モンスターハンター―ONE PIECE―   作:サクラン

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今回はほぼプロローグになります。絡みは多分少ないです。

それではお楽しみ下さい。


ROMANCE DAWN

 富、名声、力…この世の全てを手に入れた男、海賊王“ゴールド・ロジャー”。彼の死に際に放った一言は、人々を海へと駆り立てた。

 

『俺の財宝か?欲しけりゃくれてやる……探せ!!!この世の全てをそこに置いて来た!!!!』

 

 そのたった一言で、大勢の者達が夢とロマンを追い求めて海へ出た。

 そうして今では“大海賊時代”と呼ばれる時代が幕を開けた…死に損ないの男の、たった一言だけで…

 

「いやー面白いわよね。人間の生み出す熱狂っていうのは」

 

 一筋の光もない闇の中、透き通るような少女の声が響き渡る。闇に呑まれる事なくハッキリと存在を示すその少女は、光がなくとも純白に輝くドレスを身に纏い、その瞳は血のように紅かった。

 

「たった一言…なんの根拠も証拠もない。“世界の海を制覇した”という実績はあったけど…言ってしまえばそれだけ。莫大な財宝があるなんて一言も言ってない」

 

 誰に語るわけでもなく、少女は懐かしむように目を瞑り、闇の中をなぞる。すると一枚の古紙が現れた。

 それは世間にとって“お尋ね者”である事を示す手配書。顔写真として不敵な笑みを浮かべる男の写真が写っており、写真の下には男の名とその危険度を表す賞金額が記載されていた。

 

「にも関わらず何故その一言で人々は海に出て、一つの時代の幕開けにまで至ったのか…?それはきっと、()()()()()()()()()

 

 少女の言葉と共に、闇の中にいくつもの映像が浮かび上がる。それは手配書の男の生涯であり、様々なものだった。

 後に相棒となる男との出会い。海賊として初めて旗揚げした時。仲間との宴。ライバル達との殺し合い。絶対に倒さねばならない敵との激闘。そして…生涯最後の景色である、処刑台から見下ろした民衆、海兵、海賊達。

 

「彼の破天荒さ、強さ…彼が名を馳せた理由は多くあるけど、それらを成したのは彼の“意志”が根幹にあった。強さや冒険譚は、その結果として後から着いてきたもの。常軌を逸した彼の“意志”の炎が、世界中に燃え広がったと言っても良いわね」

 

 そして映像は別のものへ切り替わる。今度は一個人の視点ではなく、多くの者達が映っていた。

 

「そしてそうした“意志”が燃え盛る瞬間は…何よりも美しい」

 

 映像は戦いの記録だった。その映像の中で戦う者達は、迫真がかった表情だった。何を思って戦っているのかまでは分からないが…とにかく本気で譲れないものがあるという事は確実に伝わる。

 

「戦いが起こるのは、互いに譲れないものがあるから。“意志”の善悪に限らず、互いの“意志”が相容れないものだと感じたのなら、戦うしかない。それによって多くの悲劇も起こるけど…それでもやはり、それは美しいものよね」

 

 少女が手を振るうと、全ての映像が消えた。

 

「この世界に生きる者達は、誰もが譲れないものがある…」

 

 そして少女は闇の中を真っ直ぐに歩き始める。

 

「人間に限らず、全ての生き物達だってそう。それは子孫の為だったり、強さだったり、その者にとっての矜持だったり、あるいはもっと原初的欲求なものである“生”への渇望だったり…」

 

 語りながらしばらく歩いていると、正面に眩い光が見え始めた。

 

「誰もが皆必死だからこそ、この世界は残酷で美しい」

 

 そうして闇の中を出ると、そこにはどこまでも続くと思えるような水平線が広がっていた。

 

 貴方も見てみる?この世界に生きる者達が紡ぐ物語を。きっとそれは、何より美しいものだわ

 

 あ!そう言えば私が推してる子がいるのよ!折角なら、その子に近い物語を見てみましょうか!

