かの莉愛トリロジー   作:古手 忍

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2024年にpixivに投稿した作品です。
マギレコのサ終の決定を受けて書きました。
矢宵かのこ、阿見莉愛、梢麻友、胡桃まなかの、魔法少女の終わりの話。
タイトルはかのこさんにちなんで糸へんの感じで固めてみました。また、口に出しても心地良い響きになるようにしてみました。


綴り繕い繋がり続く

 終わりは突然に告げられた。

 

 外では、汗ばんだ空気の中で、じーわじーわとセミが鳴いていた。

 しかしウォールナッツの店内は、空調が効いていて快適だった。

 矢宵かのこはテーブルについていた。

 他に三人の少女が、そのテーブルを囲んでいた。

 阿見莉愛、梢麻友、そして胡桃まなかである。

 ランチタイムも終わった昼下がり。他に客はいなかった。

 かのこが口を開く。

「それで、話ってなんですか? 阿見さん」

 今日は、莉愛が他の面々を集めたのである。

「ええと、それが……」

「その前に、ちょっといいかな?」

 ――えっ、という四人の声がシンクロした。

 どこからともなく現れたキュゥべえが、テーブルの上に飛び乗ったからである。

「一体なんなのよ⁉ 人が大事な話をしようとしている時に!」

 莉愛が抗議する。

「それは申し訳無い。けれど、キミ達にぜひ知っておいて欲しい情報があるんだ」

「白ダヌキがそう言う時、大抵、碌でもない情報な気がするんですけど……」

 まなかが顔をしかめる。

 自動浄化システムが世界中に広がってから、およそ一年が経過した。キュゥべえとの共存は成功したと言える。それでも、騙すような形で契約させたキュゥべえに対しての悪感情が、消えて無くなるわけではない。

「取り敢えず、私の話より先に、キュゥべえの方を片付けた方が良さそうですわね」

 莉愛はそう言った。

 少女たちの視線が、キュゥべえに集まった。

 「どんな情報でしょうか」

 麻友が促した。

 キュゥべえは答える。

「魔法少女というシステムは廃止される。今月末にね」

 

 

 

 

 

「――は?」

 莉愛は辛うじてそう言った。

 その後、しばしの沈黙が、ウォールナッツの店内を支配した。

 窓の外からは、虫取り網を持って走る少年たちの声が聞こえた。

「ど、どういうことですかッ⁉」

 沈黙を破ったのは、まなかだった。

「いきなり過ぎるでしょう! というか、今月末って、今日ですよね! こういうのは、もっと早めに告知すべきでは⁉ というか、これから私たちはどうなるんですか⁉」

 まなかはキュゥべえを絞め殺さんばかりの勢いだった。

「そうです、詳しく説明してください! 理由を教えてください!」

 麻友もキュゥべえに問う。

「一つずつ順番に答えていくよ。まず、キミ達がこれからどうなるかだね」

 キュゥべえは、いつもと変わらぬ平坦な調子で答える。

「キミ達は、魔法少女でなくなる。つまり、普通の少女に戻るというわけだ。ソウルジェムに分離された魂は、キミ達の肉体に戻る。同時に、魔女も全世界から消滅する。ソウルジェムが無くなるのだから、ソウルジェム=グリーフシードが本体である魔女も同様というわけだね。それと、これから新たな魔法少女が生まれることも無くなる」

「普通の……少女に……」

 莉愛は、ソウルジェムの指輪をじっと見つめて、そう呟いた。

「もう一つの質問は、魔法少女システムを廃止する理由だったね。これは、宇宙を存続させる、より効果的な方法が見付かったからさ。宇宙の外からエネルギーを取り込む方法を、ボク達は発見した。これを用いれば、ほぼ無尽蔵のエネルギーを得ることができ、宇宙の熱的死の回避は確実になったといえる。起動にはエネルギーが多大な必要だけど、これまで魔法少女たちから集めた感情エネルギーがあれば充分に確保できる。 ……他に何か質問はあるかい?」

