アーニャのあにっ!?    作:コーラを愛する弁当屋さん

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mission⑧ うおっぷりたーんず

 

「おうマイメン。ライブも終わったし、ペペロンチーノ食いに行くか!」

「何を言っている。クスオは俺と共にダークリユニオンを探すのだ!」

「あにはアーニャとスパイごっこするの!」

(どれもしない。家に帰る)

 

 ココミンのライブが終わり、俺達プラスネンディー&ケイドゥはライブハウスの外に出てきた。

 

 ライブ中にココミンに目をつけられた時はヒヤッとしたが、それ以降何もないのでもう安心だろう……なんてことはもちろんなく、現在ココミンは僕を探してライブハウス内を駆けずり回っています。

 

 ……よし。奴に見つかる前に、早くここから逃げ出さなければ。

 

(おいアーニャ、ネンディー。すぐに母さんの車を探すぞ)

「うおっぷ! こ、ココミンがこっちに向かって走ってくるぅ!?」

 

 おいバカ、こっちの居場所をわざわざ伝えてどうするんだケイドゥ!

 

「あ〜! 見つけたぁ!」

(……おわた)

 

 僕の心配も虚しく、結局ココミンに見つかってしまった。彼女はアイドルらしからぬ形相でこちらに向かって爆走してきている。

 

「あに、なんか来るよ」

(そうだな。僕は大ピンチだ)

「あに……がんばれぃっ!」

(え、なんで急に熱血系?)

 

 妹(仮)の急なキャラチェンに戸惑っている隙に、ココミンが僕達の前に到着した。

 

「ぜい、ぜい……な、なんで帰ろうとしてるのよ……」

(だって、ライブ終わりましたし……)

「そうだけど! ライブ中に私が言ったこと忘れたの? 君とデートしてあげるって言ったのよ! この私が!」

(……はぁ)

 

 知らんがな。僕がお願いしたわけでもないぞ。

 

(僕も遠慮しておきますと言いましたが)

「はぁ!? あれ本気で言ってたの!?」

(はい)

「この私とデートできるなんて、一億うおっぷ三セットはかたいのよ! なんで0うおっぷなのよ!」

 

 知らんってば。

 だいたいうおっぷってなんだ?

 

「ほら、この男子達を見てよ! 私が来てからずっとうおっぷリープにハマってるのに」

「うおっぷ! うおっぷ!」

「うおっぷ! うおっぷ!」

 

 ネンディーとケイドゥは壊れたラジカセのようにうおっぷを繰り返している。

 

 こいつら三人とも同じクラスなんだろ?

 学校ではどうしてんだよ。

 

「ふふっ。学校ではこうなることを避けるために各教室に私専用のエリア、UPうおっぷフィールドが展開されているものね。ここにはそれがないし、こうなっても仕方ないわ。というか、こうなるのが普通なのよ! ほら、君もうおっぷリープに戻りなさい!」

 

 イーデン校って庵野監督が作ったの?

 

 そして戻るも何も、入る気もないです。

 

 しかたない。ここはうまいこと切り抜けるしかないな。

 

(……はぁ)

「た、ため息!?」

(あのさ。君は大人気アイドルだよね。そんな君と一般人の僕がデートするわけには行かないよ)

「えっ!? ……そ、そうよ。自分の立場を弁えているわねっ!」

(はい。そして僕がうそっぷしないのも)

「うおっぷよ!」

(ごめんなさい。うおっぷしないのも、君の魅力が凄すぎて、うおっぷすることすらできないほどに虜になっているからなのです)

「えっ……そ、そんなに私のことを?」

 

 おいココミン。顔を赤くする必要はないぞ。

 

(はい。もう虜になりすぎて、逆に何も感じません。僕にとっては君にうおっぷしないことこそが最大のうおっぷということです。どうかわかってください)

「……し、仕方ないわね。そういうことなら、許してあげなくもないわ」

 

 よし。上手くごまかせたぞ。さっさとこの場から逃げよう。

 

(では僕達はこれで。今後も影から応援しております)

 

 そう言ってネンディー達を引っ張って逃げようとしたのだが……。

 

「待ちなさい!」

 

 なぜかまた呼び止められてしまった。

 

(あの、まだ何か?)

「あるわ! だってまだデートの日程を決めていないわ!」

(……)

 

 何言ってんだこいつ。さっきの話をもう忘れたんですか?

 

(あの、ですからね?)

「君の言いたいことは分かったわ。どれだけ私の事を好きでいるのかもわかった」

(だったら)

「ご褒美をあげるわ!」

(……は?)

「そこまで私を推してくれる君に、特別ご褒美よ! 予定通り君とデートしてあげるわ!」

 

 振り出しに戻ってんじゃねぇか。行かねぇって言ってんだろ。

 

(行きません)

「遠慮しなくて良いわ!」

(いえ、遠慮ではなく)

「また日程については後日連絡するね! あ、君の家はさっき「THE・ココミィ」に君の母親を探させて聞いておいたから知ってるわ。だから心配いらないわよ?」

 

 心配だよ。お前のその執念が。

 あとTHE・ココミィって誰だよ。ここみん親衛隊の亜種ですか?

