雨上がる頃に星空を   作:ミスブルー

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七夕ってなんだ?

メッセージ

 

ヴェルト:学校生活はどうだ?

 

穹:ゴミ箱を見るのが楽しい

 

なのか:移動教室の度に新しいゴミ箱見かけると空けてるんだよ?みんなドン引きしてるんだけど!

 

丹恒:捨てられていたラブレターらしきものを見つけた時は三月が一番大はしゃぎしていたな。三月はもう少しプライバシーというものを知ったほうがいい。

 

なのか:え?!これウチが注意されてるの!?

 

姫子:みんな学校生活楽しんでて何よりよ。

 

ーーー

 

「ずっと雨だな」

 

俺は外を見る。

昼の時間になり食堂に行く。

メニューが沢山あって困らないのはいい。

金人港を少し思い出すな。

メニューを頼み俺はテーブルに座る。

スマホを見るとニュース速報があった。

 

「そういえば丹恒が見ていたな」

 

今日も変死体発見。

犯人の足取りを掴めず。

未だに犯人が捕まらないってことは相当手練れだということなんだろうか。

 

「すみません穹さん。ご一緒いいですか?」

 

「ん?」

 

俺が顔をあげると薄いライトブラウンの長い髪に緑の瞳の女の子が目の前にお盆を持っていた。

制服じゃなく和服の衣装を身に纏っていた。

 

「もちろん。一緒に食べよう」

 

「ありがとうございます」

 

ーーー

 

 

 

「霊峰夕七と言います。こことは違う世界から来ました」

 

「霊峰?もしかして黒百合の知り合いだったりするか?」

 

「あ…やっぱり。もう会っていましたか」

 

「この世界に来て初めて会った人だから覚えてるよ」

 

「すみません、本当は私が星穹列車の皆さんをお迎えに行くはずだったんです」

 

「そうだったのか。黒百合はかなり自由人なんだな」

 

「そうですねー…。それで穹さんのお話を少し聞いたんですよ。実はちょっとお願いしたいことがありまして」

 

「なんだ?」

 

「もうすぐ小さな同窓会があるんです。そこで生徒を司会進行として何人か声を掛けているんですが穹さんによろしければとご参加をどうでしょうと」

 

「同窓会の司会進行を?」

 

「はい、この時期は梅雨で雨の多い季節なのですかそういうこともあってか余り募集が募らないんです」

 

「そういうことだったか。

 

何か報酬が出るなら」

 

「報酬ですか~。なるほど。そういうことでしたら弾まさせてもらいますよ~」

 

「決まりだ。俺で良ければ引き受けるよ」

 

「ほんとですか?ありがとうございますー。場所は学校のホールで行われるので服装は自由で大丈夫ですからね」

 

「わかった。楽しみにしてる」

 

「はい、よろしくお願いします~」

 

ということで俺はプチ同窓会の司会進行を務めることになった。

困ったらサポートもしてくれるということだし何とかなりそうだ。

 

~~~~~

 

 

 

 

「同窓会の手伝いか。いいじゃないか。学校行事に関われる良い機会だ。この時期は学校の行事が結構少ない時期だ。

楽しんでやってくるといい」

 

「ありがとう。ヴェルトは何をしてるんだ?」

 

「俺もまた学校行事に関わっている。七夕という七月七日に行われる行事があるんだが学校のホールに笹と短冊を飾って生徒に願い事を書いてもらおうと企画案を手伝っているんだ」

 

「ホールってたしか同窓会の」

 

「そうだ。同窓会に来る卒業した生徒達にも短冊を書けるようになるな」

 

「その笹はどこで貰うんだ?」

 

必要なら俺が取ってくるかとも考えたがヴェルトは俺の考えてることがわかったのだろう。

 

「既に生徒達が竹林に行って取ってくる話しになっていてな。

なのかもこっちで友達が出来たみたいだ。

その友達と一緒に笹を持ってくる話をしていたよ」

 

 

 

 

~~~~

 

 

ヴェルトはまだやりたいことが残ってるんだと笑って言って教員室で他の教員と話を続けるらしい。

俺は廊下に戻る。

そういえばヴェルトは当たり前のように言っていたが…七夕って何だ?

