異世界に行きたかった女の子がナザリックの一人になったと思ったらやらかした   作:アルトリア・ブラック(Main)

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ここからちょっとオリジナル要素入ります。既に入ってたけど…




第18話『帝国視察、そして…』

 

帝国視察に関して帝国側は出来る限りのもてなしとして、あの魔術王と話し問答できたニンブルを帝国視察の任に命じる。

 

最後に皇帝と話すという計画を出すと素直に向こうは了承してくれる。それどころか無理を言ったのはこちらだから、そんな気負わなくていいと言われた

 

いつも通り執務するなり、何なりしろと言うことか!とキレる皇帝を思い出しつつも、ニンブルは帝国視察にやって来た魔術王と同じ馬車に乗る。

 

魔導国が用意した馬車は帝国の馬車より豪華で外から見ても何人入れるのか分からないぐらいの大きさの馬車だった。

 

馬車を漕ぐ執事の男とメイド。

 

ニンブルは対面に座る魔術王にある違和感を感じ取っていた。

 

戦場で見た時のあの禍々しい目ではなく、金色の目をしていた。

 

威圧感は全くなく、本当にあの時の人物と同一人物なのか疑うが、戦いにおいて破壊に特化したとあの魔導王までもが言っていた。

 

(…破壊に特化したってなんだよ…国一つを滅ぼせるってことか…?あれでも結構手加減したってことか…)

 

ニンブルはなんで自分が彼の視察を命じられたのか、少しだけ胃が痛くなる。

 

「ニンブル殿」

 

「!は、はい!?」

 

思わず声をかけられてビクつく、完全に意識が別に行っていたせいで反応が遅れてしまった。

 

「そんなに緊張しないでくれ、私は帝国の視察をしたいだけで、破壊も殺戮しない予定だ」

 

(…予定って…)

 

「はい。皇帝陛下の計画通り視察場所はこのように決めております」

 

そう言って紙を見せるとじっくりとゲーティアは見ていた。

 

「…騎士団の兵舎などは視察の場所について相応しくないと思っておりまして、皇帝陛下からは魔法学院と闘技場を視察するのも良いかという計画になっております」

 

帝国魔法学院、闘技場その二つを聞いて、少しだけ無言になるゲーティア

 

何か耳に手を当て確認しつつ、了承したのか、視察内容については了承してくれた。

 

小国の王の一人…魔導王曰く友人と言っていたから同等の扱いをしなければならない。

 

二王制度なんて聞いたことがないが、ふと、聞いても良いのか悩みつつも、今のゲーティアにななら聞けそうだと思い

 

「失礼ながら魔術王閣下は、魔導国ではどの位なのでしょうか…?帝国では皇帝陛下一人…王は一人となっていますが…」

 

そう言うと魔術王は「そうだな」と呟く

 

「次期王というような扱いでいい。帝国では皇太子と言っているみたいだが」

 

そう言いながら笑う、どこまでが本当か分からないが、仮に皇太子として扱うなら皇帝が出るべきだろうとか色々思ったが、魔術王曰くこの話はあまりしたくないのか話を逸らされる

 

この話題を避けるということは避けなければならない要因でもあるのか?と思いつつ、この事を皇帝に報告するのを視野に入れて、とりあえずは魔法学院に着くと普段より数十倍綺麗になっており、先にニンブルが下り、その後ろを魔術王が続く

 

その後ろに執事服の男とメイドが続いていた。

 

「今日は学生達は休みでいないので、館内をご案内致したあと…」

 

最後まで言い終わる前に、扉がガッと開かれ、その人物が普段絶対しないようなスピードでニンブルの前…ではなく、魔術王の前に平伏する勢いでやってくる

 

「お待ちしておりました!至高の御方!!魔導国の至高の御方のお一人が来られるとお聞きしましたので!ご挨拶に参りました!」

 

今までに聞いたことのない声量でやって来て皇帝にすら見せたことのないぐらいの勢いで、深々と頭を下げる

 

フールーダのあまりにも露骨過ぎる反応に、ニンブルは見ないフリをするべきか悩んだが

 

