包帯令嬢の恩返し〜顔面難病の少女を助けたら数年後美少女になって俺に会いに来た件〜   作:pelca

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第19話 これからも一緒

 私の曲の再生数が凄くなっているということで、話題がそればっかりになってしまっていたところ、コンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。

 

 真空の母がやってきて、話が一段落したからリビングにきたらどうか、とのことだった。

 

 リビングに向かうと、ダイニングテーブルの四つの椅子に私の両親が座っていて、向かいに真空の父も座っていた。

 すると私達が戻ってきたのを目で確認した真空の父が話し出す。

 

「真空……宝条さんのお話聞いて、お父さん倒れそうになってしまったよ……」

「何言ってるの!? 倒れそうになったのはこっちだって!! これ見てよっ!!」

 

 真空が自分の父の話を無視してダイニングテーブルの中央にスマホを置く。

 そこには私の動画が表示されていた。

 

「あら……ルーシー凄いじゃないっ! まぁ、アレックスからはこうなるだろうとは言われてたんだけどね」

「ええっ!? そうなのっ!?」

 

母が動画の再生数を確認したが、思った以上の驚きではなかった。 

アレックスから聞いてたなら教えてくれても良かったのに。

 

「真空から歌をしているとは聞いてはいたけど、宝条さんは凄いんだなぁ……」

「お父さん、これ凄いってものじゃないよ? 凄すぎるよっ!! 多分日本でもこの人の正体は誰だって話題になってるはず」

 

 真空の父が私の動画の再生数を見て驚いたものの、真空がその驚きを上書きして説明する。

 というかやっぱり顔とか隠していると誰なのかって知りたくなるものなのか。

 

「真空ちゃんとりあえず落ち着きなさい。話があるから……そっちのソファに座ってくれるかしら?」

 

 真空の母が私達をソファに誘導する。私と真空と真来斗がソファに座ると話が始まる。

 

「真空ちゃん、よく聞いてね。結論から言うと、宝条さんのお家にあなたを預けたいと思う」

「いいのっ!?」

 

 真空が日本に来る……? 本当に?

 

「ただ、条件があります。日本に行ってからは最低でも週に3回は連絡を入れること。勉強を頑張り、成績が著しく下がった場合はアメリカに戻ってくること。長期休暇シーズンには毎回アメリカに来て一度は顔を見せること。逆に私達が日本に行く時もあると思うからそこでも時間を作って会うこと。最後に、もし悩みができたとしたら絶対に一人で悩まないこと……いい?」

 

 条件とは言われたが、個人的にはそこまで厳しくないような気がした。

 気になるのは勉強の成績が著しく下がった時はアメリカに戻すということだ。

 これは真空の成績が落ちないように私も協力すれば大丈夫なはずだ。ただ、真空の成績を聞いた限りは勉強もある程度できるようだし、問題はないとは思う。

 

「うん! 細かく連絡する。勉強もそれ以外も全部頑張る。皆に会う。……一人で悩まない」

 

 真空は真剣な顔で、自分の母が言ったことを繰り返し復唱する。

 

「宝条さんのお家の事を聞いたわ。私達では普段手の届かないような凄い方々。その宝条さんのお家でお世話になるということは、あなた自身も普段から生活に気をつける必要がある。迷惑にならないようなことはしないこと……わかってる?」

「わかってる。ルーシーもルーシーの家族にも迷惑にならないように気をつけて生活する……」

 

 じっと真空の母が真剣に真空の相貌を見つめる。

 

「ならいいわ……お父さんとももう話はつけてある。宝条さんのご両親も同じよ。これからお世話になるなら、今ちゃんとお礼を言っておきなさい」

「うんっ!! ありがとうっ! 本当にありがとうっ!!! お母さん、お父さんっ!! ルーシーっ!!!」

 

 真空は立ち上がり、ちょっと涙ぐみながら自分の両親に感謝を告げる。

 そうしたと思えば今度は私に飛びついてきて抱きしめる。

 

「真空……」

「これからも一緒だよ……?」

「うん……」

 

 真空は抱擁を解いた後、テーブルに座っている私の両親に向き合う。

 

「ルーシーのお父さんとお母さん。本当にありがとうございます。迷惑をかけないように一生懸命生活します。ルーシーともずっと仲良くします。来年からよろしくお願いします」

