雨上がる頃に星空を   作:ミスブルー

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星穹列車が地球にやってきた。
案内人と一緒にこの世界を過ごそう。



青の世界へと跳躍

『あー!あー!まもなく跳躍を開始する!安全に備えて!座って待つように!』

 

俺はソファに座る。

なのは相変わらずロビーの真ん中で立っていた。

丹恒は部屋にいるのだろう。

姫子はテーブルに座ってコーヒーを飲んでいた。

 

「今度はどこへ行くんだろう」

 

「好奇心はいつだって開拓する者として大事なものだ。着いてからのお楽しみだな」

 

「ヴェルトは次の行き先を知ってるのか?」

 

「いいや。今回は俺も分からない。

でもその行き先で待つのは楽しいことばかりじゃないかもしれない。けれど辛いことばかりでもない。そうだろう?」

 

「そうだな。ヴェルトの言うとおりだよ」

 

思い出す様に俺は返事を返し窓の外を眺める。

パムがカウントを開始した。

そして跳躍する。

 

俺は目を閉じる。

 

宇宙ステーション、ヤリーロVI、仙舟、ピノコニーを旅し開拓をした。

 

次はどこに行くんだろう。

楽しみだな。

 

列車内が大きく揺れる。

 

 

――音がする。揺れる音が聞こえる。列車ってこんな規則的に揺れるのか――

 

 

「到着したわよ穹」

 

「ん…」

 

俺は目を覚ました。

寝てしまってたようだ。

 

「ごめん姫子、少し寝てたみたいだ」

 

何か夢を見ていたような気がするけどどんな夢だったけ。

思い出せないな。

忘れた。

 

「ちゃんと寝たのかしらって聞こうと思ったけど外を見れば無理もないのかもしれないわね」

 

「外?」

 

「三月ちゃんは既に外にいるわ。行けば分かるわよ」

俺は列車を降りると足元が直ぐそこにあった。

いつもは宇宙やその星が見える景色のはず。

 

「ここはどこだ?」

 

「あ、穹!やっと起きたの?早くこっち来てよ!」

 

なのが俺を呼んでいた。

俺は呼ばれた所まで歩くと屋根を過ぎ夜空が素顔を見せた。

 

そこは一面、星空の海だった。

周りは緑で覆われ自然の香りが鼻をくすぐった。

 

「空気が美味い。俺は空気を食べているんだ」

 

「アンタなにワケわかんないこと言ってるの…?」

 

なのが引いていた。

姫子が言っていた眠くなるのも無理はない理由。

なるほど…今ここは夜だからということだ。

 

「それにしてもここはどこなんだろう」

 

「ね!こんなに星が見えて、空気も綺麗で自然がいっぱいで。あ、ヨウおじちゃん」

 

ヴェルトがこっちに近付いてきた。

 

「二人ともここにいたか。ここはすごいな。俺がいた世界と少し似ている」

 

「え!?そうなの?ここヨウおじちゃんの故郷?」

 

「故郷ではない。ただ空気や空間というだろうか。それが少し懐かしさを思い出させるんだ」

 

「懐かしさか」

 

俺は星空を見上げる。

なのは景色の写真を撮っていた。

ヴェルトは星空と星穹列車を見ながら夜空を眺めていた。

 

「銀河鉄道の夜か…まさにその通りだな」

 

そんなことを呟き黄昏ているように見えた。

 

「丹恒は降りてこないの?」

 

「丹恒はもう少しアーカイブで記録することがあるらしい。俺達が列車に戻る頃には降りてこの景色が見れるだろう」

 

「戻る?」

 

「あぁ。この世界はずっと夜じゃない。星がちゃんと動いてるんだ。だから朝も来る」

 

「寝ないといけない時間ってことだね!」

 

「そういうことだ。穹に至っては眠いだろう」

 

「少し眠いかもしれない」

 

 

さっき寝ていたからな。

 

 

 

「さぁ再び外に出るのは朝を迎えてからだ。そろそろ戻ろう」

 

俺達はヴェルトの言葉に頷き列車に戻り寝ることにした。

 

 

 

 

朝になると雨が降っていた。

昨夜はあんなに星空だったのに。

 

 

 

「幸い列車の上には屋根がある。濡れたとしても問題はないが濡れないならそれに越したことはないぞ」

 

