がんばって毎日投稿するぞ~~!
例のごとく書きだめなんてものは存在しないため、自転車操業的な投稿になります。
感想の確認は遅れるかもしれませんが、今のところ全て返信していくつもりです。
前回からだいぶ空きましたが、とりあえず最初の練習試合までの世界線は固定されたので、どんどん文字に起こしていこうと思います。
さて、記念すべき第二章第一話ですが、思ったより某人物がヒロインっぽくなってしまいました。
二次創作は関数のように、変数となる設定に固定の値を入力したら世界線は勝手に固定される、というポリシーのもとでこの作品は書いています。
これはつまり、展開に関して恣意的な操作はしていません、という言い訳です。
ヒロイン力の強そうな描写になってしまいましたが、「恋愛なし」タグはいまだ有効です。
耐えられない場合はブラウザバックでよろしくお願いしゃふすふっス!
2.01 ようこそ
宮城県立烏野高等学校第二体育館。そこは実質的に男子バレーボール部専用の体育館と化しており、無関係な生徒が訪れることは滅多にない場所である。そんな場所の、すみっこの方で震えている少女がいた。その少女の名前は、谷地仁花。昨日までバレーボールと縁もゆかりもなかった烏野高校一年生だ。そんな彼女の目の前で、バレーボール部員たちによるミニゲームが始まろうとしていた。
「王様のトス、楽しみだなぁ」
谷地から見て左側のコートにいる眼鏡で目つきの悪い男子が、意地の悪い笑顔を浮かべながら同じコートにいる男子へ声をかける。
「……チッ」
それに対して、声をかけられた黒髪でこれまた目つきの悪い男子は、イラつきを隠そうとすることなく舌打ちで返した。
「山口! よろしく!」
谷地から見て右側にいて、谷地を除いたメンバーの中で
「あ、うん」
「よろしく……」
自信なさげに、さらに、ネットを挟んだ向かい側にいる幼馴染を気にしているのかどこか落ち着かない様子で、そばかすの一年生が弱々しくその手を握り返した。
「日向も山口も、頑張ろうな!」
その握手を見て微笑みながら、大人しい顔立ちの二年生が拳を突き出す。
「はい! 縁下さんがいると心強いです!」
オレンジ髪の男子の言葉を聞いた当の二年生は苦笑いをしていたが、向かって右側のコートはおおむね柔らかく穏やかな雰囲気に包まれていた。問題は左側のコートである。
「おいお前ら!」
「こっち側にいるのは味方だからな、それ忘れんなよ!」
険悪な二人を見かねた坊主の二年生が二人を注意するが、どちらも本気で互いのことを味方だと思えていないのは明白だった。
「さて、どうなるか……」
腕を組みながら主将が呟く。
「龍! 力! 両方勝て!!」
腕を振り上げてまるで応援団のようなジェスチャーをしながら、二年生リベロの
「いや、西谷……両方は勝てないだろ」
その隣で三年生にして烏野高校のエースである
「影山―! 月島―!」
「負けたら半年仲良く球拾いだからな~!」
観戦している部員の中で一番愉快そうな顔と声で声援を送っているのは、三年生セッターの菅原孝支である。
そう、桜がまだ散っていない四月の土曜日、他の部活はまだまだ顔合わせをしているような時期に、バレーボール部では一年生を中心とした3対3の真剣勝負が行われようとしていたのだった。
「あー、一年生の……谷地さん?」
「谷地さんもこっち来なよ」
もう一人の坊主二年生である成田一仁が審判の位置に座りながら、体育館の隅にいる谷地へ声をかける。得点ボードによりかかっていた二年生、木下久志も谷地を気にかけて手招きしている。
なぜこんなことに、と白目を剥きながら、谷地仁花は昨日へ意識を飛ばしていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あ! 谷地さん!」
新入生が入学してから最初の金曜日、まだ部活勧誘が盛んに行われている中庭、そこをどこの部活に入るでもなく所在なさげに歩いていた谷地へ声がかかった。その声に谷地は、クラスメイトだろうかと思いながら振り向いたが、そこに立っていたのは見知らぬ男子生徒だった。
「……?」
