地獄発、地獄行き   作:有森

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時間が飛びます。


先生

はてさて、紆余曲折色々とありつつも二年ほど経った。

 

ミレニアムには無事入学してトラブルにも巻き込まれつつ、私は私でやることを色々やっていた。

名もなき神々について、反転について、色彩について……

図書館や、割と無理を言って入れてもらった古書館で探したりもしたけどやっぱりそこまで有力なものは出てこなかった。

尚、そんなのでほとんど他の生徒たちと交流をしてないから友達といえる人はほとんどいない。知り合いは増えた。広く浅くってかんじかな。

黒服さんとの交流も…まあ、必然的にというか増えて。とりあえず、色彩により好まれる器があれば引き剥がすこと自体は理論上は可能だけど、反転自体はどうしようもない、という感じになっている。

あとシャーレ所属になる旨のことも伝えたけどまだ特に興味は示してなかった。…これでも後々シャーレに年賀状送ってくるくらいになるからね…後々の展開を知ってる身としては割と先生大好きなだけのおもしろ集団にも見えてくるのほんと何なんだろう。

でも割とやることは気に入らないから契約後から戦闘をできる限り控えてみてる。どうせ先生が来てからは嫌というほど戦わないといけなくなるし、ミレニアムの射撃場とかで定期的に狙撃練習してれば腕は落ちない。体力トレーニングは毎日やってるし。

 

それと、連邦生徒会長がまた失踪した。時期的にそろそろかな、と思って注意してたんだけど、結局ある時にパタッといなくなってしまった。

 

そして。

 

「シャーレ発足当日、か…」

連邦生徒会長がいなくなったことで犯罪率や違法な武器の流通率が爆増して手に負えなくなった状態下ではあるけれど、今日リンさんが連邦生徒会長の指名した大人、もといシャーレの先生を連れてくることになっている。

私は、その裏でシャーレの整備とか荷物の整頓とかをしている。

シャーレ所属部長になったからね…こっちも連邦生徒会長の指名で。

シャーレという影響力の大き過ぎる機関に何処かの生徒が単独で入ることになってみれば、その学校の権力や発言力も必然的に上がってしまうわけで。ということでミレニアムからシャーレへ転入という名のほぼ疑似卒業的な感じになった。

まあ、成績的には全然問題なくなったからね…仮にも一応三年生だったし、頭は悪くはない方と自負してる。

 

閑話休題。

 

サンクトゥムタワーの電源は落ちちゃってるけど昼間なら別に日光も入ってくるから作業くらいはできる。

連邦捜査部としての部室の掃除や、既にいくつか届いている書類を整理…え、初日というかまだ先生来てすらないのに何でこんなに書類ここにあるの?

 

地獄の書類仕事のオンパレードを脳裏に移して目が死にかけつつ整理の手を早める。

……と。

 

「……ん?」

何か揺れてる気がした。

どこかでまたドンパチやってるのか…とも思ったけどそれにしてはやけに音も大きい。

…そういえば、シャーレ発足当初は不良たちがサンクトゥムタワー占拠しようとしてたね…

 

…うんうん……忘れてた。まずい。

 

急いで背負っているSR(Moriens)を構えて、壁を背にしてそっと窓から外を覗く。……うん、大量の不良たちがいる。で…あれはユウカさんとハスミさん、チナツさんが交戦中で、となると奥にいるあの人は……っ!!不良が狙ってる!

反射レベルの速度で神秘を蓄積から平常に戻して、照準を合わせて引き金を引く。…よし、命中。

援護はしないとね。まあ、あの三人でも問題はないだろうけどさっきみたいに何かあるかもしれないし。

窓をもう少し開けて再度愛銃を構え直す。そして…

 

「…てっ」

ビナー戦のときとは比にならない。

安定した体勢と遠距離という私の超得意分野。外すわけがない。

いきなりバタバタ倒れだした仲間に混乱しだして、より動きが単調になったヘルメットを被った不良達を次々撃ち抜いていく。

 

…え、ちょっと待って戦車出てきてるやっば。

っていうか、あれ砲身先生に向いてない?

………やばい…!

急いで体勢を整えてリロードを済まし、ヘイローから手、銃に神秘を流す。

 

「…………!」

集中、集中…集中……!