パムがそう言った。

 

「屋根自体はかなりしっかりした作りになっているから崩れる心配もない」

 

丹怛がそう話す。

 

「丹恒、昨夜の星空見れたか?」

 

「あぁ見ることができた。そのついでにここがどういう場所か少し見てきたんだ」

 

「結局ここはどこなの?もしかしてウチらだけ…なんてないよね?」

 

「今のところ俺達だけだがどうやらここは廃駅なようだ。この地点は列車の格納庫らしい」

 

「格納庫…それで…」

 

俺はみんなを見渡す。

みんなを見渡す六人の中に一人だけ知らない顔があった。

 

「そこにいる人は誰だ?」

 

長い黒髪に金色の瞳。

ワンピース姿で上品に座ってパムを抱きしめていた。

 

「じゃあ改めて自己紹介をしてもらいましょう。お願いできるかしら?」

 

姫子の言葉に彼女は頷いた。

 

「初めまして。あたしは霊峰黒百合。森宮学園っていう魔法使い達が通う生徒の一人です」

 

「森宮学園?」

 

「この星穹列車がここに来たことにあたし達はすぐに気付いたんだけど、きちんとおもてなしを兼ねる為に…こうして使いとして訪れたの。星穹列車のみんなを森宮学園に招待するために」

 

「え!?学校!?ウチらが?」

 

「そこの生徒になれるのか俺」

 

「でも私やヴェルトは大人よね?どういう対応になるのかしら」

 

「実際に行ってみないと分からないだろう」

 

4人は話をしていたがそれまで静観していたヴェルトが口を開く。

 

「招待…それをすることで君達魔法使いにはメリットがあるのか?」

 

「あたしもこの世界の人じゃないからね。この世界はいろんな世界と繋がってる。だからなにがあっても可笑しくない。何より普通の人だって暮らしてるの。魔法使いを守る為に後ろ盾みたいな形として魔法使いを支援するんだ」

 

 

「……ふむ…。その魔法使いという単語だが魔法を使うのか?」

 

「そこはあたしも詳しくなくて超常の力…人じゃまず扱わない力を振るえる人ならここは誰もが魔法使いになれるの」

 

ヴェルトは小さく息を吐いた。

 

「わかった。後ろ盾になり俺達の行動をサポートしてくれるということなら…ありがたく受けよう」

 

「良かったです」

 

黒百合は柔らかく笑った。

 

「オレはここから降りることはできないのじゃ…すまん…うぅ」

 

「いいよいいよ。そういうこととあります。あとで美味しいの持ってきますね」

 

パムと黒百合が話していた。

彼女はパムが可愛くて仕方ないようだ。

 

俺達は外出するために準備をしていた。

「列車に必要があれば護衛も付けるけど…」と言う彼女に対してやんわりとそれは断った。

 

廃駅から出て森を少し抜けると建物が見えてきた。

なのが背を伸ばす様に見て言った。

 

「あれが学校?」

 

「赴きがありすぎやしないか。おまけこの雨だ。いかにもってところだな」

 

ヴェルトもそう言った。

 

「この学校はお化けや怪物とかも夜に出るから夜には誰もいなくなるの」

 

「お化けや怪物?」

 

丹恒が返す。

 

「うん。あたしは結構詳しいから」

 

「ふむ…」

 

みんな傘を指して歩いている。

 

「この世界に季節はあるのか?」

 

俺の言葉に黒百合は頷いた。

 

「今は梅雨の季節なの。昨日は夜…晴れてたんだけどね」

 

「梅雨?」

 

「雨の多いの季節の事だ。今降ってるみたいに空からすごい量の水が降ってくることを言うんだ」

 

「ヴェルトはここに来たことがあるのか?詳しいな」

 

「俺はここと似たり寄ったりの場所から来ている。最初は帰って来たのかと思ってたんだ」

 

「それはびっくりしちゃいましたね」

 

「あぁ…いろいろ聞くようなことをしてすまない黒百合さん」

 

「いえいえ」

 

丹恒は雨に手を伸ばし触って口を開く。

 

「この雨にもかなりの魔力が含まれている。この世界、魔力がとても濃い場所でもあるのか」

 

「そうだよ」

 

「ここで産まれた者は力の強い者が多いだろう」

 

