・・・・確かにな。だが、注意して進むぞ。あまりにも上手く行き過ぎているからな」
「は、はい!!」
PPP・・・PPP・・・PPP・・・・・・通信傍受・・・通信者:コルネール・J・ダルクです。
猴と共に歩いて進んでいると自動的に通信を傍受したバイザーが自動的に起動し展開する。
歩きながら展開したバイザーの左下には通信者の名前であるコルネール・J・ダルクと音声グラフ表示される。
「・・・・・・・・・此方、ライデンどうした?」
『此方、サイレント。
どうやら、向こうは上手くいったみたいだな。
「・・・・・・・・・了解。セカンドミッションの方は?」
『確認している。どうやらファーストミッションでの対象者と俺らのいる位置との中間あたりに監禁されているみたいだ』
「・・・・・・・・・中間か、なら予定通りに作戦を進めるぞ」
『了解。・・・っと、少し急いだ方が良いかもな・・・此処を制圧して5分も経ってないって言うのにもう違和感に気づき始めた』
「「っ!?」」
予定より少し早い!?流石はプロだな・・・動きが速い
「・・・・・・・・・猴、急ぐぞ」
「は、はい!!」
バイザーのオーグメントモードを起動させ、歩いていた廊下を2人で走る。
「・・・・・・・・・サイレント。敵はこっちに来ているか?」
『いや、まだ気づいて・・・っクソ!!理由が分からないが兵士が6人そっちに向かっている!!』
何だ?気づくには早過ぎるし兵士が6人?
「・・・・・・・・・こっちに向かって来ているんだな?」
『あぁ!!確実に狙っている!!』
嵌められた?愛国者達に気づかれていた?
何時からだ?・・・っクソ、考えても仕方ないか・・・
「・・・・・・・・・猴、ステルス失敗だ。戦うぞ。準備しろ」
走りながら、手に持っているAK-12の
「はい・・・」
猴も同じく走りながら、背中に向けて手を伸ばして取り出したのは三つの柄に金属の鎖が付いた武器・・・『三節棍』
「・・・・・・・・・三節棍か、木製の柄じゃないな?」
バイザーを展開していることで、オーグメントモードに内蔵されている全自動的に起動する敵性情報を読み取るシステム『
『
視界内に入っている人物の武器を含む装備などの詳細データーを瞬時に解析しリアルタイムでバイザーによる光学透過式ディスプレイと2億画素人工眼球内に内蔵された網膜投影に送信する事で通常スキャンよりも素早く詳細データを会得することができる。
欠点としては、使用する際にバイザーを起動させなければならない所である。
このシステムから送られてきたのは、猴が持っている『三節棍』についてと猴についてのデーターである。
素材部分の欄には「カーボンナノチューブ繊維複合アルミニウム合金素材」と表示されている。
「・・・・・・・・・防弾仕様の三節棍か」
「はい。ですので問題ないですよ?」
「・・・・・・・・・そうか」
三節棍は元々、中国拳法で多く使用された非殺傷武器であるが、使用者によっては相手を死に至らしめることもできるからな・・・まぁ、そこら辺は猴なら問題なく調整するだろうしな。
っ!!
