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艦娘が生理を我慢するだけの小説
第1回目 赤城の場合
壁掛け時計がいきなり鳴り出す。作業に没頭していたらしい。
報告書や申請書の山はまだまだあるのだが、出勤した時よりは減っている。
今の時刻を理解すると空腹感を思い出す。
「腹が減ったな」
「もうお昼ですから」
秘書艦が独り言に言葉を返す。書類の山からほんの少し顔が見える程度。少しおっとりした表情が特徴の空母。赤城である。
「多飯喰らいのお前の事だ。この時間が待ち遠しかったのだろう」
クツクツと笑うと彼女はムッとした表情をする。
「提督が食べなさすぎなんです。殿方はもう少し食べないとダメですよ」
「と言ってもな、食べられないものは仕方ない。お前も、もう少し食べる量を減らしたらどうだ。腹8分目と言うだろう」
山の様な紙束を崩さない様に席を立つ。
「空腹では仕事もままならない。食堂に行くか」
と食事を誘う。といっても色気も何もないのだが。
だが、赤城は席を立たなかった。いつもならばすぐさま立ちあがるのだが。
「……どうした。お前の好きな食事だぞ」
「あ、いえ、なんでもないです。ご一緒します」
遅れながらも席を立つ。不思議に思ったが、気にしないでおこう。
「あ、提督ー! ここ空いてるっぽいー!」
「司令官はこっちに座るの! ねぇ電!」
「Hey テートク! 私達とこっちに座るネ!」
「何処でも良いから2つ席を空けておいてくれ」
食堂に顔を出すと、食事を待ちかねた艦娘達でごった返していた。
「ふむ、今日の気分は麺類だな。きつねうどん1杯。赤城、お前はどうする」
「あ。えっと、では私もそれの大盛りで」
奥で、あいよー。と声がした。注文をした後は待つのみだ。
待ち時間の間に先程から気になっていた事を話す。
「先程から心此処にあらず。という感じだが、どうした赤城。お前らしくないぞ」
「いえ、本当に何でもないんです。ほらこの通り!」
両腕で力こぶを作る様な格好をする赤城。
「そうか。それならいいんだが」
そうこうしている内に、きつねうどんが2杯、食堂から顔を出した。流石は麺類、出てくるのも早い。
「席は……あそこか」
見渡すと金剛型の4隻が席を2つ空けていてくれた。
「すまないな金剛」
「That's all right 私もテートクと lunch を共に出来て嬉しいデース」
「提督! 榛名もきつねうどんなんですよ! 提督と一緒のものを食べられるなんて、榛名、感激です!」
口々に話し始める戦艦を流しつつ、箸に手を掛けうどんを啜る。
ちらりと赤城の方を見やると、やはり箸を持っていなかった。
「赤城。食欲が無いのか」
「……実は」
少しためらいつつもゆっくりと答えた。
「珍しいな。だが、何か腹に入れた方がいい。少しでも良いから食べておけ」
「はい……」
ゆっくりとうどんを啜ろうとするが、どこか力が見られない。
「初めてじゃないか。お前が食欲をなくすのは」
「いえ、何度か」
何度か、と言われた後、ふと物思いにふける。
「そういえば、先月の丁度今あたりにもこんな時が無かったか」
ピクリと赤城の肩が動いた。
「多分その時は、白米のおかわりもあまりしなかったか。その時はやけに少ないなと思っていたが、周期的な何か――」
刹那、ものすごい速さでうどんを啜ったかと思うと、席を立ちあがり、
「ごちそうさまでした! 私先に執務室に戻ってますねっ」
声を掛ける暇もないほど、足早に去っていった。
「……なんだったんだ」
食事を終え、執務室に戻ってくると、赤城は書類の整理をしていた。が、歩く姿は内股で歩幅も狭い。
「あ、お戻りになられましたか」
あぁ、と返事をして、また作業を再開する。
彼女の事も気になるが、まずは仕事である。一番上の申請書を手に取り目を通し始めた。
小一時間、報告書に目を通し、申請書に印を押し。と、これまた変な報告書を出した人間が居る。
「長距離練習航路に一時間……か。赤城、第三艦隊の天龍を此処に呼べ」
が、声は返ってこない。書類に落としていた目を彼女の方に移すと、顔色は真っ青で、両腕で腹を抱える姿が。
「赤城。お前体調が悪いならそう言え」
その言葉でやっと反応した彼女は、
「いえ、大丈夫です。で何でしょうか」
息を吐き、一拍入れてまた伝えた。
「加賀を此処に呼べと言ったんだ」
は、はいっと小走りで出ていった。彼奴はどうにも我慢する節がある。
「提督、御呼びかしら」
数分経っての今。加賀の後ろには未だ顔色の良くない赤城の姿。
「あぁ。加賀、秘書艦の交代だ」
その言葉で反対の意を表したのは赤城だ。
「ま、待って下さい。私は大丈夫で――」
「体調を悪くして何になる。今此処に深海棲艦が攻めてきたら、お前はいつも通りの働きが出来るのか」
反論の言葉が止まる。
「赤城。お前に無理をさせているのは俺だ。体調に出てしまった事も謝る」
「い、いえ。そんな事は……」
彼女は今も口篭っている。
「今日はゆっくり休め。明日からまた迷惑を掛ける」
反省したのか、あるいは諦めたのか、「はい」と頷きながらも、部屋を出ていこうとする赤城。
が、元々足元が疎かだったからか、椅子の足に引っ掛かりつまずいて転んでしまった。
「……大丈夫か」
「は、はい。すみません」
そしてゆっくりと歩を進め扉が閉まった。
「これで彼奴も休む事が出来るだろう」
「そうね。あの子、本当に辛そうだったから」
何はともあれ、これで執務を行うことが出来る。
「なぁ、加賀よ。一つ聞きたい事があるんだが」
「何でしょう。お答えできる事なら」
「お前らの中では紅い下履きが流行っているのか」
「答えても良いけれど、本当に知りたいのかしら」
「いや、気の迷いだ。忘れてくれ」
「賢明ね」
此処まで読んで頂きありがとうございました。
次はいつ更新になるかわかりませんが、その時も見てやってください。
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