こういう時は図書室だ。

 

この学校の図書室はとても広い。

学校は小さく見えるのに敷地内に入るととても広く感じる構造だ。

魔法の力なのだろうか。

 

「んー…」

 

俺は本を読まないからな。

どれを調べればいいのかな。

丹恒に聞けば分かっただろうか。

そんなことを考えながら中を歩いていると本に手を伸ばしているがそれが一番高い場所にあり届かない女の子がいた。

 

よくある展開だ。

ここで俺が手助けをすれば俺カッコいいんじゃないだろうか?

 

迷うな。行け俺。進め開拓者!。

 

「これか?」

 

俺は本を取り手渡す。

 

今の俺カッコいい。

 

「あ、ありがとう…」

 

「どういたしまして」

 

彼女は私服姿で制服ではなかった。

 

「…見ない顔だね?」

 

「あぁ。この前転入してきてしばらく在籍することになったんだ穹だ。よろしく」

 

「私はホムラ…」

 

「ホムラか。よく本を借りに来るのか?」

 

「うん…。ここの図書室はね。卒業生なら本の貸し出しをしてるんだ」

 

「…卒業生?ホムラはもしかして卒業生?」

 

「そうだよ…あんまり見えないかな?」

 

「見えなかった」

 

「そうだよね…。私もよく言われるんだ」

 

「というより制服が自由だと判断がしづらい」

 

「あっ、それはたしかに…」

 

ホムラは小さく笑ったように見えた。

 

「そういえばそれってどんな本?…"話上手のエキスパート"?」

 

俺はホムラが持ってる本のタイトルを読み上げていた。

 

「う…うう」

 

「ご、ごめん」

 

「い…いいの。もうすぐ同窓会あるし少しでも話とか話題とか出せたらって思って。友達が少ないとかそういうわけじゃないんだよ…?」

 

「もちろんわかってるよ。同窓会ってプチ同窓会?」

 

「ぷち…?でも多分それ。私参加しようかなって思って」

 

「ホムラが来てくれたら嬉しいな」

 

「え…?もしかして穹、関係者?」

 

「になったばかりだけど」

 

「すごい。来たばかりなのに」

 

「結構目立ってるのかな?」

 

「目立ってると思う」

 

それはそうかもしれないな。

日にちが経てばそういう話も無くなるかもしれないが来たばかりだ。

 

星穹列車。

 

聞いた話だと銀河鉄道の夜だと言って魔法使い達の界隈を騒がせているらしい。

 

「銀河鉄道の夜…素敵だよね…プラネタリウムにもそういう話があったくらいなの」

 

「プラネタリウム。星空をドームに光で投影するっていうあれか?」

 

「そうだよ。銀河鉄道の夜は宮沢弦治っていう人が書いた作品なんだ。…この世界じゃ名作」

 

「へぇ。ホムラは読んだことが?」

 

「もちろんあるよ」

 

「なら俺も読んでみようかな?」

 

「ほんと?…せっかくだから…借りてく?」

 

「あるならぜひ」

 

ホムラと話している時、俺は既視感を感じた。

姿も背丈も格好も違うけど誰かと似ている。

そんな気がした。

ホムラと俺は図書館を歩き止まると上を見上げた。

 

「…えーっと…あった。あれだよ」

 

「かなり古いんだな」

 

「うん。私も…そう思う。あ…ここ私じゃ届かないや…」

 

「ホムラはどうやって本借りてるんだ」

 

俺は小さく笑いながら本を取る。

 

「むっ、からかわれた…年下に」

 

「ごめんごめん」

 

「まったく…。……」

 

そしてどことなく影が見え隠れする。

何か悩んでいる様にも見えた。

考えているとホムラが俺を見た。

 

「あ…そういえば穹は何かを探してたりした…?」

 

「ん?あぁ実は七夕について知りたくて図書室に来たんだった」

 

俺にもここで友達が出来たことが嬉しくて忘れてた…!

そう言って俺は笑うとホムラは目を開いて笑ってくれた。

 

「それって…私のこと?嬉しいな。というか友達出来なかったんだ」

 

「あちこち回ってたりしたらいつの間にかな。知り合いはいるけど友達って呼べるか」

 

夕七や黒百合とはここまで話したことはない。

あの二人ともいずれは友達みたいな会話が出来るようになるはずだ。

あと学校内のゴミ箱漁る姿とかも関係がありそうだ。

そんなに変か?

