緋弾のアリア 意志を受け継ぎし者   作:暗黒の影

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皆さん。明けましておめでとうございます!!

そして、大変申し訳ありません。

ちまちまと書いてはいたのですが、少し気力が出ずに一年も経ってました。

この先もこのようになると思いますが気長に見て頂ければ幸いです。

では…第45弾です。


第45弾 Assault horizon 後編

シベリア連邦管区 ロシア開発局 研究局出入り口付近

 

リンクスSide

 

「・・・・・・了解」

 

コルネールへの連絡を終え、後ろを見て全員に聞く。

 

「・・・・・・準備は良いか?」

 

 

「「「「(コクッ)」」」」

 

先頭にいた鞠亜を含む全員がゆっくりとしかし確実な意思の下に頷いていたのを確認する。

 

「・・・・・・外に出たら手筈通りに進め。足を絶対に止めるな」

 

出入り口から100mちょっと離れた曲がり角に背中を付け見つからない様に覗き込みながら後ろにいる少女たちに言う。

 

「「「「了解!」」」」

 

 

「・・・・・・俺が先行して道を開けていく。遅れるな」

 

そう言い残し上空からの対地攻撃で大騒ぎしている兵士たちに目を向けて電力強化した人工筋肉で接近する。

 

「おいっ!!急げ!!外にある対空砲で上空に飛んでいるヤツを打ち落とす必要があるんだぞ!!」

 

先程の攻撃で崩れた瓦礫によって外に繋がる出入り口が塞がれ指揮官らしき人物が指揮を出しているのを確認すると同時に鞘に入っているムラマサを通常の状態で抜刀してスピードを上げる。

 

「っな!?侵入っ!っがぁ!?」

 

急接近する俺に気付いた指揮官が声を上げて周囲の兵士たちに知らせようとするが突如として飛来してきた物に喉元を突かれてしまい言葉が途切れると同時に後ろに倒れこむ。

 

「「「っ!?」」」

 

突然倒れこんだ指揮官にビックリした部下の兵士たちが振り返り指揮官を見る。

 

そこには、喉元に黒色の物体が突き出ており、口から血を吐いている自分たちの指揮官が目に入る。

 

数秒間程、動きが止まってしまうが直ぐに気を取り戻し警戒態勢に入ろうと態勢を整えようとするが・・・

 

「・・・・・・っは!!っふ!!」

 

 

「っぐあ!?」「ぎゃあ!!」「脚がぁ!!かひゅっ!?」「がはッ!?ぐッ!?」

 

指揮官を見て動きが止まった事により容易に距離を詰めることができたリンクスは、瞬時に態勢が整っていない兵士たちの急所をムラサマブレードで切り裂き確実に無力化(殺害)していく。

 

一人は銃ごと腹を切り裂き上半身と下半身を分離させる、一人は両腕を切り落とし鳩尾に拳による強烈な一撃(内臓破裂レベル)を与える、一人は片足を切り落とし態勢を崩した所を首を切り落とし、一人は投擲されたムラサマブレードが心臓に突き刺さり後ろに倒れる前にムラサマブレードを引き抜かれ壁に蹴り飛ばせる。

 

この工程を約0.5秒で殺り遂げており殺られた兵士全員は何がされたのか理解する前に命が絶たれていた。

 

「・・・・・・(来い)」

 

オーグメントモードを起動し周辺に敵がいないかを確認し、後方にいる鞠亜たちに向けて手信号(ハンドサイン)を送り安全であると知らせて此方に来させる。

 

「「「『っ!!』」」」

 

 

「これは!?」

 

徹底的に無力化された敵兵の姿を見て彼女たちは、嘔吐まではいかずとも顔色が悪くなり声が出ていた。

 

「・・・・・・いくぞ」

 

彼女たちの反応を見ても気にせず出口付近に向かう。

 

「・・・・・・オーグメントモード」

 

瓦礫によって塞がっている出口に向けてオーグメントを起動させる。

 

 

                                 

---Урал-4320(ウラル-4320)多目的オフロードトラック ×2輌

 

 

---UAZ-3151多目的小型軍用車輌(オープントップ仕様) ×3輌

 

 

---武装した兵士(AN-94・MP-442・RPK-74・PKP ペチェネグ) ×34名

 

 

 

「・・・・・・多いな」

 

出口付近に待機している兵士たちの数を見て急ぎ通信を開く。

 

『・・・・・・此方、ライデン。イーグルに支援要請』

 

 

『此方、イーグル。そろそろだと予想していたよ。入り口付近の兵士含め小型車両を攻撃すればいいんだね?』

 

 

『・・・・・・あぁ。トラック一台だけ残してくれればいい』

 

 

『了解したよ。少し揺れると思うから、気を付けてね』

 

 

『・・・・・・了解』

 

通信を切り、入り口から少し離れ、後ろにいる女の子たちに声をかける。

 

「・・・・・・全員少し、しゃがめ。」

 

 

「「「?」」」

 

突然言われた皆は、不思議そうな顔をしながらもゆっくりと身を屈めた。

 

「・・・・・・少し揺れるぞ」

 

 

ズガガガガガ!!

