包帯令嬢の恩返し〜顔面難病の少女を助けたら数年後美少女になって俺に会いに来た件〜   作:pelca

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第41話 初めての外デート

 翌朝、起きると光流からメッセージが入っていた。

 

『ルーシーおはよー!』

 

 私はフリック入力で、スマホをタップ。

 

『光流おはよ!』

 

 簡単な返事を送った。光流との初めてのテキストありのメッセージ。昨日はただ写真を送り合っただけだったから、こういうことでも嬉しい。

 

『今日、十七時に原宿駅で待ち合わせにしたいんだけど、大丈夫かな?』

『大丈夫! 考えてくれてありがと。楽しみにしてるね』

 

 今日は光流との二人っきりのデートの日。

 五年振りに再会して、いきなり二人でのデート。少しはこういう展開も考えていたけど、やっぱり実際そうなると緊張する。

 

「ルーシーっファイトだよっ。今日はちゃんとメイクするんでしょ?」

「うん……そうしようと思ってる」

 

 そう、昨日は素顔を見せたくてすっぴんで光流に会った。それでも綺麗だって言ってくれた。

 

「あ〜メイクしたルーシー見た光流くんの反応面白そうだな〜っ」

「ふふ、そうなると、嬉しいんだけどね」

「なるなるっ。というか、私もメイクしたルーシーまだ見たことないんだけどっ!」

 

 真空に素顔を初めて見せたのは昨日。つまり、まだメイク姿を見せたことはなかった。

 

「あとでね。まずは一緒に朝風呂でも入ろっ」

「おっけ〜!」

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 真空とお風呂に入って、その後、朝食をとった。

 

 夕方までまだまだ時間はあった。

 

 なので、その間、どんな服を着ていこうか悩んだ。

 と言っても今はアメリカにほとんどの服があるので、こっちに持ってきたのは少しだけ。

 

 だから選べる服は多くて五種類。

 

「光流ってどんな女の子の服装が好きなんだろう……」

「うーん、難しいね。さすがに私でもそれは想像つかないなぁ」

 

 こうして考えてみると、光流のことまだまだ知らないんだなと思う。

 でも少しずつ知っていきたい。

 

「なら、考えても仕方ないか。私の好きな服にしようかな」

「そうだねっ。でも暗い色よりは明るい色が良いと思う。クリスマスだし、それに合わせたカラーとか!」

「なるほどっ!」

 

 そうして、次々とアメリカから持ってきた服をベッドの上に広げて並べていく。

 

 クリスマスなら、赤・緑・白のようなイメージ。でも緑は今は持ってきていないし、ちょっと使いづらい色だ。それなら白メインの方が良い気がする。無難だけど。それで持ってきた赤いマフラーで差し色入れたらいいかな。

 

「って、これ昨日とほぼ変わんないじゃんっ!」

「だね……」

 

 そうして、揃えていくと昨日の服装と全く同じ色合いになってしまった。

 真空に指摘されてやっと気づいた。

 

「それなら……」

 

 淡い薄ピンクのコート。それにグレンチェックの膝丈でタイトめのスカート。上は白いタートルネックをスカートの中に入れて。ストッキングにインナーに合わせた白の靴下。あとはベージュのマフラーに黒のブーツで……

 

「真空、どうっ?」

「マジ完璧っ……ほんっとかわいいっ! ルーシーのルックスなら何でも似合うんだけどねっ」

 

 そのまま真空に言い返したい言葉だ。真空だって何でも似合う。

 

「私的に好きなルーシーのコーデは綺麗な金髪が映える黒の上着なんだけどね。髪が明るい色だから暗い服の方が目線が上にいって良いと思うっ」

「ふむふむ……確かにそうかも……? それなら真空は黒髪だから、服は明るめのほうがいいってこと?」

「それはあるかもね。全身真っ黒だったら、もう顔しか色がないしっ」

 

 そんなこんなで私の服装が決まった。もちろん真空のピアスと光流のバングルもつけていく。

 

 あとはメイクだ。バチバチにメイクしないようにできるだけナチュラルにしていく。

 アメリカではメイクが濃い人が多いけど、日本人は濃いメイクの人が好きという男子は少ないと聞いた。

 

「ふぅ〜っ、できた」

「もう〜ルーシー強すぎっ! 可愛いは最強っ! なんでこんなに可愛いの?」

「ふふ。真空だって、ほら可愛いじゃん」

 

 ナチュラルメイクだし、そう時間はかからなかった。

 真空も隣で一緒にメイクした。真空は昨日もしていたし、アメリカで色々メイクを教えてからは、自分でうまくできるようになっていた。

 

「ルーシーには敵わないよぉ。ちょうど良い感じのハーフ顔だし、日本人の私は到底勝てませんっ」

「そうかなぁ? 日本人は日本人の顔が好きだと思うけど……」

「ルーシーは光流くんに可愛く見られればそれでいいもんね?」

「そう、だね……」

 