 

照準を合わせて引き金を引くと神秘を纏った銃弾が放たれる。

それは真っ直ぐ狙った通りの場所へ飛んで行き…戦車の操縦席を上から撃ち抜いた。

 

「…よし、ある程度は片付いたかな。…片付い……てないか」

全然普通にワカモさんいたわ。

と、流石に気づいたのかハスミさんがこっちの方に指を向けてユウカさんとチナツさんに合図を出していた。

 

…了解。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈少し前〉

……なんなんだろう。

いや、割と真面目に現実逃避の域に到達し始めている気がしないでもない。

“先生”としてここ、キヴォトスに登用されたかとおもったらその職場が不良に占拠されかけてて。

それを突破するために私が守るべきであるはずの生徒にむしろ守られるという今の状況。

…いやね?一応指揮まがいのこととかは私のできる限りではやってるんだけど正しいのかもわかんないし、そもそもだけど学生同士で銃撃戦してるって何?字面の治安が迷走してる。

 

「先生!」

ッ!危ない。

真横から赤いヘルメットの子が出てきたかと思ったらその子が撃たれたようにのけぞって倒れた。

…うん、まあ撃たれたようにというか撃たれたんだろうけど。

お礼を言おうと4人の方を向いて…4人ともがありえないものを見るような目でこっちを見ていた。

え、何で?誰も何もしてない?え、じゃあなんでこの子が倒れたの…なんて、言おうとしたその時。

 

「がっ!」

「びゃっ!?」

「な、なん…げふっ」

「いッつ…ったぁ!?」

次々と、目の前の子達がどこからともなく撃たれたように倒れ始めた。

 

「な、何が…」

「“ユウカ!危ない!”」

慌てて指示を飛ばす。奥の方から、戦車が来ているのが見えたからだ。ユウカはそれを聞いてか紙一重でその砲撃から逃れはした。

うーん…無法地帯。

 

「!何処かから流されたクルセイダーですね…!!先生!くッ、」

ハスミが銃のコックを引いて狙おうとした時、横からの接近に気付くのが遅れて怯んだ。

慌てた様子でユウカとスズミも来てくれようとしてるけど…これ、やばくない?

なんて思った瞬間、さっきよりも大きな金属音が響いて、戦車は爆発した。

…えぇ…?

 

「!皆さん、どうやら…」

「…!ああ、シグレさんね」

「?」

と、各々かかってきた子たちを倒してからなんかビルの方を指しながら話し始めてた。一人ぼっちにしないでよー。

 

「ああ、まあ…後々紹介することになるでしょう。今は…」

前を向くと、狐のお面をした少女が一人。

あの子が、七人囚のワカモ…

と、次の瞬間には彼女の銃剣がブレた。

 

「!?」

一発かと思うほど速い連射がばら撒かれたらしく、前に出ていたユウカに直撃した。

が。

 

「っ、あぶ、なかった…」

ユウカの周りには青白い半透明の障壁が展開されている。怪我はないみたいでよかった。一度退こうとしたのか手を退けたワカモに、すかさずスズミが閃光弾を投げる。

と、それを空中で撃ち抜いて弾いたのか、空中で閃光が弾けた。

しかしその時、ワカモのお面がいきなり外れた。…正確には、撃ち抜かれたように弾け飛んだ。それにひるんだのか一瞬動きが止まった。

 

「“そこ、ハスミ!”」

「分かりました!」

その隙にハスミに指示を出して一撃を入れよう…としたところで、ワカモはそのまま素早く走り去ってしまった。

 

「強かった…っていうかシグレさんもよくあの距離から狙えるわね…」

「“その、シグレ?って誰なの…?”」

ポツリと呟いたユウカに聞いてみると。

 

「あー…まあ、シャーレの部長ですね。一応籍はミレニアムだったんですけど、転入みたいな形でシャーレの方に入学というかなんというか……説明がちょっと面倒なんですけど」

なんか色々ありそうだね…

 

「まあ、少し初対面だと怖い印象を持たれるかもしれませんが、親切な人ですよ」

「私はまだ会ったことはありませんが…たまに噂は聞きますね」

「あとすごい強いということは聞きますね」

ハスミとチナツ、スズミが言うにもそんな感じらしい。

どんな子なんだろう。聞いた感じはいい子そうに聞こえるんだけど、大丈夫…かな?




戦闘描写って難しくないです?
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