曇らせ大好き明美さんの子   作:スティック/糊

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ウィスキートリオの娘たち

 

 ボロアパートに住みながら実母の残した一軒家に週末向かう生活が始まり1ヶ月。

 

 私が合格し、特待生として入学できた高校は江古田高校。

 

 ……『まじっく快斗』のメインキャラクターが通っていた高校です、はい。

 だって特待生枠取れて、どうにか居住地とバ先を巡ることのできそうな距離感だったんだもん!

 ‥…この面だからだもんとか言っても許されるけど、中身がバレたら大変なバッシングです。

 

 大丈夫だよね、OBとかそういうので黒羽快斗と遭遇とかないよね?

 そんな感じでちょっとおびえていたり。

 

 原作キャラと遭遇なんてしてないぜFOOOO!

 

 と喜んでいたのも束の間さ。

 

 仲良くなったマイフレンド高坂純花ちゃん、赤井秀一の娘でした。

 

 アイエエエ!?赤井秀一の娘!?赤井秀一の娘ナンデ!?

 

 ひどく慌てたよ。

 入学してから隣の席で眼力強めの黒髪の美人で口調が硬いけどめっちゃ世話焼きオカンなマイフレンドに暴露された時は。

 一般女性とワンナイの末生まれたらしく赤井秀一に認知されていないと聞いてスン、っと冷静になったけど。

 やっぱ赤井秀一クソだな。

 

 彼女も転生者らしく、警察学校組箱推し勢でグリリバボイスでその道に走ってしまったことから諸伏景光の夢女らしい。

 

 そんなことを教室で話していたからかな、諸伏景光の娘も出てきたよ。

 猫目が可愛い小動物系美少女が。

 彼女は諸伏景ちゃん。当然の様に前世持ちだった。松田陣平と黒羽快斗の夢女。

 諸伏景光の高校の同級生タイプの夢女に睡眠薬飲まされ襲われ、諸伏景光の知らぬ間に生まれていたとのこと。

 実母は他界して施設育ち。

 そしかいの時に施設が黒の組織関係だったらしく、調査で判明して引き取られたらしい。

 

 はっ、この流れだと更に!?と追撃を警戒したが追撃はなかった。

 

 でもウィスキートリオの子供3人がそろってしまった。

 

 景ちゃんは愉快犯の素質があるらしく猫目が可愛い小動物系美少女とは裏腹に要らずら好きのイヌのよう。

 

「全力で黙っておくね、そもそも知ってたら不自然だし」

 

 そんな彼女から聞いたが、赤井秀一は日本出入り禁止になってるってさ。

 ここはFBI厳しめ世界線だった……?

 まあ、アメリカ国内専門の警察機関が日本の公安警察に喧嘩売ってればそれはそう。国外はCIAの区分だもんね。

 

 純花ちゃんと私はものすんごいガッツポーズした。

 純花ちゃんも赤井秀一のことはお嫌いで?

 クラッシュ時の死体すり替えでダメになった?ナカーマ!

 景ちゃんも?ナカーマ!

 

 そんな感じでウィスキートリオの娘トリオはすんごい奇跡的に江古田高校に集結したのだ。

  

 これが私がネカフェで自分の素性を知った翌週のことである。

 

 〇

 

 女子力どっかやった私の世話を純花ちゃんが焼き、景ちゃんもたまに参戦する。

 入学から2ヶ月もすればそれが江古田高校1-Bの日常風景になっていた。

 

 3人の大体たまり場は私のバイト先。

 一度純花ちゃんの保護者が迎えに私のバ先に来たことがあったのだがその時は中々カオスであった。

 

 純花ちゃんは2人兄弟の長女で8個下の弟はジンの息子とのこと。

 と言うか現在の戸籍上の父親はジンだと言う。

 ジンニキ公安警察からのNOCだった世界線とのこと。

 組織壊滅してからは顔が割れすぎていると警察をやめて、それなりの退職金を元手に投資したり、会社経営したりしているらしい。

 

 それ聞いたときは景ちゃんも目ん玉飛び出そうになってた。

 

