暑い夏の日はとにかく日陰を求めて歩きまわってしまうのが人の性である。俺も現在進行形でうろついている。
大学生2年生の俺こと金谷悠馬は7月11日という快適さの余地もない、蒸し暑いなか大学の図書館まで逃げ込もうとしていた。
「お〜っす今日もあつくてだるわ〜」
振り向くと友達である大石真斗が気さくに手を振っていた。
真斗「今から講義受けんの〜?」
悠馬「いやぁ生体栄養論の教授が熱中症になって、空きコマに変わったから図書館で暑さをしのごうとね」
真斗「マジかw人体教えてるヤツが熱中症でダウンしたら世話ねぇよwてか話変わるけど今から昼飯いかね?最近見つけたオススメの定食屋あんだよ」
悠馬「いいね〜いこういこう」
そして真斗のいう店へ向かったが、そこにつくには生い茂った雑木林を抜けないといけないと知ったころにはもう遅かった。
悠馬「こんなところに定食屋なんてあるかー??」
真斗「前に散歩してたら見つけてさ〜とにかくあとちょいだから」
暑さで思わず頭を垂れたとき、雑草の分け目になにか人工的なものがあり悠馬の目を引いた
悠馬「んぁ?なんだこれ懐中時計?」
近くで見てみようと拾ったその時、沈黙していた針が旋風の如く回り、花火も顔負けの閃光を放った。
悠馬「うおおおッ!まッぶッしッ!!」
10数秒だろうか、まぶたすら貫く光が止み恐る恐る目をあけると、そこには懐かしい部屋があった。実家の自室だ。混乱にしながらも机に目をやると、連絡帳があり7月11日まで埋まっていた。
悠馬「は?え?これって小学生の時の…」
戸惑いつつも状況を整理すると、今は小学4年の7月11日つまりちょうど10年前まで時間が巻き戻ったらしい。脳内に?が飽和しながらも、朝食や朝の準備を済ませてからもう一度考え込んだ。
悠馬「俺さっきまで大学生だったよな?なのになんだこれ?テレビも10年前のニュースやってたし、鏡で見たときも顔が小学生だったときの顔だ。」
「マジか......」
母「学校間に合うの〜?」
突然の母の声に驚きつつも学校にいかねばと思い、久しぶりの重いランドセルを背負い足早に家を後にした。
ミンミンミンミンやジーワジーワと鳴く蝉の声
10年前でも相変わらず照りつける太陽
卒業後使わなかった通学路
一緒に登校する同級生たちの顔
話す話題の内容までとても懐かしく、どこかワクワクする気持ちにさせてくれた。なぜならこれからもう一度、あの頃できなかったことをやり直せるからだ。その思いが足を軽くさせ、文字どうり軽快な足どりで母校へと歩を進めた。