 かのこが手を挙げる。

「はい! 契約の時に叶えた願いはどうなるの? 私のお父ちゃんとお母ちゃんは?」

「叶えた願いの効果はそのままだよ。システムと一緒に消えることは無い。甘いものを食べるのをやめても、虫歯が治るわけじゃあないだろう? それと同じことさ」

「なんか嫌な喩えですわね……」

 莉愛はそう言った。

「はい! 今日の、具体的には何時に魔法少女システムは消滅するんですか?」

 麻友が挙手して訊く。

「なんか挙手して質問する流れになっていないかしら?」

 莉愛がツッコむ。

「日本時間の十九時だよ。 ――他に質問は……無いみたいだね。それじゃあボクは。システムの停止作業で忙しいからね」

 キュゥべえはふいっと去っていった。

「はい! 阿見先輩」

 まなかが手を挙げた。

「いや、だからなんで挙手する流れに……。まあとにかく、なにかしら、胡桃さん」

「取り敢えず、マギアユニオンと情報共有をしましょう。私たち以外の魔法少女のところにも、キュゥべえは行っていると思いますが」

「そ、そうですわね」

 莉愛はスマホを取り出した。

 

 

 

 

 

 それから、神浜マギアユニオンのグループチャットでは、数多の情報が飛び交った。

 神浜市内の魔法少女たちの話。時女一族やプロミスドブラッドから伝えられた、神浜市外の魔法少女たちの話。アシュリー・テイラーの繋がりを通じて得たアメリカの魔法少女たちの話。

 それらを総合して出た結論は、キュゥべえは真実を語っている。情報を隠していることも無いということだった。

『そもそもキュゥべえは嘘を()かない。僕と灯花も、キュゥべえに様々な角度から質問してみたけれど、情報の矛盾も隠蔽も発見できなかった』

 数時間が経ち、ようやっと落ち着いてきたグループチャットに、柊ねむの言葉が書き込まれていく。

『つまり、今日の午後七時に、僕たちは魔法少女という存在から――魔法少女という運命から解放される。これは紛れもない真実だ。僕と灯花が保証する。だから各人、あまり時間は無いが、心の準備をしておくように』

 

 

 

 

 

 かのこ達四人は、神浜市を歩いて回っていた。

「この街をパトロールするのも、これで最後なんだね」

 かのこがそう呟く。

 空はすっかり夕焼けだった。

 黄昏の光が、四人の手の中のソウルジェムをきらきらと輝かす。

「最後まで魔法少女の仕事の手は抜かない。有終の美ですわ!」

 莉愛はグッと手を握る。

 その仕草に、麻友がふふっと笑みを零した。

 少女たちは、笑い合いながら、あちこちへ足を向ける。

 四つの影が、アスファルトに長く伸びていた。

 カラスの声が遠くから聞こえた。

「ここは……」

 かのこが足を止める。

 そこは、水名女学園の正門の前だった。

「思えば、この学校で、色々なことがありましたね」

 まなかは夕暮れの空を見上げる。

「学園祭をやったり、海へ行ったり……」

「皆さんとたくさんの思い出を作れて、楽しかったです」

 麻友は胸にそっと両手を当てた。大切なものが、そこにあるかのように。

「魔法少女になって、大変なこともありましたわ」

 莉愛が口を開く。

「けれど、こうしてあなた達と縁が生まれたことを思うと、悪いことばかりではなかったのかもしれないわ」

「そうだね。みんなと逢えて、良かった」

 かのこは笑った。

「はい! ところで、阿見先輩」

 まなかが手を挙げる。

「挙手する流れ、まだ続いていたの⁉ ……それで、何かしら、胡桃さん」

「結局、ウォールナッツで言おうとしていた、大事な話ってなんだったんですか?」

「ああ、そう言えば。魔法少女システムの廃止の話の衝撃が大きすぎて、すっかり忘れてましたわ」

 莉愛に、他の三人の視線が集まる。

 莉愛は口を開いた。

「多分、私は県外の大学に行くことになると思いますわ。まだ、推薦が確定はしていないのだけど、ほぼ確実ですわ。そうなると、神浜市を出て一人暮らしをすることになるから、皆さんとも、あまり会えなくなってしまうと思いますわ」