困惑して声の出ない谷地だったが、瞬間、恐ろしい可能性に思い至った。それは、自分が相手の顔と声を忘れているだけで、本当は顔見知りであるという可能性である。その場合、この人ごみの中でわざわざ声をかけてもらったのにもかかわらず、何の反応もしないのは大変な失礼にあたるだろう、とそこまで考えるのに0.1秒、そこから頭を下げるまでさらに0.11秒。神速のインパルスである。
「すみません! ごめんなさい!」
「初対面みたいな反応をしてしまい申し訳ございません!」
「ここは腹を切ってお詫びを……」
顔を青くしながら一息でそこまで言い切った谷地に対して、目の前の少年、日向翔陽は首をかしげながら言葉を返す。
「おれたち初対面だよ?」
じゃあなぜまるで顔見知りのような声のかけ方をしたのか、という疑問はやたら心配性な谷地に限らず、誰もが思い至る疑問だろう。
「そもそも、なぜ私の名前をご存じで……?」
「ひぃっ!」
谷地が疑問を言い切る前に、その言葉は悲鳴によって打ち切られてしまった。彼女が悲鳴を上げた理由は、単に周りからの視線に耐えかねたからである。元々部活勧誘で騒がしかった中庭だったが、谷地の大げさな謝罪によって静まり、彼らのそばから人がいなくなった結果、自然と二人を中心とした人の輪が出来上がっていた。
「あっ……ウン」
「上履きに名前が書いてあったからつい!!」
見る人が見れば明らかに誤魔化していることが伝わる日向の言動だったが、幸いにも、周りからの視線に震えている谷地がその違和感に気が付くことはなかった。それよりも谷地にとって問題だったのは、周りの、特に一部の女子生徒からの睨みつけるような視線だった。その視線に耐えかねて泡を吹いて倒れそうになる谷地を、持ち前の反射神経を活かした瞬発力で日向が支える。
「大丈夫?! 谷地さん!」
肩を抱きとめた日向を、というよりも抱きとめられた谷地を睨む視線が強くなり、谷地の顔色が一層悪くなっていく。
「吐きそう……」
すでに半死半生といった様子の谷地を見かねた日向が取った次の行動のせいで、谷地仁花の三年間が波乱待ち受ける青春となることが決定してしまった。
手を握って走り出したのである。
手を繋いで駆け出したのである。
後ろから突き刺さる謎の勢力による圧力を感じながら、これまた謎の存在である同級生に引っ張られて、谷地仁花の、村人Bの青春は始まった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「本っ当にごめん!」
目を回していた谷地が正気に戻り次第、日向は深く深く頭を下げ、精一杯の謝罪をしていた。場所は、第二体育館前の渡り廊下である。バレーボールが跳ねる音をBGMに、二人の会話は続く。
「こちらこそ申し訳ないっス……」
謝られてむしろ申し訳なさそうに、しかしどこかリラックスした様子で谷地も頭を下げる。それを見て日向が再び頭を下げ、さらにそれを見た谷地が頭を下げ……と繰り返しているうちに二人の目線が合い、どちらとも笑い始めた。まるで付き合う直前のカップルのようだが、当然、二人にそんな意識はない。
「……それで、日向サン」
「けっきょくご用件は何だったのでしょうか?」
ひとしきり笑い終わった後、襟を正した様子の谷地が日向に問いかけた。
「日向でいいよ!」
呼び捨てを要求する日向の明るさに谷地が戸惑っている中、日向は第二体育館の分厚い扉の前に移動していた。言葉の続きを待つ谷地を横目に、両手で扉に手をかけ、一気に開いた。
扉の向こう側、バレーボール部の熱気が谷地の髪を揺らす。
バレーボール部の掛け声とボールが床を打つ音が、その耳慣れない音が谷地の耳に響いた。
振り返った日向の声が、放課後の喧騒を追い抜いて谷地の耳に届く。
「バレーボール部のマネージャーになってほしいんだ」
バタフライエフェクトを起こしていけ~~~
谷地仁花、連載当時のネットで嫌われすぎていて驚いてしまった記憶があります。
特に恋愛的な発展はしませんが、ともかく、谷地仁花緊急参戦決定!
なぜ守護神とエースが?!
正直なところ彼らの動きが一番やっかいでした。
しかし、前書きにも書いた通り、これは決して単なるご都合主義ではないのです。
日向が逆行した世界線では、なんやかんやあって彼らが4月時点から練習に参加することになるようです。
そのなんやかんやの部分はこの第二章の間に明らかになるでしょう。
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