ようこそ褐色イケメン長身娘が行く実力至上主義の教室へ   作:褐色すこすこすこ太郎

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ようやく投稿できました。一応月一回の更新は守れていますが、かなり難産でしたね。これからの方針も決めつつの内容だったので。


10,喧騒

「おはよう諸君。今日はいつにも増して落ち着かない様子だな」

 

 オレと二人の時とは打って変わって、佐枝はお堅い雰囲気を纏いながら教室へと入ってきた。

 

「佐枝ちゃん先生! 俺たち今月もポイント0だったんですか!? 朝チェックしたら1円も振り込まれてなかったんだけど!」

「それで落ち着かなかった訳か」

「俺たちこの一か月、死ぬほど頑張りましたよ。中間テストだって乗り切ったし……なのに0のままなんてあんまりじゃないですかね! 遅刻や欠席、私語だって全然だし!」

 

 7月に入って、それでもポイントが入っていなかったことに対して焦っているのか教師の話も聞かずに質問を投げかける男子生徒。ちなみにこの間真澄と話していた…えっと……おき……あ、沖谷だ。んでその沖谷が誰かっていうのを確認してみると、俺が言うのもあれだが女みてぇな見てくれの男だった。あれは確かに生まれてくる性別を間違えているかも知れん。

 

「勝手に結論を出すな。まずは話を聞け。池、確かにお前の言うように今までとは見違えるほど頑張ったようだな。それは認めよう。お前たちが実感を持っているように学校側も当然それを理解している」

 

 落ち着いた表情と声でそう伝える佐枝。その様子に男子生徒は口を閉ざした。

 

「ではさっそく今月のポイントを発表する」

 

 そんなことを言いながら紙を黒板に張る佐枝。胸が揺れてて集中できねぇ…。よし、今日は佐枝の部屋行ってヤるか。

 

 なんて考えているとCPtの事をすっかり忘れており、確認するとDクラスは87ポイント。そしてAクラスは1004ポイントと既に入学時に貰える1000CPtを超えていた。すげぇな。

 

「喜ぶのは早いぞ。他クラスの連中はお前たちと同等かそれ以上にポイントを増やしているだろ。差は縮まっていない。これは中間テストを乗り切った1年へのご褒美みたいなものだ。各クラスに最低100ポイント支給されることになっていただけにすぎない」

 

 まぁ、そうだろうな。一気にCPtが増えるなんざ妙だと思ったぜ。

 

「あれ? でもじゃあ、どうしてポイントが振り込まれていないんだ?」

「今回、少しトラブルがあってな。1年生のポイント支給が遅れている。お前たちには悪いがもう少し待ってくれ」

「えーマジすかあ。学校側の不備なんだから、なんかオマケとかないんですかあ?」

 

 アホか。もう少し頭使え。これは恐らく技術的なものではなく、人間同士で起こったトラブルだろう。技術的なものならば綺麗に1年生の4クラスだけではなく、学校全体に影響を及ぼすからだ。どうせポイントが増減するような出来事が起き、それの審議でもしている、と言ったところだろう。

 

「そう責めるな。学校側の判断だ、私にはどうすることもできん。トラブルが解消次第ポイントは支給されるはずだ。ポイントが残っていれば、だがな」

 

 あぁ、確定だな。そしてDクラスのポイントは減る可能性がかなり高そう…か。なんだか嫌な予感がするぜ。

 

「っていうかさ、長曾我部って結構遅刻してくるけど…お前のせいでポイント減ってんじゃねーの?」

 

 はぁ…面倒くさくなりそうだ。オレはやれやれ系主人公じゃないんだぞ。

 

「確かに…週2回位で遅刻するし、いつもギリギリだよね」

「み、みんな! 凛音ちゃんはね…その……えっと」

 

 オレを疑う声がどんどんと広まっていくのを、桔梗は止めようとする。だがオレが多額のPPtを持っていることを広める訳にもいかず、二の足を踏んでいる…といった様子。

 

「さ……茶柱、オレの遅刻回数は?」

「…0回だな」

 