「そうかもしれないね」

 

「ねぇ黒百合さん、手続きとかが終わったら私は列車に戻ってもいいかしら?」

 

「もちろんいいですよ」

 

たしかに今列車にいるのはパムだけだ。

黒百合はそれ以上何も言って来なかった。

姫子も彼女が「どうしてですか?」と聞くかもしれないと思っていたのか少し困惑していた。

 

 

そうして俺達は森宮学校に着いた。

 

「ここが学校。こんなに大きい場所だなんて」

 

「あーあ。雨が降ってなかったら写真も撮れたのに」

 

「三月、お前は雨であっても写真を撮ってるだろう」

 

教員室にやってきたら教員達は忙しくしていた。

一人の女性がデスクから立ち上がり俺達の前までやって来た。

 

「森宮学園の教員で浅井という。星穹列車諸君、連絡は既に受けている。この雨の中よく来てくれた」

 

手続きと言っても簡単なものだった。

俺や丹恒やなのには学生手帳が渡され、姫子やヴェルトには教員証が渡された。

 

「この子達はともかく私やヴェルトは試験も何も受けてないわよ?」

 

姫子が聞く。

 

「これはここでの暮らしの為の処置と受け取ってもらっていい」

「処置?」

 

「列車が動くまでは少し時間があるのだろう?食事や生活の為にそれがあるとこの森宮の街では重宝するんだ」

 

姫子とヴェルトは顔を見合せる。

 

「何から何までありがたく使わせてもらうとするよ。姫子は列車に戻りたいんだが構わないだろうか」

 

「もちろんだ。行きは歩いてもらったらしいからな。帰りは送迎しよう」

 

「ありがとう助かるわ」

 

「姫子!列車に戻っちゃうの?」

 

「ごめんね三月ちゃん。ここのことも気になるけど列車にも誰かがいないとね。今回は4人にお願いするわ」

 

「うー…せっかく姫子と冒険できると思ったのに。わかったよ。お土産楽しみにしてて」

 

「ありがと三月ちゃん。黒百合さんはどこに行ったのかしら?」

 

 

気付いたらいつの間にか黒百合がどこにもいなかった。

職員玄関まではいたような気がしたのだが。

 

「黒百合…?どうして彼女が出て来る?」

 

浅井が疑問符を浮かべるように言った。

 

「黒百合さんは学校の使いだって言っていたな」

 

「…彼女には別の…ああ…なるほど。いやわかった。彼女に何か言ったか?」

 

「え?えぇ、手続きが終わったら列車に戻りたいって話とかこの世界のことを少し聞いたりしたわ」

 

「そうか、ありがとう。彼女を見かけたら私が伝えておこう」

 

俺達は顔を見合せる。

黒百合は何か事情があったのかな?

 

「きっとこの学校にも先生の話を聞かないお転婆という言葉が似合う生徒がいるんだろう」

 

ヴェルトが何かを察したように言って姫子は笑って頷いた。

俺となのは首を傾げた。

 

姫子は黒い車に乗り列車へと戻っていく。

 

「お部屋も使わせてくれるってすごいよね」

 

「元々そういう人の為の場所らしいからな。ありがたい。この街にも歴史があるんだろうな。そういえば制服があるみたいだぞ。俺はスーツを着るが三人とも着てみたらどうだ?」

 

「…ヴェルトさん制服着用は自由とあったので俺は遠慮します」

 

生徒手帳を読みながら丹恒は言った。

なのは食い気味に制服を見せる。

 

「えー…!!せっかくだから着てみたらいいのに」

 

「そうだぞ丹恒。あとで丹恒の部屋に集合だ」

 

「制服着て写真撮ろうよ写真!ヨウおじちゃんも来てね!絶対だよ!」

 

「わかった。行くよ」

 

丹恒は俺となのの押しに限界が来たのか「やるべきことは手短に…仕方ない…一回だけだ」と言ってくれた。

 

その後一回と言わず何十回も撮ったなんて後で笑える話だ。

 

ちなみにヴェルトは白のカッターシャツになっておりサラリーマンの先生みたいな格好だった。

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

茶道室にて

 

「姫様…また勝手に出歩いてお身体に障りますよ」

 

「あたしは大丈夫だよ。御影は相変わらず真面目だね」

 

