異世界に行きたかった女の子がナザリックの一人になったと思ったらやらかした 作:アルトリア・ブラック(Main)
ルイくんがソロマニ(ソロモン姿のロマニになるか)ソロゲ(ソロモン姿のゲーティア)になるか
ルイとリンは大人達に連れ戻され、傷の手当てを受けた後目一杯怒られる
特にリンはルイを連れ回した責任もあり、人一倍叱られた。
「…調子こいたのは私だし…ルイにも悪かったなぁ」
手にタオルと桶を持ってルイの下に向かう
「ルイ〜!入るよー」
相手は10歳ぐらいの男の子で、年上の女に遠慮なしに入るのは嫌がられるだろう。
リンは昔からガサツな所はあるが、そこだけはデリカシーがあると思っている。
「…ルイ、寝てるのかな?」
そろーと覗くと、ルイは呆然と窓の外を眺めていた。
「あ、起きてるじゃん。ルイ、おはよう」
そう言って近づくが、ルイの目はまっすぐ外を見ている
「ルイ?具合悪いの?」
近くで声をかけるとハッとなったのか、ルイはこちらを向き直り『だ、大丈夫だよ』と呟く
「背中の傷どう?一応包帯持って来たよ」
そう言ってバケツなどをテーブルに置くと
「…リンはさ、どうして僕を助けてくれたの?赤の他人なのに」
「え?」
いきなりそんなことを聞かれると思ってもおらず、ムッと少し考える
「いや、あの時は悪魔が大量に発生してたし、ルイは一人だけポツンといたじゃん?そんな子を見て一人には出来ないよ、それに何より、私弟欲しかったし」
そうドヤ顔で言うとルイは微妙に笑いながら
「そうなんだ」
そう言って『傷は治ったよ』
とだけ言って笑う
「リンは凄く明るいよね」
そう笑いかけるルイに違和感を感じる
ルイと話しているのに、別人と話しているようなそんな違和感。
「リン、ルイの怪我は大丈夫か?」
そう言って入って来た父にリンは「大丈夫みたいだよ」と言って笑う
「そうかそうか、リンのはちゃめちゃぶりに振り回されてルイも大変だったな」
「いえ…でも楽しかったので」
「いや、怒って良いんだぞ?背中をバッサリ切られたんだし」
「その傷も治ってましたし、大丈夫ですよ」
そう言うと父はえ?となりつつも背中を見せるように言ってくる
「…治ってる。魔法で治したのか?」
「気づいたら治ってました」
テキパキ返すと父は少しだけ何かを考えている様子だったが、ルイを見て
「ルイはもしかして、魔法詠唱者の素質があるんじゃないか?」
「え?」
魔獣が一匹逃げた時に派手な大火傷を負っていた。瀕死だったからすぐに狩れたが、あの魔獣はミスリルレベルだ
並大抵の冒険者では太刀打ち出来ないレベルであり、ましてこの村にはそのレベルはいない。
「……」
黙っているルイに父は少し考えたが『まぁ無理に冒険者として勤めなくて良いし、ゆっくり休めよ』
そう言ってルイの頭を撫で出ていく
その日の夜、ルイは一人村が見える小山に来ていた。
人気が少なく野党や傭兵に襲われる可能性はあるが、ペスペル領は他の領と違って警備に関しては手厚い、夜に歩いてもすぐに襲われるなんで事はない。
誰もいないのを確認して崖のところに座る
「………なぁ、アンタは、どうしてそんな力手に入れたんだ?」
そう呟くように言う
あの一件から記憶を取り戻したと同時に中にいる化け物の記憶も少しなだれ込んで来た。
情報が多過ぎて部分的にし見えなかったが、彼あるいは彼女は元は普通の人間だった可能性がある。
普通にリンのような人だったのかもしれない、でも、ある時力を手に入れた瞬間から化け物になったのだろうか?
