地獄発、地獄行き 作:有森
次からパヴァーヌ行くので。まあ次から亀更新タグが仕事し始めると思います。
それから数日後。
「はぁ…やってもやっても(書類仕事が)終わらない…」
「頑張ってください。先生の決裁が必要な分はこの山で終わりです」
とはいいつつもこれ何十件あるんだろうね…
むしろこの数日で机を埋め尽くしてたような書類の量をあとこれだけにまで減らしたんだから大したものだよ。
あれほんとに1000枚以上はあったんじゃないかな…
アビドスの件が落ち着いてから、だいたい1週間くらいが経った。
最初の方は協力してくれた各所へのお礼参り…意味若干違うか。まあお礼をしに各地を回ったり、カイザーの本部への聴取、連絡、理事への審問に参加したりとそういう仕事を請け負って、そっちが落ち着いてからはシャーレの書類仕事の処理に取り掛かった。
先生はこのおおよそ2週間分、私はお礼参り(笑)とかあと怪我の休養期間───いらないとは言ったんだけど先生が休め(意訳)と言ってくれたから取った───を含めた3日分。
私はまあ1日でなんとか終わったけど問題は先生で。
普通に1日でも何十、下手すれば百何十件の依頼や相談が舞い込んでくる現状、二週間業務が滞ればかなりの量になる。
私が分別して先生の決裁の必要なものに分けているとはいえそれだけでも机が埋まる量の業務になった。
これ私いなかったら相当先生の負担大きかったのでは?
元々連邦生徒会長、部長の事は考えてなかったみたいだし…これ下手すれば軽く人が死ぬよ、なんて思いながら今日の分の自分の業務を進める。
ただ最近になって若干仕事量は減ってはきてる…感じがする。ほんとに若干。
元の仕事量を100とすれば96くらいになったように感じる。それはもう誤差か。
まあそれに…
「うへ〜、先生、手伝いに来たよ〜」
シャーレの力の一つ、いかなる学校の生徒も加入させることができるという条項。
それによってアビドスの人たちが加入したから、多少分担ができるようになったっていうのも多少楽になった原因かもしれない。
いや、まあ結局重要度の高い書類は先生に回すしかないんだけど。
アビドスに関しては、概ね私の知っている通りの未来を辿った。
借金自体が減った訳では無いにしろ今回の事件を受けて元より更に低い金利での返済が認められ、返済が多少は進む、と聞いた。
また、これは変わった…というか私が変えたことになったんだけど、カイザーが一時撤退したおかげか一部治安が安定して、また更にビナーを私が破壊したことで砂嵐の頻度が極端に落ち着いたらしい。
近くにいるだけで砂嵐が起きるってほんとに何だったんだアレ…
そのため砂の処理も少しだけ、本当に微々たるものではあるけど追いつき始めたらしい。
ただ、まあ砂嵐自体はアビドスの気候上起こるには起こるみたいだけど、それでもかなり楽にはなったという話を聞いた。
それと、土地の方はやっぱり正式な取引上でのやり取りだったのもあって、そこを取り返すのは厳しかったみたいだ。
まあそのうちなんとかするよ、という旨は聞いた。
あと、私の方でも少し。
神秘の使用に関する方向で、漏出がかなり抑えられたからか、やっぱりかなり効率が良くなってたらしい。
が、とはいえ多少良くなったとしても元々の効率が悪いみたい関係上、今の状態でもまあ一時間維持できれば御の字といったところだろうか。結局燃費は悪い。
引き出せる限界もあるし、途中途中体を休ませながら…っていうのを考えれば、一応三時間くらいは戦えそうだけどそもそも敵前で休むわけにもいかないから結局あんまりそこには意味は無い。
「先生、一旦休憩にしましょう」
とはいえ。
今はこの平穏を享受しよう、どうせまた少し経てば忙しくなる。
…こういう言い方はあんまり良くない気もするけど、アビドスは確かに一学校区内だけの話にとどまる。
けど、次は…下手すれば直接キヴォトスの崩壊にも繋がりかねないような問題が起きる。慎重に対処しよう。
「………いない……消えた…?」
少女は瞠目し、周りを見渡した。
色彩に触れて反転した彼女の前には、ついさっきまで一人の少女がいたはずだった。
傍目から見ても無理をしているのは一目瞭然だった…文字通り心も体もズタボロになって、それでも意志を継ぐことを諦めなかった白い少女。
彼女は…ホシノが死に、セリカが居なくなり、アヤネが生を諦め、ノノミが消え…もう彼女以外残っていなかったアビドスにも手を差し伸べ、本来なら関係ないはずなのにカイザーとの正面衝突すらもやってのけ…無理が祟ったのか結果瀕死となった。それでも起き上がって
…その途中。反転し、
その身をキヴォトスに捧げようとした彼女は、奇跡的に意識を取り戻した先生に抱きとめられ、ついさっき看取られた。
そのはずなのに…いつの間にか先生の腕の中からその姿が消えていた。
「…どうなって……っ、ううん。いまは、やるべきことをしないと」
目の前にいる
体中包帯だらけでとても痛々しく、とても応戦はできそうにもない。体を動かすのですらやっとといったところだろう。
まあ、そもそも体が自由に動いていたとしても彼女は生徒に向かって怪我をさせるようなことはしないだろうが。
心の奥の燻りを無理やり押し込み、愛銃をその視線の先に向けた。
試しに一回引き金を引く…が。普通なら外すはずもないこの距離で、弾丸は明後日の方向に飛んでいってしまった。
しかし、その現象が何なのか知っている以上、大したことではない。
三発の銃撃が響くと同時に、彼女の近くにあったタブレット端末の液晶に着弾、ひび割れてその機能を停止した。
「…これで先生を守る物はもう無い」
自分に言い聞かせるように呟き、改めて銃口をその人に向けた。そして──────────