制作から数ヶ月、遂にさっつーと作っていた曲が完成した。
「残りはMV制作ね」
「MVかぁ…」
曲の世界観を表現する為にはアニメーションの使用は避けては通れないという結論になったが、お互い絵心などある筈もなく頭を悩ませた結果…
「もうプロに依頼しましょう」
「お金は掛かるけど折半なら負担も大分減ると思う」
そうして全てをプロに丸投げした三ヶ月後…曲が完成した。
「ここで発表があるのだけど…遂に友達と作っていた曲が完成しました!」
:やっとかい
:そういやそんなこと言ってたな
:コラボ動画ミリオンおめ
:仕込みじゃなくてマジで初対面だったの?
「スーパーチャットありがとね!…正直MVの制作費でカツカツだから助かります…」
「そうなのっ!道で偶然見掛けて介抱したらお礼に動画を撮らせて貰えてね」
:あんな凄腕が道にホイホイ転がってる訳ないでしょ。絶対プロだわ
:それでオリ曲はいつ投稿するんや
「会ったのは偶然だったけど、私がその人のファンで一方的に知ってたの」
「この配信が終わったら投稿します!オンラインストアでも出すので曲が良ければ買って下さい!」
:まぁ、じゃなきゃあんな厳つい姉ちゃん家に連れ込まんわな
..
¥1,500
..
もう先に投げとくわ
..
「それじゃあ今日の配信終わります!良ければ聴いていって下さい。曲名はー」
その日リリースされた曲は一週間で40万回再生を突破、オンラインストアでの週刊売り上げ全体11位、HIPHOPジャンル1位を達成した。
中学生アーティストという物珍しさもあり一躍時の人となった。
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曲のリリースも終わり、ひと段落着いた私は下北沢駅を降りSTARRYに向かって歩いていた。きくりさんに一歩踏み出す勇気を出せと煽った以上、私がいつまでも逃げ続ける訳にはいかない。
見覚えのある建物を曲がり、この階段下を覗けば看板が見える。そんな位置で足が止まった。
胸に手を当て大きく深呼吸をする。どんな結果でも後悔はしない。覚悟を決め覗き込むと…怪しげな飲食店があった。
「えっ?」
目を瞬かせ、もう一度見たがSTARRYの看板は存在していなかった。自然と足から力が抜け、フラフラとその場に座り込む。
どんな結果になっても受け入れる覚悟は決めたつもりだった。だが結束バンドにとっても自分にとっても大切な場所であるSTARRYが無いというのは思っていたよりも精神にダメージを受けていた。頭を抱えながら何故STARRYが無くなってしまったのかを考える。
(星歌さんの身に何かがあった…?それでお金が貯めれなく…お金?)
「そういえばSTARRYって虹夏先輩が中学校を卒業してからオープンしたって言ってなかったかしら?
「………」
そう。虹夏先輩は現在中学2年生。開業している訳が無いのだ。
私は恥ずかしさを誤魔化すように静かにその場を後にした。
「折角外出したんだしどこか寄ろうかしら」
(そういえばきくりさんのライブが今日だって言ってたような…)
下北沢から新宿なら電車で10分程で行ける。私は駅に向かって歩き出した。
新宿FOLT。
結束バンドにとってはSTARRYの次に馴染みがあるライブハウスであった。SIDEROSとの対バンなどで出演した事も何度かある。最初の頃は怖く感じたこの雰囲気も今では懐かしさすら覚えていた。
当日券を買い、ドリンク代を払う。全体を見回すとそれ程お客さんは入っていなかった。時間が早いのもあるが、SICK HACKはイライザさんが加入してから爆発したバンドなんだろうなと推察する。
リョウさん直伝の音を聞く後方ポジションに座りドリンクに口を付けているとすぐ隣に誰かが座ってきた。さり気なく横を見ると見覚えのある青髪イケメン女子が目を瞑り腕組みをしている。
(リョウ先輩!?)
思わずマジマジと顔を見てしまうが慌てて視線を逸らす。
(どうしましょう?)
クールなビジュアルで誤解されがちだが、リョウさんは初対面でも話し掛ければ普通に返してくれる人だ。だが集中したい時に邪魔されるとかなり不機嫌になる事を長い付き合いの私はよく知っている。結局私は話し掛けずにライブを聴き続けた。
ライブが終わり席から立ち上がる。イライザさんのいないSICK HACKは新鮮な気持ちで聴けて楽しかったが、やはりギターが他二人に追いつけていない印象を受けた。脱退するのも時間の問題だろう。私はドリンクカップをゴミ箱に入れ出口へ向かった。
「喜多ちゃーん!来てくれたんだ!」」
その途中、横から走ってきた人物に抱き付かれた。
「…お酒臭いですよきくりさん」
「ごめんごめーん!これでも少しずつ量減らしてるんだよ〜?」
「でさ〜この後打ち上げあるんだけど喜多ちゃんも一緒にどう?」
「え゙っでも私、部外者じゃ…」
「いいのいいの!こういうのは皆で騒いだ方が楽しいから!それじゃ行くよ!」
上機嫌で肩を組んでくるきくりさんの説得を諦めた私はせめて家に連絡させてくれとお願いし、銀次郎さんから携帯を借りて家に連絡を入れた。
隣に座っていた山田リョウは女の子が推しバンドに連れて行かれる姿を呆然と見送った。
「何者なんだろ。あの子」
喜多ちゃん、こういう思い込みからの暴走結構してそう。
この作品も停滞してて伸びないなーって思ってたら急に高評価と感想貰えてモチベ上がりました!ありがとうございます!
色付きスパチャ挑戦してみたけどムズ…
参考までに。喜多ちゃんは結束バンドに
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入ると思う
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入らないと思う