百 合 の 間 に 挟 ま る 男   作:剣亡今日助

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 最終話。ここが自分の性癖のセントラルドグマです。注意。


世界で二番目に愛してる

「それじゃ〜、これより1-Aの女子達による飲んで食べる会を始めます!かんぱ〜い!」

 

 ここはとあるスイーツバイキング店、今酒先生の音頭を皮切りにスイーツを手に取る女子学生達。その中に和奏と央華の姿もあった。

 

「「あ〜ん」」

 

「ヒューヒュー!今日も相変わらずお熱いね〜!」

 

 お互いにスイーツを食べさせ合う和奏と央華、それを囃し立てる今酒先生、恋人同士だという事が理解され受け入れられている姿がそこにあった。

 

「他の女子はどうなんだい?この二人に一歩も二歩も先を越されてるままで良いワケ?好きな人もいない灰色の青春?」

 

「灰色なのは先生の人生じゃないですか……」

 

「グワーーーーー!それは言わないのが慈悲じゃないのよ!?」

 

 言葉のナイフで刺され涙目になる今酒先生を見てアハハと笑う女子達。そんな中、一人の女子がハイと手を上げた。

 

「す、好きな人います!同じパーティーの騎士さんです!」

 

「お〜〜〜!ジョブが癒し手だもんね。タンクとヒーラー、鉄板の組み合わせだ〜」

 

「は、はい……でも、鉄板にもなりますよ!守って貰うとかっこよく見えちゃいますし、そんな彼が私には甘えて来るんです!母性本能くすぐられちゃいますよ!」

 

「あー……確かに。あたしも亮斗に守って貰った時、彼の事が10割増しでかっこよく見えるし。あっ!誤解しないで欲しいんだけど、かっこよく見えたからって彼になびいたりしないからね!あたしは央華一筋だから!」

 

「もう……不安になったりしないのに……カナちゃんったら……」

 

「本当にお熱いねー……ねぇ、聞きたいんだけど……ぶっちゃけ、彼の事どう思ってるの?」

 

「亮斗の事?そうね……かっこいいし、守ってくれるし、あたし達とパーティー組むと決めてくれた時は本当に嬉しかったし……男性の中では一番好きかも」

 

「わ、私も似た感じです……!」

 

「一番好きとか言ってるのに、ラブの気配は微塵もしない……!やるわね二人とも!」

 

 今酒先生がそう言うと、また笑い声が咲き誇る。こうして女子会は終始和やかな雰囲気で進んだ。

 

 

 

 

 

 ダンジョンの完全制覇は難しい。単純に広いのだ。金土日の三日間を使っても探索し切れない程広い。広範囲を探索すれば当然それだけモンスターと接敵する。切り上げて出直そうとしても不活性化して数年間お預けなんて事はざらだ。だから完全制覇しようと思えば五日でも十日でも時間をかけて探索し続けるしか無い。しかし学生は授業があるのでそこまで探索出来ない。だが学生が探索し続けられる例外が存在する……それが長期休暇だ。

 

「おはよう。今日で五日目だね。今日も頑張ろう」

 

「おはよ……ふあぁ……ダンジョン内で寝泊りするのも慣れて来たけど、いつ叩き起こされるか不安で不安で、幾ら寝ても寝足りない感じがあるわね……」

 

「そうだね……モンスターはどんどん減ってるけど、ここが敵地のど真ん中って事実は変わらないもんね……」

 

 テントから二人が出て来る。僕達は朝食を保存食で済ました後にテントを片付けて、アイテムボックスに仕舞う。テントすらも持ち込めるんだからアイテムボックスさまさまだ。

 

「それにしても、随分と歩いたわねー。そろそろボス部屋見付かっても良いんじゃない?」

 

「マップを埋めれば、その分だけボス部屋に近付くからね。焦りは禁物だよ?」

 

「わ、解ってるわよ!」

 

