和風ゲー世界の回復祈祷師~鬼畜世界で推しを助けるために治癒を極めてたら、いつの間にか周りが病んでいた~   作:鬼怒藍落

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第弐拾玖話:飼い猫探し

「あーほんと見つからねぇ……」

 

 昼頃の信濃の城下町をとぼとぼと歩く。

 今回任された依頼は飼い猫探しなのだが、それは三日かかっても見つかっていなかった。この三日間、俺は信濃の町から戸隠の地までも探したのにと……飼い主に申し訳なさを感じながらも先に進む真神を見て少しため息。

 

「真神ーいたかー?」

 

「あるじー猫いないー!」

 

 最近身長が伸びているせいで狭いところに入れなくなったので路地を真神に任せているのだが、やっぱりそこにもいないようだ。お腹も空いてきたし、このままだと見つかりそうになかった。

 はぁしょうがない、ここまで探していないとなると今回の依頼は諦めるしか……。

 

「っなんだ!?」

 

 何かの視線にばっと振り返る。

 感じたのはあまりに無遠慮な値踏みするような視線。

 気色が悪いとまではいかないが、あまり良い感情を持てないそれに……俺は警戒して周りを見る。

 

 あまり来たことない場所だが、広がっているのは違和感のない景色。

 城下町に広がる人の営みが感じられるそれの中、慌てて警戒する俺は浮いているが……それほどまでに先程の視線は嫌だった。

 ……俺の勘違いか? いやでも、あれは。

 

「あのぉ……大丈夫ですか?」

 

 後ろからかけられた声に、俺はすぐに構えるようにして身構える。

 そこに居たのは、淡い水色の着物を着ている桃色の髪を前世で言うところのポニーテールにまとめる少女。髪と同じく桃色の瞳を持つ彼女は明らかな驚きを浮かべており、構える俺に対してびっくりしている。

 

「……あ、悪い――びっくりして」

 

「い、いえ……こちらこそ急に話しかけてすいません」

 

 頭を下げれば相手も申し訳なさそうに謝ってくる。

 罪悪感を覚えてしまい、少し黙っていると相手の方から話しかけてきた。

 

「なにかお探しでしょうか?」

 

「あーえっと、そうだな猫探ししてる」

 

「猫ちゃん……ですか? 飼い猫さんですか?」

 

「いや依頼でさ――あー万屋やってるんだが、それで」

 

「なるほどです」

 

 こくこくと頷きながらも、そうやって納得する様子を見せる彼女。

 最初驚かせてしまったこともあってか、微妙話しづらい中で俺が少し頭を悩ませていると彼女の方からまた話しかけてきた。

 

「どんな猫ちゃんですか?」

 

「確か青い目の白猫だった筈……えっと黒い首輪をしてて、結構小さめ?」

 

 なんか急に聞かれたので咄嗟にそう答えてしまう。

 すると彼女はなにかにピンときた様子で身を少し乗り出してきた。

 

「あ、その子なら私知ってますよ。最近私が働いているお店に遊びに来てます! やっぱり飼い猫さんだったのですね」

 

「まじ? えっと会わせて貰う事って出来るか?」

 

 そんな偶然あるんだなと思いながらもそう聞けば「はい!」と元気の良い返事が返ってきて、彼女に着いて行くことになった。

 先に路地裏を探していた真神にも声をかけて、俺は彼女に着いて行き店の裏口に通される。

 

「今は店長さんもいないので、通したことは内緒ですよ?」

 

「流石にな……っと依頼の猫だなこいつ」

 

 服の中にしまっていた依頼書……というか、書かれた絵と同じ猫を見て俺は同じ猫であることを確認する。

 

「助かった。これで依頼完了だ」

 

「それはよかったです! でもこんな偶然あるんですね……」

 

「そうだな……っと真神、猫のこと任せていいか?」

 

「うん。にゃー……ふふ、可愛い」

 

 猫の確保を真神に任せれば、すぐにその猫を抱えてニャーと話しかけて笑う。

 暴れる様子もないしこのままなら彼女に任せていいだろうと思い、改めて俺は手伝ってくれた桃色の髪の人に礼を伝えようとしたのだが……。

 その瞬間に俺からぐぅ……と情けない音が鳴ってしまった。

 

「…………ふふ」

 

 きょとんと目を丸くしたかと思えば、そんな風に笑うこの店の店員の人。

 あまりの恥ずかしさに顔を逸らしてしまったが、顔を赤くする俺を彼女は面白がってか追撃してきた。

 

「お腹……空いているんですか?」

 

 かなり恥ずかしくて、俺は顔を逸らしながらも頷いて……そのまま俺は彼女に答えることにした。

 

「まぁ……そう、だな。依頼で昼抜いてて」

 

「ちょっと待ってくださいね」

 

 それだけ言った彼女は、裏口から店の中に入って程なくして戻ってきた。 

 戻ってきた彼女の手にはさっきまでは持ってなかった小さな小袋があり、三つほどの丸い何かが入っていた。

 

「これおにぎりなんですけど、よかったら二人でどうぞ」

 

「それ昼ご飯じゃないの?」

 

 真神がそう聞けば、はにかむように笑い肯定の意を込めてか軽く頷く。

 

「悪いだろ、適当なところで食べるから良いって」

 

「ですが、ここでお腹空いて方を見過ごすのは、この店の店員としての教示に反するのです……」

 

 その言い方はずるいだろうとそう思いながら断る良いわけが思いつかなかったので、俺は余計に申し訳なさ差を感じながらもそれを受け取った。

 

「あ、そんなに気になるのなら今日の夜このお店に来てください! それでおあいこです」

 

「まぁ……確かにそれなら……真神も夜ここでいいか?」

 

「構わない……おにぎりも美味しそうだし、期待大」

 

「ならそうしようか――あと二人くらい連れてくるんだがいいか?」

 

「はい構いません! ふふ、これは私のお給金が期待できますね」

 

 したたかなだなぁと心底思い、俺は今更ながらに彼女の名前を聞いてないことに気がついた。

 

「えっと俺は夜見だ。あんたは?」

 

「あ、私は早苗(さなえ)です! 今日の夜はよろしくお願いしますね!」

 

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