アーニャのあにっ!?    作:コーラを愛する弁当屋さん

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mission④ ちゅうにびょうだいさくせん!①

 

 

 

 —— ガチャ。ギィィ。

 

「ほら、そこに入りなさい!」

「ううう」

(……)

 

 ウィリアム邸宅の地下。光の届かない暗闇の中、蝋燭の燭台の明かりを頼りに進んでいく。どうやら僕とアーニャは、錆びた鉄の匂いで満ちたどこかに連れてこられたらしい。

 

「いいかい。絶対に逃げるんじゃないよ!」

「う、うぃ」

(……)

「ま、この重い金属製の扉を吹っ飛ばすことなんて、いくら力のあるガキでも無理だろうけどね!」

 

 そう言った女……母(里親)は、重いのであろう扉をゆっくりと閉めて鍵を厳重に取り付けて去っていった。

 

「……」

(……)

 

 暗いので予想だが、アーニャに睨まれている気がする。

 

「……あに」

(なんだ?)

「くらくてなにもみえない」

(そうか。僕は透視で廊下の方が見えているぞ)

「ずるい! てかそうじゃない!」

(わかったわかった。悪かったよ)

 

 ガルルルと口に出してそうなほどの鋭い視線を感じ、謝罪した。いや、というかまじでこの状況は僕のせいである。本当に申し訳ない。

 

「どうするの! アーニャたちころされるかも!」

(そんなことにはならんから、安心しろ)

「じゃあここからだせい!」

 

 だせいって、お前語尾のボキャブラリー豊富だな。

 

 僕だって今すぐに出て行きたいが、たった今そうも行かなくなってしまったのだ。

 

(少し待て)

「なんで!」

(今、超能力を使うのはまずい)

「まずいって、なんで!」

(お前も聞こえるだろ。ほら、上の方から)

「うえのほう?」

 

 アーニャが僕と同じように天井に視線を向ける。僕はその先も透視で見えるが、アーニャには見えていない。だが、心の声が聞こえれば十分である。

 

 人間は発言する内容を直前に心の中で考えている。だからちゃんと声が聞こえなくても、超能力者エスパーである僕達には筒抜けなのである。

 

「ねぇ。あいつやばいんじゃないの!?」

「兄貴の方か? お前は本当にあいつが扉をふっとばしたっていうのかよ」

「そうよ! この目で見たもの! あれは何か超常的な力に違いないわ!」

「……馬鹿馬鹿しい。でもそれが本当なら、例の組織に値を吊り上げて引き取ってもらえるかもしれんだろ」

「は? どうして?」

「お前も聞いたことがあるだろ? 今回の引き取り先である例の組織……超能力を研究してるって噂」

「! そういえば、聞いたことあったわね」

「だろ? この噂は事実なら、今回の要望に超能力が使えるなんて文言はなかったが、プラス査定間違いねぇだろ」

「……そうね。これは思わぬ拾い物だったわね!」

『あ〜っはっはっはぁ!』

 

 会話が終わったところでアーニャに視線を向けると、アーニャは呆けた顔をしていた。

 

「……あに」

(……ああ)

 

 そうか。驚きのあまり、表情が定まらないんだな。

 しょうがないさ、やっと父と母ができたと思ってたんだから。

 

「……ちょっとなにいってたのかわかんない」

(……)

 

 ……うん、だよね。僕が深読みしすぎた。

 

 さっきの会話を考察すると、今回の取引相手はあの研究所の職員、もしくは関係者である可能性が高い。つまり、研究所の奴らは対象がエスパーだと言う事を隠して、僕達を捜索しているということになる。

 

 ——まずいな。下手に目立つと奴らの目に止まってしまうぞ。

 

「あに?」

(ん? あ、そうだな)

 

 おっとまずい。まずはアーニャにも説明してやらねば。

 

(おそらく、僕達をお前がいた研究所に引き渡そうとしているんだ)

「えっ!」

 

 一瞬真顔に戻り、すぐに恐怖の表情を浮かべるアーニャ。以前の寂しかった記憶が蘇っているのだろう。

 

「……いやだ。いやだよあに。アーニャあそこにはもどりたくない!」

 

 アーニャは目に涙を浮かべ、体を震わせながら僕の腕にしがみつく。

 

(……大丈夫だ。ここから逃げ出して、孤児院に戻るぞ)

「……うん。アーニャたちのうちにかえろ?」

(ああ。そうだな)

 

 未だ震えているアーニャの頭をポンポンと叩き、僕は目を閉じて思考を整理する。

 

 目指すべきゴールはなんだ?