 オレが佐枝に目配りをしてそう言うと、すぐに意味を理解したのか遅刻回数を答える。そしてその数字が0ということにクラスのやつらはとても驚いているようだ。

 

「はぁ!? サエちゃん先生嘘つくなよ!! コイツは何回も遅刻してるって!」

「長曾我部は入学から今まで遅刻をしていない……というよりも、今まで会った遅刻を全てなかったことにしている。だから遅刻回数は0だ」

 

 佐枝がそう答えると、ほとんどの生徒はよくわからないと言わんばかりに首を傾げている。だが少数の生徒は理解しているらしく、新たな疑問も浮かんでいるようだった。

 

「なるほど。PPtを支払うことで遅刻を取り消している、そういうことで合っていますか?」

「ああ、正解だ堀北。長曾我部は事前にPPtを支払い、遅刻すると毎回教師に連絡をしている」

 

 ここでやっとクラスの全員が理解出来たらしく、そんなことできるのかと声を上げている。

 

「あれ? でも僕たちのCPtはこれまで0で、PPtなんて4月に貰った10万ポイントだけだよね。遅刻を取り消すってそこまで安いとは思えないし……その辺りのことを聞いてもいいかな? 長曾我部さん」

 

 そうオレに聞いてくるのは平田。やはりこいつはある程度頭が切れる。もうこの際ポイントを開示してもいいかもしれねぇな…。

 

「そうだな。勿論遅刻を取り消すのなんざ安くねぇよ。おかげで4月と5月の二か月間で200万PPt使う羽目になったんだしな」

 

 教室の反応は勿論驚きの感情一色だ。それが遅刻を取り消しまくった額の大きさにか、オレのポイント保有量にかは分からない。

 

「200万……クラスでも上位の頭脳を持つ長曾我部さんがポイントをそこで使い切るわけもないでしょうし…さらに多くのポイントを持っている、ということでいいわね?」

 

 堀北がオレの目を見てそう言ってくる。意外とオレのことよく分かってんじゃねぇか。

 

「ああ。オレは10万や20万がはした金に感じるほどの額のポイントを保有してる。―――だが、オレはこのポイントをお前らに譲る気はない。1ポイントたりともな」

「なんでだよ!? セコいぞ長曾我部!!」

 

 予想はしていたが、不満の声を荒げるクラスメイト。横目で桔梗に目配りしてやれば、その意味が伝わったらしく頬を少し染めてエロい表情をしている。

 

「この金はオレとオレの女に使う金だ。お前らにやる義理も価値もねぇよ」

 

 オレがそう言い切った所でチャイムが鳴る。どうやらホームルームが終わったらしいので騒がしい教室を後にする。

 

 

▽▽▽

 

 

「にゃーにゃー♡」

「どうしたそんなに甘えてきて。たっぷり愛してやったろ?」

 

 その日の晩、オレはベットの上で愛玩動物の世話をしてやっていた。

 

「ゴロゴロ♡」

「佐枝にゃんは甘えたがりだなぁ」

 

 今オレの胸にスリスリと擦り寄ってきているのはクラス担任である茶柱佐枝だ。

 

 もう一度言おう、今オレの胸にスリスリと擦り寄ってきているのはクラス担任である茶柱佐枝だ。

 

 

 佐枝は最近、こういうプレイにハマっている。猫耳の付いたカチューシャを付け、猫のしっぽがついたアナルプラグをブッ差し、オレが買ってやった首輪をはめている。

 

「そういや凛音。クラスの連中にPPtのこと、話してしまってよかったのか?」

 

 急に真面目になるな。温度差で風邪ひくわ。

 

「ああ、いいんだよ。どうせいつかはバレてたんだしな。後は金があるって分かってから誘惑してくるカス女共を撃退するだけだ」

 

 実際、放課後に遊びに行かないかとクラスの女に誘われた。だがその眼にはオレは映っておらず、金と欲望のことしか考えてないやつの―――あの時の父の眼と同じ眼をしていた。

 

「にゃん♡ にゃーにゃー♡」

 

 …もう寝よう。ちょっと疲れた。

 

