悪平等(ぼく)の箱庭アカデミア   作:小豆小路

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第零話「これで仕込みは」

 

「発光のスキル『光り物には福がある(グローインググローリー)』」

 

 どこかで声が響いた。

 

「複合のスキル『唾棄合わせ販売(ダーティパッケージ)』」

 

 それはどこでもあり得たし、あるいはどこでもなかった。

 

「伝染のスキル『体周心裡(ブレインチェイン)』」

 

 どこにでもいるスキル『腑罪証明(アリバイブロック)』を持つ彼女にとって、そのような区別は無意味なのだから。

 

「大量増殖のスキル『舌禍は衆には敵せず(モストラージホルダー)』」

 

 もっとも、その『腑罪証明(アリバイブロック)』でさえも、彼女にとっては1京2858兆0519億6763万3865個あるスキルのうちの一つに過ぎないのだが。

 

「個性伸長のスキル『十人千色(アナザーワン)』

 

潜在能力のスキル『勿体ない資質(ポテンシャルヒット)』

 

因果混乱のスキル『冷や水で手を焼く(スタートプレイ)』

 

自動発動のスキル『自律する心計(ショーマストゴーオン)』

 

意志反映のスキル『前へ為らえ(アズユーウィッシュ)』

 

限定のスキル『空前絶後の被害(ファーストアンドラスト)』

 

人間改造のスキル『お気の無垢まま(イノセントリモデル)』

 

血筋継承のスキル『伝統は二の継ぎ(チェアマンジュニア)』

 

遅延発症のスキル『人心自己(ノットユアビジネス)』

 

物語作成のスキル『神の視点(ゴッドアイ)』

 

ランダム性のスキル『賭博士の余興(アンバランスルーレット)』

 

不条理のスキル『賽の河原の土木業(シシューポス)』

 

友情のスキル『超越同衆(フレンドシップマージン)』

 

努力のスキル『疾風努闘(スピーディペイン)』

 

勝利のスキル『多勝の宴(アペタイザーパーティ)』」

 

 一つ声が響くたび、一つ人智を超えた神秘が重ねられる。さもありなん、彼女は人ではない。宇宙そのものよりも長くを生き、あらゆる生命の誕生を欠伸混じりに見守った経歴を持つ、ただ平等なだけの人外である。

 

「そして、スキル授与のスキル『口写し(リップサービス)』」

 

 最後にそう言って、彼女は抱えていた赤ん坊の唇に自らのそれを重ねた。彼女はそっと赤ん坊をど(・)こ(・)で(・)も(・)な(・)い(・)場(・)所(・)に横たえると、忽然と消え去る。

 

「さてと、これで仕込みは完成。箱庭学園もこれで用済み。学園モノも悪くはねーが、要はテコ入れってやつだ」

 

 どこかで、リボンに束ねられた黒髪が翻った。

 

「ここらで一度バッサリ切って、昨今の流行りに合わせたコミカルで異次元でヒロイックな週(・)刊(・)少(・)年(・)ジ(・)ャ(・)ン(・)プ(・)的(・)王(・)道(・)ア(・)ク(・)シ(・)ョ(・)ン(・)モ(・)ノ(・)の(・)要(・)素(・)も(・)盛(・)り(・)込(・)ん(・)で(・)い(・)く(・)べ(・)き(・)だ(・)ぜ(・)」

 

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