ようこそ褐色イケメン長身娘が行く実力至上主義の教室へ 作:褐色すこすこすこ太郎
入学から一週間が経過しようとしている今日この頃。いつもの如く遅刻ギリギリで教室に入ると、いつもよりも男子の視線が多かった。
「あ? 何見てんだよ」
「い、いや、なんもないし!」
煮え切らねぇしきめぇな。っていうかこいつら、ずっとオレの胸とかケツ見てるな。今日から確か水泳の授業……そういうことか。
「お前ら、オレの胸とかケツが見てぇんだろ? ならそうハッキリ言えよ」
「べ、別にそんなんじゃねぇよデカ女! 誰がお前の胸なんて…」
山内とかいう男子は、そう言いつつもチラチラと横目で見てくる。バカか。
「っていうか、お前ら女子の胸の大きさで賭けしてるんだってな? 女子のグループでボロクソに言われてんぞ」
「えっ!?!?」
気づいてなかったのかよ。なんて思っていると茶柱が教室に入ってきて
その後も授業を受け、水泳の授業のため更衣室に行くことになった。
「わぁ、凛音ちゃん凄い身体してるね!」
「ここに来てからよく言われるよ」
同じ奴から何回も聞いたからな。だが桔梗はよくわからなさそうに首を傾げている。
「それに、オレの近くに下着姿で来るとか、誘ってんのか?」
オレは壁を強くたたき、桔梗を壁へと追いやる。そして桔梗の股の下にオレの膝をあてがい、片足を持って股を少し開かせる。
「り、凛音ちゃん?」
「オレはお前が欲しい。その面の裏にどんな一面があったとしても、な」
耳元でぽそりとそう言うと、なんでバレたという顔をする桔梗。
「誰から聞いたの? 堀北?」
「一目見て分かったよ。欲しいんだろ? "一番"が」
「な、んで……」
「お前がオレに素で話してくるなら、オレはお前を愛してやるよ。足腰立たなくなるくらいな」
オレはそう言った後、桔梗の首元にキスをする。痕が付かないくらいの優しいキスを。
桔梗のように、生まれつき承認欲求が強い人間というのは一定数いる。だがあれほどに強い女をオレは見たことがない。きっとあれの穴を埋めることができるものがあるとするなら、それは"愛"だろう。
▽▽▽
プールに着いた。男子は少ない女子のスク水姿を見て興奮しており、ほとんどの女子は見学し、男子に対して軽蔑するような目線を向けている。
「よーしお前ら集合しろ!」
体育教師がそう声を上げ、生徒はぼちぼちと集まっていく。
「見学者は16人か。随分と多いようだが、まぁいいだろう」
明らかに健康上の理由ではないことを理解しながらも、注意の一つもないのはSシステムが絡んでいるのだろう。
「早速だが、準備体操をしたら実力が見たい。泳いでもらうぞ」
「あの先生、俺あんまり泳げないんですけど……」
男子の中からそんな声が聞こえる。だが体育教師は表情一つ変えずに、こう言った。
「俺が担当するからには、必ず夏までに泳げるようにしてやる。安心しろ」
「別に無理して泳げるようにならなくてもいいですよ。どうせ海なんていかないし」
「そうはいかん。今はどれだけ苦手でも構わんが、克服はさせる。泳げるようになっておけば、必ず後で役に立つ。必ず、な」
異様なほど確信めいて言うな。いや、寧ろ決定しているのか? 夏……海…? 遠泳か、将又、島でサバイバルとかか?