 ——里親達を警察に突き出し、僕達は孤児院に帰る。

 

 気をつけないといけないことは?

 ——あの施設の奴らに、僕達の情報を掴ませないこと。

 

 その為に必要なのは?

 ——僕の代わりに、派手に動いてくれる人材。

 

 ……決まったな。こうなれば、彼の力を借りるしかない。さぁ、純白の羽毛。お前の出番だぞ。

 

(まずは奴の居場所を見つけないとな……千里眼!)

 

 ——ギョロ!

「!?」

 

 

 【千里眼】遠方を見る能力。寄り目にすることで発動するが、それによって他者から不審に思われ、変顔として認知されることもある。肉眼で直接見たことがある場所でないと視ることができない。

 

 千里眼を発動し、この屋敷の周辺をくまなく調べる。海藤……もといケイドゥの家はどこだ……お、あったぞ。前面真っ白な部屋がある家だ。きっとここに違いない。

 

 肝心のケイドゥは……いたぞ。台所だ。どうやら皿洗いの手伝いをしているようだが。

 

『いつもお手伝いありがとうね、ジョン』

『いいんだよママ。僕はママの役に立ちたいんだ!』

『ほんとうにいい子ね。でも、もっと遊んで来てもいいのよ?』

『近くに友達が住んでないからいいよ。……あ、でも』

『?』

『今日、友達になれそうな兄妹を見つけたんだ! 兄の方が僕と同い年ぐらいだったし、仲良くなれるんじゃないかな〜って!』

『あら、よかったわね。今度家に連れていらっしゃいよ』

『う、うん。そうだね……(仲良くなりたいけど、どうしたらいいんだろう)』

(……お前、いい奴だな)

 

 ……悪いなジョン。僕達はもうココを去るから、お前の家には行ってやれないかもな。だがその代わり……お前の望んでいた景色を見せてやろう。

 

 ——ギョロン!

「!?」

 

 寄り目を戻して視界が戻ると、アーニャが目を見開いて僕を見つめていた。

 

(どうした?)

「あに、いまめがへんだったよ!」

(超能力の千里眼を使っていたんだ。これを使うとどうしても寄り目になってしまうからな)

「せんりがん!? よりめ!? アーニャもするぅ!」

(いや、お前には無理……って、え?)

「ぬ〜っ!」

 

 一生懸命に寄り目をしようとするアーニャ。うん、確かに目は寄っているな。内側じゃなくて外側にだけど。

 

 ……え? そのほうが難しくない? むしろどうやってんの?

 

「う!? み、みえた!」

(! うそだろ? 何が見えるんだ?)

 

 まさか、アーニャも千里眼の能力を開花させたのか?

 

「う〜、つののはえた〜、ピンクいろのなにか〜」

(……それ僕だろ。目が外に寄っているから隣にいる僕が見えてるだけだよ)

 

 変な顔になっているアーニャに、僕へ視線を向けさせる。

 

(いいかアーニャ。これから僕は助けを呼びに行ってくる)

「たすけなどいらぬ! アーニャのマジカルパワーで」

(やめろ。お前はケイドゥの影響を受けすぎだ)

 

 全く、さっきまで涙目だったくせに急に厨二になりやがる。……いや、だったらその厨二心をくすぐってやればいいのかも。

 

(アーニャ。お前に重要なミッションを与えよう)

「ミッション!? わくわくっ!」

 

 よし、くいついてきたぞ。

 

(これから僕は助けを呼びにいくが、その間僕は眠ってしまうんだ)

「え、ねちゃうの?」

(ああ。だから、僕が起きるまで僕の体を守っていてほしい。これはとても重要なミッションだ。……できるか?)

「できる! アーニャできるよ!」

(そうか。さすがだな)

 

 興奮気味のアーニャの頭を撫で、僕は硬い床に横になる。

 

(では頼むぞ、アーニャ)

「あに、わたしはアーニャではない。コードネーム〝ももいろのらっかせい〟だ」

(……うん)

 

 なぁ、せめてミックスナッツにしない?

