「発光のスキル『光り物には福がある』」
どこかで声が響いた。
「複合のスキル『唾棄合わせ販売』」
それはどこでもあり得たし、あるいはどこでもなかった。
「伝染のスキル『体周心裡』」
どこにでもいるスキル『腑罪証明』を持つ彼女にとって、そのような区別は無意味なのだから。
「大量増殖のスキル『舌禍は衆には敵せず』」
もっとも、その『腑罪証明』でさえも、彼女にとっては1京2858兆0519億6763万3865個あるスキルのうちの一つに過ぎないのだが。
「個性伸長のスキル『十人千色』
潜在能力のスキル『勿体ない資質』
因果混乱のスキル『冷や水で手を焼く』
自動発動のスキル『自律する心計』
意志反映のスキル『前へ為らえ』
限定のスキル『空前絶後の被害』
人間改造のスキル『お気の無垢まま』
血筋継承のスキル『伝統は二の継ぎ』
遅延発症のスキル『人心自己』
物語作成のスキル『神の視点』
ランダム性のスキル『賭博士の余興』
不条理のスキル『賽の河原の土木業』
友情のスキル『超越同衆』
努力のスキル『疾風努闘』
勝利のスキル『多勝の宴』」
一つ声が響くたび、一つ人智を超えた神秘が重ねられる。さもありなん、彼女は人ではない。宇宙そのものよりも長くを生き、あらゆる生命の誕生を欠伸混じりに見守った経歴を持つ、ただ平等なだけの人外である。
「そして、スキル授与のスキル『口写し』」
最後にそう言って、彼女は抱えていた赤ん坊の唇に自らのそれを重ねた。彼女はそっと赤ん坊をどこでもない場所に横たえると、忽然と消え去る。
「さてと、これで仕込みは完成。箱庭学園もこれで用済み。学園モノも悪くはねーが、要はテコ入れってやつだ」
どこかで、リボンに束ねられた黒髪が翻った。
「ここらで一度バッサリ切って、昨今の流行りに合わせたコミカルで異次元でヒロイックな週刊少年ジャンプ的王道アクションモノの要素も盛り込んでいくべきだぜ」