そんなことを考えながら、準備体操を始める。男子からの視線がうざったらしい。その後は軽く泳ぎ、身体を慣らした。
「とりあえずほとんどの者が泳げるようだな」
「余裕っすよ先生。俺、中学の時は機敏なトビウオって呼ばれてましたから」
「そうか。では早速だがこれから競争をする。男女別50M自由形だ」
教師から飛び出した競争という言葉に生徒たちは驚きを隠せないようだ。
「1位になった生徒には、俺から特別ボーナス、5000ポイントを支給しよう。一番遅かった奴には、逆に補習を受けさせるから覚悟しろよ」
「おいセンコー。オレを女子に含めていいのか? 女子には悪ぃが相手になんねぇぞ」
女子高校生の平均身長など150台後半位で、実際このクラスもさほど身長の高い女子はオレ以外におらず、そんな身長差で勝負をしたって相手にもならない。
「うむ……確かに難しいところだな…。だが特別扱いするわけにもいかん、女子のほうで大丈夫だろう」
結局オレは女子の方で競争することになり、この先の事態が読めてため息を一つついた。
女子は二つの組に分かれて競争するらしく、オレは後半の組に入れられた。
「ねぇ、長曾我部さん。さっき女子は相手にならないって言ってたけど、負けるつもりないから」
急に話しかけられたと思えば、脈絡のない言葉に首を傾げる。…あぁ、こいつ水泳部だったか。
笛が鳴り、前半の組がスタートする。結果は堀北という黒髪ロングの女が1位だった。
後半の組の番が来たのでスタートラインに立つ。そして笛が鳴る瞬間、水面に飛び込み、グングン加速していく。
あっという間にゴールに着き、水面から顔を出すと、周囲の声が大きく耳に響く。
「あ、ありえん…19秒21……だと!? ちょ、長曾我部! 水泳部に入らないか!!」
「入らねぇよめんどくせぇ。それに言った通りになっただろ、女子じゃ相手になんねぇって」
その後は色んな奴に囲まれて話したり、面倒ではあったがそれなりに楽しい時間になった。
唯一気がかりだったのは、桔梗。オレに裏の顔がバレたことからか、明らかにペースを乱しており、少し空回りしているようにも見えた。…もう少し。もう少しだけ手間を加えてやればアレは堕ちるな。
▽ ▽ ▽
放課後。水泳を終えてスッキリした気分の中オレはシャンプーが切れていたことを思い出し、コンビニに立ち寄る。
店内に入ると、思いのほか人は少なく、オレと店員を除けば2,3人程度しかいない。
前まで使っていた安めのシャンプーではなく、少し値が張るシャンプーを手に取る。オレだけならいいが、なずなやこれから堕とす女のためにもいいのを買っとかないとな。
そしてふと、奥の棚に居る紫髪の女が目に留まる。かなり美人でスタイルもいいが、周囲を気にしている…?
「なぁ、そこのあんた。ちょっと裏まで来てもらっていいか?」
「! ……わかった」
声をかけると、かなり驚いた様子でこちらを見てきた。やはり先の動作は……。
「早速本題に入るけどよ、あんた万引きしたろ?」
「…よくわかったね。まさかあんたも?」
「するかよ。んなことよりもうんと楽しいことしてっから」
オレがそう話すと、そいつは急にオレに視線を合わせてきた。万引きは目的ではなく手段、か。
「一応聞いとくが、何盗んだんだ?」
「ビール。別に飲みはしないし興味もないけど」
やはり物品を得ることが目的ではない。つまりスリルが目的ということだ。そのため、オレの先の言葉に反応したのだろう。
「そんなことより、名前とクラスは?」
「通報でもするつもり…? まぁいいけど。私は1年Aクラスの神室真澄。こっちが名乗ったんだから、そっちも自己紹介くらいしたら?」
「強かなこった。オレは長曾我部凛音。同じ1年のDクラスだ」
オレが自己紹介すると、本当に一年なのかと問い詰められた。どうやらオレは一年に見えないらしい。
「それで、これからどうする訳?」
「真澄。お前、こんな万引きなんてしょうもないことよりも"タノシイ事"、してみてぇだろ?」
「……言っとくけど、薬とかは嫌だからね」
合意とも取れる返事をした真澄の手を取り、寮へと向かう。
「…ねぇ長曾我部。あんた身長幾つ?」
「よく聞かれるよ。中3の時に測ったのが189だ。それ以降は知らねぇ」
「でっか……」
部屋に着くと、真澄はベッドに腰を下ろして少し寛いでいる。これから喰われるとも知らねぇで呑気な奴だな。
「飲み物何がいい? ある程度は揃えてあるけど」
「じゃあココア。ホットで」
「はいよ」
インスタントのココアをササっと用意し、机の上に置く。すると両手で持ってチビチビと飲み進めている。
「ん…美味しい」
真澄がココアを飲んでいる間に、オレは服を脱いで全裸になる。
「ブフッ!! あ、あんたなんで脱いでんのよ!」
「あ? "タノシイ事"、教えてやるって言ったろ?」
「はぁ…そういうこと。女同士でシてホントによくなれるものなの?」
半信半疑でそんなことを抜かす真澄。こいつには1から10まで教えてやんねぇといけねぇようだ。
「えっ…ほんとにするの?」
真澄の服を脱がしていくと、少しずつ焦る様子を見せる真澄。恐らく初めてなのだろう。
「真澄。オレはオレの全部を使ってお前を最高の気分にさせてやる。だからお前もオレに尽くせ」
「な、なに言って……あっ―――」
その後は何をしたかは単純明快、お互いの欲をぶつけ合って乱れまくるだけ。初めてなずなを抱いた時と同じく遅刻することが予め分かっていたため既に担任とAクラス担任への連絡は済ませてある。茶柱からは「またか…」と呆れられていた。
「…おはよ」
目を覚ますと、オレに身を寄せてオレの寝顔を眺めていた真澄を目が合う。こいつ、なかなかの性豪でオレも久々にマジのセックスができた。
「おう。朝飯作るけど、何がいい?」
「んー…おまかせで。あんたのセンスがどんなもんなのか、ちょっと気になる」
おまかせ。それはめんどくさいと思う人もいれば、楽だと思う人もいる、かなり人を選ぶ回答だ。だがオレにとっては自分の好きな物を作るだけなのでありがたい。
「っていうかよ…離してくんねぇか?」
現在、ベッドの中で真澄に抱き着かれてホールドされている。
「あんたって顔いいわよね……」
「話聞け」
その後、先に二人で風呂に入ることになった。昨日はヤったまま寝たので二人とも身体が汗だか愛液だかわかんねぇ汁でベトベトだったからだ。
「ほんとあんたの身体綺麗…どうすればこうなれるの?」
「知らねぇよ…適当に運動してたらこうなった。どうせ寝てるときに好き放題触ったんだろうけど、勝手に触っとけ」
「うん、そうする」
シャワーを浴びている時、ずーっと腹筋やら太ももやら弄ってきて少しくすぐったかった。こいつもしかして筋肉フェチか?