そう呟いても中にいる彼は何も言わない。
眠っているのだろうか?それとも答える気がないのだろうか
「…僕は、ツアーやイビルアイの言うような邪悪な生き物には見えないんだけどな…」
ただ力を手にして、その力を存分に振いたい、この世界を好き勝手にしたいというような感情しか見て取れなかった
《…平穏とはなんだ、私にとっては生活に苦痛や痛みしかなかったがな》
そう話す彼の言葉が脳裏に響く
「その痛みが分かるなら、誰かのためにやろう、とか思わないのかよ」
《どうしてだ、苦しめるだけ苦しめた人間を幸福にする筋合いはどこにある》
彼はどこまで行っても化け物でしかないのだろうか
化け物でしかないなら、あんな記憶ある方がおかしい
部分的にしか見えなかった彼の記憶
人間の怒号、殴られる記憶
「……暴力の方が手っ取り早いと思うよ、話し合いより、でも、僕はみんなが笑ってくれた方が幸せだな」
《お前は人の善性を信じすぎてる。何が笑顔で幸福だ》
そう不貞腐れる彼の声に笑う
彼が何に絶望したのか分からない、でも、強大な力を持ってそれを蹂躙するために使うなんて勿体無い
少年の言葉には酷い世界を知らないからそんなことを言える言葉ばかりだった。
東雲栞里の前の人生なんて思い出したくもない過去だ、アニメや書籍さえなければあの世界なんて早々に見捨てていた。
あの世界に恩があるとしたら、オーバーロードの知識を与えてくれたということ、そして、様々な知識があったからオーバーロードの世界でやりたいようにするはずだった。
崇められるのは好きだ
当然じゃないか?虐げられるのが当たり前、ただすれ違うだけの人間関係なんて物よりも崇められ恐れられた方が良い。
マキャベリだったか、そんな言葉を言っていたのを思い出す。
時間神殿のような空間で何もない空間にポツンとある玉座に座っていたゲーティア
『そうは言っても、僕の体を強制的に奪おうとしない時点で良い奴だよ、前より』
少年の言葉には温かみがある。
まだ10歳そこらしか行っていない子供に人生云々なんて言われたくもないが、彼越しに見える光景に少しだけ昔を思い出しそうだった。
「良いやつ…ねぇ」
異世界転移したいという理由もこの世界の人間や世界を好き勝手にしたいから、モモンガのたまたまたの愚痴が本当になっただけの世界征服に望めるだけのフルスキルで挑んだのに、こんなことになるなんて着いてない。
彼の生活は東雲栞里の前の人生だったら喉から手が出るほど欲しかっただろう。
それでも、今は関係ない
「そもそも、俺という化け物を飼っているんだ。もし、この村問わず国を焼き尽くすなんて言ったらお前はどこにも行くあてはなくなるぞ」
そう脅しをかけるとルイは
『飼い殺しになる運命より、いっそ、そういうのも良いかもしれないね」
思った返答とは違う言葉が返って来て肩透かしを喰らう。
『あ、でも、リンとリンの親には手を出さないでよ?あの三人は良い人達なんだし』
その言葉にひどく調子が狂う
良い人だってこの世界にもあの世界にも、あのような地獄の世界にもいたのかもしれない。
【誰でも良いから助けてよ…】
そう切実に願った時でさえ彼らは助けてくれなかった、見て見ぬフリをした。そんな奴らより強くなった今、そんな人間に価値のない。
"人間は一人たりとも存在してはいけないのだ"
そう思った時、自分の中にある感情が今まで抱えていた物よりも遥かに超えた憎悪であることにハッとなる。
確かに人間は嫌いだ、でも、東雲栞里の時は人類全体に対する恨みなんてなかった、確かにあの世界はあの世界で詰んでいる。
自分はたまたま富裕層に生まれて幸せな生活を送れていた。でもそんなのは考えてなかった、オーバーロードの世界があると知ってから早くその世界に行きたくてしかたなかった。
(…心が化け物に引き寄せられる…か)
