良い世界にしようと頑張った結果ラクス様を更に曇らせちゃう話 作:おるプラス
C.E.68年
お父様に引き取られてから5年の月日が経った
今のわたしは12歳になる
現在はお父様の職場であるL4コロニーメンデルの近くにある居住区に住んでいた
この5年間、モルモットにされると覚悟していたわたしは当初の予想を裏切られ、拍子抜けする程穏やかな日常を送っていた
研究の手伝いとして時々採血や検査などを受けたりはしているが、基本は学校に通いながら普通に過ごしている
こんなにも良くしてもらい、モルモットにするくせになんて穿った見方でお父様を見ていたわたしは、あの頃の自分を思い出すと恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいになってしまう
変わったこととして研究所からお父様が帰ってくる日には、わたし自ら手料理を振る舞い食事を共にするようになった
その際には今日は学校で何があったとか、私の能力の話だとか、たわいない話をする
ほとんどわたしのことばかりだったが、笑みを浮かべ楽しそうに聞いてくれるお父様にわたしも嬉しくなり眠くなるまで話し続ける、そんな関係になっていた
それなりに順調なコミュニケーションを続けていたわたしだが、一度失敗したことがある
コーディネイターの結婚適齢期は過ぎているしお父様は結婚しないの?と尋ねてしまったことだ
その時のお父様は能面に貼り付けたような笑顔を浮かべ、シノアがいるからするつもりはないよ、なんて言っていたものの内面はドロドロとドス黒いものが溢れ、初めて彼の地雷を踏んでしまったことに気づいた
その日以来、お父様に恋バナをすることは封印した…
この5年間でわたしの能力についても新たに分かったことがある
一つは宇宙空間でもわたしの能力は作用し、人が多いコロニー内よりも鮮明にどこに誰がいるか、はっきりと認識できると言うこと
お父様曰くわたしは脳が常人を超えた活性をしており、空間認識能力がとんでもないことになっているらしい
さらにはザワザワと表現していたあの感覚もこの空間認識能力の拡張によって発生する先読みや予知のような能力ではと仮定していた
試しにルーレットを回し、これだと思う数字を答えていくと全て正答した
何度繰り返し回しても結果は変わらず、正答率脅威の100%を達成したのだ
この結果を見たお父様がアコードがどうのこうの言っていたがあれは一体何のことだったのだろう
ここ最近プラント側でも大きな動きがあった
ブルーコスモスによるコーディネイター迫害の激化に、地球理事国からプラントへの食糧輸出制限
それによって起こったマンデルブロー号事件
そんな事件が重なりパトリック・ザラ指導のもと政治結社だったZAFTが解体、再編成されモビルスーツを装備した軍隊になり理事国との関係は悪化していった
プラントと地球のそんな不穏な動きに合わせるかのようにわたし達の生活にも大きな変化が起こった
学校から帰るとお父様が家にいて何やら忙しそうにしている
こんな時間に家にいるなんて珍しいねーなんて尋ねると、なんでも議員になることになりアプリリウスへと引っ越すのだとか
急ですまないがシノアも引っ越しの準備をしてくれと言われ、えー!と文句を言う
そんなわたしに微笑みながらお父様はわたしに続けて言う
家族であるシノアには一緒に来てほしいこと
ただアプリリウスの家の準備に少々時間がかかるらしく、終わるまでわたしは知人の家で厄介になること
なんでもその知人の家には歳の近い女の子がいると言うことで、ぜひ会いたいと向こう側もわたしがくるのを歓迎してくれていること
そうまで言われてはNOとは言えず、諦めてアプリリウスへと行く準備を始めるのであった
数日後、わたしはお父様に言われた知人の家に訪れていた
アプリリウスについてからまさかのリムジンのお迎えにビクビクと緊張しながら家の門をくぐる
「でっか…」
広いお屋敷に案内されわたしは大きく口を開け驚いていた
そんな庶民丸出しのわたしに苦笑しながら
「お嬢様はこちらでお待ちです」
と、リムジンを運転していた執事さんが道を案内してくれる
そして広い庭園のような場所に到着し、わたしはそこで運命に出会った
「こんにちは、あなたがシノアさんですわね。
私は評議会議長のシーゲル・クラインの娘ラクス・クラインと申します。
父からお話を聞いておりましたの、お会いできて光栄ですわ!」
美しいピンク色の髪、水晶のように綺麗な瞳
まるでおとぎ話に出てくるようなお姫様がわたしに向かって微笑んでいた
「ひゃ、ひゃい!シノア・デュランダルです、よろしくお願いしましゅ!!!』
見惚れていたわたしは慌てて返事をするが思いっきり噛んでしまう
あまりにの恥ずかしさに、まるで熟したりんごのようにわたしは顔を真っ赤にするのだった
そんな様子が面白かったのかお姫様はクスクスと笑っている
「さあ、どうぞこちらへ。今日はいいお天気なので、庭でピクニックでもしませんか?」
彼女のそんな誘いにはい!っと今度は噛まずに答え、後ろを着いていく
これがわたしとラクス姉様の思い出すと恥ずかしい、けれど忘れられないファーストコンタクトになった