 

 

 

 

 ψ  ψ  ψ

 

 

 

 

 若干呆れながら目を瞑ると、僕の意識は体から抜け出て空中へと投げ出された。

 

(よし、幽体離脱成功だな)

 

【幽体離脱】

 自分や他人の魂を体外に解き放つ能力。ちなみに他者の魂を取り出した場合は、44秒以内に肉体に戻すか憑依させないと成仏する。また、この能力を使えば物理攻撃が効かない幽霊にも干渉できる。

 

 ——シュバ。シュバババっ!

(……)

 

 アーニャは警護しているつもりなのか、無駄に躍動感を保って僕の体の周りで動き回っている。

 

(その調子で頑張ってくれ)

「うい!」

(え、聞こえた?)

「きこえる!」

 

 まじか。お前幽体の声も聞こえるのか。僕は燃堂父しか見えないし聞こえないのに。鳥塚も涙目だな。

 

(じゃあ行ってくるな)

「は、はやくかえってこいよ!」

(わかってるよ)

 

 僕はアーニャに背を向けて、金属製の扉に向けて突っ込んでいく。幽体なのでもちろんすり抜けることができるから、あっさり脱出に成功した。

 

 廊下には雇われているであろう警備員が何人か配備されていたが、これも幽体なので関係ない。というか空中浮遊できるので上へと登っていけば屋根の上に出られる。

 

(さて。ケイドゥの家は……あそこだな)

 

 屋敷の屋根から近隣を見渡し、先ほど千里眼で見つけたケイドゥの家を確認。

 

 そのまま空中を浮遊し、ケイドゥの部屋の窓辺へと向かう。行ってみると無用心にも窓が空いていたので、中を確認できた。すると部屋の中には……。

 

「はあっ! くらえ! ピースフル・アルカディア・ホワイト・ウォーターぁぁぁぁ!」

(……)

 

 ポーズを決めて必殺技の名前を叫ぶジョンの姿がありました。なんか平和の理想郷の白い水が提供できるそうです。

 

 あ、日本のカルピスのことか。わかるぞ、美味しいもんな。……って、今はそんな事を考えてる場合じゃないんだよ。お前にやってもらわないとならんことがあるんだ。

 

「ふっ……」

(おじゃましまーす)

 

 決まったとばかりに余韻に浸っているケイドゥの横を通り抜けたのだが、僕は勢い余ってケイドゥの部屋のクローゼットに入り込んでしまった。

 

(ん? 白魔術秘伝の書? ピンク髪の魔法少女と純白の羽毛のラヴストーリー? ……いけない、今は関係ない)

 

 クローゼットに隠された謎の本から視線を外し、クローゼットから出る。

 

 さて、行動開始だ。まずは、テレパシーで奴に話しかけるぞ。奴に合わせてなるべく厨二チックにだな。

 

(……純白の羽毛よ。我の声が聞こえるか?)

「ふえっ!?」

(……)

 

 

 ふえっ、ってお前。

 

 

(……何を怖がっている。あの純白の羽毛ともあろうものが)

「! こ、こわがってなんちぇいにゃあぜ!?」

 

 噛みすぎ。ここもオリジナルそっくりか。

 

(そうか。そうだろうな。我がこうしてお前に話しかけたのだ、喜びこそすれ、怖がるわけもない)

「そ、そうだじょ! と、というか貴様、一体何者なのだ!」

(……おっとすまない。まだ名乗っていなかったな。我はお前と同じ、ダークリユニオンを打ち倒そうとする者だ)

「な、なにぃ! ダークリユニオンだとう!?」

 

 最初こそビビっていたが、待ち望んでいた展開なだけにテンションがどんどん上がっているな。これならうまくいきそうだ。

 

(そうだ)

「な、なら貴様のコードネームは何だ?」

(え?)

「コードネームだよ! 貴様も俺と同じなら、持っているはずだろう?」

(う、うむ)

 

 しまった。考えてなかった。

 どうする? 僕のコードネームか。

 

 えっと確かアーニャは、好きなピーナツだったから——。

 

(我のコードネームは、〝玄色の寒天げんしょくのかんてん〟だ)

「……玄色の寒天?」

(そうだ)

「……ふっ、ふふふふふ」

 

 なぜか笑い出すケイドゥ。あ、ちなみに玄色っていうのは赤茶っぽい黒色のことな。

 

「……いいだろう。同士だと信じてやるぞ、玄色の寒天!」

(そうか)

「それで、どうして俺の仮初の家に現れたのだ? それにどうせなら姿を見せればよかろう」

(見せているぞ。まぁ思念体の姿でだがな。……え? まさか見えてないとか?)