確か、オーバーロードの世界ではアバターに人格が引っ張られるというのを聞いた。
そのせいなのか、東雲栞里以前の憎しみのせいなのか判断はつかなかった。
「…ハァ」
ため息をつくが、少しだけ実りはあった。
ルイが死にそうになれば自分のスキルも解放できるということ
アモン・ラーを無理矢理出せたのも、アモンが中立属性だからだろう。
極悪属性の魔神柱じゃそうは行かないだろうが
ーナザリックー
ゲーティアさんの行方不明からもう6ヶ月は経っている。
だが、悪魔騒動の時に得られた情報はかなり大きい
ゲーティアさんは子供の体に封印されているということ、青の薔薇と呼ばれるアダマンタイト級冒険者が言うには白金の竜王から引き取った子供が行方不明になったという。
その子供の特徴を聞いて一緒に探すなんて体をつけようとしたのだが、あの口の軽そうなイビルアイと呼ばれる女がそこだけは黙ったので、大方他言できない理由があるのだろう。
どこまであの女が知っているか分からないが、モモンにメロメロだったイビルアイにそれとなく子供の特徴を聞けば、金髪に青い目の少年だという話だった。
「あの女を捕らえて情報を吐き出させるのがよろしいのではございませんか?あのような女に価値があるとは思えませんが……」
アルベドの言葉には一理ある。
しかし、難点はある
どのような封印状況であるのかが分からないことだ。
子供の体に封印されているだけなら良いのだが、問題は精神支配されていた場合はとんでもないことになる
「…あの女の話では、その子供の行く場所は分からない。それに、精神支配されていた場合のゲーティアさんの攻撃力はウルベルトさんの大厄災を大きく上回る。あの人ほど破壊に特化した人はいない」
その言葉に唾を飲み込む守護者達。
「仮に、それを封じる場合は守護者総がかりでゲーティアさんを取り押さえなければならないし、精神支配をされていた場合は…」
一度殺さなければならない
その言葉を理解した守護者達が顔面蒼白になる。
彼らにとって至高の四十一人の一人である彼を殺すなんて事は絶対にしたくないのだろう。
(…それに、プレイヤーが蘇生できるか…それすら未知数だっていうのに…)
かつてのお伽話では八欲王は何度も蘇ったらしいが、それがゲーティアさんに適応出来るか分からない。
「万が一、今の特徴に近い者あるいは魔力的要因を感じたら身柄を保護してナザリックに連れてくる事、それを最優先に動くのだ」
「「「「はっ!!!」」」
ー5日後…ー
村の人々は優しくて穏やかで王都であった悪魔騒動の事件以来、避難民である僕達を受け入れてくれた。
貴族への支払いが増えるというのに
「ルイくんって相変わらず力持ちだね」
「男ですから」
この身体の中にいる彼の影響かもしれないが、僕には第六位階魔法を使えるだけの力はあるというのを知った。
それと同時に普通なら重いはずの物も運べるようになった。
「ウチにルイくんが来て本当に良かった、力も強いし、頭も良いし、お転婆リンを制御できるし」
「ちょっとお母さん、私を猪みたいに言わないでよ」
不貞腐れるリンに母が笑いながらごめんごめんと言う。
僕はこのままここで死ぬつもりだった。
最近は彼もあまり話しかけてこない。
僕の生活を退屈そうに見ているだけかもしれない。
でも案外、邪魔しないという事は良い事かもしれない。
彼の中で、人をもう信じないと決めてしまっていても、人の中にはまだ温かみがあると信じさせたいから
何気ない生活が続いた時、事件が起こった
王国は帝国に比べて治安が悪い
だから村の人々は自衛をするために鍛えたり、貴族に頼み込んで警備を手厚くして貰っている。
しかし、貴族に金を積まれれば貴族も見て見ぬフリをする。
だから、こんな目に遭ったのかもしれない
「お母さんっ!!お父さん!」
