原作だと明るい時間に会場に着いて、出てくる頃には夕暮れで、しかも北川第一(勝者)と雪ヶ丘(敗者)が同じタイミングで。
日向たちが居残って観戦してたか、着替えるのがめちゃくちゃ遅かったか、そもそも 北川第一もその日は一試合しかしなかったのか。
31分で試合が終わってるから試合だけで夕暮れになるわけないし、、と色々と混乱しています。
そんな感じの第十四話です!
もしかしたら解釈違い注意かもしれません!
よろしくお願いします!
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貴重な10点評価を20件もいただきました!(2025年6月23日時点)
高校生たちの叫び声がこだまとなって消えた頃、選手たちも帰路につき始めていた。日は傾き、まさに夕暮れ時といった風景の中で、日向たち雪ヶ丘中学の面々は北川第一のばったり出くわしてしまう。先頭を歩いていた日下部が、北川第一の監督へ挨拶をする。
「本日はありがとうございました」
落ち着いた様子を見せる日下部とは対照的に、北川第一の監督はどこか疲れているようだった。もちろん、彼はいつだって少し神経質そうな顔をしていたが、今日はいつにもまして疲労感がにじみ出ていた。
「こちらこそ、非常に得難い経験をさせてもらいました」
大人同士が頭を下げ合い、挨拶から雑談へと移行していくと、生徒たちも立ち止まって会話をし始めていた。
「こうやって話すのは久しぶりだな」
「
日向が最初に話しかけたのは、意外にも金田一と国見だった。その背後では雪ヶ丘中学セッター太白弓弦と試合の途中から交代で入った二年生セッターが話し始め、名取と広瀬は同じく二年生MBと互いの健闘をたたえ合っていた。
そう、彼らは一年間合同練習をしていた仲間なのだ。ここ数か月会っていなかった分、積もる話もあるというものだ。合同練習に参加したことがなく、オロオロと周りを見渡していた雪ヶ丘一年生たちのところには、同じWSである北川第一の主将が話しかけに行っていた。苦労人が板についてきた彼は、こういうところで気が利く男なのである。
「……よう、日向」
どこか気まずそうに言葉を返す金田一の横で、国見は無言で小さく手を挙げていた。
「試合、楽しかったな!」
居心地の悪そうな金田一の様子に気づいているのかいないのか、日向はいつも通り明るく話しかける。その様子を見て、金田一の様子が変わった。
「……っ!」
「楽しかった、か」
横にいる国見は続く言葉を察して止めようとするが、止める間もなく金田一が言葉を続けてしまう。
「
「こっちは楽しくない二年ちょいだったよ……!」
その言葉に日向は一瞬顔を歪めるが、黙って続きを待った。
「お前が来たせいでこっちはずっと大変だったんだ!」
日向は目を背けない。
「お前がいたせいで……」
金田一と日向の目が合った。
「……お前さえ!!」
金田一は思い出す。これまでの二年と数か月を。
「日向さえ、
最初は憧憬を、次に嫉妬、そして敵意を向けていた。しかし、もし日向翔陽が合同練習でたまに来る他校生ではなく、同じ学校の生徒だったら。もし、日向が同じチームメイトだったら、結果は変わっていたかもしれない。そう思えて仕方がなかったのだ。
金田一の心の中では、矛盾した感情が渦巻いていた。チームをめちゃくちゃにした要因としての敵意、捨てきれない憧憬、そして、最後までまともにブロックできなかったことへの悔しさ。これらの感情に金田一は振り回されていた。
「金田一、ストップ」
見かねた国見が金田一を止める。
「そんな話するつもりじゃなかっただろ」
国見は、金田一が独力では日向を止められなかったことを悔しく思っているのに当然気が付いていた。だからこそ、その点について
「てかさ、日向がまず話しかけるべきは
指さすことも視線を向けることもなく、というよりもそれをあえてせず、見向きもしないで「あっち」と言った国見だったが、誰を指しているかは誰の目にも明らかだった。
「