「ばっ! 見えてるに決まってんじゃん!?」

 

 そんなに焦るなよ。見えてないのは知ってるぞ。

 

(そうだよな。……でだ、実はお前に頼みがあって来たのだ、純白の羽毛よ)

「頼みだと?」

(そうだ。実はこの近くに、ダークリユニオンの一味のアジトが見つかった)

「な、なんだと!」

(お前も今朝見たであろう。ピンク髪の兄妹が引き取られた家だ)

「! やはり、あの一家は危険だったのだな!?」

 

 予想が当たっていて嬉しそうなケイドゥ。というか実際予想は当たっていたわけだしな。

 

「で、頼みとはなんだ?」

(今、あの屋敷の地下にあの兄妹が閉じ込められている)

「なにぃ!?」

(だからお前の力で、2人を助け出してほしいのだ)

「そうかそうか……えっ!?」

 

 どうやらあの屋敷に行かないといけないと分かって少しビビったらしい。

 

(案ずるな。我がサポートをしてやろう。お前は我の指示通りに動けばいいのだ)

「そ、そうか。まぁ俺一人でも問題なく助け出せるだろうがなっ!」

(……そうだな)

 

 安心したのか、強がりだしたケイドゥ。まぁやる気にはなっているようだな。

 

(よし。ではまずは家から出るんだ)

「わかった! ちょっとまってろ!」

(え?)

 

 ケイドゥは待ってろと言うと、クローゼットの中をごそごそと漁り出した。

 

(おい、何をしている。早く行かないと)

「すぐ終わる! 一張羅に着替えないとだろ!」

(は?)

 

 一張羅って。そのままでいいだろ、そのひよこの絵がいっぱいプリントされたパジャマで。

 

「ふっ……待たせたな!」

(……うん。本当に)

 

 着替えたケイドゥは、全身真っ白だった。まるで結婚式の新郎のような白のタキシードに、白のボルサリーノを目深にかぶっている。あとワンポイントのつもりか、ボルサリーノに白い羽がくっついてるのがなんかムカつく。

 

「純白の羽毛、ステンバ〜イ!」

 

 ビューティフォー……じゃねぇよ。

 

(……気が済んだか。ならさっさといくぞ)

「ああ。そうだな。だが、母親に見られるのは不味い」

(なんだ。その格好が恥ずかしいのか?)

「は、はぁ!? んなわけねぇし!? この部屋から外出する方法があるだけだし!?」

 

 ケイドゥは顔を真っ赤にしながら、これまたクローゼットから何かを取り出した。……縄梯子だ。

 

(ほう、縄梯子か)

「ふっ、いつでも戦いに出れるように備えておいたのさ」

(……さすがだな)

 

 ちょうどいいものを持っているじゃないか。さすがは厨二病。準備だけはバッチリだったようだな。

 

「よし、ではいくぞ!」

(ああ)

 

 ——バララララ……。

 

「……」

(?)

 

 かっこつけて縄梯子を窓辺に掛けたのはいいものの、ケイドゥはなかなか降りようとしない。……もしかして怖いのか?

 

 厨二病すぎて忘れていたが、そういえばこいつはまだ十歳だ。高所恐怖症でもおかしくない。

 

「……(つ、ついにこれを降りる時が来たぁ! やばいっ! 今の僕かっこよすぎるぅ〜)」

 

 ……訂正。ただこのシチュエーションに酔ってるだけでした。

 

(早く降りろ)

「わ、わかっている!」

 

 僕が急かすと、ケイドゥは慌てて縄梯子を降りていった。

 

 

 

 

 

 ψ   ψ  ψ

 

 

 

 

「で、あの家に行けばいいのか?」

(うむ。あの夫婦が住んでいる家の裏手に向かうのだ)

「わ、わかった!」

 

 ケイドゥは目的地に向かって駆け出した。……なんかむかつくボーズを決めながら。

 

(おいその体制だと、転んだ時顔面からぶつける「あぎゃあ!?」)

 

 ……言い切る前に転ぶんじゃない。

 

 ケイドゥは予想通り顔面からすっ転んだ。だがすぐに立ち上がり再び駆け出す。しょうがないから、涙目なのは黙っててやる。

 

 しばらくすると、ケイドゥはウィリアムズ家邸宅の裏へと辿り着いた。

 

