地獄発、地獄行き 作:有森
(急に何言ってんだコイツ)
それと毎度誤字報告ありがとうございます。
さて色々やることは終わらせて。
また溜まり始めている書類を処理したり射撃場で多少の練習をしたりとそこまで変わらない日常を送っていた。
シャーレ、というかD.U.地区ミレニアムからも割と遠いんだよねぇ…トリニティは近いんだけどね。
まあそんなのは別にどうでもよくて。三日ほど経って私はミレニアムに戻って来ていた。まあ流石にもう諸々終わってるでしょうし。
後はまあ、個人的な用事でね。
この後の補習授業部のところらへんはまだ大丈夫…いや大丈夫ではないところもあるけどとりあえずはまあ問題ないと判断できるけど、問題はその後のエデン条約自体。
その最中に飛んでくる巡航ミサイルをどうにかしないといけない。
確かにアレ自体で死人が出たわけじゃないけど、爪痕はかなり深く残った。けが人は何十人なんてところじゃないし、下手すれば死んでたなんて人もザラ。神秘量が周りより少しでも低ければ、または当たりどころが悪ければ普通に死ぬ威力だからね。だから空中で処理しきれればそれに越したことはない。
…でもねぇ、高速で飛んでくる巡航ミサイルを迎撃できるくらいの精密射撃と威力を両立させられるほど私は器用じゃない。
迫撃砲程度なら籠める神秘量を抑えてその分コントロールに回せば良かったから問題なかったし、人相手なら尚更だったわけなんだけど相手は巡航ミサイル、しかもゲマトリア製。多少撃った程度じゃびくともしないはず。
ってなわけでエンジニア部に多少の協力をしてもらおうと思って来たのもある。
そんな事を考えながらまずはゲーム開発部の部室に到着した。
ノックして入ると…
「あっシグレさんです!」
「“シグレ。用事は終わったの?”」
ゲーム開発部の面々と先生、計5人がコンピュータの前で集まっていた。
と、アリスさんと先生がこっちを向いて声をかけてくれた。
「はい。すみません、急に抜けてしまって」
「大変だったんだよー!?私たちだけでセミナーとC&Cを相手取らなきゃいけないことになったし!!」
「何やってるんですか…」
一拍置いてモモイさんも腕を振り回しながら言う。
ユズさんが殴られそうになってましたよ、落ち着いてください。
「で…今どういう状況ですか?」
「あっ、えっと、G-Bibleのパスワードを開けてもらって、それでテイルズ・サガ・クロニクル2を完成させたんですけど、結果が出る前に先にアップロードしてみようってことになったんです」
ユズさんの説明で思い出す。
そういえばそんな感じのことあったね。…いや待って?そういえばそれの後って…
「うわあぁぁ……!無関心じゃなければ良いな、くらいに思ってたのに!ここまで数が増えると急に怖くなって来た!期待と不安で心臓が爆発しそう!」
そんなモモイさんの言葉の直後。
まさに爆発したような音と同時にゲーム開発部部室内が攻撃を受けた。
「!!?」
「ちょ、誰か本当に心臓爆発しちゃったの!?」
「そんな訳無いでしょお姉ちゃん!」
そうだ、C&Cの襲撃!この砲撃は…カリンさんか!
「……方向は…こっち、だいたい1キロか」
壁の破損方向とその方向にある狙撃できそうなポイントを探し、
流石に1キロとなると両手で構えないとブレるけど…まあ次弾が飛んでくる前に迎え撃つ程度はできる。
「…でも対物ライフル相手はなぁ…」
続いて二、三発と撃つと一発がワンホールショットした。確かに狙いはしたけどこれはほとんどラッキーパンチ。
「え、何何何!?」
「一回出ましょう」
まさか反撃されると思ってなかったのか砲撃は止まったけど下手にまた再開されると部屋が崩れかねない。
急いでゲーム開発部室を出ると…
「うわっ!?生徒会も!?」
セミナーの生徒と思わしき人達やドローンも稼動していた。
「“皆、しょうがない、指揮を始めるよ!”」
と、先生の合図でシッテムの箱が展開された。
ま、私は弾いてるけど…
「っ、と」
私は遠距離射撃を捌くのに徹しておこうかな。何気に厄介だしね。
というかずっと同じ方向から撃ってきてるけど、動かないのかな。別にまあそれはそれで対処しやすいから良いんだけど。
そんな調子で前衛に立ちはだかるセミナーの生徒達やドローンなんかを相手取り、旧校舎の廊下あたりまで抜けたところ。
「お、意外と来るのが早ぇじゃねえか」
メイド服…風のスカジャンを着た、ネルさんがいた。…いや、それだけじゃない。
「すごいじゃーん!」
「というかまさかあの距離から撃ち返されるとは思わなかったが…」
C&Cが勢揃いしていたらしい。
「……コイツらここまで戦えるのはアンタのお陰だろ、先生……って呼べばいいのか?アカネが調査した例の先生……噂は大袈裟じゃなかったみてぇだな」
「“どういう用件?リベンジ?”」
少し警戒はしながら先生が聞くと、ネルさんは鼻で笑ってアリスさんを指差した。
「そっちの馬鹿みたいにデケェ武器持ってるあんた、てめぇに用がある……C&Cに一発食らわせてくれたらしいじゃねぇか?ちっと面貸せや」
真っ向からの宣戦布告。それもミレニアム最強と言われるネルさんから。
周りの空気がひりつくのを感じていると…
「あ、アリスこのパターンは知っています!私にあんな事したのは貴女が初めてよ……っ!っていう告白イベントですね、チビメイド様はアリスに惚れていると。スチル獲得です!」