 純花ちゃん迎えに来たジンは私の顔をみて一発で素性を把握し、謝罪をしてきた。

 母をやっちまった犯人であると言い、ちょっとした偶然から存在を知っていたが色々な配慮から遠くからそしかい後から残党を完全に排除するまで見守ってくれていたらしいが自身の義理の娘と仲良くやってることを知り、直接顔を合わせる踏ん切りがついたと言う。

 

「謝罪は受け入れます。ですが推定親類には黙っておいてください」

 

 彼は私がそれで納得するならと向こうが気づかない限り黙っていてくれると言う。

 純花ちゃんに会った時も、実父を日本国内に足を踏み入れさせないようにしたことを謝罪したらしく、同じリアクションをされたと言う。

 だからかすごくスムーズに受け入れてくれた。

 

 純花ちゃん迎えに来たジンは開口一番に私に謝罪して、ひと段落してから景ちゃんに気付いたらしい。

 ちなみに景ちゃんのことも育った施設が黒の組織関係で素性が何となくわかっていたらしく組織に隠すことに尽力してくれていたと言う。

 同じ警察組織の後輩の推定娘だから、と。

 他にもいねぇだろうな、と全国の孤児院を探し回った結果、私のことも見つけたと言うのが経緯だと言う。

 

「諸伏娘、お前もか」

「うん、こんな面白―――本人が希望しないことは言う訳ないよね!」

「……本人の意思を尊重することはいいことだ」

 

 その時のジンの顔は大変何か言いたげな表情だったが深くため息をついて珈琲を注文して、その日の会計を奢ってくれた。

 

 帰り際にジンニキに困ったことが有ったら何でも言え、と大雑把に頭を撫でられながら言われた。

 

 ……初めて会った原作キャラがジンとかマ?

 

 それからジンは度々喫茶店に顔を出すようになった。

 学費とか、生活費とか困ってねぇのかと度々聞かれることもあった。

 特待生なので、とか、とくには、と回避するのだが、3人で遊びに行くと会計はジンの家族カードを使用して純花に強制的に奢られるようになった。

 割り勘しようにも「楽できる所は楽すればいいと思う」と純花の有無を言わせぬ姉力に負けた。

 

 

 高校生になってから特待生条件の期末試験で一桁順位を達成し、初めての夏休みに突入した。

 バイト三昧と適度な勉強、家の改修の予定だ。

 仲良くなったウィスキー娘トリオでプールに行く計画があるくらいだ。

 

 一学期中に普通二輪免許もダイレクト受験で合格し、こっそり乗り回している。

 このボディーすごいの、鍛えても細い線キープできるし、運動能力高くて記憶能力もすごいの。

 普通二輪免許もダイレクト受験2回目で実技受かったし、学科は余裕だった。

 多分公安のゴリラ因子ですね。

 

 純花ちゃん経由でジンニキに奢られまくる生活をしていて、ついには夕飯時度々家に呼ばれるようになった。

 その際に暗くなってから女が一人で歩くんじゃねぇと家まで送ってくれることがあり、ジンにボロアパート生活がバレ、強制引っ越しイベが始まりそうになったので、宮野明美遺産をゲロることにした。

 

 奢られ生活もそこはかとなく申し訳ないし。

 

 で、ちゃんと拠点もあるんですよーと説明をしたのだが中の老朽化に即ツッコミを入れられリーフォームが執行された。

 給湯器が最新式になってエアコン全室完備になった。

 宮野明美遺産にはちょっと驚いてた。

 

 当初リフォームは金額が金額なので受け取れないと拒否したのだが、ジンニキが

「てめぇが納得できない以上に俺が納得できない、居住についてはこれで口出しはしねぇ。たまに純花と諸伏娘を泊めてやればいい」

 と押し切られた。

 で、学生の間の娯楽日は純花ちゃんと遊んでいる時だけでも奢られていろと言う。

 

 純花ちゃんと景ちゃんからも

「一人暮らしなんだから、将来の為にも貯めておきなさい」

「あんまり遠慮してるとパパ経由で降谷さんにゲロるよ」

 と脅されしぶしぶ納得した。

 