「黒百合様の御身を案じているのです。そもそも不真面目すぎるのです。さぁほら足をお見せください。ただでさえ雨…今度はどちらまで?」

 

「えー、星穹列車ってところだよ」

 

「星穹列車?そういえば空から列車を昨夜見ましたな」

 

「ね、綺麗だったよね銀河鉄道の夜!」

 

「わざわざ見に行った事は理由でもあったのですか~?あのお迎えは私がやるはずだったのに…」

 

「あっ、夕七。来たんだね」

 

「こんにちは黒百合様。

二度手間になるとこでした。

おまけに御影ちゃんの言う通り黒百合様は強いと言っても病をお持ちなのですから。お転婆もほどほどにしてくださいね」

 

「…。考えておくね、それよりさ!一人面白そうな子がいたの。男の子で灰色の髪の子でさ…。今度森宮で小さな同窓会あるじゃない?ちょっと頼んでみたいなって。どうかな?」

 

「…姫様??」

 

 

 

~~~

 

 

 

メッセージ

 

 

 

姫子:列車に戻れたわ。日用品とかコーヒー豆とか沢山食糧とかたくさん貰っちゃったわ。歓迎されて良かったわね。そっちは変わりないかしら?

 

なのか:食糧いっぱい?!車掌さんもびっくりしたんじゃない?。

こっちは大丈夫だよ!

 

丹恒:戻れて良かった。

食糧に関しては保存が効くものだと嬉しいな

 

姫子:長期滞在の予定だしこれだけあれば食事には困らないわ

 

穹:車掌スタンプb

 

 

ーーーー

 

 

 

今日も雨だ。

 

そして背後がうるさい。

朝食を食べ終えた三月と穹が俺の部屋にやってきてはこの世界のゲームをしたりスマホで何かを見て賑やかだからだ。

 

「…二人とも少し静かにしてくれないか」

 

「そうは言っても今日から学校だぞ」

 

「転校生って扱いなのかな?」

 

「転入生だ三月」

 

「どっちでもいいじゃん。丹恒は何を見てるの」

 

「俺はニュースを見ている」

 

俺は備え付けされていたテレビでニュースを見ていた。

この世界はどんなことが起きているのか。

仙舟でも同じような事故や事件があるようにこの場所でも似たようなことが起きている。

いい内容もあれば悪いものもある。

 

 

「うえーウチこういう固いのはちょっと」

 

「時事を知ることは大事なことだ。この世界のことを俺達は知っておかないといけない。話題にもなるだろう」

 

「真面目だ!丹恒真面目だ!

そんなのみんなよろしくね!今日みんなで甘い物食べないー?…で良くない?」

 

「それは三月だけだろう…。まったく。ん…?」

 

『本日も変死体が発見されました』

 

『梅雨入りして以降からこれで5件目となりました。同一犯の可能性が示唆されており一部では魔法使いも発見されていることから魔法使いが関与している可能性が示唆されており情報の収集と説明を警察は急いでいます』

 

「物騒だな」

 

「穹の言うとおりだがこの世界は魔法の世界だ。俺達が今まで旅してきた場所と何ら変わらない。用心はちゃんとするんだ」

 

二人は「はーい」「わかった」

と返事があった。

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

メッセージ

 

 

ヴェルト:技術部という場所に足を運んでな。ロボットを作る工程をアニメにして見せてもらったんだ。みんなにも見せたかったくらいだ。あの接合部がぐるりと回る瞬間が非常に興味深くてな。楽しかった。

 

穹:ヴェルトはどこで何をしてるんだ?

 

なのか:意外と一番楽しんでるのってヨウおじちゃんだったりして

 

 

 

 

ーーーー

 

学校生活というものが始まった。

 

「今日から数日だが転入生という形で森宮学校に在籍する三人を紹介する」

 

「俺は穹。苗字は忘れたけど銀河打者と呼ばれたこともある。よろしく」

 

「丹恒と言う。よろしく頼む。この学校は魔法を使う生徒がほとんどだと聞く。いい交流が出来ることを楽しみにしている」

 

「三月なのかです!。日記を書くことと写真を撮ることが趣味なんだ。みんなよろしくね!」

 

こんな感じで挨拶を終えて俺達の学校生活が始まった。

 

 

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