「真澄はオレの身体が綺麗だって言うけどよ、オレからすればお前のスタイルいい身体のが好きだぜ?」
「あんたには負けるわよ……」
何故だかオレはキレられ、乳がどうのこうの筋肉がどうのこうのと言って真澄はオレの乳房を揉んでいた。よくわかんねぇ。
「……美味しい。合格」
「なんだ合格って」
風呂から上がって朝飯を用意した。献立は簡単に、ジャムとバターを塗ったトースト、レタスにトマト、鶏むね肉なんかを乗せたサラダ、コーンスープといったものだ。基本的に朝は米派だが、たまにこういった洋風な朝食も食いたくなる。
オレはコーヒーを飲んでいるが、真澄は昨日と変わらずココアを飲んでいる。どうやら真澄はココアが好物らしい。
「ね、コーヒーとココア一口交換しない?」
「あぁ、構わねぇよ。かなり熱いから火傷だけはすんなよ」
真澄がコーヒーを一口啜ると、顔色を真っ青にしながらマグカップを置いた。
「にっっっっがぁ!」
「まぁ砂糖もミルクも入ってねぇからな」
思わず笑ってしまいそうになるのを我慢し、ココアを一口含んで真澄の口元へと運ぶ。
「んっ…ちゅる…ぷはぁっ…あんた急になにしてっ――」
「…やっぱ、甘ぇな」
「…確かに、いつもより甘い…かも」
なんだか気まずくなったオレはさっさと食べ終えた後、換気扇のあるキッチンへと歩き、タバコを取り出す。タバコも酒も、寮に監視カメラがあるかもしれないと考慮してやめていたが、さすがにプライベート空間にはないようだった。オレのストレス発散はセックスと酒とタバコしかねぇんだからそろそろ我慢の限界だ。
「タバコとか、吸うんだ」
「ん、幻滅したか?」
「別に。っていうか、私たち付き合ってもないのに幻滅もクソもないでしょ」
でもお前、オレに惚れてるだろ? と言う疑問というか確信を思い浮かべたがそれは言わず、代わりに煙を噴き出す。
「っ……ちょっと間空けたからヤニクラやべぇな…」
オレが頭を抑えながらそう話すと、真澄が首を軽く傾げながら「ヤニクラ? って何?」と聞いてくる。
「あー、ヤニクラってのはな…タバコに入ってるニコチンって成分あんだろ? あれって人間の血管を収縮させて血流悪くなるんだよ。んで貧血になる。それがヤニクラって訳だ」
真澄は嫌そうな顔をして黙ってしまった。まあ聞いてていい話ではないわな。
「ていうかまず美味しいの? タバコって」
「一口吸ってみるか?」
真澄は恐る恐ると言った態度で口に咥え、次の瞬間には顔色を真っ青にしながらオレに返してきた。
「まっっっっずぅ!」
「既視感あるな」
それもそのはず、オレが普段から吸っているのはショートピースと呼ばれる、日本製で一番タール量が多く、フィルターもない両切りタバコだからだ。
「タバコってこんなまずいんだ……しかも葉っぱ口に入ったし…おえっ」
「ははっ、最初はそんなもんだ。それにしても、初めて吸ったタバコがショッピとはなぁ。渋いったらありゃしねぇ」
「凛音が吸ってるのって他のと違うの?」
「簡単に言えば、日本産で一番きついタバコってことだ。普通タバコってのはフィルター越しに吸って楽しむもんだが、これは違ぇ。フィルターがない分、慣れてないとかなりキツイし葉も口に入りやすい」
真澄は青い顔のまま、「あんたそれ身体悪くしない? 心配なんだけど」と言ってきた。だが全くもって問題はない。多分*1。
そしてこの後、遅刻して昼休み頃に登校すると、茶柱からタバコ臭いと疑いの目を向けられたが「抱いた女の先輩が吸ってて名前も知らねぇ」と出鱈目を言ってなんとかなった。
神室真澄は性欲が強いっていう謎の確信がある。異論は認めます。