 二人はどうやらスマホのマッピングアプリを眺めているみたいだ。スマホを持っているだけで自動で周囲を計測してマッピングしてくれる優れものだ。アイテムボックスと同様に、スマホも冒険者にとって必需品になって久しい。

 

「準備が出来たら、HPを吸ってから出発しようか」

 

 睡眠をとったから、二人のHPも五、六割程度に回復しているだろう。

 

「わ、解ったわ……せーのっ」

 

『『HPを公開』』

 

 詠唱によって二人のHPが表示される。それを見ながら根を差し向けてHPを吸収した。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ!あのでっかい鉄扉、凄いボス部屋っぽくない?」

 

「確かにボス部屋っぽいね……開けてみるけど、心の準備は大丈夫?」

 

 頷きが返って来たのを確認し、重い鉄扉を押し開ける。扉の先に居たのは2〜3メートルもあるゴブリンだった。鋼鉄のナタを握り、頭には黄金製の王冠を被っている。ゴブリンキングだ!

 

「先手必勝!」

 

 そう叫びながら矢を放つ和奏だったが、ゴブリンキングは巨体に見合わぬ俊敏な動きで回避してしまう。それならばとハウンドアローを放つが、ゴブリンキングは軌道を捻じ曲げて追尾して来る猟犬の矢を切り捨てた。

 

「それなら……対応出来ない程の矢の雨を降らせてあげる!」

 

「──カナちゃんッ!」

 

 天井からもう一体のゴブリンキングが降って来て、和奏へと斬りかかる。僕は一目散に駆け出して和奏とゴブリンキングの間に割って入り、ゴブリンキングの攻撃を代わりに受け止める。

 

「ぐうっ……二体居るのか……!」

 

「ありがとう亮斗!央華!一体に集中して攻撃するわよ!」

 

「わ、解った!──ストーンバレット!」

 

 大量の石礫を生成して飛ばす央華と、矢継ぎ早に弓を引く和奏。飽和攻撃によりゴブリンキングは回避に集中し、攻撃に回る暇が無くなった──一体だけは。そうなればもう一体の方を妨害して自由に行動させない、それが今僕がやるべき事!

 

「うおおおおおおおおおお!!!」

 

 叫び声をあげながらゴブリンキングその2に突撃する。奴は僕の振るう剣を右手に握るナタで迎え撃ち、左手で僕をはたき飛ばした。

 

「──うおおおおおおおおおお!!!」

 

「ギイィ!ギギャ!」

 

 僕は空中で体勢を整え、両足で姿勢を崩さず着地する。そして屈められた両足をバネのように伸ばし、奴へと駆け出す。奴は殴り飛ばした相手が直ぐ様戻って来たのにも動揺せず、上からナタを叩きつける。

 

「ぐぅ……」

 

「ゲギャ!グギャギャ!ゴギャギャギャ──」

 

 うめき声が出ながらも必死に盾で受け止める。奴は嘲るように楽しそうな鳴き声をあげながらリズミカルにナタで叩き続ける。終いには飛び上がって一回転し、渾身の力を込めた一撃を僕に叩きつけようとして来る──。

 

「──アガギャアッ!?」

 

「──よくもあたしの大切なパーティーメンバーを虐めてくれたわね」

 

 ──しかし、それを咎めるように和奏の矢が奴の頭部に命中し、奴の頭は弾け飛ぶ。二人の方を見ると、そこには身体が穴だらけになったゴブリンキングの死体があった。避けきれなくなればあっという間に死ぬ事は、彼女達の攻撃力を考えれば当然だが、思ったよりも早かったな。それだけ頑張ってくれたのだろうか……そんな事も思ったが、大事なのはそこじゃない。

 

「本当に……やったんですね。学生の時点で、ダンジョンの完全制覇を!」

 

「いや、正確にはまだだよ。ダンジョンコアを破壊しないと……」

 

「ダンジョンコアって、この部屋の奥の扉を開いた先にあるんじゃない?早速行くわよ!」

 