 彼ならきっと、退屈はしないでしょうから…

 

 

 

 

 

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 暖かな陽の光が降り注ぐ山の中。その山は一見何の変哲もない長閑な山だが、甘く見てはいけない。

 そこには山賊が住んでいるだけでなく、恐ろしいモンスターが巣食っているのだ。それも…強大な火竜の番が縄張りとしている山である。領土の王国としてもやすやすと手が出せず、現状民間人に被害が出ていない事から渋々放置されている。火竜だけでなく、青熊獣や大猪と言った、常人では手も足も出ないようなモンスターも住んでいる。山を越えようと思うと命を懸ける覚悟も必要だった。

 

「ブルルル…!」

 

 そして今、大猪は一人の人間に狙いを定めていた。モンスターの中だと危険度は低い部類に入るが、大抵の人間にとってその突進の威力は脅威だ。何せ部下であるブルファンゴの突進すらもろに食らってしまえば成人男性であっても骨折は確実。ボスである大猪の突進など当たりどころによっては死に至る。縄張り意識が高く、執拗に追いかけて来る事からも立派なモンスターとして恐れられていた。

 

「ブルオオオオオ!!」

 

 鼻息を荒く吹き、獲物に向かって大猪は突進する。その速さはとても走って撒けるものではなかった。このままではその延長線上に立つ()()()()()()()()は成す術もなく吹き飛ばされてしまうだろう。

 

 

 

 

 

 ―()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「“()()()()()”…」

 

 青年が大きく後ろに腕を引くと、()()()()()。それも明らかに常人のそれではなく、身体の何倍も―それこそゴムのように伸びていた。

 

 

 

 

 

「―“バズーカ”ッ!!!」

 

「ブガッ…!?」

 

 

 

 

 

 そして引いた腕を一瞬で引き戻し、前へ突き出すと大猪は大きく吹き飛ばされた。

 その威力はさながら大砲。大猪の突進に勝る事からもその青年が人間離れした強さを持っている事がよく分かる。青年は麦わら帽子を被り直すと、ニカリと快活な笑みを浮かべた。

 

「だ〜〜はっはっはっは!!またおれの勝ち〜〜〜!!」

 

 そして大きな笑い声と共に勝鬨を上げる。この青年はモンスターが蔓延る山の中で逞しく育った青年。

 

『“モンキー・D・ルフィ”』

 

 彼は幼い頃ひょんな事から海の秘宝とも呼ばれる果実、“悪魔の実”である“ゴムゴムの実”を口にし、世にも珍しい全身ゴム人間と化したのだ。そこから色々あってこの山で育ち…そして今日は、いよいよこの山を出る日なのだ。

 

「ん〜良い天気だ!絶好の船出日和ってわけだな!!」

 

「フゴゴ…」

 

「グオオン…」

 

 なおその背後には先程の攻撃でダメージを食らい、目に涙を浮かべている大猪と、頭にタンコブを作った青熊獣が座り込んでいた。

 彼らはこの山を縄張りにし、最初は当然ルフィを外敵と見做していた…のだがルフィが成長するにつれて力関係が逆転し、今や良い修行相手兼ペットとして従っていた。

 ただルフィもいたずらにモンスターを傷付けたりイジメたりするような性格ではなく、むしろ人間を相手にするのとほとんど変わらないテンションで関わって来る為、居心地が悪いわけではなかった。

 

「…にしても、お前らの肉が食えなかったのはちょっと残念だなァ…」

 

「フゴッ!?」

 

「グオッ!?」

 

 しかし時折ヨダレを垂らしながらこっちを見て来るので、油断は禁物であった。こういう事は今まで何度かあったが実際に襲って来た事はないので恐らくは冗談の一つ…の筈である。

 

「あっそうだ!ダダンの前に()()()()にも挨拶しとかねぇと!」

 

 ルフィは何かを思い出すと山頂に向かう。そうして向かった先にいたのは―

 

 

 

 

 

「お〜い!!お前ら〜〜!!」

 

「「!!」」

 

 

 

 

 

 ―この山の主とも言える存在、火竜の番だった。

 二頭揃った際にはその凶暴性から手に負えないと言われる程だが、この火竜はこの山を気に入ったのか子をなした後も定住してしまった。

 しかし外部から刺激さえ与えなければ無闇矢鱈と暴れるようなものではなく、縄張りに入ったとしても短時間であれば見逃すし、過剰な接触や暴れる事さえしなければ縄張りでの定住も認めている。ルフィやとある山賊がこの山にいられるのもそのお陰だ。

 しかもどこかルフィの惹かれるものがあったのか、火竜の番は時折ルフィに会いに来る上に、手合わせまで付き合う程の仲の良さだ。ルフィも言葉こそ分からないが、野生の勘で通じ合っているらしい。

 

「おれは今日でこの山を出る!お前らともしばらくお別れだ!」

 

「グオオオン」

 

「グアアアン」

 

 ルフィは名残惜しさを感じさせない言い方だが、火竜の番も寂しがったりする様子は見られない。ただ二頭共現実を受け止めた上で、ルフィの身を案じているようだった。

 