 結局こうやってお洒落してメイクするのは、光流にそう思ってもらいたいからだ。

 光流のためじゃなくてもメイクやお洒落もするけど、やっぱり今日は気合いの入り方が違う。

 

「最後は……これだねっ」

 

 メイクはおおよそ終わったが、最後だけ残していた。

 それはお互いに買ったクリスマスプレゼントのリップだった。

 

 二人で同じ薄ピンクで艶っぽい色合いのリップで、唇をなぞっていく。

 

「んぱっ」

 

 唇の上下を触れさせ、馴染ませる。

 

「わぁ〜、ぷるっぷる」

「すごいね、これ」

 

 クリスマス限定のこのリップをするだけで、とっても顔が映えた感じがした。

 

「やっぱこれ買って正解だったねっ」

「うん……なんかすごいっ」

 

 こうして、服の準備もメイクも終わった。最後にちょっとだけ髪をヘアアイロンで巻いて整えた。

 

 この後は、なんとなくお昼を抜いて、家にあったクリスマスケーキの残りを真空と一緒に食べたりして、のんびりと過ごした。

 

 ケーキを食べたので、歯磨きをして、リップも塗り直した。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 ーー午後四時。

 

 今日も昨日に引き続き雪が降っていたが、かなり少なめだったので、傘を差すほどではない。そもそもアメリカでは雪でも傘を差す人が少ないので、私はそれほど気にしていない。雪がついてもはらえばいいくらいに思っていた。

 ただ、髪やメイクが崩れるのは良くないので、折りたたみ傘はカバンに入れていく予定だ。

 

『今日は絶対遅れないからっ!』

 

 光流からメッセージが入っていた。

 

『遅れてもいいよ。ずっと待ってるから』

『ルーシー心広すぎ! 遅れない!』

 

 そんなやりとりを繰り返し、出かける時間になった。

 

 原宿駅までは須崎の運転する車で向かうことになった。

 なぜか、真空まで一緒に途中まで着いてくるらしい。

 

 ついでに今回は氷室の代わりにボディガードの宮本、元々日本にいたボディガードの篠塚まで着いてきた。なので、車内には五人が乗っていた。

 

「真空、どこかに出かけるの?」

「あぁ……うん、ちょっとね! ルーシーには秘密〜っ」

「ふふ、なにそれっ」

 

 真空は一人で出かけるのだろうか? ボディガードはもしかして、真空の安全の為に一応いるのかもしれない。真空のアメリカにいる両親にも面倒を見る話はしていたから、ちょっと出かけるだけでもトラブルに巻き込まれないようしっかりと守るということだろうか。

 

 午後四時四十五分。原宿駅に到着。

 

 待ち合わせ場所は西口側。到着したら電話をくれるという話だったので、それまで車内で待つことにした。

 

 ただ、駅前にこの車を止めていると、ちょっと邪魔だったのか、注目を浴びているような感じがした。

 

「ルーシー。人が見てるのは、この車のせいだよ……」

 

 真空は私の考えがわかったのか、答えをくれた。

 

「そうなの? 確かにリムジンは目立つもんね」

「そりゃそーよ。正直リムジンなんて六本木とかギラギラした場所でしか走ってないと思ってたし」

 

 この車には五人乗っている。大き目の車なら余裕で五人乗れるが、余裕を持ったスペースで座るために須崎はリムジンを用意してくれた。

 

『ブルルルルッ』

 

 すると、スマホから電話の着信振動音が鳴った。

 スマホに表示されていたのは光流の名前だった。

 

「は、はいっ!!」

「かしこまってどうすんのよ……っ」

 

 光流相手なのに『はい』なんて言葉で出てしまった。真空が横でツッコミを入れたが、光流との初めての電話だ。変になってしまうのはしょうがない。

 

「ルーシー? 到着したよ!」

「う、うんっ! 私も到着してる! どこらへん?」

 

 私は話しながら、車のドアを開けて降りた。

 

「ファイトっ」

 

 真空がそう声をかけてくれた。ありがとう。

 

「ええと、俺は……というかわかったかも……リムジンの近くにいるでしょ」

「そう! 今、車降りたばかり!」

 

 すると電話の先で光流が走ったのか、少し息を上げている声が聞こえてきた。

 

「ルーシーっ!!」

 

 電話ではなく、直接声がした方向を向く。

 光流が手を振りながらこちらに走ってきていた。

 

「ひかる〜っ!」

 

 私も手をブンブンと振りながら、声を出して光流を出迎える。

 

「ルーシー、もしかして待たせちゃった?」

「そんなわけないっ! だってまだ五十分だよ?」

 

 二人共、予定時間より早めに到着していたので、遅れるもなにもない。

 

「そっか、良かった……」

「うん……」

 