 和奏に引っ張られるように奥へと向かい、鉄扉を押し開ける。その先は小ぢんまりとした部屋で、その中心に青く半透明な正八面体が浮かんでいた。和奏がそれを射抜くと、パキャーンと音を立てて微塵に砕け散った。

 

「──これで、このダンジョンは崩壊するのよね?」

 

「そうだね。崩壊のペースはゆっくりだって話だけど、長居する理由も無いし、早く帰ろうか」

 

「──はい!それで、これからどうします?名声を得るという目的はこれで達成出来ましたから」

 

「そうだな……遊んで暮らすとか?……なんてね。大して趣味とか無いのに何して遊ぶんだって話。……和奏は?」

 

「あたしぃ?そうね……」

 

 和奏は暫く考え込んだ後、妙案を思い付いたかのようにニヤリと笑った。

 

「名声って、あればある程良いと思わない……?」

 

 そんなわけで。僕達のパーティーはこれ以降もダンジョン探索を続け、完全制覇したダンジョンは、容易に10を上回ったのだった。

 

 

 

 

 

 あれから数年後、僕は和奏から何度目かの招待を受け、彼女の実家へと赴いていた。古く大きな門をくぐり抜け、屋敷の敷地内へ足を踏み入れると、席に座り待っていた様子の彼女()が立ち上がり、こちらへと駆け寄って来る。相変わらずだが、和服が良く似合っている。

 

「はいこれお土産」

 

「わぁ〜〜〜!これ好きなやつ!ありがと亮斗!」

 

「央華も来てたんだ。意外……ではないな。暇さえあれば毎日来たいと思ってるだろ?」

 

「あ、あはは……その通りです」

 

「もうウチには通い慣れてるだろうけど……付いて来なさい、()()手ずから案内してあげるわ!」

 

「はいはい、よろしく頼むよ」

 

 専門学校を卒業した後、二人は完全制覇の名声をもって当主となり、両家の和平を成し遂げた。僕は普通に冒険者になって気楽なソロで探索する日々を送っている。タンク系ジョブが回復能力持ってると自己完結しがちなのだ。

 

「最近はどうだい?」

 

「いつも通りよ。肩が凝りそうな家の代表の仕事。他の家と挨拶をしたりされたり、家の中の揉め事を仲裁したり。あなた達と気楽にダンジョン探索してた日々が懐かしいわ」

 

「私も同じです。……ふふっ、あの日々は本当に充実してましたね」

 

「昔の事を懐かしむとか、歳をとった感じが──」

 

「失礼な事を言うのはこの口かしら?」

 

「いひゃいいひゃい」

 

「ふふふ……えいっ」

 

「おうふぁまで……」

 

 二人に頰をつねられながら歩いていると、目的地に着いたみたいだ。しかし……着いた場所は確か、和奏の寝室だった覚えが……。

 

「さ、入って入って」

 

「お邪魔しまーす。……いやいやいや、それは何!?」

 

 和奏に促され入室すると、枕が三つ並べられている大きめの布団が目に入る。

 

「そ、それはですね……」

 

「端的に言うと、あたし達を()()()()欲しいの」

 

「はら……ッ!?なんでそんな事を!?」

 

「あたしも央華も子供が欲しいの。自分の血を後世に遺したいし、我が子を産んで教え育てる母親って奴に憧れがあるの」

 

「私とカナちゃんの間で子供を作れればそれが一番良いんですけど……どちらも女なので物理的に無理です。なので男……父親が必要なんです」

 

「そこで思い付いたんだけど……あたしと央華が同じ相手と子供を作ったら、あたしの子供と央華の子供はきょうだいって事になるじゃない?子供が孤独にならないように、血で繋がったきょうだいを出来るだけ多く遺してあげたいの」

 

「それなら精子バンクという手もあるじゃないか……!何で僕なんだ?」

 

「そ、それは……リョウくんが信頼出来る男性だからです。何があったとしても心地良い距離感を保ってくれるでしょう?」

 

