地獄発、地獄行き   作:有森

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滑り込みセーフ!(アウト)ヨシ!(何も良くない)
ということで次は本編とか言っておきながらバレンタイン閑話です。次話はもうちょっとお待ち下さい。
尚今話では時空が歪んでるから本編時系列には一切影響していないものとします。


バレンタイン閑話

まだかなり冷えの残る2月。

起こっていたちょっとしたゴタゴタを解決してシャーレに帰ろうとD.U.地区を歩いていると、ショウウィンドウに陳列された、色とりどりな包装のされたチョコレートが目についた。

…そういえば今日バレンタインデーだったね。

 

「……一応買って帰ろうかな」

今日も変わらず先生は書類に埋もれて仕事中。

まあ、結構色んなところに足を運んでる関係上、先生を慕ってる──もっと言えばホの字の生徒さんはそれなりに多いみたいだし、またかなりの数貰ってるだろうけどね…チョコレートじゃない、別のお菓子にしておこうかな。チョコばかり食べても飽きるだろうし。

 

とはいえ当日、しかもチョコレート以外となるともうそんなに数がないみたいで、しかも残ってるのはこう…なんか奇抜そうなやつばかり。

結局残ってた中でも比較的マシそうな12個入りのマカロンを買って帰ることにした。

 

 

 

 

 

…で。

 

「うわぁ…」

「“あ、シグレおかえり…”」

シャーレに戻ると積まれている書類は多少減って、それと反比例して空きデスクに溢れんばかりの包装された箱が置かれていた。

…おかしいな、シャーレを出た時には一つもなかったはずなんだけど…あの量全部チョコか…。

いやまあ別のもあるかもしれないけど、多分大多数はチョコレートだと思う。

 

油脂で胃もたれしそう。ここまで来ると最早チョコだろうがなんだろうが甘いものに忌避反応出てきそうだな…失敗した。甘くないお菓子にするべきだったか。まあしょうがない…渡すのはやめておこう。

 

「“…ん?それ、もしかして…”」

「あ、いえ」

書類の隙間から見てきた先生に、咄嗟に隠したつもりだった紙袋が見つかった。あちゃあ…

 

「…まあ、はい。一応バレンタインですし、日頃の感謝も込めて買ってきたんですけど…さすがにその量をもらった状態で増やすのもアレですしね…」

「“いやいや、もちろん嬉しいよ”」

…本音で言ってるんだろうなぁ。

 

「でしたら…一応置いておきますね。暇が空いたら摘んでください。最悪食べられないようでしたらこっちで処理しておきますから」

「“そんな事言わないで…”」

…マジトーンで返されるとは思わなかった。そんな見捨てられた子犬みたいな反応しないでください。

 

「…ま、どちらにせよ今日の分の書類は終わらせないといけませんからね。進めますか」

紙袋から出した小ぶりな六角形を箱の山の隅に寄せて置いておく。…匂いが、甘い…食べてないのに胃もたれしそう。

 

 

 

その後デスクに戻ってキーボードを叩き、ペンを走らせして仕事が一段落ついたところらへんで、そういえば紙袋どうにかしないとと思って畳んで処理しようとすると、中に何か1枚の紙が混じっていた。

何かと思うとバレンタインに即したお菓子ごとの意味合い的なやつの一覧表と、一言メッセージ的なやつらしい。

 

なんかグミとかが駄目みたいなのは聞いたことがある気がするけど、正直そこまで気にして買う人いない気がするけどなぁ。そもそも嫌いな人相手に贈り物をするわけがないし。私なら…ベアトリーチェとか?M67破片手榴弾でも仕込むか。

…ちなみにマカロンってどんな意味だろうかと思って探してみた。

 

……一番下にあった。

 

 

 

 

 

 

 

『マカロン:あなたは特別な人』

『一番大切な人に大本命として贈ろう!』

 

 

 

 

 

 

 

…顔が爆発したかと思った。

 

先生には体調不良かと気遣われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽【おふざけ】▽

 

 

「クックック…何か御用で?」

「…一応お世話になってるので」

D.U.の廃ビルの一つの中。

見慣れた風景と見慣れた人を見つつ足を進める。

…うん、一応お世話にはなってるからね。アビドスとかミレニアムとかにもチョコレート持っていったし、そうなるとここにも一応…ね。

 

「おや、珍しいですね」

「まあ、それなりに色々なところで手助けはしていただいてるので」

黒服さんの座る机の上に箱を一つ置く。

 

「ふむふむ…定価3800円の18個入りチョコレート…かなり良いところのものですね」

怖っ。値札剥いでるし値段表示塗りつぶしてるはずなのになんで値段言い当ててるのこの人…というか、

 

「デリカシーどこかに捨ててきました?」

「冗談です。それに、これだけのために来たわけではないのでしょう?」

…気付いてるか。いやまあ…

 

「これに関してはあなた方が悪いのでは…」

シャーレに送られてきたチョコレートの数々。

売っているものから手作りのものまでいろんな物があった…そこは良い。全然良い。けど…!

 

「なんで先生の顔を3D設計したチョコなんて作って送りつけてきてるんですか…暇なんですか?」

「クックック…1/5スケールで一つのチョコレートの塊から切り出して作ったんですよ」

「作り方は聞いてません…!」

「製作期間は1週間で、マエストロに協力してもらっていましたし、再現度は高かったでしょう?」

「先生割と引いてましたよ」

なんか見たことない苦笑いしてた。もはや苦笑で済ませて良いのか微妙なところ。

宛名もなしにこんなものを送りつけてくるのはこの人たちくらいしかいないと思ってコンタクトとってみたら案の定か…

 

まあ結局先生も食べてたし、まあ良いやってことで取り敢えずその場はそれで終わりにしておいた。

あとなんかあの空間にいるとこっちの頭までおかしくなりそうでちょっと怖かった。なんでバレンタインの日に全然違うベクトルの恐怖を感じなきゃいけないのか…いろんな意味で頭を抱えたくなった。




ゲマトリアは重要じゃないところならどれだけふざけ散らかしてもいいって祖母が言ってました。
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