 

▽▽▽

 

 

 翌朝のホームルーム。そこでDクラスには、衝撃の事実が伝えられる。

 

「今日はお前たちに報告がある。先日学校でちょっとしたトラブルが起きた。そこに座っている須藤とCクラスの生徒との間でトラブルがあったようだ。端的に言えば喧嘩だな」

 

 …なるほど、なんとなく読めたぜ。悪い勘ってのは当たりやすいもんだな。

 

 そしてそれから更に告げられた事実は、クラスに不和を生じさせる。普段須藤と話している生徒も不満を漏らし、完全に孤立している状況。

 このままクラスが修復不可能なまでにバラバラになったとて、オレには大した損もない。まぁ佐枝が悲しむからヤバくなれば助けるが。

 

 なんて考えていると、桔梗、平田、軽井沢の発言のおかげで須藤に対する声は弱まっていった。

 

 

 

「なるほど、それで先ほどからDクラスの生徒たちが虱潰しに聞き込みをしているのですね」

 

 放課後、オレは須藤の件で聞き込みをしないかと誘われたが、勿論拒否。そして今はカフェで有栖と真澄とお茶をしていた。

 

「センコーが話した情報だけでそこまで推察できてるのすげぇな。さすがAクラス様」

 

 有栖はDクラスとCクラスで1対3で喧嘩が起こり、一方的に須藤が勝利したという情報だけでCクラスの謀略を見抜いていた。これにはさすがとしか言いようがねぇな。

 

「ちょっと。その言い方だとAクラスが全員こんなのみたいじゃん」

 

 "こんなの"呼ばわりされる有栖。その整った顔には青筋が浮かんでおり、膝の上に置かれた手がわなわなと震えている。

 

「…まぁいいでしょう」

 

 渋々、といった様子で口にする有栖。そして真澄は真澄で許されたことにほっとしているようだ。笑えるな。

 

「…なぁ真澄、ピアス興味ねぇか?」

「ピアス? 何急に」

「いや、特に深い意味はねぇけど…似合いそうだな、と思っただけだ。別に気が乗らねぇなら無理強いはしねぇよ」

 

 ジッと真澄を見ていると、素材の良さがあるだけにもったいなく感じた。オレ色に染めてやれば、こいつはもっと綺麗になるってな。

 

「まぁ……凛音がそういうなら」

 

 …オレが言うのもなんだが、チョロいな。

 

「今まであまり気にしてきませんでしたが、凛音さんってかなりの数ピアスを着けていますよね。全部で一体幾つなんですか?」

「えーっと…イヤーロブにオービタル、スナッグとインダストリアル。んでヘリックスとアンテナヘリックスがあっから…ピアス自体は片耳で6個だな」

「すっご…それ全部外したら穴だらけになるの?」

「あぁ。今ここで全部外しちまうと多分色々失くすからやんねぇけどな」

 

 真澄はピアス穴が気になるのか、オレの耳をフニフニと触って遊んでいる。

 

「ありきたりなこと聞くけどさ、これ痛くないの?」

「ホントにありきたりなこと聞いて来んな。別に痛くねぇよ。痛かったら誰もしねぇだろ」

「確かに……」

 

 でも喧嘩になったときに引っ張られて耳の一部が持ってかれるってのは聞いたことあんな。まぁオレには縁のない話だ。

 

「でも、意外ですね。貴女のように母親をかなり大切に想っている人はピアスは空けないイメージでした」

「あー…親からもらった身体だから傷つけたくない的なやつか。…まぁそれも間違っちゃいねぇと思うがよ、オレは母さんからもらったこの身体を、一番良く見せるのが母さんに対する親孝行だと思ってっから」

「…なるほど、そういう考え方もできますね。実に面白いです」

 

 天国にいる母さんに、詭弁だと叱られないといいな。なんて思いながら、一口紅茶を啜った。

 




実はこの話を書いてる途中、オリ要素がないことに気づいて原作シーンをある程度カットせざるを得なくなりました。月一更新でオリ要素がほとんどなかったら誰も見ないよね。
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