 

 頭を下げ、深々と礼をした真空。

 まだ日本の高校への入学は決まっていないが、真空の成績なら大丈夫だろう。

 

「真空ちゃんのお母さんはこう言ってはいるけど、子供は親に迷惑をかけるものよ。最低限のラインは守ってくれれば、迷惑はかけてくれていいのよ。昨日お家でも言ったけど、自分の両親だけではなく私達も頼ってね」

「はいっ!! 頼らせていただきますっ!!」

 

 顔を上げて元気に笑顔で返事をする真空。

 

「真空……ええと、オリヴィアさん。あまり甘やかさないでくださいね……」

 

 ただ、私の母の優しい言葉に対して、真空の母が指摘する。

 

「もちろんです。ダメなことをしたら、美紀さんの代わりに私達が怒りますから……」

 

 家によって教育方針も違うだろう。一度親の手を離れたら本当に何をしているか把握できない。

 ただうちなら、真空からの両親への報告だけではなく、別経由で真空の両親に報告をするだろう。

 

 こうして真空の家での食事会が終わった。

 激動の日だった。私の曲がとんでもないことになってるし、両親まで真空の家にくるし。真空と一緒に日本へ行けることが決まったし……。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 私はアレックスから言われて、新しい曲を作る為の歌詞を考えはじめた。

 最初の曲はあの光流との公園での出会いから私が変わるまでをイメージした曲だった。

 それなら次はどんなのがいいだろう。

 

 光流の腎臓が私の中にあること、たった一枚の光流と撮った写真、五年間も会っていないけどずっと想い続けていること、病気が治って包帯を外せるようになったこと、光流のお陰で日に日に私のできることが増えていくこと……。

 

 いくらでも考えられてしまう。たった一週間しか会ってないはずなのに、なぜこんなにも光流との思い出、想いは濃いのだろう。本当に不思議だ。

 

「よしっ。まあずはキーワードを箇条書きにしていこう」

 

 一曲目の歌詞を考える時と一緒だ。イメージするキーワードを出していって、それから歌詞を作っていく。

 あの後アレックスから聞くと、一曲目で曲を作るまでの流れが出来たから、次は一ヶ月もかからずスムーズに作れるという話だった。

 歌詞の提出期限を聞くと、急いでるわけでもないからゆっくりで良いとは言われたが、前と同じ一週間くらいでどうかとも言われたので、そうすることにした。

 

 そんなある日、真空と学校で過ごしていると、あることを聞かれた。

 

「ルーシー、もうそろそろ誕生日でしょ? お祝いどうする?」

「あ、そうだっけ。もうすぐになってたのかぁ」

 

 私の誕生日は十月十日。あと二週間ほどだ。

 

「いつもは家で誕生会を家族にやってもらっていたんだけど、真空お祝いしてくれるならお家くる?」

 

 アメリカに来てからは基本的にお家で誕生会をしていた。いつも母が手作りのケーキを作ってくれて、かなり豪華にしてくれる。

 

「うんっ! 行きたいっ!」

「じゃあ、お母さんにも言っておくね」

 

 こうして誕生会は真空とも一緒に過ごすことが決まった。

 友達と誕生日を過ごせるなんて……これも初めての経験。光流が私と出会ってくれて、それが今に繋がって生まれた一つのイベントだ。

 

「そういえば、ルーシーはギターどうするの? なんか言ってたよね? 私はドラム注文したからあと一週間くらいでルーシーのお家に届くようにした」

「そうだった……。せっかく真空と一緒に練習できるならって考えてたんだった」

 

 ギターなんて全然わからないし。あ、アレックスに聞いてみようかな。

 

「ちょっとアレックスに聞いてみるよ」

「うんっ。どんなのが良いかわかったら、楽器専門店で一緒に見に行こうよっ!」

「そうだねっ」

 

 その後、アレックスに連絡してみると、ある楽器専門店を紹介された。

 アレックスは歌のコーチだが、歌以外の音楽関係者の知り合いも多いようで、そのお店の店長に繋いでくれるとのことだった。

 

 それを真空に伝えると一緒に行くという話だったので、休日に時間を合わせて向かうことにした。

 

 

 

 

 




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