 

 

強烈な音とそれに連動する様に揺れ動く地面。

 

 

「きゃっ!」「うわっ!?」「くそっ!?」

 

身を屈めていた彼女たちもビックリし各々声を小さく出して驚いている。

 

「・・・・・・」

 

皆が驚いている中で俺は、ゆっくりとオーグメントモードで外の状況を確認する。

 

 

---Урал-4320(ウラル-4320)多目的オフロードトラック ×2輌→1輌

 

 

---UAZ-3151多目的小型軍用車輌(オープントップ仕様) ×3輌→Lost

 

 

---武装した兵士(AN-94・MP-442・RPK-74・PKP ペチェネグ) ×34名→Lost

 

 

オーグメントモードによる情報を確認すると目的である車輌以外を全て排除している事が分かり、入り口に近づく。

 

「・・・・・・流石だな」

 

素直にシャーロックの腕前を称賛しつつ瓦礫に塞がれた入り口の前に立つ。

 

「・・・・・・入り口を開けたら右側にあるトラックに乗れ。運転は全員できるな?」

 

少女たちも直ぐに気を取り戻して入り口前まで来たことを確認し問いかける。

 

「えぇ。一応全員運転できるわ」

 

 

「・・・・・・了解だ。行くぞっ!!」

 

ムラサマブレードを目にも止まらぬ速さで引き抜き、塞がっている道に向けて8連続もの斬撃を放つ。

 

その斬撃は、その速さによって一時的に赤熱した線として*と□を合わせた様な形に入り前方に吹き飛び入り口が開いた。

 

「・・・・・・よし、行け!!」

 

 

『っ!!』

 

引き抜いた刀を手に持った状態で指示を出し、後ろに待機している彼女らを先にオフロードトラックまで走り抜けさせる。

 

トラックとの距離は、おおよそ20mと遠くもなく近くもない距離であり、走り抜けば数秒で辿り着けるほどである。

 

自分たちの使い慣れた武器を持った状態でトラックまで各々走り始める中で怪我を負っている小海と肩を貸している上月が少し出遅れているのがわかる。

 

「・・・・・・急げ!!」

 

手を貸してやりたいのは山々だが、周辺の警戒をしている事で手を貸すことができないのである。

 

照安は運転席に行きエンジンを掛け、多由良は助手席に乗り込み、ヒナタとハナビ、イノは後部貨物に乗り込み、小海と上月の後方を警戒し、ネイトが後部貨物に乗らずに2人が到着するのを待機して、トリエラとヘンリエッタが車体の右側を警戒し、本多とウオルシンガムが車体の左側を警戒している。

 

その動きは、訓練してるだけあって素早く動けており粗い部分も多くあるが、十分に動けているのが理解できる。

 

このまま、訓練を続けていけばすぐにでも使える人材になるほどの人材であると思われる。

 

オーグメントモードと周辺の気配を探っていた事もあり、一通りの動きを見て感心する。

 

「(鍛えれば使えるな・・・)」

 

 

「「きゃっ!!」」

 

思考を照安に向けていると体力の限界に来ていた小海が瓦礫に躓いてしまい、肩を貸していた上月を巻き込み地面に倒れてしまった。

 

トラックにいた彼女たちにも見えており、焦りが表れて見える。

 

「紗津月っ!!ひかりっ!!」

 

状況を見ていたネイトが呼び掛けると同時に駆け抜ける。

 

「・・・・・・っち!!・・・っ!?」

 

リンクス自身も動こうと体を向けた瞬間に起動していたオーグメントモードにレッドアラートが鳴り響く。

 

WARNING(警告)!!》《WARNING(警告)!!》《WARNING(警告)!!》

 

「っ!!」

 

リンクスSide out

 

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敵兵Side

 

「っぅっぐ!!」

 

目が覚めたら目の前に映ったのは、いつもの通りの平和で退屈な日常の背景とは程遠い…襲撃者によって建物は崩れ落ち炎に包まれ、仲間たちは四肢欠損して死んでいる者、内臓が飛び出て死んでいる者が多くいる状況……

 

まさに東洋で使われている言葉で言う死屍累々。

 

「っぅ・・・はぁっ・・・!!・・・はぁっ・・・!!」

 

視線を腕に向けると右腕が無くなっていることに気づく。

 

