異世界に行きたかった女の子がナザリックの一人になったと思ったらやらかした   作:アルトリア・ブラック(Main)

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人化の指輪、ついに出したくなりました。ごめんなさい

分かりやすく行間開けたりはしますので悪しからず。話がゆっくりでごめんなさい。王国滅亡編は大きく変わるかも?

人化の指輪で黒執事の二名が出てきます。ガワだけなので…


第17.9話『束の間の休息』

 

八欲王の一人、鎌を武器に呪いのような僧侶のような術を使う八欲王の一人が復活したのはやっと分かった。

 

しかし、仲間割れでほとんどレベルダウンしたからそれは良い、でも一番大嫌いな存在が目の前にやって来たのは本当に何をしたいのか分からない。

 

「わざわざ亡霊姿になってまで何をしに来た?」

 

そう威圧しながら言うと彼女はニコニコ笑いながらも、両手を後ろで組む

 

戦うつもりはないよと表現しているのはわかるが、今更この最悪なタイミングで出て来るなんて意味が分からない。

 

『私は君達には感謝しているし、戦うつもりはなかったし崇拝してたし、尊敬しているし信頼しているよ』

 

唐突に褒め出したのもまた気持ちが悪い

 

「本当に何が言いたい。今の貴様を倒したところで虫を潰すようなものだ」

 

亡霊状態であることから本体はおそらくはエリュンエンティウにある。

 

十三英雄である自分だけは入ることを拒絶されたその場所

 

『凄い敵意だな、今現状考えてみれば私なんてさしたる脅威じゃないだろう?』

 

異形種を沢山殺しておいて何を言っているんだこの女は、と殺意をあらわにする。

 

「だったら早く要件を言え」

 

『ハイハイ。まずもって君は魔導国には絶対に勝てない』

 

「………何?」

 

この女はなぜその事を知っている?

 

つい最近蘇り、エリュンエンティウから外を見たとしても魔導国の現状を知れない。

 

あの帝国でさえ知っているか定かではないのだ。

 

『何でお前が知ってるって顔したね、まぁ、簡潔に言えば、あそこにいるトップの一人と私は大親友だったんだよ、それに、私もあそこのトップの一人もこの世界のことを知ってるよ、君の攻撃方法や思考回路、スレイン法国の内情や聖王国の現状まで』

 

恐ろしい事を淡々と話すこの女。

 

世界の真実を知っている?何を言っている?私の攻撃方法をこの女が知っているのは分からなくもないが、転移して来たであろう魔導国のトップの片割れが知っているわけはない。

 

そう断言すると

 

『単独で君が向こうに挑んだって絶対に彼には勝てない。だって、彼は君を殺すためだけにNPCを作ったんだから。殺戮と破壊だけをメインに竜殺しを得意とするNPCをね、だから真正面から行ったって闇討ちしたって勝てっこない(闇討ちはわかんないけど)テメェがあの子にかけた呪いのおかげで多少は引き気味だけどね』

 

突如として殺意を露わにしたテメェ、と

 

「…お前と向こうは知り合い以上、恋人未満ということか」

 

そう言うと、女はニコリと笑い

 

『どんな関係かそんなこと竜であるお前になんて分かりゃしないよ、人間の気持ちを異形種が理解出来ないように、人間だって人間の気持ちが理解出来ないように』

 

殺意を露わにしつつも、女は話し始める

 

『かといって彼らを放置したら人間は絶滅してしまうかもしれないしね、聖王国は少数、かろうじて人間としての国家を保てるのは帝国ぐらいだろう。でも断言して良い。異形種はこの世界から消えてなくなる。あの子は特にツアーのことは大嫌いだったからね、私は大好きだったけど』

 

「………気色悪いんだよお前は」

 

好きならなんで暴れ回った、竜を殺して回る仲間を止めなかった

 

『うわー、殺意すごいねーまぁ無理ないか。話を戻すけど、君が魔導国の破壊を止めたいのなら、君が巻き込んだルイくんを評議国に連れて来た方が良い』

 

「……何?」

 

この女はどこまで知ってるんだ、何故、ルイという少年のことまで

 

『彼だけが唯一、レベル差関係なく彼らと立ち向かえる勇者だから、私の話をどこまで信じるかは君次第だし、信じなくても他にやりようはある。でもね、ツアー』

 