 

 〇

 

 

 夏休みの前半はジン監修お家の改修と登校日以外高頻度でバイトをしていた。

 純花ちゃんは弟くんと適度に遊び、週に2回くらい喫茶店に。

 景ちゃんはお盆前後は長野に行くらしいがそれ以外は諸伏景光の休暇を除いて高頻度で喫茶店に。

 私も私でバイト休みは家でおとなしく宿題片づけたり、特待生維持するためのお勉強。 

 なのでそこまで何度も顔を合わせている訳でもないし、たまに遭遇する程度の絶妙な高校生の距離感、と言うよりは気まぐれに会う社会人の距離感に近いものを感じる。全員中身成人済んでるタイプの転生者だし。

 

 相変わらずジンニキは親類に黙ってくれているし、景ちゃんも絶妙にごまかしてくれている。

 景ちゃん曰く、

「高校生までろくに友達作ってこなかった娘に急に仲のいい友達出来たからってその周辺素行調査知るような気持ち悪いことしたら出ていくから。プライバシー守って」

 と脅しているらしい。

 顔を合わせたら大変なことになるので娘と仲良くしてるからって親があいさつしたいとか重いとかなりクールスタイル。

 

 ……景ちゃんボッチ気質疑惑です。

 

 お盆も終わり、景ちゃんに長野土産の乾麺の蕎麦とワサビを貰った。

 純花ちゃんも母方が道南の方らしく家族で苫小牧に行ってきたらしい。よいとまけくれた。

 

 そんな感じに平和に過ごしていたはずだったのだが、8/19日拉致をされた。

 犯罪者グループでもなければ公安組織でもない。

 マイフレンドwithジンニキにである。

 

 バイトも無いので家の掃除と買い出しをしようと考えていたのだが、朝7時に純花ちゃんから電話が来た。

 

「おはよう玲奈。今日バイトなかったよね」

「おはよ、今日はバイトないけど」

「海行って遊んで海鮮食べよう」

「ん?」

「景も連れて行くから一時間後に玲奈の家前には着くと思う」

「ちょっと?」

「じゃ、準備しておいてね」

「ちょっと?」

 

 宣言通り1時間後やって来た純花ちゃんと景ちゃんにドナドナされ、白いハイエースを運転するシュールジンニキ主導の元、伊豆半島へ行くことに。

 

「急すぎない?」

「私がうっかりテレビで海辺のバーベキュー特集見ておいしそう、と言ったのが始まりでね」

「……ジンさんもしかしなくても純花ちゃんにゲロアマ?」

「実の息子と等倍で甘やかしてくれるし、その倍はうちのお母さん甘やかしてくれてるよ。ジンさんホントパパ務まってる」

「お、おう」

 

 曰く、ジンはこんな限りなく黒い男で実の親と離れ離れにするような奴が父親になったんだから苦労はさせないしできる限りやりたいことはやらせてやる、が基本方針たと言う。

 それに叱る時はちゃんと叱るらしいし、純花母も家族を甘やかしすぎだと半分呆れているらしいがジンの生きがいみたいなものだから他人に迷惑をかける甘えたになること以外は自由にすればいいと言う方針らしい。

 

「ふと玲奈はまだ人生でバーベキュー未経験ではなかろうか、と私とお父さんは思い立ってね」

「……まあ、未経験ですけど」

「景の方も諸伏さんの娘の友人が気になるゲージが限界突破しそうだったから、今朝景を向かいに行くときにお父さんが諸伏さんに挨拶に行ったの」

「……中々のカオスになりそうな感じだね」

「カオスだったよー」

 

 会話に景ちゃんも加わり、そのときの様子を聞かせてくれた。

 

 

「ジ、ジン!?」

「ああ、テメェの娘は責任もって預かる。遅くても20時前には連れて帰る」

「……ちょっと待ってくれ、理解が追い付かない」

「…テメェが何を考えてるかは分からねぇがテメェの娘が仲が俺の妻の連れ子の方だ」

「連れ子!?まぁ、うん。ジンの息子はまだ一桁だったはずとか色々駆け巡った。悪い…」

「性別も女だ、不純異性交遊の欠片もねぇぞ」

「お、おう」

「これ以上はガキの時間を奪う、また後で時間は作る」

「わ、わかった」

「行ってくるねパパ」

 

