慈悲無き支配者   作:獄華

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変わらぬ日常

 

 『日本政府はAIやロボットを幅広く活用出来るために自動機械化法を導入。少子高齢化の打開をはかり失われた35年の経済を取り戻す考えです』

 

 テレビの中で無表情で文書を読み上げるアナウンサーに高二の少年、五十山海(いそやまうみ)はスマホを弄りながら怠そうに朝ごはんを食べていた。

 

 (何が自動機械化法だよ)

 

 あまりにもアホらしくてふっと鼻で笑う。

 口で自動化と言ったからすぐ自動化がなされるわけじゃないのなんて今日日幼稚園生でも分かるだろう。

 国民を馬鹿にしてるにも程がある。

 

 

 「クソ馬鹿みてぇな話だよなお袋」

 

 「こら!。海!。ご飯を食べてる時にクソとか言わないの!」

 

 母の五十山沙奈恵は若干青筋を立て海を怒鳴りつけた。

 ………面倒クセェ親。と心で愚痴りながら海は朝食を取り終えた。

 

 「じゃ。お袋行って来るわ」

 

 「お父さんには挨拶したの?」

 

 沙奈恵は仏壇の方に視線を向けた。

 

 「……とっくにしたよ」

 

 「そう。貴方の生意気さはお父さん譲りかもね」

 

 懐かしそうな顔で沙奈恵は笑う。

 

 「んだよそれ……。行ってきます」

 

 「行ってらっしゃい」

 

 鞄を持ち海は家を出た。

 

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 

 

 

 海の父……五十山祐悟は海が5歳の時に亡くなった。

 ……だから正直あまり父の記憶は海にはないが凄く個性的な人間だったのは覚えている。

 怒る時は怒り、笑う時は笑う……そして筋の通らない事が嫌いな人だったそうだ。

 原因は勤めていたガス工場での火災だ。

 警察の調べによれば父の死因は主任だった父は所属してる部署の皆が逃げてから逃げだそうとしたら有機ガスが発生していてそのまま動けなくなり死んだらしい。

 祐悟の葬式の時、海は小さいながらに喪失感を覚えた。

 母のように泣くわけでもないし、変色した父の遺体を見ても悲しみや恐ろしさも抱かなかったが………父はもう戻って来ないと言うのは本能的に理解出来た。

 

 ハァ。と溜め息をつく。

 

 (登校中に死んだ親父の事考えるなんて……朝から白けやがる。お袋のせいだな)

 

 またも悪態をつきながら海は通学路を歩いた。

 どうせ言っても勉強か友達と駄弁るだけの代わり映えのしない無駄な日常だ。

 

 

 「おはよう海!」

 

 「よぉ海!」

 

 「おはよう海」

 

 「現れたか三馬鹿」

 

 

 「「「誰が三馬鹿じゃ!」」」

 

 幼馴染みと言うのはつくづく面倒くさいものである。

 左から美人だが性格が少し億劫(因みにオブラートに包まないとブチギレてしまう)な窯宮美渚(かまやみな)

 気の強く傲慢な(多分に海の主観が入る)舞原葵(まいはらあおい)

 服屋の跡取り息子(の割には結構ズボラな性格)の田辺翔(たなべしょう)

 幼稚園に入る前からつるんで来た輩である。

 

 「海!。今日も萎えた顔してるんじゃないわよ!。ほら学校行くわよ!」

 

 「うるせぇよ。親かテメェは」

 

 「おいおい朝から喧嘩はよそうぜ……」

 

 「翔君の言う通りだよ」

 

 チグハグな幼馴染み達と共にその日も海は登校した。

 

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