地獄発、地獄行き   作:有森

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みじかめ料。


平常通りの雑務

ふと周りを見渡すともう外がかなり明るい。ずっと電気つけてたから気付かなかった…壁側にある照明のスイッチを切って椅子に座り直す。

…眠い。結局色々やることがあったせいで徹夜する羽目になった。でも今日の分の書類も山のようにあるわけだし…

と、そんな事を考えているとコンコン、とドアがノックされた。

あー、当番の人か…と思ってどうぞ、と返す。

 

「シグレさん?なんか声枯れて…どうしたんですかその隈!?」

ズキズキと痛む頭に今日の当番のユウカさんの声が響く…うぅ…目も乾燥してるなこれ…しょぼしょぼする…後で目薬取ってこないと。

 

「寝てないんですか!?」

「少しやることがありまして…熱中してたら朝になってましたね」

「いや何やってるんですか!?先生は!?」

「先生はアビドスの方の問題解決に出向いていますよ…連絡もらってないですか?今のところとりあえず書類雑務は手は回ってますが、先生の決済待ちの書類がアレですね」

「一人で書類終わらせてるんですか!?その量を!?」

先生のデスクの方を見る。私の顔の1.5倍くらいの書類の山が二つ。

そして私のデスクには新しい書類がその3倍くらい山盛りに置かれている。昨日は昨日の溜まってた分もあったからこれより多かったんだよね…。

そして先生の書類もまだ増えるよね。先生がまた泣きべそかいてるのが見える見える…

 

「ちょ…ほら、一旦休憩もしないと効率も下がりますから、休みましょう?」

う…それもそうか…いや、こうなってるのもほとんど自業自得なんだけどね…

溢れてた書類業務に加えてアビドスの借金に関する計算とかこれからの指針とかのダブルパンチを必死にやってたらいつの間にかこんな時間でさ…*1

先生もほら、エナドリ片手に3徹とかしてたからさ…私は徹夜とか向いてなくて2日で結構限界だったんだけど、今そういうのに慣れてすらなくて1日で限界きちゃったんだよね…エナドリ苦手だし…コーヒーとか紅茶ならまだKOだけど。それはノックアウトか…はは…

 

「じゃあ、2時間くらい仮眠取ってきますね…すみません、少しお手をかけます…」

「気にしなくていいですから」

そんなやり取りをして自室に戻る。

必要なもの以外何も無い、我ながら相当殺風景な部屋。

机の引き出しから目薬を出して差そう…として、別に寝るなら必要なくないかと思い直す。

だめだ、判断能力もかなり鈍ってる…もう一旦そのまま寝よう…先生アビドスの件ちゃんとやってるかな…まあ、あの人の事だし、心配はいらないだろうけど…*2

 

 

 

 

■□◇◆

 

 

 

 

「……ん、」

アラームの音で起きた。

9時半…2時間強くらい寝てたかな。ちょっとは頭はスッキリした。

………制服のまま寝ちゃったな。皺になってるし、着替えとこうか。

クローゼットを開けて全く同じ制服を取って着替える。

カッターシャツとロングスカートの上から白衣みたいなロングコートを羽織って完成。

……学生用のはスカートだけど先生のはズボンなんだよね、謎。男女両用ってことなのかな。

 

そんな事を考えながら部屋を出て、シャーレ部室へと向かう。

 

「あ、シグレさん、寝れましたか?」

「おかげさまで。すみません、迷惑かけてしまって…」

「いや、あの量の書類1人でこなそうとするのもなかなかやばいですけどね…その分の休息だと思っていて下さい」

そんな感じのことをユウカさんに言われた。助かります。

でもやっぱり、年下の子に手伝わせてる中で自分はのうのうと寝てたってのはなんかちょっと気が引けるんだよね…後でなんかお昼でも奢ろう。

先生もこんな感じの気持ちなのかな。

 

カリカリと書類仕事を進めていっている最中、ふと思いついた。

……そういえば…アビドスって生徒会無くなってるんだよね。

じゃあ今の対策委員会って…ちゃんと公認の委員会?

いや、()は生徒会からの引き継ぎが出来てなくて非正規の部活として動いてたけど、今は一応生徒会としてユメさんがいるわけだし、さすがに部としての引き継ぎぐらいはしてるだろうけど…嫌な予感がしてきた。

 

携帯を取って先生に連絡を取る。幸い、数コールで先生は出た。…いやまあ、出たのはいいんだけど。

 

『“どうかした?”』

「何でここにみんないるのよ!?」「あはは…お邪魔します…」「まさか…!」「あー、いやいや、先生は関係ないよ?セリカちゃんがバイトする所と言われて、おじさんが思いついたのがここだったってわけー」「ホシノ先輩かっ…!!」

「……ずいぶんと、賑やかですね…?」

『“あー…うん、ちょっと色々あってね…”』

まあ多分柴関ラーメンに行ってるんだろうけど。私も後で行こうかな…

 

「まあ、良いですけど…一つ確認したいことがありまして。アビドス廃校対策委員会って、正式な部活として認可されてるのかなと思いまして」

『“…?認可されてないこととかあるの?”』

「ありますよ。ゲヘナとかだと勝手に起業したりする生徒が居るくらいですから」

便利屋68って人達とかね。あの人達は…まあ、なんて言うんだろ。自称アウトローで蓋を開けてみればポンコツな一般生徒たちって感じかな…

金さえくれれば何でもやるとは言ってるけど、現実はそうでもしないと収入が無いからなんだよね…ゲヘナに行く度におせっかいを焼いた記憶がある。()も今も。

 

『“き、起業…それはまたすごい子たちもいるんだね…”』

「まあ、ええ。それはまあ良いんですが…もし、まだアビドスに生徒会があった頃から引き継ぎができていなかった場合、下手をすればアビドスには学校として役目を果たしていないとみなされてしまう可能性があるんです」

『“学校として…それってまずいの?…いや、まずいか”』

「はい」

もっといえば、この先ホシノさんが黒服さんと契約を交わしたあとにカイザーにそこを突かれるわけだし。

直接的な手助けはしない…それはただ甘やかす羽目になってしまうし、幸か不幸かあの一件でアビドスの人達の信頼は固まった。そこを根本から潰す気はない。でも、茨の道の棘を少し抜くくらいは、しても良いはず。

 

『“仮に部活として成立してなかった場合…どうすれば良いんだろう…?今アビドスって生徒会自体が…”』

「連邦生徒会に連絡でいいと思いますよ。元より学校としての存在意義の有無は連邦生徒会が判断してますから」

分かった、と言う先生からの返答を聞いて、電話を切る。…さて。

私はこの書類の山を片付けないといけないのか…やりたくないなぁ…

 

 

 

ちなみにそのあと何時間かかけて必死に終わらせた。先生のデスクに積まれた書類の山はさらに増えた。

あと、夕方にセリカさんが誘拐されてたらしい。なんとか救出はできたらしいことを後から先生に聞いた。

*1
調べればローンとかそういうの用に月利計算システムとかもあるのに使わなかったのは謎に几帳面な性格と、そこまで頭が回らなかった所以

*2
今頃ちゃんとセリカさんをストーキングしてます




服装については、イメージはあるんですけどあんまり名前が良くわかんないので似た感じのやつを並べてます。
そのうち主人公の立ち絵くらいだそうかな。
…問題は絵心……
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