そう言って別のグループのところへ金田一を連れていく国見の背中を見つつ、日向は本命の相手へ向かって行った。
「……影山」
その相手とは、もちろん、影山飛雄である。誰とも話さず、一人で帰ろうとしていた影山に日向が声をかける。影山がチームの輪から外れて進んでいたおかげで、期せずして周りから人がいなくなっていた。
「逃げんなよ、影山」
影山が日向の方へ向き直る。
「あ?」
その顔は苛立ちで満ちていた。
「逃げんなよ、影山」
「バレーボールからも、チームメイトからも」
影山の様子にかまうことなく日向は続きを話す。
「……っ」
「俺が、いつ逃げたって言うんだよ!」
一歩踏み出し、睨みつけながら怒鳴る影山だったが、声と態度とは裏腹に、何かに怯えているようだった。
「たぶんだけど、次の試合からお前はセッターから外されるんだろ?」
「もしかしたら、試合に出られないかもしれない」
「……出られても、セッター以外のポジションかもしれない」
日向の小さな身体から放たれるプレッシャーに気圧されながら、意地かプライドか影山は声を張り上げる。
「俺は!!」
「セッターだ!!!」
「じゃあどうすんだよ」
「セッターじゃなきゃ試合に出ないつもりか?」
声は大きくない。むしろ、いつもより落ち着いて小さいかもしれない。そんな日向の声に、影山は思わず後ずさりながら言葉を吐いてしまった。
「中学バレー部なんてどうせ……」
「どうせ、通過点だ」
本心からの言葉ではなかった。それでも、吐いてしまったことに変わりはない。
「っ!!」
影山の言葉を聞いた瞬間、考える間もなく日向は影山へ向けて突進し、その胸倉を掴んだ。
「お前はこの三か月、なにやってたんだ!」
今まで落ち着いていた日向から出た、いやもしかしたらこの二年間を通して初めて聞くかもしれない日向の怒鳴り声に影山は面を食らっていた。そして、すぐさま言われた内容を理解して顔を大きく歪める。
「今日の試合を楽しみにしてたのは!」
「お前と試合がしたかったのは、おれだけかよ……!」
日向の泣きそうな怒鳴り声が影山の心を穿った。
「俺だってな……!」
必死に頑張ったのだ、それでもついて来なかったアイツらが悪い、そう続けようとした影山に被せるようにして日向が言葉を放つ。
「バレーはな、 ”6人” で強い方が強いんだ!」
いつだったか、岩泉が及川へ放った言葉だった。
「影山は、レシーブもトスもスパイクも」
「全部一人でできるくらいすげーやつだよ」
日向が胸倉を掴んでいた手を放しながら話を続ける。
「でも、コートにいるのは影山だけじゃない」
「バレーボールは独りじゃできないんだ」
小学校からずっと一人だった、仲間がいなくてわざわざ一山超えて他校まで練習に来ていた、そんな日向が伝えるその言葉は影山の心を揺さぶっていた。
「……セッターって支配者っぽくてかっこいいよな」
再び落ち着きを取り戻した日向が、脈絡もなくセッターを褒める。話について行けていない影山だったが、とりあえず頷いていた。
「でも、今の影山はかっこよくない」
「だから、逃げんなよ」
独りで逃げた先にバレーボールは待っていないのだ。
日向の言葉に頷くことも返事をすることもなく、影山は再び歩き始める。返事もせず帰ろうとする影山へ日向が跳びかかろうとしたとき、影山が口を開いた。
「……コートに残るのは勝ったやつ、強いやつだけだ」
歩き始めた影山が歩みを止め、日向と向き合う。
「
それは、日向の言葉から、バレーボールから、そしてチームメイトから逃げないことの宣言だった。
日向お兄ちゃん……?!
(なんか日向くんって思ってたより賢いな、、)
中総体の県予選について詳しくご存知の方がいたらぜひ感想などで教えてください!
次回か次次回あたりで第一章が終わる予定です。
突然始まった連続投稿もそろそろ終わりますが、どうぞよろしくお願いします。
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