「えっ、県外の大学に⁉」

 麻友は思わず、そう問い返した。

「ええ。モデルとしてのセルフプロデュースを学べる大学は、なかなか無いのよ」

 かのこは一度二度と頷く。

「なるほど。モデル業のために……。頑張ってください!」

「ありがとう、矢宵さん。頑張りますわ」

「大学で厄介事を起こさないでくださいね」

 まなかは辛辣だった。

「ひ、ひどいですわ、胡桃さん! 先輩がいなくなるのだから、もうちょっと悲しんだらどうですの⁉」

「別に、今生の別れというわけでもないでしょう?」

「それはそうですけれど……」

 かのこがふと、手の中のソウルジェムに視線を落とす。

「あ、魔女の反応」

「結界の入り口は……あ、あそこみたいです」

 麻友が、水名女学園の敷地内に、結界の入り口を見付ける。

「この時間だと、まだ高等部の生徒と、先生たちが残っていますね」

 まなかがスマホの時計を確認する。

「見過ごすわけにはいかないわ」

 かのこは魔法少女に変身した。

 他の三人も次々と変身する。

「時間的に、これが最後の魔女退治になりそうですね」

 まなかが言った。

 少女たちの得物を握る手に、力が入る。

「最後の一仕事、参りますわ!」

 莉愛が結界を切り裂いて、飛び込んでいった。

 かのこ、まなか、麻友もそれに続いた。

 

 

 

 

 

「くっ、厄介な魔女ですね」

 まなかはフライパンで、使い魔を殴りながらそう言った。

 魔法少女たちは、苦戦していた。

 うさぎのぬいぐるみのような姿をした魔女は、使い魔たちと共に高速で動き回って、四人を翻弄していた。

「なかなかアグレッシヴな魔女ですわね」

 遠距離攻撃が得意な莉愛は、魔女本体を引き付けつつ、使い魔を狙撃していた。しかし、使い魔の数は多く、キリが無い。

「動きを止めて魔女に一撃を入れないと、ジリ貧じゃあないかな」

 スピード型の戦闘スタイルのかのこは、使い魔の素早い動きにもなんとか対処できていた。

「こっちに来ないでくださーい!」

「不味い、梢先輩が囲まれて――!」

 まなかが麻友の方を向く。

 檻と包装紙を組み合わせてできたクラゲのような姿の使い魔たちが、麻友に群がっていた。

「やめて!」

 麻友は、固有魔法を何度も行使して、次々と襲い来る使い魔たちの攻撃を止め、身を守る。

「麻友さん、魔法をあまり連続で使い過ぎると……!」

 莉愛が警告したが、遅かった。

 麻友のソウルジェムには、穢れが溜まり切っていた。

「あ――」

 

