曇らせ大好き明美さんの子   作:スティック/糊

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厳しめタグがアップを始めました。


限りなく近い遭遇。

 

 親方空から女の子事件の後2週間が経過した。

 

 あのあと純花に迎えに来たジンさんの元に連れて行かれ、有無を言わさず検査フルコース。

 完全に無傷でした。

『テメェの親父に似て随分丈夫みたいだな』

 なんてジンにも言われた。

 ……降谷さんやっぱ頑丈なんだ。

 

 

 そして自分の家のクローゼットがだいぶ豊かになったものだと思いながら、ついに来てしまった。

 

 ハイテンションの景の着せ替え人形になる日が。

 

 

 コスプレ、正直なところちょっと興味はあった。

 こてこての売れないバンドマンをやっていた身からすると、こう派手なビジュアル系のメイクとか服装とか気になったものである。

 

 

 ふと撮影会が決まってから景はひたすら衣装制作に精を出し、純花は一つ趣味が出来たとカメラを練習するようになった。

 

「……厳つくない?」

「厳つくない。お忍びの芸能人風だよ」

 

 レンタルの撮影スタジオのため撮影時間に限りがあると言うことで事前にメイクしてそれを隠すようにグラサンをしている。

 今日の日付が変わる頃に衣装できた、と連絡を貰い指定されたスタジオの前で景が来るまで待機中をしているのだ。

 

「そっちじゃなくて純花の装備のこと」

「…一眼レフなんてこんなもんだよ」

 

 2週間前に遊びに行ったのと同じようにカジュアル系の装いで方には四角いボストンバックにも見える撮影機材のケースを抱えていた。

 

「だって、お父さんが本気出しちゃって」

「なんとなく値段を聞くのが恐ろしいのは分かった」

 

 家族カードで5桁以降の買い物をする時は事前にジンに連絡をするそうで、安い一眼レフ買っても良いかと聞いたらウォッカが詳しいから一式用意しておく、と電話一本、このセットが届いたらしい。お値段は私のSR400が2台分とのこと。 

 

 あいつに使い方教えて貰え、とウォッカのカメラ講座も受けたという。

 何ソレちょっと受けたい。

 

 うん、やっぱ(値段が)厳ついわ。

 

 

「にしても遅いみたいね」

「一番気合入って他の景だって言うのにね。寝坊か」

 

 施設の使用開始5分前。

 先に施設入っておく?なんて言い始めた頃、スタジオに隣接している駐車場に一台の車が猛スピードで入って来た。

 

 白い車体に背の低い2ドアが特徴的な今ではとんでもない激レアの白い車体のロータリーエンジンのスポーツカーの代名詞RX-7、FD3S。カッコいい。

 

 あ、ドリフトで綺麗に駐車枠に入った。

 

 

「ふ、ふたりともおまたせぇ~遅れてごめんなさぃ」

 

 助手席から降りてきたのはとてもすごい勢いでやって来たのが伝わるフラフらっぷりでこちらに景。

 

「寝坊しちゃって、急いで電車で行こうとしたんだけど、お隣のお父さんの幼馴染で同僚の人に送ってもらうことになってェ」

「はいはい、ゆっくり落ち着いて」

 

「景、荷物を忘れている」

「あ、零さんありがとうございます」

 

 一目散にこちらに来た景は荷物を下ろし忘れたらしく、大きいサイズのキャリーケースをもってやってくる男がいた。

 

 お察しの通り降谷零である。

 

「まったく。えっと、君たちが景のバンド仲間のみゃーこさんとスミスさんかな。中々素直じゃない子だけど仲良くしてやってくれ。これよかったら休憩中にでもつまんで」

「あ、はい」

「景、ヒロが遅くなるからって少なくとも青少年保護育成条例に違反して補導されない内に帰ること、いいね」

「はーい」

 

 そう言って彼、降谷零は再び車に戻って去っていった。

 

 

 

「あっぶな!グラサンなかったら即死案件やぞ!」

「めんご、まじめんご」

 

 撮影スタジオを入るなり景にツッコミを入れた。

 

「その、想像以上の爆睡をしてしまい、起きたの40分前なんだよね…」

「なら利用時間縮めるとかさぁ」

「それはイヤ。ふりゃーさんのお誘いには勝てなかった」

「こっちの心臓のやばかったからね」

 

「それはそうと噂に違わぬハニーフェイスだったね。あれでアラフォーってマ?」

「マ」

 

「ちょいちょーい!私の未来の図が怖いからそれ以上言わないでくれるかなぁ!?」

「うい。やめるからはよ着替えてもろて」

「こんにゃろ、どれから」

「どれでもいいよ。一巡は着てもらうから」

「はぁ、了解」

「私もメイク手伝うよ」

 

 マイペース、マイペースだこいつら。

 

 

 スタジオ横の更衣室でトランク丸ごと渡され、着替えとメイク補助で景が付いてきてくれた。

 

 純花は撮影機材セッティングだと。

 