「パラダイン様。このお時間は…」

 

「しかし、魔導王陛下と同じくまるで何も見えない!!お力を我々の為に隠して下さっておられるのですな!」

 

最早誰だお前レベルで話なんて聞こえてない。

 

「……」

 

ハァと後ろから魔術王のため息が聞こえ、魔術王が機嫌を損ねて帝国を滅ぼすなんて考えを魔導王にしてしまったらシャレにならない。

 

慌てて止めようとすると、背後からとてつもない恐怖を感じる

 

息が詰まるような、呼吸ができなくなるぐらいの感覚

 

足の震えを抑えるのに精一杯のニンブルと違い、目の前にいたフールーダは興奮気味に

 

「おぉ!!!神よ!!やはり!やはり!魔導王陛下の御友人であられる魔術王殿下にも神のお力が!!!」

 

こんな状況の中発狂して這いつくばるフールーダの異常さを通り越して恐怖を感じる。

 

どこまで魔法狂いなんだ

 

しばらくすると、フッと背後からの威圧感が消失する。

 

「……パラダイン様。魔導国魔術王閣下が、視察に来られて…帝国魔法学院を見に来たのですが、何か良いところは…」

 

フールーダが裏切っていることは知ってはいるが、恐怖のせいで彼に話を振ってしまう。

 

帝国に損害を与えるような真似はしたくないが、現にこの魔法学院について知っているのはフールーダしかいない。

 

「おお、そうですな、魔術王殿下にもご案内を…」

 

そう言ってこちらですと案内するフールーダ。

 

少し離れたのを確認し、慌てて魔術王に謝罪する

 

そう言うと魔術王はフールーダには関心がないのか『謝る必要はない』と言われる

 

感情の伴わない眼差しでフールーダを眺めていた。

 

フールーダに案内され、学院内を見ていた魔術王はフールーダの話をフル無視して建物や政策についての方に関心があるのか、ニンブルの話の方をよく聞いていた。

 

「我らが使えるのは第四位階魔法、私が使える魔法は第六位階魔法でございます」

 

誇らしげに語るフールーダ。確かにこの話題は気になる。

 

少なくともフールーダより魔導王、魔術王が強いのは確かだ。

 

しかし、その中でも魔法に種類があるなら聞いておきたい

 

魔術王は興奮気味のフールーダと怯えている高弟達を見てから一度ニンブルを見る

 

「お話できない内容ならば、闘技場に…」

 

「いや、別に話せない内容でもないし、アインズも既に見せた魔法に関してだが、基本的に魔導国では第七位階魔法が当たり前だな」

 

淡々と話す魔術王と言葉に息を呑み、魔導国には敵わないと判断する。

 

なんだ、基本的に第七位階魔法が使えるって、第四位階魔法でさえ逸脱者扱いされているというのに

 

「それで、私たちは基本的に第10位階魔法が使える。私たちの間ではそれが普通だった」

 

「おぉっ!」

 

唯一、恍惚とした表情のフールーダに相反し、皇弟たちは顔面真っ白だ

 

かくゆうニンブルでさえ、第10位階魔法なんて神に等しい。それが当たり前とはなんだ。

 

「話はそれだけで良いか?」

 

そう言われ、ニンブルはハッとなり、次の案内場所に早く行こうと部下達に指示を飛ばす。

 

皇帝が決定権を決める立場だが、ニンブルとしてはこんな神が使うような魔法を当たり前のように使う奴らを敵に回す危険性は高すぎると

 

「殿下、お一つよろしいでしょうか?どうしたら、その深淵を覗けるのですか?」

 

目をキラキラさせ、興奮気味でありながらも抑え気味に言うフールーダを見て初めて魔術王は嗤う

 

その笑いが実に嘲笑うような笑い方であるのは分かった。

 

「それを質問する時点で無理だろうなぁ、そもそも、教えるのはアインズの方が得意だからなそっちに聞けるなら聞いた方がいい。ニンブル殿、待たせてすまない」

 