気付くと同時に激痛が走り始めるが、その痛みを歯を食いしばり我慢しつつ、悲鳴を上げている体を無理やり動かして起き上がり、周囲に生存者がいないか見渡す。

 

しかし、先ほども言った通り周囲は既に死屍累々の状況である・・・生存者なんてものは見渡す限りでは確認できない。

 

「っくそ・・・!!」

 

見渡す限り見えてくるのは・・・

 

死体死体死体死体死体死体残骸死体死体死体死体残骸死体死体死体死体残骸死体死体死体死体死体死体残骸死体死体死体死体死体死体残骸死体死体残骸死体死体死体死体死体残骸死体死体死体死体死体死体残骸死体死体死体死体残骸死体死体死体死体死体死体死体死体残骸死体死体死体残骸死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体

 

「・・・はぁっ!!・・・はぁっ!!」

 

発狂してもおかしくない状況であるが生き残りがいると信じて意識をつなぎ留めながら周囲を見渡す。

 

「・・・・・・!!」

 

耳鳴りが酷い耳に何か声が聞こえてくる。

 

「誰・・・っだ!!」

 

出せない声を振り絞りつつ声を出しながら周囲を探す。

 

「・・・・・・・・・!!」

 

どこからか声が聞こえる筈なのに見つけられないことに焦りを感じ始める。

 

しかし、それも直ぐに焦りから途方のない怒りに変わった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・!!」

 

何故なら声のする方向を見つめると其処にいたのは、侵入者である者と一緒に逃げる被験者たちであった。

 

研究所の規則として命令外で外に出た場合は、即刻命令違反者として射殺命令が出ている。

 

味方の兵士数人が見当たらない時点で裏切り者であると理解した。

 

「っ!!・・・・・・殺してやる!!」

 

動かすのもやっとの体を動かし近くに設置されていたZU-23-2*1に向かう。

 

ZU-23-2の砲塔に近づき敵の航空支援で受けたダメージで起動しなくなった電子機器で作動しなくなった自動旋回システムを手動で動かし射角を無理やり合わせ、弾薬を装填するチャンバーワイヤーを引き座席に乗り込み、片手で安全装置を外し照準を目視で合わせる。

 

「っ!!・・・・・・仲間・・・の仇・・・だっ!!」

 

黒い強化外骨格を身に纏った少年がこっちに気づいたのか振り向き向かってくる。

 

「っ死ねぇ!!!!」

 

向かってくる少年(襲撃者)にお構いなしに砲弾を発射するレバーボタンを押し込む。

 

23x152㎜BZT徹甲弾が連続で発射された。

 

「っは!!・・・・・・ハハハ!!」

 

ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!

ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!

ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!ザガァンッ!!

 

「ハハハ!!・・・は?・・・うぇ?」

 

機関砲を連射していて気分が高揚していて気付かなかったが発射された砲弾が狙った場所とは違う所で着弾していることに気づいた。

 

砲身の向き照準は問題なく迫ってきている少年(襲撃者)に向いている挙句には発射されている砲弾の弾道も問題なく少年(襲撃者)に向いている。

 

「・・・ぅ・・・うあっぁあ゛!!」

 

此方が問題あるのではない。少年(襲撃者)に問題があったのである。

 

なんと少年(襲撃者)は、方法がわからないが飛来してきている砲弾をすべて弾き返しているのだ。

 

それも後方にいる被験者どもに当たらない様に角度調整して弾き返しているのである。

 

「・・・ッこの!!・・・・・・バケモンがぁぁ!!」

 

それを理解してしまった瞬間、高揚していた気分が一気に冷め、恐怖に埋め尽くされた。

 

変わらず発射ボタンを押し込み続けているが状況は変わらずにいる。

 

足を止めるどころかスピードが徐々に上がっている気がする。

 

「ッくそぉぉお!!」

 

自分との距離が20mを切るかと思った瞬間、紅き閃光が見えると同時に視点が暗転した。

 

 

敵side out

 

 





ZU-23-2

ガス圧作動方式の2門の23㎜口径の2A14機関砲をZPU-2後期型の二輪と三脚を備えた砲架に搭載した低空防空用牽引式対空機関砲である。
第二次世界大戦後にソビエト連邦が開発した対空機関砲であり、1950年代後半から開発が始まり、1960年に制式採用された兵器。
初期型は照準機構は手動で行っていたが、改良型は電動旋回機構が搭載されZAP-23光学機械式照準器に目標情報を入力することでより正確な対空射撃を行うことが可能であるほか、T-3対地射撃用照準器に付け替えることで地上の歩兵や軽装甲車両を攻撃することも可能になる。
初配備が1960年でありながら、未だに現役として数多くの国で使用されている。

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