Mr. Future【第二章開始】   作:塵山ちくわ

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ラストマッチよかったですね〜。

めちゃくちゃ短いですが、とりあえずハイキューの日ということで投稿です。

オリキャラ注意です。


1.05 光

「エアーサロンパスのにおいっ……!」

 

 仙台市市民体育館アリーナ入口。そこには日向翔陽率いる雪ヶ丘中学校男子バレーボール部の面々がそろっていた。

 

 その数、10名(・・・)

 

 一年生、森喜郎。鈴木貫太朗。川島正次朗。

 

 二年生(・・・)名取蹴斗(なとりしゅうと)広瀬球司(ひろせきゅうじ)太白弓弦(たいはくゆづる)

 

 三年生、日向翔陽。

 

 助っ人、泉行高。関向幸治。

 

 そして監督、日下部翼。

 

「先輩、なんですかそれ」

「早くアップ取りましょうよ」

 

 あきれた様子の後輩、二年生の太白が日向に声をかける。

 

「ヨッシー、カンタ、ショウジ、シュート、キュージ、ユヅ。バレーボール部に入ってくれてありがとう!」

「イズミンもコージーも助っ人に来てくれてありがとう」

 

 突然、日向が感謝の言葉を述べる。それを受けて照れた様子の三年生とは対照的に、緊張した顔で続きを待つ一年生と二年生。

 

「それに、日下部先生」

「三年間ありがとうございました!」

 

 後ろで見守るように日向たちを見ていた日下部にも感謝を述べる。

 

「……なんかもう終わったみたいだな!」

 

 照れているのを誤魔化すように、三年生の関向が茶々を入れる。その言葉に少し緊張が取れた様子の下級生も口々に冗談を言い始める。今度は逆に日向が顔を赤くして慌てる番だった。

 

「お、おち、落ち着け!」

 

 誰よりも慌てた様子の日向が周りを落ち着かせ、さらに続ける。

 

「相手は、北川第一だ」

「たぶん、ほかのどのチームもおれたちが勝つなんて思っていないと思う」

 

 騒いでいたチームメイトたちが静かになり、神妙な面持ちになる。

 

「でも勝つぞ」

「せっかく出られた大会なんだ」

「たくさん勝って、たくさん試合しよう!」

 

 「応!」と声をそろえ、アップをするスペースへ向かう面々はそれぞれがこの数か月、あるいは数年の日々を思い返していた。

 

 

 日下部翼(27歳)はすでに涙ぐんでいた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ――約一年と数か月前。

 

 

 中学校に入学した太白弓弦は、噂の先輩を一目見るために体育館に来ていた。その先輩とは、日向翔陽。いわく、小学生の時から中学の部活に参加していたとか。いわく、部員一人ながら強豪に負けない強さがあるとか。いわく、相当の女たらしでファンクラブがあるとか。いわく、英語が達者で数々の外国人を道案内してきたとか……。

 

 真偽の不確かな噂もあるが確実にいえることは、日向翔陽という先輩はかなり面白い人物ということだった。そう、彼は行動力の塊である日向に、小学生のころから人知れずあこがれていたのだ。その背景には、彼の家系の問題もあったが、ここでは多く語らないでおこう。

 

 体育館に着くとそこには他にも新入生らしき男子がいた。少し離れたところに女子もいるが、あれはきっと追っかけの人たちだろうと太白は判断した。そこにいた二人の新入生は小学校の元同級生で、見知った相手だった。

 

「よう、ユヅ」

「お前も噂の先輩目当てか?」

 

 声をかけてきたのは名取蹴斗。地元のサッカークラブのエースストライカーである。問いかけに応えるように頷くと、もう一人の同級生が口を開く。

 

「すごいぞ」

「本当だった、噂は」

 

 落ち着いた様子でありながら、顔を紅潮させ興奮した様子を見せるのは広瀬球司。彼は、地元の野球チームのエースで四番を任せられている男だ。

 

「君らは……いや、君らもバレーボール部に入るのかい?」

 

 彼らの経歴を知っているがゆえに、どうしても訝しげな顔にならざるを得ない。この二人は、家族ぐるみでそれぞれのスポーツに傾倒しており、そのスポーツをやめるとは思えなかったからだ。

 

「そういうお前だってバレーボール部入れるのか?」

 

 まさかバレーボールを選ぶことはないだろうという太白の意図が伝わったのか、「入れる」という可能不可能の次元で名取が問い返す。太白の家系もまた特殊であり、彼の一家は代々弓道の名家であることでよく知られていたからだった。そういう点では、彼らは三人とも似た事情を抱えた中学生であり、それゆえ我が道を行く日向という光に憧れたのかも知れない。

 

「入れるか、じゃない」

「まだ僕は直接先輩を見ていないけど、もし、噂通りの人物だったなら……」

「……バレーボール部に入るよ」

 

 覚悟を決めた表情で宣言する。

 

「僕は、もう子供じゃない」

 

 果たして、太白たちはどんな道を選んだのか。そこに至るまでの葛藤や争いはどれほどだったか。それは神のみぞ知ることである。しかし、少なくとも一つの結果として、今、日向翔陽の周りに彼らはいる。

 

 もしかしたら、これはまだ過程の一つなのかもしれないけれど。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 二年生を中心に下級生たちがアップを取る中、日向翔陽は席を外していた。おなかが痛くなってしまったのである。

 

「……べんじょべーん♪」

「って、あ……」

 

 そしてそこで再び出会う。

 

「……久しぶりだな」

「日向翔陽」

 

 影山飛雄という未来の相棒(ライバル)に。

 

「おう、久しぶりだな」

「ようやく、”もう一回”がない試合だ」

 

 二人は向かい合う。

 

 光は口角を上げて。

 

 影は眉間にしわを寄せて。

 

 

 

「勝ちに来たぞ、影山」

 

 

 




いつも感想、高評価ありがとうございます!
今後ともどうぞよろしくお願いします!


雪ヶ丘中学校メンバー
3年生
日向翔陽
泉行高
関向幸治

2年生
名取蹴斗
広瀬球司
太白弓弦

1年生
森喜郎
鈴木貫太朗
川島正次朗


名前の由来がわかったらぜひコメントください!
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