 

「七夕の本も…もちろんあるんだけどお話しなら聞かせてあげられる…かも」

 

「ほんとか?聞きたい。聞かせてくれるのか」

 

「うん、穹が良ければ…」

 

「ぜひ」

 

「じゃあ…七夕って言うのはね」

 

 

 

 

七夕は古い日本の禊ぎ行事。

 

乙女が着物を織って棚にそなえ、神さまを迎えて秋の豊作を祈り人々のけがれをはらうというもの星のお祭りなのだそうだ。

 

彦星と、織姫という男と女の星が天の川を挟んで向かい合い、この2つの星が1年に1度の7月7日にだけ会えるという言い伝えから祭りが始まった。

 

「どうして笹に短冊を書いて願いを?」

 

「それはね…―――」

 

短冊に願い事を書いて笹の葉に飾りつける風習が有名。

これは笹の葉が神様の拠り所と考えられているから。

神様に見えるように短冊や願いを込めた七夕飾りを飾るようになったと。

 

昔の人が織物の上手な織姫のように(織姫にあやかって)、「物事が上達しますように」とお願い事をしたのが始まりだと言われてる。

 

笹の葉に飾ると織姫と彦星の力で願いが叶えられたり悪いものから守ってくれるという言い伝えもある。

 

「面白いな」

 

「でしょ…」

 

「天の川は七月七日にしか見えないのか?」

 

「そんなことないよ…?遅い時間なら夜空を見れば見れる…かも」

 

「見たことはあるのか?」

 

そう聞くとホムラは首を左右に振って笑う。

 

「眠たくなっちゃう…」

 

でもきっと見てみたいんだろうな。

 

「それに七月七日は梅雨で雨ばかりなの…。晴れた試しはほとんどないんだ」

 

「それなのに七夕をやるんだな。変な世界だな」

 

「私もそう思うけどね…でも語呂が良いよね」

 

「七月七日…そうだな」

 

三月なのか…七月なのかですって俺は想像した。

 

ちょっと怒られそうだ。

 

「貴重な話しをありがとう」

 

「こちらこそ…どういたしまして。……」

 

そしてやはり影を落とす。

 

話題がある時は楽しそうに話すホムラだが話題が無くなると途端に影が覆う。

ホムラは外を見る。

俺も外を見ると雨が降っているのが分かる。

 

「天の川は今日も見えないかもな」

 

「うん、多分ね…」

 

俺のスマホにメッセージが届いた。

 

「列車のみんなからだ」

 

「もう…行く?」

 

「うん。そろそろひとまず帰るよ」

 

「…。うん、分かった」

 

「じゃあまた―――」

 

そう言い掛けて俺はホムラの顔を思いがけずある人と重ねた。

 

ホタル……ピノコニーで出会った友人を。

 

 

彼女は自身のことを隠しながらも自分に近付き思い出や楽しい場所を俺に共有してくれた。

やるべきことを終えて見つけるべき目的を見つけていつかまた会えることを誓って。

 

ホタルが死へ向かうものは何者…ネムリに刺された時、俺はどうすることも出来なかった。

最終的にはホタルは無事だった。

 

でも俺はあの時守れなかった事を…助けれなかった事を悔いてもいた。

 

きっとそれは今もだ。

 

「ホムラ」

 

「…なに…?」

 

「もし何か言いたいことや悩んでいることがあったら話してくれ。俺は必ず力になるから」

 

「…。うん…ありがとう穹」

 

「じゃあまた!。銀河鉄道、読んだら感想聞いてくれ」

 

会う口実が必要かもしれない。

そんなことを考えて言ってしまったがホムラにそう言うと今度は笑ってくれた。

 

「うん…。分かったよ。気をつけて…またね」

 

「ありがとう。またな!」

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 

「笹の葉!めっちゃ重かったし大きかったんだよ」

 

「そんなに大きかったのか」

 

「そうなの!でも友達は平気で笹に付いた虫取ってるんだよ。ウチびっくりしちゃった」

 

俺となのは今日も朝は丹恒の部屋にいる。

外は曇りだ。

二人で部屋で騒いでると

 

「お前達どうして毎回俺の部屋に来る…」

 

そんな呆れ声が聞こえてきた。

けど何だかんだと丹恒は俺達を部屋から追い出そうとはしないし部屋を鳴らすと何も言わずに入れてくれるからいい奴だ。

 

 

 

ーーー

 

 

 

メッセージ

 

ホムラ:おはよう穹

 

穹:おはよう!