 そんな会話をしてジンは景ちゃんを預かりその場を後にしたらしいのだが、背後からとんでもなく混乱したような諸伏景光の「ゼ、ゼロ―!」と言う叫びが聞こえたらしい。

 

 ……降谷さんも前日諸伏家に泊まっていたらしい。

 

 

「まぁ、そんな感じでお家に帰ったらちょっと動揺したパパとのお話が待ってるよー」

「……修羅場、と言うより職場の元先輩の娘と自分の娘が仲良くなってたことへのパニックでしょうね」

「それはそう」

 

「そこらへんはお父さんがどうにかしてくれるって言うから気にしないで」

 

 それに対して運転中のジンさんはそれが親の務めだときっぱり言い切ってた。

 

「…学校の行事以外で都外に出るの初めてかも」

「……もしかしてバイクでもまだ?」

「うん、一番遠い所は奥多摩までかな、高速道路はまだ怖いし」

 

「―――お父さん」

「――ああ、最高の夏の思い出にしてやる」

 

 ……高坂親子の謎のスイッチを入れてしまったらしい。

 

 ジンは景色の良い道は自分でバイク運転して見ればいいといいて、減らしてくれた。

 山辺の峠を減らして海辺の景色が良い所を走ってくれた。

 

 県道16号線の海岸に沿って走る海道は天気も相まってすごい絶景だった。

 

「そういえば何故伊豆?」

「それは付いてからのお楽しみ」

 

 そんな言葉と共についたのはジン所有の海岸沿いの別荘。

 元々組織時代にジンが所有していた半径1キロ圏内に住宅が存在しない穴場、と言うかマネーパワーで作られた馬鹿みたいに景色のいいしっかりと整備された土地で隣接した海岸まで高低差があるものの、岩と岩の窪地の様に隔離された空間だ。

 個人単位で海を独占しているようで文字通りプライベートビーチ状態。

 ナンパとか野暮なことは起きない良い空間だ。

 

「荷物置いたら下に降りる、日焼け対策しておけ」

 

 ジンは慣れ切った様子で別荘の部屋割りを指定し、数時間要るだけなのに一人当たり10畳サイズの部屋を割り振る。

 ……めっちゃ景色いいなおい。

 

 絶景と表現するに十分な景色を眺め高校入学してから最低限の機能しか使わないから、と数代型落ちしたスマホでパシャリ。

 

 スマホのシャッター音とは別に背後からも少しズレるようにシャッター音が聞こえた。

 振り向くと水着に着替えた二人がそれぞれスマホとカメラ片手に私を撮影していた。

 どうやら自分が思うよりも景色に夢中になってたらしい。

 私が着替えていないことは気にもしていないようで、取った写真を興奮したように見せてくれた。

 

「画力がすごかった」

「スマホのCM女優になれるレベルだったよ」

 

 そう言って二人が見せてくれた写真は自然光が差し込む暗い部屋の窓際でカーテンと共に揺れるワンピース姿の女の子。

 

「我ながら容姿だけはなかなかのモノ」

「容姿だけじゃなくて中身も十分にすごいでしょうがい!」

 

「それはさて置き、着替えよう?」

 

 ちょっぴり自画自賛していると景から鋭いツッコミが入ってくるし、純花はすぐに切り替えたように水着へと着替えを促してくる。

 

 二人に世話を焼かれながらあっという間に着替えると、再び容姿にお褒めの言葉がかかる。

 

「ひゃービジュアルの暴力だよ」

「多国籍のいいとこ総取りしてやがる」

「景ちゃんは完全日本女子の大和撫子してるし、多国籍のいいとこ総取りは純花ちゃんも変わらないでしょうに」

 

「大和撫子って、胸か、胸のこと言ってるのか、喧嘩なら買うよ!」

「違うが?」

 

 小動物猫系大和撫子の景ちゃんは小柄な体格に会ったつつましい胸をカバーするようなフリルタイプのオフショルダーのタンキニ。

 しっかりと主張するくびれがキュートだ。

 

「……正直私は赤井家要素薄めに生まれたかった」

「なんかごめん」

「前世で手に入らなかった巨乳が手に入ったことはうれしいからいいけど…」

 

 私と同じく多国籍系の純花ちゃんはシンプルな黒のビキニ。

 日本人離れしたスタイルの暴力だ。

 

 私?