女は私のそばにゆっくりと来ると

 

『私はこの世界のことを尊敬しているんだよ、この世界がなければ私もあの子も再会できる可能性は少なかったから。だけど、これだけは言っておく』

 

レベルダウンしたというのに、女から感じられる殺気の恐ろしさ

 

『あの子を呪ったテメェは絶対に許さない。苦しめて弱体化を狙うそのやり方も無関係な人間を巻き込んだそのやり方も、だから一度死ねないぐらい苦しめばいい』

 

女は二重人格かと言いたくなるぐらいニコリと笑い

 

『要件はそれだけ、私としては王国の行末は見たいけど、同時に私にもやりたいことはあるから』

 

そう言ってその場から掻き消える

 

女の言い方に信頼できるべき者に相談すべきかと判断する。

 

 

 

女は空に立ち、帝国の方を見て微笑む

 

「今は思う存分に楽しんでね、ーー」

 

私に生きる理由を教えてくれた、世界の広さを教えてくれた人

 

(あー、言った方が良いかな、あの子、両親は死んで欲しいとか言ってたけど…)

 

んーと悩む

 

(ま、全て解決してからでいいかな)

 

一瞬脳裏にチラつく真っ赤なリビング、引き摺り下ろしたあの子の身体を抱きしめ泣きながら橋の下に一度連れて行ったこと

 

全てを燃やし尽くして私はあの子と一緒に死のうと川辺にいたのを思い出す

 

(前の前の人生、生きてたら多分極刑間違いなしかな)

 

そう笑いながらも、今を楽しんでいるあの子を見て微笑む

 

 

 

 

 

「……ゲーティア様。訪問時間より2時間も早いですが…」

 

帝国の街並みを人化の指輪を付けて歩くゲーティアと念の為にと無理矢理な理由をつけてセバスにも付けさせた。

 

まぁ、悪魔騒動で顔を見られただろうし、皇帝にも顔を知られてるだろうと言えば納得して付けてくれる。

 

ツアレに関してはメイド服を辞めて普通の服を着させたら帝国民と大差ない。

 

「いくらいつも通りにって言ったって皇帝は歓迎するだろうし、それじゃあ視察にならないから自然体で見たくてね、それと、今、私の名前は『アンダーテーカー』セバスの名前は『セバスチャン・ミカエリス』間違えないようにね」

 

「かしこまりました」

 

「あ、あの、私は…?」

 

「んー?ツアレは大丈夫だよ、ツアレで」

 

「は!はい」

 

この名前でハッとなるだろうが私は大の黒執事のファンでもある。

 

その中のアンダーテーカーにどハマりした、というか銀髪緑色の瞳が癖になったかもしれない。

 

好きなものに限度なんてないと思いつつ、人化の指輪で行けるかと思ったら行けて歓喜したのは記憶にまだある。

 

人化の指輪は姿形を人間に見せるだけであって大したスキルは付与されていない。

 

変装したって戦い方は本体に由来する

 

「お兄ちゃん、このご飯食べるかい?」

 

「いただこうかな、セバスチャンとツアレは?お腹空いたかい?」

 

そう言うとセバスは少し迷っているがツアレは食べたそうにしていたのを見てセバスも食べるとのことだった。

 

三人で仲良く店の外のベンチでのんびりとくつろぐ

 

「いやぁ、帝国は過ごしやすいなぁ、空気感も王国と違う」

 

脚を邪魔にならない程度に伸ばしながら食べていると、セバスが不思議そうにしつつもツアレもこちらをチラチラ見ていた。

 

「なんだい?」

 

「あ、いえ…失礼を承知でお聞きして宜しいでしょうか?」

 

改まって言われる。セバスチャンの顔でそう困った顔で言われるのも感動ものだけど

 

「ん?」

 

「ゲー…アンダーテーカー様の話し方はどちらも本当、なのでしょうか?バレないように演技をしていると言うことでしょうか?」

 

その言葉にあぁ、となる

 

確かにいつもの威厳の威の字なんてない喋り方、アンダーテーカーを意識したつもりがなんかロマニみたいなような話し方にもなってしまい結果、オリジナルみたいな話し方になった。

 

「演技はしてないとも、これも私。まぁなんというか羽を伸ばしたいと言うか、あの話し方も別にいつも通りなんだけど、今は気を引き締めなくて良いかなと思ってダラけた話し方してるだけだよ、何の意味もない」

