残り2時間となった、結婚式の開幕。
俺達は、若き演出者の指導の元、演技の練習をしていた!
(よし、気合を入れて、頑張るぞ!
もう、時間が無いんだ!)
「さぁ、それでは、練習を始めましょうか!」
「はい!よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」
と、冬弥と俺はお辞儀した。
「今回は時間が限られているので、
筋書きは当初のままとして、
少々アレンジを加えていただく形にします」
(どんな、アレンジをするんだ?)
「何人かは、こう思う」
「?」
(もしかしたら、新郎は別の恋人がいたのか?)
「と、驚くだろう。
もちろん、ある映画になぞられた、余興だと、
すぐに、気づく人も多いはず。
それが、芝居だった時、観客はどう思うかな?」
「ほっとする…?」
「うん。緊張の緩和だ。
これが、笑いを生む。ただ、これだけでは、
騙されたと感じる人もいるし、
なにより、見世物として、味気が無い。
そこで、少々、アレンジを加える」
「時間は限られているのに!」
「それでは、話を進めます。
ちょっと待ったと、言う人を、3人に増やします」
「なぜ、3人なんだ?」
「では、考えてみよう。
男性役が増えた場合、どんな印象を与える?」
「えっと…モテるから?
それとも、何かサプライズが始まるとか?」
「ふふ、どちらも、正解です。
3人の男性がプロポーズする。
それにより、新婦の魅力を強調することが出来ます。
まぁ、竹取物語のかぐや姫のような感じですね」
(なるほど…あんまり、絵本は読んだこと無いけど)
「一方で、3人の男性が一気にプロポーズすることは、
余程の事じゃないと、ありえません。
そこで、観客は、これは、見世物だと、
すぐに気づける。
つまり、こうすることで、ドッキリ、だったものが、
わかりやすい見世物。ショー、になるんです」
(わかるようで…わからないような…)
と、俺は頭を悩ました。
(でも、最初の方だったら、トラブルになっていたかもしれない…
ここから、どうなるんだろう…?)
「それでは、新婦にプロポーズする、
栄えある、3人の男性役をここで決めましょう!」
俺は迷わず立候補した。
「俺がやります!」
「おやおや、勇気のある人ですね。
感激します、後で詳しく聞きますね。
それじゃあ、後二人」
その後…
「それじゃあ、決まりだね。
名前を確認してもらったけど、
平田直志くん。青柳冬弥くん。木原天成くん。
この3人で決まりだね。おめでとう!」
「どうして、そうなった?」
「その理由は、本番になれば、わかりますよ。
さて、役が与えられた、3人は、
もう立派な役者だ。最後までよろしく頼むよ、3人共」
「わかりました!」
こうして、プロポーズの練習に向けて、励むのだった。