良い世界にしようと頑張った結果ラクス様を更に曇らせちゃう話   作:おるプラス

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頑張ってデスティニー編まで描きたい


プロローグ:二人の終わり

気がつくと私は燃え盛る廃墟に立っていた

 

そこかしらから聞こえる銃声

 

助けてと悲痛な叫びを上げ死んでいく人々の悲鳴

 

何が楽しいのか人殺しを楽しむ愚者たちの笑い声

 

そんな凄惨な光景を何処か他人事のように眺めながら私はある場所を目指し歩き始める

 

 

立ち止まったのは一軒の家

 

それはかつてこの世界の残酷さを知らなかった幼いころのわたしが両親と住んでいたプラントにある家だった

 

毎年母が手入れをし沢山の花が咲いていた庭も、優しく頭を撫でてくれた父のこだわりが詰まった二階建ての家も、幸せだったあの頃の思い出は見る影も無く炎に焼かれ血と硝煙にまみれた、わたしの記憶とは程遠い無惨な姿に変わっている

 

床に落ちヒビ割れた写真立ての中で笑う家族の姿だけが、ここがわたし達の暮らしていた家だったと証明していた

 

怒りや悲しみ、辿り着いた結末への後悔がごちゃごちゃになって頭の中をかけ巡っていた

 

この光景を見続けてどのくらいの時間が経ったのだろう

 

ふと私は自身の手に目をやった

 

手のひらには赤黒く変色したおぞましい血の跡がベッタリと付着していた

これまで殺してきたもの達の怨嗟の声が赤黒い血となって私を責め立てているようだった

 

お前はこれほどの罪を犯して来たのだ

地獄に落ちろ魔女め、と

 

私はそんな穢れた手のひらを見つめ自嘲するように笑っていた

涙を流す資格など私には無いのだから

 

 

……ア……

 

炎と硝煙で景色は赤暗いままであったが、ふと気づけば銃声は止んでいた

 

 

…ア……ノ……ア……

 

 

誰かの声が聞こえた気がした

 

 

……ア……ノ…ア……シ…ア……

 

段々とその声が大きくなっていく

どうやら私を呼んでいるようだった

 

…シノア!

 

聞こえたのは耳に心地よく、それでいてどこか聞くものに安心感を与える美しい声

私がどんなことをしてでも幸せに生きて欲しいと願った大切な人の声が聞こえた

 

 

ー姉様?

 

 

その声に答えるかのように赤暗い世界の中にいた私の意識が現実へと引き戻されていく

 

鉛のように重たい瞼を開ける

薄暗いコックピットの中で目の前に映るのは、これまで聞いた事のない嗚咽をあげて私の名を泣き叫ぶピンク色の髪をした女性の姿だった

 

そんな様子を見て未だハッキリとしない意識の中、涙を流す姿も美しいなと私はどこか他人事のように考えていた

 

「シノア…!」

 

目を開けたことに気づいたのか、美しいピンク色の髪をした女性-ラクス・クライン-が私の名前を叫ぶ

 

その声に答えようとするが上手く口が動かない

 

言葉を発しようとするも咳き込み、変わりに口から出たのは鉄錆の味がする赤い液体であった

 

ストレッチャーを、医療班を早く呼ぶんだよ!

 

片目が眼帯で覆われたオレンジ髪の女性、ヒルダが焦ったように指示を出す

 

「シノア、シノア…ここで死ぬことを私は許しません!私の為にも生きてください…!」

 

小さな子供が母親へ懇願するような声でラクス・クラインは私に縋り付いていた

 

「ラク…スねえ…さ…ま…」

 

 

何とか絞り出した声で彼女の名を呼ぶ

その声に反応するように彼女はこちらを向いた

水晶のような美しい水色の瞳から涙が滴となって私の顔へと零れ落ちる

 

「ねえ…さま、わたし…はじめ…てあったときの…うたが…ききた…いな…」

 

意識が再び落ちそうになるのを堪え、彼女に最後の懇願をする

私が彼女と初めて出会った日に聴かせてくれた思い出の曲を歌って、と

 

水晶のように美しい瞳から涙を零す彼女の口から震える声と共に歌が溢れ出す

 

 

-貴方の夢を見てた 子供のように笑ってた-

 

 

思い出の歌を聴きながら私の意識は再び闇に溶けていく

私は薄れゆく意識の中でゆっくりと口を動かした

 

ありがとう あなたに出会えたことが私にとって最大の幸福でした

 

泣かせてしまってゴメンなさい

 

 

私の言葉は届いただろうか

届いていたら嬉しいな

 

そんな思いを抱きながら私は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前で動かなくなった少女の身体を抱きしめる

本当の姉妹のように育ち、すれ違いから敵対することになってしまった少女

 

どうしてこうなってしまったのだろう

どんなに後悔しても時は戻らない

今の私には少女を抱きしめ泣くことしか出来なかった

 

 

信号弾が上がり戦場を駆けたモビルスーツ達が帰還していく

愛する人の乗る自由を冠する騎士も同様に

 

レクイエムは破壊されメサイアは落ちた

 

ギルバート・デュランダルによるデスティニープランは否定されたのだ

 

私たちは本当に正しかったのだろうか

 

姉と慕ってくれた少女と敵対することになってまで戦ったことに意味はあったのだろうか

 

疑問や後悔が暗く私の心を支配していく

 

世界はまた争いの絶えない混迷の闇へと帰るかもしれない

 

愛する人はこれからも戦い続けなければならないのかもしれない

 

それでも平和を実現するために、デスティニープランを否定した責任を果たすためにと私は少女の亡骸へと誓いを立てるのだった

 

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