 光流は昨日ダウンジャケットを着ていたが、今日はコートを着ていた。あのヘッドホンもつけている。

 なぜか、昨日より今日の方がお洒落をしているように思えた。そういえば光流には姉がいると聞いたことがある。男子は服装に無頓着な人が多いけど、光流はどうなんだろう。

 でも昨日より今日のほうがお洒落な印象を感じた。髪型も少しだけ違う感じだ。

 

「ルーシー!」

「ひゃいっ!?」

 

 光流の姿をまじまじと見ていた時、いきなり名前を呼ばれたので、驚いて変な声を出してしまった。

 

「すっっっっごく綺麗で可愛いっ!! 昨日もすごく可愛かったんだけど、今日はもっと可愛いというか……なんだろ……メイク!?」

「うっ、うんっ!!」

 

 気づいてくれた……嬉しい。

 

「病気治ったらメイクしたいって言ってたもんね! あと……髪もちょっと違うし……服も可愛いっ! なんでこんなに可愛いんだろ……?」

 

 最後はなぜか独り言を呟くように小さい声を出していた。

 本当に色々なこと覚えてるんだなぁ光流は。

 

「光流……そんなに言うと恥ずかしいよ……」

「本当のことじゃん……あっ」

 

 そう言うと、光流は車の中の人に気づいたのか、手を振った。

 真空が親指を立ててグーのハンドサインを向けてきていた。

 

「ふふっ」

 

 近くにいた宮本と篠塚まで同じポーズをしていた。ちょっとそれは笑っちゃうってーーでも、ありがとう。

 

「光流、行こっ!」

 

 私はちょっと、勇気を出して、光流の腕に絡みついた。

 

「ルーシー、今度は俺が恥ずかしいかも……」

 

 昨日はいきなり抱き締めてきたくせに、恥ずかしいセリフたくさん言ってきたくせに。

 もしかして、光流って積極的にこういうことされると恥ずかしいのかな? 自分でするのは大丈夫だけど、されるのは……とか。

 

 これは光流が恥ずかしがる顔を見るチャンスかもしれないと思った。

 私は上目遣いで、ちょっとあざとく光流の顔を見上げた。

 

「だって……今日はデートなんでしょ?」

「そう、だね……」

「ならっ……これくらいっ!」

「うん、そうだねっ……行こっか!」

 

 良かった。このまま歩いても良いらしい。

 私は車に向かって手を振りながら光流と歩き出した。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

「朝比奈の嬢ちゃん。これからどうする?」

「うん。そしたら、宮本さんと篠塚さん、お願いしていいですか?」

 

 リムジンの中に残った私は、須崎さんに声をかけられると、宮本さんと篠塚さんに事前にしていたお願いをする。

 

「わかりました。我々に任せてください」

 

 そう話す宮本さんと篠塚さんが、車の外に出ていった。

 

 私はスマホを取り出し、ある男に電話をかけた。

 

「もしもーし」

「もう着いてる?」

 

 その声の主は、昨日までよく聞いていた声だ。

 

「あぁ、もう駅前にいるよ」

「なら、目の前に止まってるリムジンわかる?」

 

 リムジンは目立つので、見つけやすいはずだ。

 

「あ〜、あっ……あった」

 

 私は須崎さんに頭を下げて車を降りた。

 

「ーー昨日振りだね」

「まさか昨日の今日で呼び出されるとは思わなかったよ」

 

 その人物は、肩まで長い茶髪でチャラそうな見た目をしている男ーー冬矢だった。

 今日は簡単な変装をしており、目深の帽子とサングラスをしている。

 

「なんか……いかがわしい事務所のプロデューサーみたい……」

「変装してこいって言ったのは真空だろ!?」

 

 そう、私が命令した。そして私も似たような装備を取り出す。

 以前ルーシーがしていたのと同じ様な黒のバケットハットにあとはマスクだ。

 

「こーんなに面白いこと他にないって! 一人で共有するより、誰かと一緒に見てたほう面白いでしょ?」

「お前はお前で歪んでんな〜。まっ、俺もめちゃめちゃ気になってるけどさ」

 

 今日の目的は、ルーシーと光流くんのデートの尾行だ。でもバレてはいけない。二人の甘い空間をぶち壊してはいけないのだ。

 

 そしてここは東京原宿。渋谷もすぐ隣だ。

 アメリカほどではないとは思うが、日本人もよくナンパをするという。スカウトもあるとか。

 

 だから、事前に面倒くさそうな相手をルーシー達に近づかせないように、宮本さんと篠塚さんにお願いした。

 光流くんがトイレに行きたくなって、ルーシーが一人になることもあるだろう。そういう時は誰も守ってくれない。だから使えるものは使ったほうが良いだろうと思って、ルーシーのお母さんにも相談済みだ。

 

「じゃあ行くよ冬矢」

「はいよ」

 

 そうして、私達の尾行が始まった。

 

 

 

 




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