「とりあえず、ハ〇プロのアイドル衣装とメイド服と、ガチロリとミリロリ、チーパオ、アオザイ、エレーナスタイルとバーボンスタイルを用意しました」

「……貴様ァ?」

「欲望には勝てませんでした!」

「…メイド服から行く」

「よし来た」

 

 そう言って渡されたのはフレンチメイド服と言うやつ。

 端的に言えばエロさに極振でがっつり見える谷間と膝上丈どうなってるのと言わんばかりの超ミニスカートにガーターベルトとメッシュのニーソックス。

 

「私の心に住まう童貞がやれって!」

「なに、お前ら2人とも心に童貞飼ってるの」

「前世の18禁同人作家の血がこう、ね」

「……まぁ、友人の撮影会だから着てあげる」

「センキュー!着替えたら谷間にチップ入れるね」

「おっさん趣味が全開過ぎる」

 

 

 そんな感じで着替え始めるフレンチメイド服なのだが、思いのほか作りがガチだ。

 景の趣味らしい乳袋を強調するように本格的なコルセットがセットである。

 スカートも絶妙に見えるか見えないか、尻の下肉が僅かに見えるレベルの絶妙な長さだ。

 

「イイ!最高!」

「何故これに全力を尽くしたのか」

「むしろ理想のアニメキャラ体系の女がいたら着せるしかなくない?」

「……何も言うまい」

 

 そんなスケベウェアなフレンチメイド服の仕上げにプリムと言うんだったか、頭にフリルのついたカチューシャを付け仕上げ。

 

 

 カメラマン純花のいるスタジオに戻ると、スッゴイ機材がそろってた。

 撮影現場でなんとなく見たことのあるカラーバック紙にアンブレラやレフ版、ソフトボックスもあるし、ストロボ一体どうなってのさ。

 

「えっっっっっっっっっっっ!」

「こう、心の中の童貞がうずくだろ」

「わかりみが深い」

 

 カメラのモニターを確認しながら準備をしていた純花がこちらを見るなりスッゴイいいリアクションをする。

 

「おいおら、何無言で財布取り出してんの、札を谷間に入れるな、ノースリーブから横乳に入れるな、ガーターに挟むな!」

「こう、人生で一度はやってみたかったことが叶うととてもにこやかな気持ち」

「なんな成金趣味でどうするJK」

「正直玲奈ちゃんもやってみたかろう!」

「それはそう!」

 

 男の夢としてちょっとやってみたい気持ちは確かにありますねん。

 

「じゃ、そのまま撮ろ、小道具チャカしかないし」

「…H&KのP7、やったなお前」

「うわ、何そのカッコいい動き」

「フィールド・ストリッピング、滑らかにやると見栄えのするやつ」

 

 持参の小道具はエアガンのみ、と言う景からそれを受け取るとマガジン抜いて一度コッキングして薬室にある球を取り除き、スライドの位置を調整してセーフティーバーを逆側面から押して抜き、そのままスライドを前方に引いて抜く。

 武器のメンテナンスをする時の銃の分解なのだが、戦闘シーンで無力化のアクションであるとテンション上がるやつだ。

 これは前世のサバゲ趣味の自衛官がスタイリッシュにやっててかっこよかったので必死に練習した賜物である。

 

「これモデルガンにしても精巧過ぎない?」

「不動銃見つけてリタッチしちゃった」

「実弾装填してなくて玉出ないならいいと思うけどさ、その熱意どっからきたの」

「中二心!」

「さいで」

 

「景、これツインテにして“ぶりっ子先輩メイド実は超強い”シチュ萌えない?」

「超萌える」

「やっぱ脳内に小さいおっさん飼ってるだろこれ」

 

 私は成すすべなく着せ替え人形となった。

 

 

・ドスケベ衣装のぶりっ子先輩メイド(戦闘力高めでめっちゃ初心)

 

・クラシカルメイド服でクールなメイド長ちょっとポンコツ

 

・ガチ目のロリータ衣装で地雷メイク

 

・ミリタリーロリータ衣装でドSお嬢様

 

・ボディラインがだいぶ出るアオザイでなことないフェチを追及

 

・チーパオ、いわゆるチャイナドレスにそこそこえぐいハイヒールで太極拳

 

 

 二人がとにかく満足そうにシャッターを切っていた。

 

 そして撮影スタジオの利用時間終了が迫ってきたころ、ハ〇プロのアイドル衣装でとあることが発覚した。

 

「景、これでよく公安の娘が務まるな」

「ひぇ、これ公された」

「生これ公ktkr」

 

 それなりにガチのアイドル衣装のままワイヤレスPAシステム(私持参)でマイクを持ったところノイズを拾ってスッゴイ

 嫌な予感を覚え昼食も抜きにして続けた撮影のため手を付けていなかった降谷さんに渡されたバスケットを覗くとありました。

 

 盗聴器。

 

 えぇ……。

 

