ご了承ください
「何言ってんだよ叔母さん!麻倉だよ!麻倉!」
「だ、だから朝倉って誰よ?お友達?」
意味が分からない、叔母さんは何を言っているんだ?よく家で朝倉の話題で盛り上がるじゃないか
なんだか胸騒ぎもする
「なんでもいいわ、その子のところに行くんでしょ?早く行きなさい、会社の車で待ってるから」
「う、うん」
頭の中がぐちゃぐちゃになりながら俺は叔母さんを後にする
とりあえずナースステーションに部屋を聞きに行く
「すみません、麻倉結芽の病室はどこですか?」
「お待ちください、アサクラ、アサクラ‐ット」
長い、探すのにそんなに掛かるもんか?
「確認してきますのでもう少々お待ちくださいね!シュニンサーン」
「おかしいわね麻倉結芽さんって方の記録がどこにもないのよごめんなさいね、でも身元不明の子が1人意識不明でこの605号室の病室にいるわ」
「わかりましたありがとうございます」
おかしいおばさんが覚えてないだけじゃなくて病院すらも麻倉を忘れてるなんてそんなバカな話があるのか?
「ここか」
病室の前に着いたものの何処か寂しく殺風景な空気を感じる
ガララララ
扉を開けそこには静かに寝息を立てながらも生気のない麻倉が居た
「麻倉…ごめん守ってやれなくてこんな目に遭わせてごめん」
生きているのに何故か冷たい手を握りながら謝罪するように呟く
「みんななんでか麻倉の事忘れちゃってるんだ…
俺は絶対忘れてなんかやらないからな」
ヴヴヴヴヴ
ポケットに入っているケータイが鳴る
おばさんかと思ったが電話主は会長だった
「もしも「赤崎ィィィィィ!」
「うるせぇっす、え?会長どうしたんですか」
「いやなんだ!退屈していたところでな折角だお前を誘って肝試しにでも誘ってやろうと思ってな!なんだ取り込み中だったか!?」
「は?会長何言ってんすか俺今朝まで入院してて今麻倉の見舞いを済ませてから帰ろうと思ってたんすけど昨日見舞いに来てくれたじゃないすか」
また嫌な予感がする
「ん?入院?赤崎が?お前何処か悪くしたのか?
それは大変だ今日は大事をとって休め!ところで」
やめろ
「お前が言っている」
やめろ
「麻倉とは」
やめてくれ
「誰だ?」
その言葉を聞いて全身の血が引いたような冷たい感覚になった
「会長まで…」
「うん?なんだ?どうした赤崎!あか」ブチッ
会長が何かを言おうとしていたが躊躇いなく電話を切る
「麻倉…あさ…」
はっ!やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
俺まで…俺まで麻倉のことを…
麻倉麻倉麻倉麻倉麻倉ぁ!
何度も頭の中に名前を刻む
結芽の手を握り存在を確かめる
俺の中から麻倉結芽という存在が消えていく感覚に抗う
その時頭の中にあるひとつの言葉を思い出した
(運命を変えろ)
あの言葉
運命を変えろだって?ならこんなクソッタレな今だって終わるってのか?そんなわけないだろうが
いや…あのビルに出てきた化け物とローブの男、
夢じゃなければまだ手はある何も変わらないかもしれない
だけど麻倉を!結芽を!助けられるなら!
みんなの思い出から消させない為にも、あのビルにもう一度行く価値だってある!
決心した俺は踵を返して呟く
「ごめん結芽俺行ってくるよ、君をもう一度笑わせれるならどんなことだってする!」
病室を飛び出し一心不乱にあのビルに向かう
「陽遅いわね…電話してみようかしらプルル」
「ごめんおばさん!俺行かなきゃ!帰ってきたら話すから!」
「あっちょっ陽!なにがなんだか分かんないけど気をつけるのよ!行っちゃった、ふふっあの後ろ姿兄さんそっくりだったなぁ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁはぁ昼間とはいえやっぱり雰囲気あるなここ」
息を整えながらビルの中に入る
ビルは取り壊される予定だったせいか壁にも幾つか穴が空いていてそこから木漏れ日が指す
以前来た時は夜だったから気づかなかった
あの化け物が出てきたフロアに辿り着きあのローブの男が立っていた踊り場まで向かう
「ここだ」
踊り場まで着いたがそこには途中で崩れて無くなってる階段だけがありその上には屋根がなく空が見える
夢とは言えあの言葉を信じた自分が馬鹿らしくなる
カラッカラッ
俺の足元を何かが転げ落ちてきた
玉?手のひらで掴めるほどの赤い玉
綺麗だ澄んでいてひとつの曇もないこの世にこんな宝石なんてないと分かるほどに綺麗だった
にしてもなんでこんな玉がここに
俺は落ちてきた方向に視線を移す
そこにはあのローブの男が立っていた
「陽…来たんだな、いや来てしまったという言葉の方が近いか」
「なんで俺の名前を知ってんだ!あんたは誰だ!なんで夢の中に出てきた!」
「その手で何かを得るために叶えるために掴むために幻界に来いその手で運命を変えて見せろ」
「こっちの質問には一切答えないか…あぁやってるよ全て取り返してやるこんな目に遭わせてくれ運命ってやつから!」
「ならば扉を開けろ!道はお前が知っているはずだ!その宝玉は餞別だ持っていけ!」
その時崩れていた階段から新しい白くうっすらと光る階段が続くその向こうに白く大きな扉が待ち構えていた
ローブの男は扉が出てきたと同時に消えた
1歩1歩1段1段おれは足を踏み締め前に進む
拳に力を込めながら扉に向かう
「待ってろ結芽!みんなを絶対思い出させてやるからな!会長も思い出したら1回ぶん殴ってやる!」
俺は俺自身を鼓舞して扉を両手で開いた
次回からおためしの森の話になりますね
頭の中で構想はありますので文字に起こすのが時間がかかりそうです