「ここか?」

(うむ。あ、もう少しだけ先だな)

「え? このへん?」

(もうちょい先……よし、そこだ。止まれ)

「お、おう」

 

 今ケイドゥのいる壁の先は、アーニャと僕の体が囚われた部屋のある廊下へと繋がる階段の目の前だ。ここから入るのが一番の近道だからな。

 

(ここから侵入するぞ)

「ああ! ……で、どうやって?」

(簡単だ。まずはお前の必殺技で壁をぶっ壊してくれ)

「! 必殺技だと!?」

(そうだ。あれだよ。ピースなんとかウォーターというやつ)

「あ、あれか! わかった!」

 

 力強く頷くと、ケイドゥは右手を壁に向けて構えた。

 

「(え、どうしよう。わかったとか言っちゃったけど、本当に出せるのかな?)」

 

 内心でこんなことを思いながらも、ケイドゥの顔はキメ顔だ。

 

 安心していいぞ。お前が技名を叫んだら僕がサイコキネシスで穴を開けるから。技名が水なのに水が出ないとこはご愛嬌である。

 

(ええい。ダークリユニオンだってあったんだ! 僕のホワイトワルツだってあるに決まっている!)

 

 決心したのか、ケイドゥは声を大にして技名を叫んだ。

 

「うおおおお! ピースフル・アルカディア・ホワイト・ウォーターぁぁぁぁ!」

(サイコキネシス!)

 

 ——バコーン!

 

「う、うおおおおお!」

(……また力加減間違えた)

 

 ケイドゥは技が使えて歓喜しているが、僕は思ってた数倍の穴を開けてしまったことに落ち込んでいた。

 

 ……やってしまったものは仕方がない。切り替えて行こう。

 

(純白の羽毛、行くぞ。あの兄妹はこの下だ)

「おおう!」

 

 上機嫌なケイドゥを連れ、僕は地下へと降りていった。

 

 

 

 

 ψ  ψ  ψ

 

 

 

 

 

「む!? 侵入者だぁ!」

「侵入者が現れたぞぉ!」

 

 地下には警備員がいるため、僕達はすぐに見つかってしまう。

 

 だがそれでいい、計画通りである。

 

「ど、どうするのだ! 仲間を呼ばれたぞ!?」

 

 ゲームの敵キャラか。

 

(狼狽えるな純白の羽毛。警備員など倒せばいいだけだ。ほら、早く技名を叫……いや技を出してくれ)

「お、おう! まかせろ!」

 

 迫りくる警備員に向かい、ケイドゥは両の手を掲げて見せた。

 

「ふん! お前らなど、この技で十分だ! くらえ! フェスティバル・エターナル・ホワイト・デザートぉぉぉ!」

(……)

 

 えっと、祭りの不滅な白いお菓子?

 ……わたあめで合ってる?

 

「なんのつもりだ!? ダセェ単語叫びやがって!」

「あ、あれ?」

(……テレパシー)

「ぐ、ぐぁぁぁぁ!?」

 

 ケイドゥの技名の意味を考えていたら対応が遅れた。さすがに人間にサイコキネシスは使えないので、テレパシーを使って記憶の中の燃堂の歌声を聞かせてやった。

 

 どうだ、効果抜群だろ?

 

「ふっ! 後から効いてくる技だったのさ! 油断したな!」

(……おい純白の羽毛。兄妹のいる部屋はあそこだ)

「お! 今いくぜ!」

 

 ケイドゥはとても楽しそうにアーニャの待つ部屋へと駆け出した。

 

 ——ガチャガチャ!

 

「ちっ、鍵がかかってやがる! 仕方ねぇ、ピースフル・アルカ」

 

 ——バタン!

 

「えっ?」

(よし。ナイス手加減)

 

 ケイドゥのカルピスコールを何回も聞くのも面倒なので、待たずにサイコキネシスで扉を開けた。今度は手加減もバッチリだ。

 

「あれ、俺まだ技を出してねぇ」

(お前が凄すぎて技の方が先走っちゃったんだろ。ほら、早く中に入れ)

「お、おう!」

 

 ケイドゥと共に急いで中に入る。

 

 ……すると。

 

「ぐ〜、すぴぃ〜」

「……」

(……)

「……これ、寝てる?」

(寝て、いるな)

 

 アーニャは横になっている僕の体にくっ付いて、寝息を立てて眠りこけていた。

 

 




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