「は、はい」

 

そう言ってフールーダを置き去りにして自分に着いてくる

 

馬車に乗り、皇帝に属国化した方が良いのではないか、魔導国に関しては膝を屈するべきなのかその内容で脳を締めていた。

 

「…先ほどはフールーダパラダインがご迷惑をおかけしました」

 

深々と頭を下げる。側から見ても異常行動で魔術王が、帝国を滅ぼすなんて言わないことを祈りつつそう言うと

 

「迷惑というより熱意が凄かったな、それだけあの老人は魔法に関する思いが強いのだろうな」

 

そう苦笑いに似た何かの表情で言われる

 

「…失礼ながら意見よろしいでしょうか?」

 

失礼に当たる質問かもしれない、でも移動までの時間を耐えれる自信はなかった。

 

「なんだ?」

 

「魔術王閣下や魔導王陛下はどうしてそこまで強くなれたのですか?」

 

魔導王がアンデットなのは分かるが、魔術王はイマイチよくわからない。

 

人間らしい容姿の時もあれば化け物のような目の色の時もある。

 

わけがわからないのだ。

 

「アインズの場合は趣味だな、しかも、ちょっとフールーダ・パラダイン卿に似ていたな。あの頃は」

 

思い出話のように語る内容を注意深く聞く、フールーダが人間を辞めて魔法の探究をし続けたらあれになる、なんて勘弁してほしいが

 

「魔法を覚えるのが楽しいからと集めていたし、知識量に関しては私よりあるとは思うな、私はそうだな…」

 

一度窓の外を眺める、目線が空を見ていた

 

「憎悪が根底にあったな」

 

そう笑いながら話す魔術王に恐ろしさを感じる

 

ここまでの領域に至った理由が憎悪、そこからくる原動力が今収まっているのだろうか?

 

そもそも、人間と同じ基準で憎悪という感覚を語って良いのだろうか

 

「初めは何処にでもあるような恨みから憎悪に切り替わった。会談より戦争の方が早いように、私もそういう感じで今に至ったわけだな、まぁ、不安にも思わずとも、破壊衝動など常にあるわけではない。まぁ、単なる動機だからな」

 

なんでことのないように話す魔術王に背筋が凍る。

 

憎しみは時に大きな原動力になる。それがこの破壊力などコレなんて笑えない。

 

 

 

それから皇帝に会い、闘技場に行き軽く観戦を見る

 

今回は異形種対冒険者の戦いで案の定、異形種が勝利した。

 

まぁ、低レベルではあるものの、冒険者が必死に戦う様は滑稽だった

 

明らかなレベル差があるのに勝てると思っているあの顔

 

(…まぁ勇敢ではあるか)

 

皇帝が適度に冒険者についての話や異形種についての話をしてくれる。

 

その適度さにもてなしてる感じが否めないのと、表情は皇帝らしく威厳に満ちているが、どう見ても疲れている。

 

表情の動き方がわかりやすい、それだけ疲れているのだろう。

 

ある程度、話は終わり、モモンガが伝言で泣き落としして来たのでそろそろ帰還することになった。

 

「貴殿らの国と今後とも良くして行きたいと魔導王にも伝えておいてくれ」

 

「あぁ、そうだな…皇帝陛下」

 

そう改まって言うとジルクニフの目尻がピクッとなる。

 

魔導王の後継と思いっきり嘘をぶちまけた。

 

人間としては皇太子に当たるので、王であるジルクニフには敬語を使うべきだろう。

 

「よしてくれ、貴殿もジルクニフと呼んでも構わない」

 

ジルクニフが明らかにやめてくれって顔をしていたので苦笑いし

 

「それではジルクニフ殿。魔導王にもそう伝えておくようにする。それでは」

 

セバスが馬車の扉を開けてくれる。

 

乗り込む前に振り返り

 

「私達が言える筋合いでもないが、体に気をつけるように、ジルクニフ殿に倒れられたらどうしようもない」

 

そう言って笑いながら馬車に入る。

 