 これは捉えようによってはチャンスか。

 それに、まぁまぁキレてる。

 

「わ、完全に気抜いてたごm―――」

「ストップ」

「玲奈…」

「察するに情報の漏洩元、と言うか気が付くきっかけになるポイントとしては私の落ち度。2週間前の子供を助けた時の奥さんが多分警察関係者だったんでしょう。だから景は悪くないの」

 

「これがなければ食べ物に罪はない、ってことで初の父親の手料理ってやつを食べてみようかと思ったくらい。でもさ、初手盗聴器って倫理壊れてるよね。すっごい怒ってる」

「ひぇ、激おこじゃん」

 

「純花、景、これってさ」

「は、はい」

「普通に警察にもっていってもなんやかんやで公安に事件持ってかれてうやむやにされると思わない?」

「めっちゃ思う」

 

 

「だから、この件でジンさんに公安時代の人脈頼らせてもらうね。ようは警視正以上の人にアポ取れればいい。庁内で女子高生のコスプレ撮影を盗聴する変態野郎ってレッテルが付こうが知ったこっちゃないの。奴が地に落ちようが私の生活に一片の影響がないんだし」

 

 なので、この盗聴器に向かって言わせてもらう。

 バスケットの足一つを改造して盗聴器のマイクに、他の足をバッテリーに。

 直近に出ているワイヤレスイヤホンでも2-3時間持つし、複数バッテリーを持っているのだからそれなりの長時間使える代物なのだろう。

 朝、景に去り際に遅くならないうちに帰るように、と言っていたので少なくとも夕方くらいまでバッテリーはもつのだろう。

 籠の下半分にFMのアンテナの様に細い線が巧妙に隠されているのでそれなりの距離で聞いているのだろう。

 こんな奇抜なものを作るなんて阿笠博士製だろうか。

 なので勝手に聞こえているものとして一方的に告げる。

 盗聴なんて手段に出たんだからそうやられる覚悟があるってことだもんね。

 

「私の正体そんなに気になった?幼馴染の娘に黙って盗聴器付けるくらい」

 

「なら教えてあげる。宮野明美が16歳の時に降谷零に一服盛ってできた子供。あんたの幼馴染の子供、諸伏景と同じ生まれ方ね。でもね、私は降谷零を父親なんて呼んであげない」

 

「私のお母さんを死ぬ起因になった赤井秀一と同じように相手に同意も得ず盗聴器仕掛けて一方的に情報抜きにくるんだもの。この件に関して組織に目を付けられるなんてないのに回りくどいことするなんて器の小っちゃい男。直接ストレートに聞くなら遠い親戚との付き合い位は考えた」

 

「まぁ、降谷零もぽっと出てきた子供にお父さん、何て呼ばれたく無いでしょ?諸伏家に景を引き取る時に随分な暴言吐いたそうじゃない」

 

「それに一つ自覚してほしいの。あんたは今宮野志保に無断で盗聴器仕掛けた赤井秀一と同じランクのクソ野郎の値に落ちたことを。そんなの名前も呼びたくない」

 

「あ、スタジオの表にあるバイクから私の家の住所もう割ってると思うけど絶対来ないでね」

 

「さて、現役の公安警察官のが謂れのない女子高生に発信機取り付けてどうやって自分のケツ拭くのか見せて貰うね」

 

 一人で聞いてるんだかどうだか知らないけど、一市民として警察に盗聴被害って形でこの証拠物出して警察に相談って実績は作らせてもらうから、と告げ、バスケットを遠い位置に置いた。

 

「景、ひどいこと言ってごめんね」

「いや、それはいい。ノーダメ」

 

「こっわ、玲奈こっわ!」

 

「失礼な。相手がまともに歩み寄ってこないんだからこっちが優しい言葉掛ける義理なくない?」

「それはそうなんだけども」

「あ、こんなこと起きても2人とは絶対離れてやらないから」

「玲奈イケメン過ぎない?」

「そうでもないよ。この3人の中で一番ヘラるの私だから。生理時とか自制心働かないとマジヤバいから、こんな私でよければ用法容量守って付き合って」

「「するする。ズッ友する」」

 

 だいぶ吐きたいことを吐いたので少し落ち着いた。

 やっぱハグはオキシトシン出るわ。

 

「っと、ジンさんに連絡するね」

「容赦ない、玲奈容赦が一切ない」

 

 ジンさんには無事連絡が付きすごく、とてもすごく深いため息をつかれ、そこはどうにかしてやるがあんな狂犬は国家権力に縛って平和活用させとけ、これくらいじゃ上もやめされることはねえとため息をつかれた。

 それは確かに手負いの獣が一番怖いって言うし。

 

 でも、盗聴されたことは警察に相談しておいた方が別の事件と絡めても話は進ませやすい、とのこと。

 

 ちょっと早めに切り上げさせてもらって警察署に向かうことにした。

 慈悲はない。

 

「玲奈のことは怒らせないようにしよ」

「ほんそれ」

 

 

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