 

ゲーティアとしての話し方も別に苦ではない。…いやちょっと苦な時もあるが

 

「左様でございますか。不躾な質問をしてしまい申し訳ありません」

 

「別に気にしないさ、それと、思い出話って言ったらアレだけど、たっちとは前々からの知り合いというか、リアルっていう世界でも知り合いだったわけ、特にたっちは絵に描いたような正義の味方。でもそんな正義の味方でもたっちは自分の立場のせいで救えない者達があって後悔したらしい」

 

たっちとの話が知りたいのか、ツアレそっちのけで話を聞いていた。

 

「…たっち・みー様でも救えない者達がいたのですか?」

 

リアルのことをどこまで話すかと思ったが、支障のない範囲で話す

 

「いたんだよ、力じゃ叶わない立場ってものに縛られて、とにかくたっちはそれに後悔していた時にまぁなんというか、私に声をかけてくれたというか、私も結構荒んでたってのもあるし、声をかけてナザリックに招待してくれたのもたっちだしね」

 

まぁ、たっちの言葉は響かなかったが、愛ってなんだ。親が子を愛する感覚はイマイチ理解出来ない。というか、可愛いと同義なのだろうか

 

思考が脱線しかけてるのを戻す

 

「なんと…」

 

セバスが感慨深そうに呟く

 

「セバスを創った時も託したいことがありすぎて無理だって言うぐらい(放り出したけど)それでこの世界に転移してきてからセバスが自分の意思で助けてと言ったツアレを助けた、問題も起こったけど、結局はツアレをこうやってナザリック入りさせてる」

 

「アレは…私の甘さで…」

 

モモンガが裏切っていないならツアレを殺してナザリックに忠誠を誓えと言ったことは知っている。

 

でも、アレはモモンガもその意思を汲み取ったコキュートス達も理解出来たはずだ

 

セバスがナザリックへの思いもあるということも

 

セバスからしてみれば命懸けだっただろうが

 

「甘さでもなんでも、セバスはモモンガ達に立ち向かった。自分の守りたい者のために。それからしてみればたっちもすごく喜ぶと思うよ、地位や力に立ち向かえるセバスはもう立派にたっちの願ったことを叶えられてる、まぁただ救いたいからって何でもかんでも救うのは違うからな?手に持てる範囲の、幸せに出来るだけの人だけにする、っていうのが良い在り方だよ」

 

そう言ってよくわからん固い煎餅っぽいのをパリッと食べる

 

何も言わないセバスにん?と見るとセバスチャンの表情で泣きそうになっていた。そして、勢いよく自分の前に膝をついて『お話を聞かせてくださってありがとうございます。たっち・みー様の思いを…』と感謝を述べようとしたので

 

「それは後でなっ!!今は観光だからなっ!!」

 

そうガッと立ち上がってセバスチャンを抱えて椅子に戻す。

 

たまたま一通りが少なくて良かったが、目の前の店員さんはなんだなんだと見ていたが、忘却魔法を大慌てでかけるといつも通りに戻ったのか仕事をしていた。

 

アンダーテーカーがセバスチャン・ミカエリスを抱えるというわけわかんない光景を俯瞰して見て腹がもげそうになるぐらい笑そうになる。

 

「し、失礼致しました…」

 

ある程度ひと段落すると、歩きながら帝国の街並みを見て歩いていた。

 

活気に満ち溢れた街だった、しかし、そんな平和そのものだった街にも闇はあるようで、路地裏から複数の声が聞こえてくる

 

子供のような話し声と共に殴打音が聞こえてくる。

 

「コイツ、第二魔法も覚えることも出来ねぇのかよ」

 

「ゴミクズだな〜とろいしさ」

 

「ひっ」

 

殴打されている少年は必死に頭を守ろうとしていた。

 

「っ…!」

 

ツアレも見てしまい、その光景にセバスの方へ行く

 

かつての記憶が蘇ったのだろう。セバスは大丈夫ですか?と気遣っていた。

 

「セバス」

 

「はっ」

 

そう言ってアンダーテーカーのようにシィとやると

 

「ちょっと気に食わないからやってくる。セバスはツアレとそこのベンチでのんびりして置いて」

 

「しかし…」

 

伴の意味がなくなると言おうとしたが

 

「ドラコーがいるから大丈夫だ」

 