「おれは結局お前らに勝てなかったからな〜…でも!次会った時はおれが勝つからな!またここに戻って来た時は、今の何倍も強えぞ!!」

 

 ルフィは火竜達に向かって啖呵を切る。そう、ルフィは自身の目的の為に鍛え、その過程で火竜達とも戦って来た。が、真っ向勝負で彼らを打ち倒す事はついぞ叶わなかった。雌火竜相手は良い所まで追い込んだのだが…それでも押し切る事はできず、火竜に至っては空中戦の優位を崩せず、終始劣勢だった。

 だから次会った時には必ず勝つと―遠回しに必ず帰って来るという意味も込めて約束する。

 

「…グオオオオオン!!」

 

「グアアアアアン!!」

 

 そして火竜達もそれに応えるように咆哮を上げる。竜の寿命は人間より長いが…彼らもまた、ルフィが戻って来るまでに死ぬわけには行かなくなった。

 

「ししし!じゃあ、おれはダダンにも挨拶して来るから、お前らあいつらの事よろしくな!」

 

「グオオオ…?」

 

 ルフィはその場から去りながら、自分が世話になった山賊の事も火竜達に頼む。それを聞いた火竜達は少し困惑する。確かにルフィとの仲を深める過程で顔見知りにはなったが、立場としては人とモンスター、間違いなく相成れないものだ。その事を、この人間は分かっているのかと。

 

「グオオオオオ…」

 

 しかし火竜は知っていた。ルフィは本気で自分達を信頼していると。この男はアホだが、伊達や酔狂で信頼を預けるような男ではない。「よろしく」と言った以上は、「絶対になんとかしてくれる」と思っているのだろう。

 火竜達としては、そんな約束をわざわざ守る理由はない。自分達の事は自分達でなんとかしろというのが当然だ。

 しかし…火竜達が今の生活をしていられるのは山賊の噂が人を遠ざけてくれているお陰でもあるし、ルフィを通して間接的に世話になっているとも取れる。まあ、守ってやるまでは行かずとも気にかけてはおくかと、火竜達は心の片隅で留めておくことにした。

 

「?」

 

 そうして火竜が眠ろうとすると、ある事に気付いた。ルフィが山頂の広場入口で立ち止まっているのだ。何か言い忘れたのかと火竜が疑問を抱いていると―

 

 

 

 

 

「―海賊王におれはなる!!!!」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 ―ルフィが突然身体を仰け反らせながら腕を広げ、山中に響くような大声で叫んだ。そして一瞬火竜達の方へ振り返り、「ししし!」と笑うと走って山を下って行った。

 火竜は突然の行動に目を白黒させつつも地面に寝そべる。ルフィの言った言葉の意味は分からない。しかし本気で言ってることと、自分達に伝える為に言った事は分かった。わざわざあんな騒々しく言わなくても聞こえるのだが…どこまでもルフィらしい喧しさに火竜はうんざりしつつも、その旅の成功をささやかに祈っていた。

 

 なお、この数時間後にルフィは遭難して渦潮に呑み込まれるという、頭を抱えたくなる出来事が早々に起こるのだが、火竜達には知る由もなかった。

 

 

 

 

 

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 う、うーん…推しの幸先がいきなり不安だけど…ま、まあだからこそよね!なんとかなるでしょう!…多分!

 アナタの推しは誰かしら?いつどこで会えるかは分からないけど…彼らの旅路を見守りながらゆっくりと待っててね。




はい、プロローグでした。世界観説明もしたいけどそれだけで濃厚過ぎる…


・ルフィ→色々と考えたけどアオアシラやドスファンゴ程度じゃ東の海時点で相手にならないんじゃないかなって思います。ただレウスやディア相手には若干火力不足で勝てないです。

・コルボ山→ルフィの故郷の山。今回で出て来た以外の大型モンスターはいません。レウスレイアが飛び抜けて強い。鳥竜種もいますが全員ルフィの舎弟です。

・火竜夫妻→出港時点のルフィじゃ勝てない程度には強い。穏やかな気質なので縄張りに入った程度なら全然許す。ルフィとの距離感は近所で見守るおじさんおばさんぐらい。兄二人とも面識あります。

・白いドレスの少女→誰なんやろなぁ()。ルフィが推し。前の推しはロジャー。ただ線引きができるオタクなので手は出さない…筈。


こんなもんかな。次回は…世界観説明か二人目か、あるいは年代ジャンプか。多分どれかです。

評価、感想もよろしければお楽しみ致します。

それでは次回をお楽しみに。
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