「・・・・・・・・・反応ありだ。次の角を左に曲がったら3秒後に接敵するぞ」
そうこうしている内に敵がレーダー内に侵入したことを確認し猴に知らせる。
「はい!!」
『気を付けろ!!奴ら未確認の装備を多数持っているしバリケードも作ってるぞ!!』
知らせると同時にコルネールからの通信が入り直ぐに行動に移す。
「・・・・・・・・・行くぞ!!」
目的地に向かう方の角を曲がって進むと鉄板が横に並んだ様な形をした最新技術のバリケードが展開しており、その裏に隠れていた兵士たちが、こちらに向けて銃を撃ってくる。
「・・・・・・・・・っふ!!」
数十発もの弾丸が飛来してくる事をスローモー状態で視認する瞬間に足を主体に体全体の人工筋肉に電流を流し強化させ、強化した脚力を使い前方に錐揉み回転しながら
錐揉み回転を行うと同時に体中に流れる電力が一時的に外部に放出され、
「っはぁ!!」
俺が飛んで弾丸を回避行動をすると同時に俺の後方にいた猴は、別の軌道で飛来してきた弾丸を自前の反射神経を利用し『防弾仕様の三節棍』を巧みにコントロールして扱う事で弾丸を負荷を無く弾き飛ばすことを行いつつ、前進してくる。
「・・・・・・・・・っはぁ!!」
錐揉み回転で回避した瞬間に左手でAK-12を敵の2人に向け、特殊作戦用義体スーツ(デスペラード)の胸当てにある投げナイフ1本を右手に持ち、地面に着地した瞬間に準備していた武器であるCBの引き金を引き絞り2名の敵兵の太腿・心臓・脳天の三か所に順番に狙い撃ち確実に殺害し投げナイフをもう一人の左目に目掛けて高速に投擲し、頭部を貫通させて即死させる。
通常のナイフだったら突き刺さるだけなのだが、使用したナイフが高周波ブレードと同じ原理を利用したナイフであり、刀身が高熱に発熱化した事で切れ味が非常に高くコンテナ金属板くらいの厚さをも溶断することができ、高速で投げると人体すらも簡単に溶断することもでき、貫通させることも容易である。
「・・・・・・・・・」
こっちの方が終わり、猴の方を見ると三節棍を巧みに扱い瞬時に敵の腕・脛・首を順番に高速回転させた棍を当てて無力化していき、2人の敵兵を無力化するが最後の一人が少し遠くにおりAK-12を構えており、距離的に三節棍の有効打撃範囲外にいる。
「・・・っ!!」ダッダダダダダダ!!
猴の周りに味方がいないことを確認した瞬間にAK-12の引き金を引き5.45x39mm WP弾を発射してくる。
「っはぁ!!っふ!!」キンッ!!カンカンッ!!カカカカンッ!!
その行動を瞬時に感付いた猴は、飛来してきた銃弾をすべてはじき返し敵がリロードに入り、攻撃の手が止まったその瞬間、縮地を行い距離を瞬時に詰め三節棍の有効打撃距離に入る。
「せいッ!!やぁあ!!」
敵を確実に無力化させるために膝・腕・側頭部に高速回転させた棍をぶつける。
「がはっ・・・!!」
最後の一撃である側頭部への攻撃で敵兵が横に一回転しながら吹き飛び勢いよく地面に衝突した。
「・・・・・・・・・(流石と言うべきなのか?)」
膝蓋骨の粉砕骨折・腕の粉砕骨折・頭蓋骨の複雑骨折・内出血多数・脳震盪による意識不明による重傷。
傷が完治したとしても重大なレベルで後遺症が残るだろうな。
膝は関節への負荷で上り下りでの膝への激痛、前腕は曲げたり重い物を持った時に耐え難い激痛、側頭部は脳の側頭葉に障害が起き言語・記憶・聴覚がまともに機能しなくなる。
「終わりましたから急ぎましょう!!」
そんな重症レベルにしときながら、微笑みながら話しかけてくる猴。
「・・・・・・・・・あぁ」
孫ではない猴の時は、殺しを良しとしない人格故に生き地獄の様な体験をすることとなると生きて行くのも辛くなるな。
「・・・・・・・・・いくぞ」
無力化した兵士を見て急いで目的地に走り始める。
『ショートカットとして扉をこっちでロック解除して行くから急いで走り抜けてくれ』
「・・・・・・・・・了解」
HQにいるコルネールがハッキングデバイスを使って扉をハッキングしてカギを開ける事ができるが、システムガードが堅い為にハッキングして保てる時間は10秒が限界らしい。
「・・・・・・・・・猴。遅れるな」
「はい!!」
短距離移動歩法《ショートジャンプ》は、縮地とはまた違った歩法で一種のテレポートに近い歩法。
では次回会いましょう。