 ビキニの調整とか難易度の高い水着を着こなせる自信がないのでハイネックフレアタイプの水着にパレオ。

 スタイル良いと大体どうにかなるのは便利な所。

 

「このはとこ共、ナイススタイルしやがってッッ!」

「正直胸なんて邪魔」

「前世貧乳、今世巨乳だけど正直貧乳の方が生活しやすい」

「前世も今世も貧乳の私に喧嘩売ってるなお前ら!」

 

「はいはい、お父さん待たせてるから早くいこう」

「く、誤魔化しおって!」

 

 普段は緩い雰囲気の景だが、貧乳コンプを揺さぶられるとちょっとキャラが変わることが判明した。

 

 景を純花が宥めながら別荘前にできた気持ち急なつづら坂を下りていくとジンと、もう一人の男がいた。

 

「来たか」

「お嬢と諸伏の娘、あと宮野姉の娘ですかい」

 

 しっかりとしたガタイ、黒の帽子とサングラスが特徴的で全体的に四角い男、ウォッカがそこにいた。

 

「失礼しやした。自分は魚塚三郎と申しやす」

「初めまして宮野玲奈です」

 

 ウォッカ、もとい魚塚三郎さんは純花と景とは面識があった敷く、完全はじめましては私だけ。

 

「あー、お前さんのお袋の宮野明美の世話、してた者です」

「そうですか」

「今日は兄貴に無理いって連れてきてもらったんでさ」

 

 そう言うと、ジンと同じように母を生かしきれなかったことに対する謝罪をしてきた。

 

「謝罪は受け入れます。正直な所、なんとなくしか知らない産みの親の話をされても実感がわかないのが一番です。孤児院暮らしをしていたからと言って大きく困ったことは……施設を出てから母の遺産を知るまでの生活費くらいでしょうか。なので大きな決断をし続けた大人よりも優しい環境で暮らせてきたので、そう思いつめないでください」

「そう、か」

 

「はい。それでも気が晴れないと言うなら好きにしてください。過度に迷惑を被ること以外なら受け入れます。ここ2ヶ月で流される程度が一番生きやすい事を覚えたので」

「分かりやしたッ」

 

 クッソ真面目な雰囲気らしい魚塚さんに少し泣かれ、気合を入れて用意したと言うバーベキューが始まった。

 

 

「牛タン美味しい!」

「アサリは味噌汁でよく食べてきたけどサザエとかアワビは初めてかも」

 

 そんなことをつぶやきながら食べているとみんなして私の取り皿に肉やら貝やらを載せ続けてくる。

 

 孤児院時代から過度にひもじい生活を送っていた訳でもないので一般的な食事はしてきたはずだが、ちょっとお高いものは殆ど口にしてこなかったのも確かだ。

 

 だが、そこまでかわいそうなやつではないはずなのだが?

 ……でも貰えるものは病気以外は貰っておく。

 

「……流石にこれ以上は入りません」

「そうか」

 

「食休みしたら海辺で遊ぼ」

「バレーボールコートとかジェットスキーとかバナナボートもあるよ!」

 

 皆に飯を盛られまくったのでなかなかの満腹具合を申し出ると想像できるマリンスポーツ片っ端から用意しましたと言わんばかりのラインナップに、ちょっぴり頭を抱えたがここでも友人2人からこれがデフォ、と甘やかしてくる保護者共に少しの呆れを覚えた。

 

 