 

「じゃ、私はこれからもう一仕事あるから!」

(あ、待て……)

 

 止める間も無く、ココミンはライブハウス内に消えて行った。

 

 

 

 

 ψ  ψ  ψ

 

 

「で、どうだったのライブは?」

「さいこーだったぜ! な、アーニャ!」

「すごかった!」

「あら〜、よかったわねぇ……ケイドゥ君も楽しめた?」

「ふっ、当然だ……」

(……)

 

 なんでケイドゥも車に乗ってるのか? 

 答えは簡単だ。僕達が車に向かうのにケイドゥが付いてきて、それを見た母さんが君も乗っていきなさいと言ったからだ。

 

(というかケイドゥ。お前の家は遠いのか?)

「ん? いや、全然近いぞ。俺の家とネンディーの家は歩いて十分くらいの距離だ」

(え?)

「気づいていなかったのか? お前達が前いた家もすぐ近くだぞ」

(まじかよ)

 

 そんな近距離に二日連続で引きとられることある?

 

「おお! あに、あのいえにあそびいこ!」

(行かない。今は誰もいないぞ)

 

 そんなとこ行って研究所のやつらと出会したくないしな。

 

「を? そうだったのか?」

「なんでお前も知らねぇんだよ!」

「じゅんぱくのうもうのいえ、いきたい」

「おう、いつでも来るがいい。ホワイトに塗り潰されし串刺し供物の宴を開いてやろう」

「なにそれ!?」

 

 ホワイトチョコフォンデュのパーティを開いてくれるってさ。

 

「クスオも来いよ!」

(行かない)

「えっ!」

「えっ!?」

(……)

 

 二人して仔犬ような目をするのはやめろ。僕には通じないからな。

 

「あにぃ……」

(……はぁ。機会があったらな)

「やったぁ!」

「ふっ、すなおじゃないな」

 

 お前には言われたくないよ。

 

「を? じゃあ明日は九時においらっちの家な!」

「明日は学校だろうが、馬鹿者め」

「を? そうなのか?」

「今日は日曜日だろうが! 全く」

 

 よかった。しばらくは平日でこいつらに振り回されることもなさそうだな。

 

 ……そう思っていたのに。

 

「あ、きのうのあいどるだ!」

(……あの、何の用ですか?)

「遊びに来たわ!今日はデートの前哨戦よ! 二百うおっぷはしないと許さないわ!」

(……お仕事は?)

「ウインク一発で全てリスケにしてやったわ」

 

 何やってんだよ。

 

「りすけ? だあれ?」

「リスケは名前じゃないわ。少しお兄さんとお話させてちょうだいアーニャちゃん。私は今日のエネルギーは全てここに費やすつもりできたのよ」

 

 仕事を頑張れ、現役アイドル。

 

 

 

 

 ψ  ψ  ψ

 

 

 

 翌日の夕方。昨日の今日でココミンが僕を尋ねてやってきた。

 学校帰りに来たらしく、高級そうな制服に身を包んでいる。

 

(……)

「? なによ、じろじろ見て……! はっは〜ん。制服姿の私が尊すぎて、またうおっぷが一周回って出ないのね?」

 

 違う。でもそう言うことにしておいてくれ。

 

「えっ! あに、アーニャのとココミンのようふくとどっちがかわいい?」

 

 急に対抗意識だしてくんな。……ふむ、だが待てよ?

 

 シスコンと思ってもらえれば、僕から興味を失うかもしれないな。

 

 

(……おまえ)

「なっ!?」

「わ〜い♪」

「は? 妹には素直に可愛いって言うの?」

(はい。世界一かわいいです)

「ぐはっ!」

 

 ダメージを受けたのか、ココミンが二、三歩後ろに下がった。どうぞそのままお帰り下さい。

 

「……ふ、ふふふっ。面白いわ。なんと面白い兄妹なのかしら!」

「お。あに、アーニャたちおもしろいって」

(お前が言ってるのと意味は違うぞ)

 

 不敵に笑いながら、ココミンが再度僕に距離を詰める。

 

「まさか私のかわいさが、あなたをシスコンにしてしまうほど追い込んでいたなんて! ……全く、かわいいって罪よね」

(……いや、そういうわけでは)

「みなまで言わないで良いわ! 私は聖母のような心の持ち主だから、それくらい受け入れてあげるわ」

 

 聖母って……まぁ照橋さんなら否定はできないかもしれない。ココミンがそうかは知らないけど。

 

「いいでしょう。私のかわいさが引き起こした悲劇は。私のかわいさで元どおりにしなくてわね」

(……あの、何をする気ですか?)

「簡単よ。今日から一週間で、あなたをうおっぷできる男の子に戻してあげるわ。そしてそれが実現した時、あなたはこう叫ぶのよ!」

(……なんと?)

「ふふふ」

 

 ココミンは僕達の前で仁王立ちになり、そのままドヤ顔でこう言い放った。

 

「——ココミンよりかわいい女の子なんて存在しねぇ! ……ってね!」

「……」

(……)

 

 う、うおっぷ……もうこれで許して。

 




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