とある幻想殺しの幻想入り   作:kazuスカーレット

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不幸な少年

「はぁ……不幸だ……」

 

もはや口癖となりつつあるその台詞をため息とともに吐き出す。その少年、上条当麻ははっきり言えば不幸体質である。今日も同居している少女に頭を噛みつかれた、しかし今日は休日で学校は休みだ、補修もなく珍しく平和な1日のスタートになる。

 

だがそんな幻想はすぐ後方から聞こえてきた音と共に崩れ去った。

 

「なっ!?おい大丈夫か!」

 

音に反応し振り返る。すると血塗れの女性が地面に倒れていた。慌てて駆け寄り抱き抱える。触ると体は濡れていて何があったのか左腕が無くなりそこから血が止めどなく流れている。

 

(とりあえず止血を.....)

 

急いでTシャツを脱ぎそれを腕に巻きつけ止血し背負った。

 

「しっかりしてくれ!」

 

彼は近くの病院に駆け込んだ。

 

「すみませ.....あ?ァァァア!?」

 

病院に入ると同時上条当麻は謎の浮遊感に襲われた、段々と地面が離れていく.......

 

 

 

 

 

 

 

「イダッ!」

 

見知らぬ森、まだ服にベッタリ付いた血の匂いを感じながら当麻は空を見上げながら呟いた。

 

「不幸だ.....」

 

「わー」

 

「うわぁぁぁぁ!?」

 

突然目の前に現れた見知らぬ人の顔と声に驚き当麻は叫び声と共に後ろに下がる。

 

「ひ、人か?」

 

「違うよー」

 

「そうだよな......ってえ?」

 

自分の思っていた事と全く違う回答に当麻は困惑する、その様子をルーミアはじっとみた後、いきなり当麻の頭に噛みついた。

 

「ギャアァァァ!不幸だー!」

 

 

 

 

 

「うぅ......頭がズキズキする」

 

上条は頭から流れ出す血を手で抑えながら呟く。

 

「あ、顎が......」

 

対するルーミアも想像以上の上条の頭の硬さに顎がやられてしまった、日々同居している少女に頭を噛まれていた事により頭の硬度が上がったんだろう。

 

「それにしても、ここは一体どこなんだ?」

 

「うー......ここは......確か、幻想郷?」

 

首を傾げながらルーミアは答える。

 

「いや、なんで疑問系?」

 

「それは......」

 

突然鳴り響いた銃声と共にルーミアの肩から血が吹き出す。

 

「は?」

 

当麻が前のめりになるルーミアの体を支えた。

 

「オイッ!?」

 

ルーミアを撃った奴を確認しようとしたが急に背中に嫌なものが走る。

 

「うぉっ!」

 

当麻は咄嗟の判断でルーミアを抱え横にすっ飛ぶ、それが功を成しルーミアの頭を狙って放たれた弾丸は当麻の体を掠めるに止まった。

 

そのまま木の木陰に隠れる。

 

「..........はぁ」

 

銃声がした方向から女性のため息とこちらに近づく足音が聞こえてきた、どうにかしようと考えるが特に何も思いつかない。

 

絶体絶命のそんな時当麻の幸運か、いや.......それは絶対にないだろう。

 

「今ここから凄い音がしたような?」

 

上空から別の女性の声が聞こえた、その声は向こうも聞こえたようで近づいてきていた足音が遠ざかっていく。

 

「あれ、日向?」

 

ルーミアが空を見上げて呟く、その視線に釣られて当麻もその方向を見てみると上空に紅葉色のトレンチコートを着て翼を生やし空を飛んでいる女性が目に映る。

 

「知り合いか?」

 

「うん、自称何でも屋の天狗」

 

しばらく空中を飛んでいるとようやく視線に気づきこちらに向かってくる。

 

「あっ、いたいたー、やっほールーミ.....ってえ?........は?誰その男!?」

 

「あ、あのー」

 

当麻が止めようとするが日向の暴走は止まらない。

 

「る、ルーミアがわ、私より早く男を.......そんな、嘘だ......嘘だッ!」

 

1人で盛り上がっている、当麻はルーミアの方を見たがいつもの光景なのだろう、呆れた顔で特に何も言わずに眺めている。

 

「なんで.......私の方が胸もあるのに」

 

「ははは、早く気づいて殺すよ?」

 

ルーミアは流石にその発言にキレて怒りを隠さず言い放つ。

 

「ありゃ?どうしたのルーミアその傷まさか、その男に.....」

 

「この人は、私を守ってくれたの」

 

日向が当麻とルーミアを交互に見る。

 

「よく見るとそのトゲトゲ頭、人間?何ルーミア食事中だったの、それで反撃喰らってそうなったってわけドジねー、あんまやりすぎると巫女に払われるわよ」

 

「あはは、流石鳥頭、知力も視力も終わってるね」

 

「それ程でも」

 

「褒められてねぇだろ」

 

ルーミアが罵倒するが特に効果がない言葉の意味がわからないのか頭が悪いのか、一応会話は出来ているため後者だろうが。

 

その後なんやかんやあって日向の家で治療を受けた。

 

 

 

 

 

「これで良し」

 

「ありがとう」

 

当麻は流石に服が血塗れというのはアレなので日向に変えの服を用意して貰った。

 

「さ、座って座って」

 

日向に案内され部屋の中央の長い椅子に当麻とルーミアが向かいの席に日向が座る。

 

「さて、あなた見たところ里の人間じゃない、外来人でしょ?」

 

「外来人?」

 

「うーん、ここはある山の中にあって結界で覆われてるの、でその結界の中に入ってきた人達の名称が外来人ってわけ」

 

「山の中?でも俺は学園都市からここに来たんだが」

 

「わからない」

 

当麻の疑問に対し日向は特に思案するわけでもなく即答した。

 

「私達はここで生まれ育ってきたからねー、外の世界の事なんか何にもわからないの、まぁとにかく!」

 

突然椅子から立ち上がり机をバンと叩いて身を乗り出す。

 

「貴方は外来人帰るにも、ここにいるでも住む場所、衣食住は必要でしょ!」

 

「え、あぁそうだな」

 

「えと、当麻だったよね、なんかやな予感するから気をつけてね」

 

そう言って去ろうとするルーミアの手を日向は掴んで抑えた。

 

「さっき聞いたけどこの人はルーミアの命の恩人でしょ、恩を返したいよね」

 

その言葉を聞いたルーミアは手を振り解こうとする力を抜く。

 

「なにが言いたいの?」

 

「何、簡単なことよルーミアと当麻は私の下で働く、代わりに私は貴方達に衣食住を提供する、貴方は当麻に恩を返せて幸せ、私は働き手が増えて幸せWin-Winでしょ」

 

(なんでコイツはこういう時だけ頭が回るんだろう?)

 

当麻も同じ事を思ったが口には出さない、今はとにかく眠りたいからだ。

 

結果ルーミアと当麻はここで働く事になった。

 

その日仕事はなく家の紹介で1日が終わりそのまま布団の上で寝る。

 

目が覚めたらまたいつもの部屋に戻っていることに賭けて。




「あ、ルーミアの布団は当麻の隣でいい?」

「............やめておく」

「だいぶ間があったね」
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