ようこそ褐色イケメン長身娘が行く実力至上主義の教室へ 作:褐色すこすこすこ太郎
「「ねぇ、凛音! どういうことか説明して!」」
五月に入って1週間程経った頃、ついになずなと真澄がご対面した。事の発端は、今日真澄に勉強を教えてやるつもりだったのだが、なずなが勝手に合鍵を作って部屋に入ってきやがった。まあ、それは別にいいんだが。
それでまぁ、後はご想像通り。地獄みてぇな空気になってるよ。笑えるな*1。
「いや、どういうことも何も、セフレは一人って決まってねぇだろ」
「……このクズ」
「とか言いながら、数日抱かれなかっただけで欲求不満になってオレの部屋来んだろ?」
そう返すと途端に黙る真澄。
「オレはこれからもお前らとの関係を続ける気だし、他のやつをセフレにするつもりでもある。それは先に伝えとく」
「まだ増やすの!?」
「当たり前だろ。中学の時は十数人いたぞ」
なずなと真澄は頭を抱えて悩ませている。
「折角オレ専用のセフレが二人もいることだし、ヤるか」
「いっ今から!?」
「ごちゃごちゃ言うな。さっさとベッド行くぞ」
その後は二人を激しく、それでいて優しく抱いてやった。今は二人ともオレの横でぐっすり寝ている。
一先ずセフレにする奴の候補としては、4人。茶柱、知恵、桔梗、一之瀬といった面子。年の離れた教師を抱くのかと思われるかも知れないが、あいつらもまだまだ女。中学時代にも教師を抱いたことがある。
「んん……りおん…だめぇ……」
なずながオレの夢でも見てるのか、嬉しそうに寝言を漏らす。全く、エロい女になっちまって……*2
オレはふとキッチンまで行き、缶に入ったピースの束から1本だけ取り出す。いつも使っているジッポライターで先端に火をつけて咥えると、濃い味と圧倒的な吸い応えが感じられる。他のタバコじゃ味わえない、唯一無二の風味。
そこでオレはふとあることを思い出し、端末を取り出す。そして連絡先から茶柱佐枝と書かれたものに電話をかける。
『……なんだ、長曾我部。こんな夜更けに電話をかけてくるとは、何用だ?』
「ちょっと話したいことがある。もし断れば、お前は必ず後悔することになるような大事な話だ」
これから30分後に寮の屋上に来い、とだけ伝えてオレは電話を切った。そしてオレは自分が全裸であることに気づき、クローゼットへと移動する。
軽く支度して、寮の自室から出る前になずなと真澄の頬に軽くキスをし、少しくしゃりと歪ませた髪を撫でてやる。もちろん起こさない程度の強さで。
廊下は強くない蛍光灯で照らされており、少しムーディーな雰囲気が醸し出されている。
エレベーターに乗り、最上階のボタンを押すと上へ上へと移動する感覚が走る。程なくして、ドアが開く。するとほんのり肌寒い夜風が感じられ、少し歩くと茶柱が柵を背にして凭れながらタバコを吸っていた。空を見ていた茶柱の目がこちらへと向き、タバコを灰皿へと落とした。
「来たか。生徒の前だからとついタバコを灰皿に落としたが、お前には不要な心配だったか?」
「ああ、そうかもな。ダラダラと話すのは好きじゃねぇから早速本題に入らせてもらうぜ。――――このままだとオレはプライベートポイントを消費して、一人で現Aクラスへと移動する」
そう口にすると、余裕を持っていたような茶柱の態度が一変して焦った様子が見られる。
「一人で移動? お前は何を言っているんだ」
「カマかけようって訳じゃねぇよ。オレはもう全部知ってっから。それともこれ以上、オレの機嫌を損ねてぇのか?」
「……分かった。それで、結局何が言いたい。このままだと、と言った以上、私に何かを求めているのだろう?」
オレの目を見て、ハッキリとそう言う茶柱。次のオレの発言でこの表情がどう崩れるのか、見物だな。
「あぁ、そうだな。理解が速くて助かるよ"センセイ"。
オレがお前に求めているのは――――お前自身。これがどういう意味か、分かるよな?」
そう告げると、茶柱の顔が怒りの感情を帯び、眉に力が入っていくのがわかる。
「お前は私を馬鹿にしているのか、長曾我部。それに私はお前の過去を知っている。バラされるとは考えないのか?」
「逆に言わせてもらえば、オレがふざけてこんなこと言ってると思ってんのか? バラされたってあの時みてぇにはなんねぇよ」
茶柱はふぅ、と呆れたようなため息をつき、お前はそういう奴だったなと呟いた。
「言っておくが、私はお前の思ったような反応は出来んぞ? 初々しい学生のような色恋を求めているなら――」
「お前にそんなこと求めちゃいねぇよ。オレはお前を一目見た時から堕としてオレのもんにするって決めてんだ」
「……筋金入りだな。まぁいい、それでお前のような優秀な生徒がクラスに在籍すると言うのなら学生のおままごとに付き合ってやろう」
茶柱は小馬鹿にするような顔でそう抜かしていたが、その学生のおままごとに狂わされてきた大人をよく見てきた。こいつもその類の人間だとオレの本能が告げてんだ。
「とはいえ、生徒と教師が同じ部屋で一日過ごすわけにもいかねぇ。そこで、オレの
「なるほどな。確かにそれなら万が一見つかったとしても問題にはなりにくい。――だが、お前はそれでいいのか?」
神妙な顔つきで、いつになく真剣に話しているのだと肌で感じる。腐っても聖職者ってか。
「なんにも問題ねぇよ。他人からそういう目で見られるのは慣れてっし、お前に害が及ばねぇならそれが一番いい」