「世界中の男達からたった一人を選べと言われたら、真っ先にあなたを選ぶわ。無謀な事に挑戦しようとしてる女の子を献身的に支えた報いね。恨むなら専門学校時代の自分を恨みなさい?」

 

「恨みも後悔もしない、するわけ無いよ。完全制覇へ一心不乱に打ち込んでいたあの日々は、本当に充実していたんだから」

 

「……そういう所よ」

 

「ふふっ、えーい」

 

 顔を赤らめ、視線を逸らす和奏。和奏が引いた分バランスを取るように央華が距離を詰めて来る。

 

「あっこら!抜け駆けは駄目って言ったでしょ!?」

 

「えへへ……カナちゃんが勝手に引いただけだもん」

 

 央華に対抗するように距離を詰めて来る和奏。こういった些細な言い合いもじゃれ合ってるだけ、つまりイチャついてると解るようになって久しい。僕をダシにしてイチャつくと言うならどうぞ好きなだけダシにして欲しい。恋人同士が愛し合うのは良い事だからな。

 

「全く、今もそうやて紳士ぶって……そういう所、嫌いなわけじゃないけど……」

 

「ふふふ……まだ手を出さないチキンな所、私も嫌いじゃないですよ?」

 

 妖しげに笑う二人。クスクスという笑い声がやけに耳に残る。

 

「ねぇ……ここに孕み頃のメスが二匹もいて、種をお恵み下さい〜って啼いてるのよ?だから……内に秘めた野獣、さらけ出しちゃいなさいよ……♡大丈夫、私達が受け止めてあげるから……♡」

 

「オス様のかっこいい所、見せて下さい……♡男を知らない私達の身体に、刻みつけて、わからせて……愛して下さい♡」

 

 左右から囁き声で煽られ、頭の中で何かが切れる。

 

「わっ……♡」

 

「きゃっ……♡」

 

 二人の身体は押され布団に投げ出される。そんな二人を眺めながら、僕は衣服を脱ぎ出す。

 

「わ、わぁ……♡」

 

「ごめんなさい……♡許して下さい……♡」

 

 つまり、何だ、その……僕はヤってしまったのである。某百合豚に知られたら僕はきっと殺されるだろう。

 

 

 

 

 

「ねーお母さん、何でお母さんはお父さんと結婚してないのー?」

 

「してないのー?」

 

「──!?げほっ、ごほっ!」

 

 あの初体験から10年後、僕と和奏の三女と、僕と央華の三女が、和奏と央華に突っ込んだ事を訊いていた。僕はお茶を飲んでたのでむせてしまった。

 

「んー、そうね……」

 

「私達が二人いるのに対してお父さんは一人だけですからね。同時に二人と結婚は出来ないのがこの国の法律ですから」

 

「そっか!それじゃあ……」

 

「もし二人と結婚出来る法律だったら、結婚してた?」

 

「そりゃあ……してたでしょうね」

 

「はい、結婚していたと思います」

 

「二人……三人?は愛し合ってるの?」

 

「小母さんとお父さんだと、どっちの方が好きー?」

 

「央華と亮斗なら、央華の方が好きね。つまり亮斗は二番目よ」

 

「私も同じ感じです。愛し合っているかはお父さんに訊けば自ずと判るのでは?」

 

「そっか!──おら親父ー!キリキリ吐けやー!」

 

「二番目!二番目!」

 

 こちらに駆け寄って絡み出した娘達にあたふたしていると、僕達を見てクスクスと笑う二人が目に入る。それを見ると、こんな日々も悪く無いなと思えるのだった。つまり……幸せという事だった。




 両手に花って男の夢ですよね。そう思えば百合を見て「間に挟まりてぇ〜」と思うのは原罪と言えるのかも知れません。
 恋人ではない相手に身体を許すって爛れててエロいですよね。エロスとはインモラルだと思うんです。
 「二番目に好き」と言うのは自分が送れる百合好きへの最大限のリスペクトです。まぁ受け入れられるかはサッパリ判りませんが。
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