地獄発、地獄行き   作:有森

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ふと考えついたので進行についてのアンケ取ります。


王女

「え!?誰かいる…?お、女の子…?」

「……この子、眠っているのかな?」

恐る恐るといった風にモモイさんとミドリさんはその台座の方へと進んでいく。

 

「…返事がない、ただの死体のようだ」

「お姉ちゃん!不謹慎なネタ言わないでよ!!…それに、死体っていうか……ねえ、見て。この子、怪我とかじゃなくて……()()()()()()()()みたいな感じがしない?」 

ミドリさんの言葉に、モモイさんは角度を変えたりしてその子を観察する。合わせて先生もくるりと周りを見て回る。

息はしていないけど見た目は完全に人間、キヴォトスには確かにロボットの市民とかはいるけど、ここまで人の形をしたロボットはいない。

それをモモイさんはマネキンと称したけど、どちらかといえば言った本人も懐疑的らしい。

…まあとはいえ。

さすがに全裸の状態で放置はねぇ…

 

「?シグレさんどうしたの?」

「さすがに全裸で放っておくわけにいかないでしょう。私基本的に制服の上にコートを羽織ってるのでそれだけでも、と…」

幸いそこまで身長は変わらない。

一瞬頭を裸コートとかいうワードがよぎったが気にしない。全裸のほうが問題だ。

 

「あ、私替えの服持って来てますよ。確かカバンの中に……あった」

「へぇー、よく持ってきてるね……って、それ私のパンツじゃん!?」

「違うよ、これは私の。猫ちゃんの表情が違うでしょ」

……もうちょっと場、わきまえません?普通。

いやまあ確かにここには同性しかいないんだけど…流石に大っぴらに外で下着の柄の話するのはねぇ…

 

「……おお、凄い…肌がしっとりしてて柔らかい!本当に人間みたいだね……あれ?ねえ、ミドリ。ここに何か、文字が書かれてるよ」

「えっ、文字?」

と、モモイさんが後ろに回ってそんな事を言った。見てみると、首の後ろ辺りに【AL-IS】と書かれていた。うわ、分かりづら…これパッと見で1には見えないな…

 

「……アル、イズ……エー、エル、アイ、エス?どう読むのか分かんないけど、この子の名前?………《アリス》?」

「ちょっと待って、これよく見ると全部ローマ字なわけじゃなくて……『I(アイ)』じゃなくて『1(いち)』……《AL-1S》だよ?」

それを確認しつつ、服を着せ終わる。意識のない人間に服を着せるの、軽い人形とは違ってかなり重労働なんだよね…。

…というか、ミドリさんなんで替えの制服持ってるの?

 

「よし、完了」

「“それで……この子が、AL-1S……不思議な子だね”」

「先生もそう思いますよね……この子も、この場所も…いったい何だろう…?」

と、先生がその肌に触れると同時。

部屋の中に何かしらの電子音が響いた。

 

「えっ、何々!?何の音!?」

どうやら電子音は部屋の中心……彼女から鳴っているらしい。

と。

 

「――状態の変化、及び接触許可対象を感知。休眠状態を解除します」

「え?え?どーゆーこと!?」

「め、目を覚ました…?」

「……………」

彼女は静かに身を起こし、青いガラス玉を開いた。

数回瞬き、どこか少しぎこちなさげに周辺を見渡す。

 

「状態把握、難航。会話を試みます……説明をお願いできますか」

「え、えっ!?せ、説明!?そんなこと言われても…!」

「説明が欲しいのはこっちの方!あなたは何者?ここは一体何なの!?」

「“……二人とも、落ち着いて。彼女も困惑しているんだよ。…改めて…えっと、AL-1S?君は何者なのかな”」

と、先生は腰を落として彼女と視線を合わせて聞いた。

対する彼女はまた数秒目を瞑り、自身の状態を確認、整理するようにしてから機械的に口を開いた。

 

「――本機の自我、記憶、目的は消失状態であることを確認」

「えっ?えっ??」

モモイさん、ちょっと大人しくしててください。

 

「このままだと話が少ししづらいですね。…AL-1Sさん、そちらを仮称として《アリス》として話を進めても宜しいですか?」

「……提案を承認。本機は以後、アリスです」

 

「えっ、それ良いんですか?お姉ちゃんが勝手に読み間違えただけなのに…本当の名前はAL-1Sなんですよね!?」

「あだ名みたいなものだと考えれば良いんじゃないですか?」

そこまで害はないし。

というか、どちらかというとこっちの名前に慣れすぎてボロが出そうだったからさっさと名前をつけたかった。

 