馬車に乗り、ツアレとセバスが気を引き締めながらも馬車の運転席でラブラブなのを無視しつつ、モモンガから伝言を聞く

 

「………は?」

 

伝言内容に思わずドスの効いた声が出る。

 

ラスボスがよく使うようなボイスチェンジャーを使っていたらそのままの声になった。

 

ユグドラシル時代、ゲーティアに近い声と、単に好きだったアンダーテーカーの声など低音男ボイスを掻き集めたせいで女の声なんて皆無である。

 

東雲栞里の頃の声なんて微塵もない。

 

『蘆屋道満とアルベドが王国に視察に行くって言い出したんです。無論、蘆屋道満の方はゲーティアさんの方に何かあればすぐさま戻ってくるという話にはなってます。俺だって止めたんですよ!?蘆屋道満が行ってどうするって!』

 

必死で謝るモモンガにとりあえず帰って話しましょうと返す

 

「最悪、何かあれば道満は呼び戻せば良いから問題ないですよ」

 

そう言って伝言を切る

 

馬車に乗りながら天井を見る

 

原作の唯一のイレギュラーである己の存在、そして、自分のNPCたち

 

対竜王達や破壊の為だけに作ったNPC

 

(…あの時は、むしゃくしゃしてたな…)

 

そして、ギルメンとの関係も少々荒かった。

 

特にウルベルトさんとは仲悪かった。金に物言わせてナザリックの制作NPCのレベル上限を上げる為に課金しまくり、ダンジョンを攻略しまくった。

 

(…あの時は…分裂寸前になったけど、モモンガさんとペロロンチーノさんと死獣天朱雀さんに宥められて何とかなったな…)

 

そして、ユグドラシルで最終日が近づく日数になった時にたっちと死獣天朱雀に自分が未成年で年齢偽装をしてナザリックに入ったのもバレた。

 

幸いにもたっちの方はそれを公にする前にそれは出来なくなったし、死獣天朱雀に関しては、運営に言うつもりがあったのだろうか?

 

『君は、私の言葉じゃ、この世界の人間の言葉じゃ、止められないだろうなとは思っているよ、でも、君が作り出したNPCを見れば分かる』

 

死獣天朱雀本人が一度、アーコロジーの中にある私の家を訪ねて来た

 

大学教授として、娘さんの頭脳には目を見張るところがあると、今考えてみればどう考えても嘘でしかないハッタリで会いに来た。

 

『嘘も突き通せば真実になる、立ち止まりたくなったら止まってもいい、ただ、これだけは脳に入れておいてほしい』

 

死獣天朱雀は苦笑いを浮かべ

 

『君が、幸せになって。誰かと本当に笑い合える日が来ることを私は願ってる。ユグドラシルの件については言わないよ、だって君のご両親が君へ向ける愛情は法律をも捻じ曲げてしまいそうなぐらいだからね』

 

そう言って手を振って家から立ち去る彼

 

《栞里は頭が良いのね》《やっぱり、俺達の娘なだけはある!》

 

《貴方みたいに読書好きで、私みたいな美貌の可愛い子》

 

その言葉に愛があるなんて分からない、自分がたまたま今世では美人な方だったから親は喜んでて、あくまで二週目だったから普通より頭が良いと見られてだだけ

 

親なんて、二人の男女が性欲に負けて自制せず子供を作るものだろう。

 

東雲栞里は美人で二週目という特典があったからあの世界では褒められた。だからなんだ

 

【お前なんて生まれて来なければよかったのに】

 

そう叫ぶ前々の親の顔が思い浮かぶ

 

「…個人への愛と人類への愛って何が違う」

 

ゲーティアを選んだのは間違いだっただろうか?でも、私はゲーティアに憧れ、ドラコーも好きなキャラだった。

 

『わたしを、置いていかないで、わたしは、あいせるよ』

 

ティアマトのセリフが聞こえて来る

 

唯一の違和感、なぜか彼女を作った経緯だけは欠落していた。




【ゲーティアから見たフールーダ】
信用してない。
一回裏切った奴は何度も裏切ると判断している。

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