 

ホムラ:同窓会ってどんな服がいいと思う?

 

穹:おしゃれがいいな!おしゃれ!

 

ホムラ:おしゃれ…かぁ

 

 

 

~~~

 

 

 

「なの…」

 

「いいじゃん。この子友達でしょ!」

 

俺の届いたメッセージを見た瞬間、なのは俺のスマホを使ってメッセージを送っていた。

 

「まぁ実際になんて返せばいいかわからないから良かったかもしれないが」

 

「こういう時の出番だな三月」

 

「なんかこういう時くらいし出番ないように聞こえるー!」

 

『速報です。

本日早朝遺体がまたもや発見されました。

これまでの被害者は全員室内で発見されており目立った外傷も無く。

死因は心臓麻痺や脳死と言ったことを引き起こす薬物。

或いは自殺を図っている可能性、魔法使いが犯罪に従事している事も考慮して調査に乗り出すものとして情報の収集を急いでいます』

 

そんなニュースが流れるものだから俺達の会話は途切れた。

少しの沈黙。

 

それに耐えれなくなったんだろう。

なのが口を開く。

 

「ねぇ…?これ昨日もやってたよね?」

 

「昨日もだが一昨日もその前もやっていた。

俺が今までこのニュースで得られた情報で分かっているのはこの犯人は夜を狙い誰かを無差別に殺しているということだ」

 

「夜に無差別だと…」

 

「そうだ。

今回このニュースの会社は以前とは違い情報を多く流している。それだけに警戒しているんだろう」

 

「さすがに自殺はないかもしれないな」

 

「俺はそう考えている。

テレビでも言っているが魔法使いが犯罪をしている可能性もある。むしろそっちのが高いと考えるのが自然だ」

 

「俺達疑われてるのか」

 

「俺達の今の立場を魔法使いと考えるのなら間違いないだろう。場合によっては俺達星穹列車がそれをしていると言われても仕方ない。根本的には俺達は部外者だからな」

 

「ウチらそんなことしないよ!」

 

なのが声を荒くした。

空気がしん…となる

 

「う……ごめん」

 

「大丈夫だ。三月がそう思うのは当然だ。そして俺達はそんなことは決してしない」

 

丹恒がそう言うとなのは何度も頷いた。

俺は一つの考えが過る。

 

「丹恒。魔法使いを陥れる為の犯罪の可能性とかは」

 

「その可能性は捨てきれない。

そういう組織も公にはされていないがいると聞いたことがある…だが明確ではないな。

そういう組織全般は最近かなり大人しいと聞いた」

 

「大人しい?魔法使いを嫌う犯罪組織が?

このニュース絶対みてるよね?

混乱に乗るチャンスだよ?なんで?ウチだったら絶対悪用する!」

 

「たしかに。これだけやってるならそれも可能だと思う。

丹恒は何か知ってるのか?」

 

「…俺が学校生活を送っている時に聞いた噂でしかないがこの学校の現生徒会長の力のおかげ…だそうだ。

本当かどうかは俺も分からないが今の生徒会長はそれだけ強い力を持っているということなのかもしれないな」

 

 

今の状況を列車全員に共有すると丹恒は話しメッセージで共有した。

 

 

 

~~~~~

 

それから俺達は同窓会の準備をして進めていく。

丹恒は毎日ニュースを確認している。

学校の話しを丹恒からはあまり聞かないけど楽しく過ごせているとは聞くので安心した。

 

~~~~

 

 

 

メッセージ

 

ヴェルト:もうすぐ同窓会が始まる。事件のことは気になるが俺達はいつも通り歩いていけばいい。

 

なのか:なんとかなるよね!

 

穹:楽しみだ

 

丹恒:このイベントは俺達が地球に来てから初の行事となるな。俺は参加しないが成功するといいな

 

姫子:私は今回列車からだけど頑張ってね。応援しているわ

 

 




七夕祭りが始まります
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