「…そちらの方々の名前の確認を要求します」

と、そっちのけで話していた私たちにアリスさんが話しかけてきた。

 

「あっ、ごめんね?私はモモイ!こっちが妹のミドリで、この人がシグレさん!そっちの大人が先生だよ!」

「《モモイ》、《ミドリ》、《シグレさん》、《先生》……把握しました」

「待って、「さん」まで入るんですか?」

それは聞いてない。

 

「まーまー、良いんじゃない?先輩であることに変わりはないんだし。うーん、工場の地下、ほぼ全裸の女の子、オマケに記憶喪失………よっし、良いこと思い付いちゃった!」

……その言葉の羅列から想定される現象に()()()()に見合うものが思いつかないんですがそれは。

 

まあ結局私からグダグダいうわけにもいかず。

1時間後にはアリスさんはモモイさんやミドリさんと一緒にゲーム開発部の部室にいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリスさんを部室に送り届けてから。

私はエンジニア部の方に来ていた。

 

「すみませーん…あ、」

と、エンジニア部のヒビキさん、コトリさん、ウタハさんが三人で座って何かをしていた。

 

「!!」

「あっ、」

「………」

と、三者三様…なんか驚いたような不味い、とでも言うような表情をしていた。…ほんとにどうしたんですか…?

手に持っているのは…あ、SR(Moriens)だ。持ってきてるってことは整備は終わったところ…かな?

 

「や、やあシグレ」

「こんにちは、ウタハさん。メンテナンスを依頼してた銃を受け取りに来たんですけど…」

「あ、あー……」

…なんかめちゃくちゃ目が泳いでる。……何かした?

 

「…そこで手に持ってるってことはメンテナンスは終わったんですよね?」

「あ、ああ、メンテナンスは終わったんだが…」

「?」

「いや、その……」

「……まさか変な機能とかつけたんじゃないですよね?」

「ま、まさかぁ!」

…はい、嘘確定。

後ろでヒビキさんとコトリさんの二人がSR(Moriens)なんとかいじろうとしてるし…

 

「…あの、もう今日明日で使う予定なので返してもらっても…」

「あーいや、それはちょっと…」

「……はぁ…何の機能をつけたんですか」

聞いてみたところ、観念したのか話してくれた。

まあ要するに…

 

「チャバスコ?」

「ああ…最初はチャバスコの出る銃を作ろうってなって…実際作れたんだ。だが、てっきりそこら辺に転がってる試作品の銃なものだとばかり思っていてね…ほら、他の生徒と違って君の銃は装飾がかなり少なくて見分けがつかなくてね…」

「で、間違えて私の銃をチャバスコの出る銃にしてしまった、と…」

……ほんとに何やってるんだろう。

いや、…え?チャバスコ?…え?

 

「試しに撃ってから気付いたね、なんか反動が大きすぎるし出てきたチャバスコの威力も凄まじかったしでこれただの銃じゃないぞと思ったところで君が来て…今に至る感じさ。」

「…いえ、まあ確かに見分けがつくような装飾をしてなかったのも悪いですけど…確認しません?普通」

だいたいの人達は見分けがつくように、または自分の好きなように銃を装飾するけど、私はほとんど何もしてない。だからまあ適当に作ったやつと外見は似てるかもしれないけど…

それ、SRなんですけど。ARとかHGを改造したとかならまだわかるけど、SRよ?そんなチャバスコを噴射する銃に改造する…する?いや、チャバスコを噴射する銃って何?

 

「…まあやってしまったものはもうしょうがないですけど…どれくらいで直せるんですか?」

「付けた部品を外して元の駆動を付ければいいから、30分もかからないと思うよ。…なんか、本当にすまないね」

「ですね。…まあ私のだから良かったですけど、仮にネルさんの銃をそんな風に改造でもしてたら…」

……一瞬想像してみる。

ネルさんなら手に持ったどんな武器でも十全に扱えるだろうから…少なくともこの部室内はチャバスコ塗れ、中にいる人も大惨事かな。「ふざけんじゃねぇっ!」って言って暴れてるのが目に見える。もしかして一回私の目の前でやった?ってぐらい容易に想像がつく。

 

「は、はは…想像したくないね…」

「…ここで待っていますから、修理を早いところ終わらせてください」

「分かったよ」

…いやー…まさか銃をチャバスコ噴射機に改造される日が来るとは思わなかったな…

いや、流れで納得してたけど、そもそもチャバスコ噴射機って何…?

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