「ッ…!!」
ガクッ。
いきなりの的外れと言うかなんか、シュールな物言いに思わずちょっと吹き出した。
「ふっ、ふざけんなテメェっ!?誰がチビメイド様だコラァ!それとシグレ!!テメェ笑ってんな!!」
やっばこっち飛んできた。
「あんたにも用はあんだよ、いい加減あたしとテメェどっちが強ぇか白黒決めようじゃねぇか」
「嫌ですけど」
「アァ!?」
いや、そりゃ嫌でしょ。
そもそも…
「そんな戦闘になったらここら一帯大破するの目に見えてますし…またユウカさんにどやされますよ」
いい加減建物壊すなーって。
C&C、任務は絶対遂行するけどその時に出る被害が馬鹿にならないからユウカさんがしょっちゅう頭悩ませてるんだよね…確かその帳尻合わせか何かでメイド喫茶やらされてなかったっけ。
まあその案出したの私なんだけど。
ユウカさんに相談されてね…じゃあ文化祭も近いですしこんなの要求してみたらどうですかーなんて言ってみたらほんとにやることになっちゃったっていうね。
ちなみに私が案出したのは言ってないはずだから多分バレたら死ぬほど追いかけ回される。
「別に良いだろ、毎度なんとかなってんだし」
その考え方は非常に不味い気がする。
と、ピ、とネルさんは方向を変えてアリスさんの方を指差した。
「ま、それよりも本題はアンタだ、どうすんだ?あぁ、誤解してるかもしれねぇから一応言っておくが別にC&Cに一発食らわせた分の復讐って訳じゃねぇ、あちこちに怪しい部分はあったがこっちとしては正当な依頼の中での出来事だった。そっちはそっちでアタシらを相手に目標を達成しただけ、別にそこに恨みはねぇが…俄然興味が湧いて来てな」
「興味……?」
「確認って言った方が良いかもしれねぇが……さぁ、ちょっくら相手してもらおうか。あたしと戦って勝てたら
暗に私との戦闘は諦めないって言われてるよなぁ…まさかこんなところで神秘使うわけにいかないし…そうなったら適当に負けといたほうが賢明かな。
なんて考えていると、アリスさんが一歩踏み出た。
「……分かりました」
「お、やる気満々と来たか」
「一騎打ちのイベント戦闘…みたいなものですね、理解しました」
「イベ…?なんつった?」
「あの時は狭かったですし鏡を持って帰るという使命がありましたが……今なら!」
困惑するネルさんを前にアリスさんは武器を…スーパーノヴァを構えた。青い光が漏れ出て、今にも爆発しそうな力を感じさせられる。
「行きます、魔力充電100%……!」
「ちっ、これは…!」
舌打ちをしながらネルさんは急いで応戦体勢を取った。私は先生とモモイさん、ミドリさん、ユズさんの四人を何とか抱えて横っ飛びに飛んで退避させておく。
…流れ弾とか当たったら不味そうだからね。
「光よ!!」
その言葉とともに撃ち出された閃光とともに1on1が開戦した。
「いっ、たた…」
「すみません、少し雑に投げました」
「い、いや、まああのままあそこに立ってたら巻き込まれたかもだからナイスと言えばナイスだけど…」
と、ゲーム開発部の三人は寝た状態から座り直した。
視線の先には…既に立って指揮をしている先生。が、あんまり盤面はよろしく無い。
そこまで広いわけじゃない室内、しかもネルさんはかなり酔狂なインファイター。
一方アリスさんの得意は遠距離からの高火力砲撃。タンクの存在を前提とした動き方になる。
1on1という性質上、どうしてもアリスさんはかなり押し込まれていた。
数分は持っただろうか、だが徐々に押され始め…
「に、肉体損傷率48%…!!撤退を要求します…!!」
流石に限界が来たらしい。
ネルさんの持つ二丁のARが火を吹いてアリスさんの肌に傷をつけていく。
「“……!”」
先生の額にも少し汗が滲んだ。
「ど、どうしよう…!あのままじゃ…!」
「がんばって、アリスちゃん…!!」
横では三人が祈るように手を合わせている。
「“…ッ、シグレ、ごめん…!手伝ってもらえない…!?”」
と、絞り出すように先生が声を出した。
…はぁ……そんな頼み方されると
「…断れないじゃないですか」
ネルさんが鎖を飛ばし、アリスさんを捕まえる…その寸前。
その鎖を逆に私の腕に絡みつかせてそのまま引きずられないように振り落とす。
「アリスさん、こっちです」
とりあえず先生の方に誘導すると後ろから殺気。
「ッ!」
「やってくれるじゃねぇか…!」
「げ」
と、土煙の中から出てきたネルさんの目が闘争心でギラギラと光っていた。
やっべー…やりすぎた。
「ハハ、ッ!良いなァ、シグレ!さあ
んー……………………はぁ、まあ良いや、確認という意味でも一度やってみようか。
「先生、」
アリスさんをゲーム開発部と一緒に後方に送っていた先生に声を掛ける。
「
「“!!”」
適当に負けといたら、なんて言ったけど…今この状態でそんなことやったら多分手を抜いたことに対してキレたネルさんに更にボコボコにされる。
なら…神秘を使わないで済む+今先生が
「“…分かったよ、!指揮を始めるね!”」
ザァ、と視界が青く染まる。
思考がシッテムの箱を通してリンクする感覚…懐かしく、体に馴染む感覚に自然と口元がほころぶ。
が、それも一瞬。
「ッ、!?」
ガク、といきなり体が重くなった。
こ、れは…!?
同時に、シッテムの箱を通して先生の感覚も繋がってきた。
「“…何、これ…!気持ち悪、い……!”」
……不味い、色々とやばいかも知れない。