 ――そして、麻友のドッペルは現れた。

 糸と布が絡み合ったようなドッペルが、麻友の背後に立ち上がる。細長いモノで構成された胴体。その上部からは翼が生えている。下部からは、無数のリボンが伸びていた。

「梢さんッ!」

 かのこが名前を叫ぶ。

「は、はい!」

「えっ?」

 返事が返ってきた。

「麻友さん、意識を保っていますの⁉」

 莉愛の問いかけに、麻友は答える。

「上手くコントロールできているみたいです。私だって、やる時はやるんですよ」

「つまりこれは、逆にチャンスじゃあないですか?」

 まなかがそう言った。

「そうね」

 莉愛は同意する。

「麻友さん、あなたのドッペルの能力で、魔女をこちらに惹き付けてちょうだい!」

「分かりました!」

 ドッペルのリボンが伸びて、魔女の身体に絡み付く。すると魔女は、魅了されたかのように、ドッペルの方へと近寄っていく。

 麻友はドッペルの翼を羽ばたかせて移動し、魔女を莉愛の方へと誘導する。

 魔女は、莉愛の姿を捉えると、その耳で攻撃を仕掛けようとした。しかし――

「もう遅いですわ!」

 莉愛の固有魔法、隠蔽によって隠されていた無数の糸が、魔女の身体に絡み付く。

 かのこが固有魔法で、糸を蜘蛛の巣のように張り巡らしていたのだ。

「私の固有魔法は縫い合わせる力! どんなに素早くても、私の糸に捕らえられれば、もう逃げられないんだから!」

「さあ、とどめですわ!」

 莉愛が、弓弦を引き絞る。

「ベラ・スピーナ――!」

 放たれた魔力の矢は、魔女に直撃すると、そこで大爆発する。

「さらにここで、まなかの固有魔法、伝播です!」

 まなかが固有魔法を発動させ、莉愛の矢の威力を、使い魔たちに伝播させていく。

 無数の使い魔たちが、一網打尽に斃されていった。

「やりました!」

 まなかが快哉を上げる。

 ――その油断した一瞬を、魔女は逃さなかった。

 爆発の中から現れた魔女が、まなかに拳を叩き込む。

「ぐっ――!」

 まなかの身体が、結界の外まで吹き飛ばされていく。

「嘘でしょ、あいつ、私の必殺技を耐えたというの⁉」

 魔女の身体はボロボロで、頭が割れて内部が露出していたが、それでも活動を停止していなかった。

「まなかちゃ――あ――」

 麻友のドッペルが、時間切れで消滅する。

「梢さん!」

 かのこは咄嗟に走ると、落下する麻友の身体をキャッチした。

「梢さん! まなかちゃんも……」

 麻友は、かのこの腕の中で、意識を失っていた。かのこにお姫様抱っこされているという体勢も相まって、さながら眠り姫のようだった。

「魔法少女の耐久力があるから、まなかさんは恐らく無事ですわ。麻友さんも、ドッペル使用後に、一時的に意識を失っているだけだわ」

 莉愛は矢を放ち、魔女を引き付けながら、状況を分析する。

「でも、戦力は半減。魔女をどうすれば……」

 かのこは麻友を離れた場所に下ろすと、そう言った。

 魔女は、ダメージを受けてなお、そのスピードを維持していた。

 莉愛は跳び回って、なんとか距離を取っている状態だ。

「もう一撃、叩き込んで斃すしかないわ」

 莉愛が言った。

「矢宵さん、あなたに任せますわ。さっきので、私はだいぶ魔力を使ってしまったから」

「私が⁉ でも、どうすれば――」

「大丈夫。いつもとやることは変わりませんわ」

 莉愛はそう言った。

「そっか。そうだね――」

 かのこは、魔法でレイピアを生成する。

「最後まで、私たちがやることは変わらない!」

 かのこは跳び上がる。

「莉愛さん!」

 跳んでいる莉愛へと、かのこは手を伸ばす。

「かのこさん!」

 莉愛も、かのこへ向けて手を伸ばす。

 空中で、二人の手が繋がれ、指が絡み合った。

 ――コネクト!

 二人の声が揃う。一瞬、魔法の光が、二人を包んだ。

 莉愛の魔力を受け取り、かのこは急降下していく。

「ヤヨイコレクション!」

 声と共に、かのこは魔力を解放した。

 魔力の糸が射出され、魔女の身体を幾度となく斬り裂く。

 そしてとどめに、宙を駆けるかのこが、レイピアで魔女を貫いた。

「■△★◎□☆……⁉⁉」

 魔女が断末魔を上げる。

 片膝を突いて着地したかのこの背後で、魔女は爆散した。

 爆風が、かのこの髪と腰のリボンを揺らした。

「美しい闘い様でしたわ!」

 莉愛がそう言った。

「寸法通りの勝利、です!」

 かのこは大きな声で返事をして、笑った。

 

