地獄発、地獄行き   作:有森

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明日シグレ

「……で、この中から案を探さないといけないわけなんだけど…」

この中から?と先生が目を剥いた。そりゃそうだ。でもなんか先生が選んでくれるなら文句ないよね!みたいな空気になって、先生が出した結論は…

 

「“うーん…まず借金の金額に対する問題はとりあえずカイザーと直接対談するとして───アイドルをやろう!私がプロデュースしてみんなをキヴォトス一のアイドルグループにしてみせるっ!!”」

というもの。

……まあ正直な話現実的なのがそれしかない。

犯罪二組は即却下、傭兵もグレーゾーン、マルチ商法は論外、宝探しはちょっとリスクが高すぎるし、ガラス細工は技術的に難しい。となると残ってるのがアイドルしかないわけで。

というかなんなんだこの選択肢。

 

と、周りのみんなも賛同してワイワイとし始めたその時。

 

 

「いい加減にっしてくださいッ!!!」

 

アヤネさん渾身のちゃぶ台返しが炸裂した。

 

 

 

 

△■

 

 

 

 

「…よし、通報完了、と…」

通話のあと。

みんなはアヤネさんを宥めに柴関ラーメンに行ったみたいで、私も誘われたけど一旦やることがあるから、という旨の返事をしておいた。

先生にはそれだけで何をしようとしてるのか伝わったらしい。

それに……あまり、人と食事をしたりとかはしないほうが良い気がする。多分、私が抑えきれなくなる。

 

まあそこは置いといて。ヴェリタスの人達に協力してもらって先程の電話番号から麦芽なんちゃらゲルマニウムブレスレットとかいう詐欺集団のねぐらを見つけてもらって、速攻でヴァルキューレに通報。今度何か持っていこうかな…妖怪MAXの箱で良いかな。ハレさんは喜びそうだけど。

あとヴァルキューレは知り合いのカンナさんが出てくれたおかげで話が早めに着いた。こっちにも今度何か差し入れに行ってあげようかな。

 

「…さて」

私は私でやるべきことをするとしようかな。

 

一度シャーレ部室を出て、自室から一冊のノートを取ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「“そういえば、”」

──一方その頃アビドス。──

柴関ラーメンにてアヤネを宥めていたアビドスの皆と私だったけど、なんとか落ち着いてもらってから、ずっと気になっていたことを聞いてみた。

 

「“ホシノと梔子さんは前にシグレに会ったことがあるって言ってたよね”」

「んー?そーだよー。ユメ先輩がまだ卒業してなかった頃だけどね」

「“どういう経緯で会ったの?本人はもともとミレニアムの生徒だったって言ってたけど…アビドスとミレニアムって結構離れてるよね”」

2年前って言ってたからシグレが1年生だった時。本人曰く生まれも育ちもミレニアム周辺だって言ってたから、わざわざアビドスに来る用事なんてそうないはずだし。

と、ホシノがちょっと唸りつつ答えてくれた。

 

「うーん、何で来たのかは聞いてないんだなぁ…でも、会った時のことは覚えてるよ。ユメ先輩を助けてくれたんだよね〜」

梔子さんを?

2年前は梔子さんがアビドス高校最後の生徒会だったって言ってたっけ。委員会の権限引き継ぎしてなかったって聞いてホシノが珍しく鋭い目で詰め寄ってたなぁ…アレは怖かった。(遠い目)

 

「あっ、それ私も気になってました」

と、アヤネも反応した。どうやら「シグレが梔子さんを助けた」という部分だけ前に聞いてたらしい。

 

「あーね、私から話そっか。んーとね…二年前のある日に私、砂漠で遭難しかけてたんだよね」

あーねそうなん…ん?遭難!?

初っ端からなんかおかしい気がする??

 

「遭難…?」

「そう、遭難。あの時はおじさんもびっくりしちゃったよ〜。コンパス落としたなんて信じられなかったしね」

ほんとに何やってるんだろう…いや、私が利けた口じゃなかった。オクチチャック。

心做しかホシノの眼光が鋭く梔子さんの方に向いてるのも気のせいのはず。それを向けられた梔子さんが冷や汗をかいてる気がするのも気のせいのはず。

 

「で、もう手持ちの水も無くなってどうしようってなってた時に、」

「シグレさんが来たんですか?」

「ううん、出てきたのはめちゃくちゃ大きい白い蛇のロボット?みたいなやつ」

ノノミの質問に返ってきた答えに、ホシノを除いた一同がん??となる。

何それ…アビドス、そんなのいるの…?

 

「な、なんですかそれ…」

「ん…私も知らない…ヘビ型のオートマタ?」

「おじさんもあの時は知らなかったからねぇ…全長何十メートルもあるような大っきい蛇のロボットだってさぁ〜」

「そうなんだよね…口からレーザーを吐いてきたり、そこら辺にミサイルみたいなのをいっぱい飛ばしてきたり。砂に潜ったりもするからすごく手間取ってね…盾は持ってたしなんとか応戦できてたんだけど、体力も削られてふらついて…盾が弾き飛ばされちゃったんだよね」

いつもなら多少体勢が崩れても持ち直せるんだけど、あの時は消耗してたのもあった無理だったなぁ…と回願するように目を細める梔子さん。

 

「で、その体勢でレーザーが吐き出されようとしてた時に、手榴弾がいくつか飛んできてね。その爆発で顔がそれてなんとか無事だったんだ」

それが、シグレちゃんが投げたものだったの、と続けた。

 

「近くに走ってきたんだけど、そのまま飛んでいっちゃってね。あ、物理的に。で、その蛇みたいなロボットと互角以上に渡り合ってたんだけど、埒が明かないって思ったのか顔を蹴り上げて視線を切った後に私を抱えて走り出したんだよね」

その後蛇みたいなロボットはそのまま追撃はしてこずに砂の中に潜っていっちゃったけど、と付け足した。

…マジか。

 

「そ、そんなことが…うーん…シグレさん、パッと見た感じこう…こういう言い方すると良くないかもしれませんけど、そこまで強いようには見えなかったんですけど…」

「そうなんだよねー。2年前に見た時より…なんて言うんだろう、ちょっと変わったみたいに見えるんだよね」

アヤネがふと言った言葉に、彼女はうんうんと頷いた。

 

「おじさんもそれは思うなぁ…最初に会った時の威圧感?みたいなのが全くと言って良い程無いんだよねー」

んー、と考えるような素振りを見せながらホシノもそんな事をいう。

…でも、私は知っている…あの子の狙撃技術。

ユウカやハスミたちの戦いも見て知ってたけど、当然ながら動いている相手に攻撃を当てるのはそんなに簡単なことじゃない。当然外れることも多いし、遮蔽物に隠れられれば当然命中率も下がる。しかもその上シグレが得意とするのは遠距離からの狙撃だ。

 

それでも、彼女は一発も外さない。今のところ外したのを見たことすらない。遮蔽物に隠れようと、どれだけ敵味方が入り混じった混戦状態だったとしても、敵だけを正確に撃ち抜ける。

威圧感とかそういうのは私も感じられないけど、それでもあの子は強いと確信を持って言える。それは……いろんな意味で、危うい方面にも。

 

「ま、見た目だけで判断するのは良くないけどねー。この中だったらホシノちゃんがいっちばん強いんだし!」

…えっ、そうなの?




早く戦闘シーンが書きたい…でも戦闘シーン書くの苦手…これがジレンマ…いや、ディレンマッ!
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