 私は結構運動が好きだ。

 前世とは違ってTHE運動神経の塊、と言わんばかりの身体能力を有しているので動くのが楽しい。

 普段は省エネで綺麗な姿勢やスタイルを保つため筋トレやヨガ程度だが、動き回ることのできる環境を用意されると楽しんでしまうのだ。

 

 好みはチームワークの要らない個人戦の様なものが特に。

 

 故に、

 

「……自分で操縦したい欲求が」

「玲奈、運転するの好きだもんね」

「またいつか運転できる機会が有ったらその時は特殊小型船舶取ってやるッ!」

 

 バナナボートをジェットスキーで引かれるアトラクションをジン運転で楽しんだんだが、公安のゴリラの血がそうさせるのか基本的に運転の類いがとても好きだ。

 その影響で、自分で運転出来たらどんなに楽しいだろうとちょっとしたフラストレーションがたまった。

 

 ジンもウォッカも元悪の組織幹部とは思えぬ発言だが、元警察官らしく“免許取ったら好きに運転させてやる”と言われたので従うしかあるまい。

 船舶免許の管理は国交省で、運転免許の警察区分ではないが、軽いノリで違法行為して人生を棒に振るな、とのこと。

 軽い気持ちで法を外れれば、そのハードルはどんどん小さくなっていつの間にかそれが当たり前になる。それは普通に暮らすうえで犯してはいけないものだと力説された。

 

「……体動かして忘れる」

「じゃ、バレーだね」

 

 ジンとウォッカに混ざってもらいながら2対2だったり、女子高生3人対元悪の組織幹部と言う中々見られない状況等満喫した。

 ジンとウォッカは私の運動神経の良さに“あ、バーボンか”とちょっと

 

 

 気が付けば、時刻は17時を回り、別荘に戻り少し早めの夕食で海鮮を楽しんだ。

 板前姿のウォッカはものすごく似合っていた。

 

 ウォッカは普段は各地にある別荘地の管理や、元組織関係者なんかの身内がやってくる食事処を経営してたまに厨房に立っていると言う。

 

 18時を少し過ぎたあたりで、ジン運転のハイエースで都内へ帰路に着くことになった。

 

 帰路は朝の迎えの逆順で私、景の順で送り届けられると言う。

 

「あの、ジンさんお願いがあるんですが」

「あ?何でも言え」

「お盆過ぎて遭遇することが無いと思うので母の墓…があるかは分かりませんが、供養されたお寺を教えて頂けますか」

「……墓はちゃんとあるお前の母親と祖父母が同じ墓に入ってる、ちょっと待ってろ」

 

 私の家の前に付いたときにふと、母の墓を知らないと思いジンに聞いてみたらメモ帳に住所を書いたものをくれた。

 

「俺はお前の叔母や祖母に立ち入りを禁止されてるから送ってやることは出来ねぇが、行ってやると良い」

 

 そこまで気が回らなくて済まなかったと一言詫びをいれてから、景を送迎するためその場を後にしていった。

 

 ……命日聞くの忘れたな。

 でもお盆直後だから会うことないよね。

 

 次のバイト休み行ってみよう。

 

 でも、墓地米花町か……。

 

 

 母の墓参りで人生初の米花町、事件が起きないことだけを只々祈った。

 




高坂純花
目付き鋭い系の美人系。
赤井秀一と純花母がワンナイして生まれた子。未認知。

前世の記憶を思い出したのは母親が何故かジンニキと再婚すると告げられた時。
当然ぶっ倒れた。

基本世話焼き系のいい子。
江古田高校1-B名物トリオのオカン担当

諸伏景光が最推しの夢女
諸伏娘がクラスメイトと知り膝から崩れ落ちかけたが、何やかんや楽しんでいる。



諸伏景
小動物猫系大和撫子。
ふりゃーと猫目と小中校同じだけど略認識されてない系転生夢女が景光に一服盛って作った子。

前世の記憶を取り戻したのは8歳の頃。
組織経営の孤児院でやべえソルジャーにさせられそうになっていた所、組織壊滅でうやむやになり、気が付けば諸伏家に引きと垂れていた。

貧乳を弄ると人が変わる。

松田陣平と黒羽快斗が最推しの夢女
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