 

 

 

 

 まなかと麻友は無事に快復した。

 四人は、水名女学園の校舎の屋上で、魔法少女の終わりを待っていた。

 陽は沈み、空は、東の方から夜の色に染まり出していた。

「私たち、もうすぐで魔法少女じゃあなくなるんですね」

 まなかが言った。

「莉愛ちゃんも県外に行ってしまうし、これから、色んなことが変わっていくんですよね」

 麻友も、宵の空を見上げて言う。

「いつまでも同じものなんて、この世界には無いのかもしれないですね」

 冷えた風が吹き抜けた。まるで、魔女退治の熱を冷ますかのようだった。

 風は、屋上の手すりをすり抜け、学校の敷地も超えて、過ぎ去っていく。何もかもが置き去りにされていく。

 少女たちの間に、静寂が訪れた。

 しばしの間、少女たちは、流れていく風の中で、ただ黙って立っていた。

「……ねえ、莉愛さん」

 かのこが沈黙を破った。隣に立つ莉愛に問いかける。

「なにかしら、矢宵さん」

 莉愛はかのこの方を向く。

「魔法少女じゃあなくなっても、住むところが変わっても……私のこと、忘れないでいてくれますか……?」

 背の高い莉愛を見上げる、かのこの目には涙が滲んでいた。

 莉愛は、かのこの手を取った。

「……当たり前ですわ」

 指を絡める。先ほども、そうしたように。

「魔法が無くなったって、離れ離れになったって、私たちの出逢いは、無かったことにはならない。全てが終わっても、この繋がりだけは、ずっと続いていきますわ」

「莉愛さん――」

 かのこは、莉愛の胸に頭をうずめた。

「――――」

 そのまま、声を上げて泣いた。

 莉愛は、片手は繋いだまま、もう片方の手で、かのこの頭を撫でた。

 

 

 

 

「……涙と鼻水で、服がびしょびしょですわ……」

「すみません! 今、拭きます!」

 かのこはキノコ柄のハンカチを取り出す。

「そのハンカチ、どこで売ってるのよ……」

「まなかちゃんも、鼻水、大丈夫ですか?」

 麻友がポケットティッシュを差し出す。

「大丈夫です。……ちょっともらい泣きしただけですから」

「胡桃さん、意外と涙もろいのね」

 莉愛に指摘され、まなかは頬を赤らめる。

「別に、いいじゃあないですか!」

「やっぱり、しんみりするのは私たちには合わないね」

 そう言って、かのこは笑った。

「そうですね」

 麻友も笑った。

 莉愛が言う。

「まあ確かに、ここでしんみりしても仕方ないですわ。魔法少女でなくなっても、私たちの人生は続いていくのだから」

「そうだね。ここで終わりじゃあない」

 莉愛の服を拭う手を止めて、かのこは言う。

「これからも私たちは、夢を追いかけて駆け抜けていく。誰も知らない物語を綴っていく」

 かのこの言葉に、まなかも、麻友も、莉愛も頷く。

「その通りで……あ――」

 莉愛が言葉を止めた。

 彼女のソウルジェムの指輪が、光を放っていた。否、莉愛だけではない。かのこも、麻友も、まなかも――全世界の魔法少女たちのソウルジェムが、一斉に光を放っていた。

 終わりの時刻が来たのだ。

 ソウルジェムは一度、宝石の形になり、そしてすぐに、幾千の光の粒へと分解された。

 光の粒は、煙のように、宵の空へと上っていく。

 赤、橙、緑、青、紫、桃色、黄色、水色……。

 夜空を彩る色とりどりの光の筋は、水名女学園の屋上に立つ、少女たちの目にも映っていた。

 少女たちは、誰からともなく、手と手を取り合った。

 手を繋ぎ、身を寄せ合って、空を見上げた。

 少女たちは笑っていた。

 光は、高く高く、どこまでも続いていた。

 

                                (Never)End

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