盗賊に襲われて死んでしまった母とその亡骸を見て泣きながらも娘と俺の手を引っ張って隠れるように言ってくる父
盗賊達は家に入ってくるのを父親が全力で扉を押さえていたが、扉を蹴破って入って来た男はそのまま父親を殴り殺す。
地面に倒れた父の顔がこちらを見る
リンはあまりにも恐怖で震えていた。
「おい!出てこいっ!!」
「っ!?」
二人の男に引っ張り出され放心状態のリンと僕を見て
「リン!!むぐっ!」
僕を押さえ込んで腰を上げるような状態にさせた男
「おいおい、こっちの女の子の方が可愛いってのに、そっちを選ぶのかよ」
「こっちの男の子の方が可愛いぜ」
そう下衆な話をする男に吐き気を催す
早くしないと、リンが男たちの慰みモノにされてしまう。
それだけは、それだけはやめて
そう切に願いつつも男達の手は止まらない。
「殺してやる!!!!」
抵抗せず泣きながらこちらに手を伸ばすリンに初めて人間への怒りで声を上げると
『だから言っただろう。人間なんて汚物以上の何者でもないと』
ゲーティアの言葉が外から聞こえてくる
白い髪の褐色肌の男がリンと俺を組み敷こうとした男の頭を掴んでグシャリと潰す音が聞こえる
禍々しい男、そうとしか言えないゲーティア
右腕にだけ鎖があるゲーティア、それを見て忌々しそうにしていた。
「外に複数の気配あり、どいつもこいつもレベルは低いな」
ゲーティアは俺を見て触手?のようなもので僕を抱き起こす
「……どうして僕を」
「封印はまだ解除されていないみたいだからな」
悪魔のように笑うゲーティア
ハッとリンの方を見る
「リンっ!!リン!!」
駆け寄って揺するが、リンは放心状態のままだった。
「………」
それを冷たい目で見るゲーティア
「避難しよう」
そう言ってリンを背負って外に行こうとすると
「見ない方が良いんじゃないか?」
そう言ったゲーティアの言葉を無視して外に行くの、外は目を塞ぎたくなる光景だった。
串刺しになっているような光景に吐きそうなりなる
「生き残ったのはお前と少女だけか、最悪の光景だな、人間が人間を殺すなんていつの時代も全く変わらないな」
盗賊達が「生き残りがいたか!」と言って興奮気味にこちらに向かってくる
ゲーティアの足元から禍々しい触手が伸び、盗賊達を紙を切るように切り刻んでいく
その地獄の光景にルイは唇を噛み締める
優しい人間もいるだろうが、彼らのように心無い人間もたくさんいることに胸が張り裂けそうだった。
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東雲栞里の前の人格、オーバーロードを知っている人格
親に半ばネグレクト的な人生を過ごし、幼稚園から小学校中学年までいじめられ続けた。大人になってからも暴言を吐かれる毎日で精神がすり減って自殺した。人に苦しめられるのは誰よりも理解出来ているはず
本当は愛されたかった。
東雲栞里
ゲーティアを作った今世の人格、オーバーロードのディストピアの中で生まれ富裕層出身として多額の金を費やして異世界転移した。前世と違い、親からも愛されていたけど、前世のせいで人間不信に陥っていたので見て見ぬフリしていた。
【ゲーティアの現レベル】
100レベルではあるが、ユグドラシル時代のような全力は出せない状況になっている。
平和的なスキルは使えるが、アルス・ノヴァ(劇場版ソロマニが使った宝具)が今は使用禁止にされている。
【最後のオリ主】
解放されたー!!!とガッツポーズを構えようとしたが、流石の惨状にちょっと控えた。ある能力に制限がかかっている状態でもしかしたらルイの中に置いて来てしまったのかと思って話に乗った。
【原作との相違点】
・リザードマン編が起こっていない
…頑張って見直してますが、誤字脱字はあると思います。ごめんなさい