「…わかった。この話、受けさせてもらおう。但し私がお前と肉体関係を持っている間に、私が担当するクラスを離れるとどうなるかは覚悟しておけ」
オレの部屋にはなずなと真澄が寝ている。ということで茶柱の部屋でヤることになった。
―――暗く、深く沈んで行く。欲望だけを剥き出しにして、相手の身体に刻み付ける。何度も、何度も、何度も。
▽ ▽ ▽
気が付けば、昼の11時。薄着…というか全裸でも少し暖かく感じ、過ごしやすいほどの気温の中目が覚めた。今日は休日なのでさっさと起きる理由もない。
「…ん…今何時だ…」
佐枝の寝顔を堪能していると、瞼が開き、目が合う。
「り、凛音…昨日はその……良かった、ぞ」
しどろもどろになって顔を赤らめながらも、そんなことを言う佐枝。普段はクールぶっているものの、こいつはかなりの甘えたがりだった。一度甘やかしてしまえば、好き好き~って雌犬みてぇに擦り寄ってくる。
「あぁ、これからもいっぱいエッチしような、佐枝」
「……っ…」
人前ではあまり見せない微笑みを見せ、佐枝の中でのオレという存在を大きくしてやる。ただの教師と教え子ではなく、セフレでもなく、主人と雌犬という関係。それがピッタリだろう。
「っと。少し台所借りるぞ。ヤニ吸いたくなっちまった」
「あ、ああ。それにしても教師の前で堂々と吸うか…? 普通」
持ち運び用のピースを慣れた手つきで咥え、眠い目を擦りながら火をつける。佐枝はオレがピースを吸っているのを見て絶句しているようだった。
「おい…凛音。…それ一日何本ペースで吸ってる?」
「んー…。一箱丸々だから10…だな」
「バカかお前っ! そんなキツイタバコを一日10本も…早死にするぞ!?」
見たことないほど慌てふためく佐枝。自分も同じ喫煙者だからか、大人として止めなければならないからと思っているのかはわからない。
「ていうかよぉ、最近タバコ高ぇよな。国はどんだけ喫煙者減らしたいんだか」
「…そうだな。正直、国に金を落としているのに何故さらに税を増やすんだと言いたい程だ。だが現実問題、増税する場合アルコール類やタバコからとるのが一番なのだろう。嗜好品だからな」
他の奴とは出来ないタバコトークも交えつつ、ダラダラと支度をして佐枝の部屋を出た。そして部屋を出る直前、佐枝はこんなことを口に出していた。
「凛音。………綾小路と堀北の前でお前の過去の話をしたこと、本当にすまなかった。許されることではないと存じている」
5月1日、オレは綾小路と共に校内放送で呼び出された。その時の話しだ。あの時、佐枝はオレの過去を断りもなくあの二人にべらべらと話したのだ。それは恐らく二人にオレの弱みを握らせ、Aクラスを目指すための手駒にさせたかったのだろう。
だが佐枝自身この行動が心に残っていたのか、わざわざ面と向かって頭を下げ、謝ってきた。その誠意をオレは買い、次来た時に晩飯を作ってもらうことでチャラにした。
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「―――そして、長曾我部。お前も面白い生徒だな」
「…何が言いてぇ」
オレは不気味な笑みを浮かべ続ける茶柱に少し苛立ちながら、そう返した。
「成績優秀、運動に至っては世界的に活躍できるほどの逸材。そんなお前がなぜDクラスにいるのか、私は甚だ疑問だよ」
「白々しいな。オレの過去は知ってんだろ?」
「長曾我部さんの、過去……」
堀北や綾小路の居るこの場でオレの過去の話をされるとめんどくせぇことになる気がする。
「長曾我部は一度―――傷害事件を犯したことがある。それもかすり傷程度のものではなく、今も意識不明の重体…だったか」
「…!?」
ハッキリ言いやがったな。これを聞いた堀北と綾小路は共に驚いた表情をしており、本当かと言わんばかりにオレの顔を見てくる。
「あぁ、ホントだぜ。茶柱が言ったことは間違ってねぇ」
色々足りねぇが、言ってること自体は間違ってねぇな。
「嘘…長曾我部さん、あなた……」
…吐き気がする。オレが事件を起こした時の周りのあの目と一緒だ。
「おい長曾我部、顔色悪いぞ?」
「おい、長曾我部。大丈夫か? おい…おいっ」
嫌でも思い出してしまう。あの時の蒸し暑さと、血の匂いと、金切声と、深い、深い憎しみを。
気づけばオレは立っており、周りの声も聞こえなくなっていた。
「―――――――――――」
「―――――――――――――」
「悪ぃ、今日…は帰る……」
覚束ない足でフラフラと歩く。周りの視線がいつもより多く感じる。気持ちの問題か、オレみたいな図体のでかいのがフラフラしてるからか。それと耳鳴りが酷い。
「―――――――――――――――――――――――――――――」
寮のドアを開け、制服も脱がずにベッドに倒れこむ。
「……うぷっ……おぇっ…」
休む暇もなく、吐き気がオレを襲う。食道から胃液が逆流し、思わず手で抑える。が、逆流する胃液の方が勝り手というダムは決壊する。ビチャビチャとフローリングに吐瀉物が散乱し、ツンとした匂いが鼻を刺す。
「はぁ……片付けねぇと…」
結局その日はヤる気にならず、珍しく一人で睡眠をとった。その日見た夢は忘れてしまったが、起きた次の日のオレの目からは涙が流れていた。
少しずつ凛音の過去が分かってきましたねー。