まっすぐ少年の元に行くと、いじめていた三人組を見る

 

《お前よく毎日来れるよなぁー?頭弱いくせに》

《お前なんてゴミ生きてる価値ねぇよ》

 

嫌な記憶が脳裏に過ぎる、嫌なことをされた光景も、しかし、アンダーテーカーとしてのガワのおかげか少しだけ冷静でいられる

 

「な、なんだよジジイ」

 

銀髪なんだけど、白髪に見えるかとアンダーテーカーのように笑いながら

 

「ダメじゃないかいじめなんてしちゃ、そもそも、魔法の話をしてたのに拳が出るなんて、君は教育がなってないようだねぇ」

 

「な、なんだよ!平民のくせに!!俺は貴族の!!」

 

「だからなんだい?貴族だから平民に暴力を振るって良いと?いいとも暴力を私に振るって、報復される覚悟があるならねぇ」

 

第二魔法なんて弱すぎて使い物にならならいレベルなのだが、この世界では割と位が高いらしい

 

「ジジイには関係ねぇだろ!!退けって!アシッドアロー!!」

 

2本の酸で出来た矢を放つ単体攻撃が襲ってくる

 

しかし、そんな攻撃はゲーティアには当たらない。

 

「ん?なんだい?なんかしたのかぃ?良いかい君達。君達の魔法は確かにすごいかもしれないがね?世の中には、世界には第二魔法なんてゴミクズでしかないんだよ、そもそも魔法よりも暴力の方が手っ取り早い」

 

頭を撫でながら彼らを見る

 

別に頭をぶっ潰す気はない、刃傷沙汰なんてごめんだ

 

三人の顔を見るように上から覗き込むと

 

「誰かを踏み躙りたいなら、大人になってからやってご覧?まぁ、君らの頭じゃ、せいぜい兵士止まりだろうけどね」

 

そう言うと男の子の一人が逃げるのに続いてみんな逃げて行く

 

殴られていた少年をみると「あ、ありがとうございます」と言われる

 

助けてくれない、と諦めている顔、教師は何をしているのやら

 

しかし、彼に対しては治癒魔法もかけないし、これ以上の助けはしない。

 

かつて自分がやられたようなことを見て、誰も助けてくれないと絶望した過去はあれど、今の自分には、ゲーティアには彼の人生をセバスのように守れる自信はない。

 

かつての親友なら、救えただろうか?救えただろうなと笑いながらも

 

「やり返したい、と思うのならたくさん絶望して憎悪をあの子達に向けるといい」

 

そう言うと少年の目がまっすぐこっちを見てくる

 

「綺麗事ばかり言う大人は信用しなくて構わないさ、世の中、絶望と憎悪だけが生きる理由になることだってある。諦めと言う気持ちは死と同義だよ、少年」

 

そう言って屈むと彼の頭を撫でながら

 

「平民も貴族も王族も何も変わらない。人間には同じだけの価値しかない。君の才能がないからと諦めるんじゃなく、別の才能を探せば良い」

 

「別の才能…?」

 

かつての親友を思い起こす、あの子は絵を描くのがとてつもなく綺麗だった、本当は声優希望だったけど、声が普通だったから無理だと聞いた。

 

「そうだよ、趣味から才能が開花することだってある。可能性は無限大、なんてね」

 

そう言って立ち上がり、セバス達の方に歩いて行く

 

「同じことを言うけど、人間の原動力は憎悪と絶望だ。希望や優しさだけじゃ前には進めない」

 

まぁ、前々世の私は全てを諦めたのだが

 

「じゃあね、小さな少年、君の人生に道があるよう祈ってるよ」

 

 




【人化の指輪】
キャラクターやNPCのデザインを全く別の姿形にするだけ、戦闘に関しては魔法詠唱者以外ならその形態でも戦える。

・ゲーティア→黒執事の『アンダーテーカー』
・セバス→黒執事のセバスチャン・ミカエリス

・人化時のゲーティアの話し方
ロマニとアンダーテーカーを混ぜた感じ、要はオリジナル。いつもの威圧感はまるでない。セバスとツアレにしか見せないが、不可視化していたドラコーも見てたので別にそれは気にしない。でも、蘆屋道満とかデミウルゴス達には見せたくないなぁと思っている。
関係ないが『小生』って言いたかったけど、勇気が出なかった。
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