ホロウナイトもブルアカもブンブンジャーもプロットは書いたんや…原作の見直しとキャラのエミュレートが追いついていないんや……。完全な趣味で物書きやっているので、長い目で付き合ってくださると幸いです。
初めに見たのは、霧に覆われた空だった。
木の間から見える曇天は気分を滅入らせるというがそうでもないものだった。暫くしたら自分の身の丈より倍以上はある烏がやってきた。
それは私を見るなり嘴を近づけてきた。食べられるのか、襲われるのか。そう私の半開きの口に、鳥は自身の嘴を突っ込んだ。
自分がこの烏の雛であることに気がつくには十分ではった。…そっかー、烏かぁ…。病床に伏して死ぬ前は鳥になりたいと思ったことはあったけど実際なるとこういう感じなのか。烏は成人すれば7歳程度の人の仔と同じ知能がつくという。果たして私はどんな人生…いや鳥生を過ごすのだろうか。こうして半分溶けた虫や腐肉の混ぜものの口移しをされているが、対して抵抗感が無い。まあ味覚を感じる舌を通り越して直接喉に注がれているから味もへったくれもないんだけど。
文字通り味気のない食事を堪能したのも束の間、雷鳴が轟いた。周りの兄弟は首を窄めて震えているが、私は雷光に目が離せなかった。
前世で見た白ではなく、紫。幼く未熟だが人間よりも更に遠くを見渡せる鳥目でそれを捉えた。人がいる。曇天の中、竜に跨る女の人が。性別が判別できる程のたわわな果実をたゆませ空を駆け…まあそれはどうでもいい。私は彼女の顔をよく知っている。
(雷電…将軍!?)
どうやら私は原神の世界に転生したようだ。
原神。miHoYoが開発したオープンワールドゲーム。崩壊シリーズ第四作目として世に出されたそれは無料で出来るゲームとしては破格のクオリティとして世界中で話題になった。一応崩壊学園、崩壊3rdのスピンオフとして作られたこの作品は日本国内に於いては本筋を遥かに上回る知名度を誇る。メガテンとペルソナ、ほうれん草マンとかいけつゾロリみたいな関係性の作品だ。
今見た雷電将軍…まだバアルゼブルか。彼女が跨っていた蛇のような白い東洋竜はオロバシ。彼と行動しているということは少なくとも本編の2000年前。いや、もっと前である。魔神戦争真っ只中だぁ…。今から頑張れば七神の誰かを除けてどこかの神になれそうだが正直興味ない。……だってあれだろ?七神って世界の泡*1を維持させるための崩壊エネルギー徴収係でしょ?琅丘の影の徴収*2とか、セントソルトスノーの魂の循環*3とかがまさにこれだ。ヴァネッサが天空の島に招かれたシーンを見ても原神……神の目を持った人々を人柱としてこの世界を維持しているとしか思えない。何より空律っぽいあの娘の下なのが嫌だ。大人しくカップ麺でも啜ってろ。*4え?テイワットにインスタント製品は無いって?それは(現時点では)そう。
…まあ私スメール編をクリアしたところで前世をさよならバイバイしたからこれらの考察は憶測に過ぎないけど。スネージナヤ実装は残念ながら余命よりもはるかに先であった。んなことよりも神になったところでだ。ただでさえテイワット外には律者ァ*5とか使令*6とか星神*7とかいった化け物連中がいるのにそれで留まっていられるか。…知ったところで崩壊エネルギー適合率を上げられるわけじゃあないけど。取り敢えず妖怪化をして知的存在とコミュニケーション出来るようになりたい。
ここからが私の修行の日々が始まるぞ…!
数週間後…
できた。いや何で??綺良々だってもうちょっとかかってたよね?人型になれー!と念じたらあっさり出来てしまった。翼の使い方にもまだ慣れていないのにポンっと変わってしまったため当然自由落下。親兄弟には大層驚かれたが、村八分…群れ八分?にはならなかった。動物から人型の妖怪になったフレンズが存在する世界でよかったぜ…。
めっちゃ興奮気味の両親がすっ飛んで行き、帰ってきたと思ったら普通の烏より倍はあるだろう老鴉を連れてきており、そのお爺さんから「大天狗様にお顔を見せるぞ!」と仰せつけられた。出発は明日とのこと。
「うぬが齢
「はっ、ははぁ!」
吉報、絶賛イケメンに土下座中。相対しているのは九条家の開祖こと笹百合。魔神戦争集結直前でお亡くなりになられる…筈。オロバシと相打ちだっけ?語られていなさすぎて分からないが、少なくとも500年前のカーンルイア滅亡時点では既に故人である。
「大天狗様にはわが
え、初耳なんだが?
「ふむ…そちはどうだ?」
「はい…?」
「術を儂の下で学ぶ気があるのかと聞いておる。」
「……素直に申し上げますと、まだその時ではない、と思います。」
「なぁ?!」
「童!大天狗様に楯突くというカ!」
「静まれ、皆の衆。…して、そなたは何故儂の元へ行きたくないと言うのか?」
「…私はまだ、自分がどのような生き物かが分からぬからです。」
「ほほう?」
「男の児か女の児かも分からぬまま、ひと、とやらに成ることは、即ち私がどんなものか分からぬまま人の姿になるということです。然らば、私はまだ烏のままでいたい。」
「…面白い、そち、名前は?」
「…なんだっけ、お父さん?」
後ろでずっと首を伏している父親の方へ振り返った。
「へ?あー…兄弟でも一番おっきいのがお前だカらなぁ、大きい童でポロノコとしか呼んでなカったな…。」
「あ、そうなんだ。」
烏って他の鳥みたいに羽毛の柄とか色で性別見分けつかないからね。鳥類はどちらの性別にも股下にモノはついてないのだ。雌雄の見分けを付けるには解剖か、卵を産んでいる瞬間を見るかしか無い。鴨とダチョウはきちんと一物がオスに付いているって聞いたことあるけど…まあ変化の術を極めればそっちの外見もうまくいくんだろう。しかしもう少し鳥でいたいかなぁって。具体的には2,3年。前世ではどっちだったか?多分女じゃなかったかなぁ。一度も使われなかったけど。
「それにですね。」
「ふむ?」
「知りたいんです。自分の力で何を、どれだけ出来るのか。」
「カ…」
「か?」
「呵呵呵呵呵!この世に生を受け一年も経っておらんのにこれか!良き哉!実に面白い。」
大天狗様が烏の高鳴きのように大声で笑った。笑いが収まると優しく微笑んだ。
「まあ今すぐというのは儂には無理であったのだ。今は戦の最中でな。仔の面倒を見られるほど余裕が無いんじゃよ。」
「はあ」
「そちの住処は…鶴観だったか?あそこなら霧がそちらを守っている。戦火は来ない故、鍛錬に励むのであれば良いだろう。」
「かたじけなきお言葉です。」
「ふぅむ…?本当にお前、生まれて数週間か?」
「いえ、父や長老のお陰です。」
「随分と教育熱心なことよな。」
「カ、カカ…大天狗様の前で粗相をするわけには行きませぬカらな。」
「……よい。今日はわざわざ遠くからご苦労であった。変化の術を使える仔烏、儂も把握した。その仔の希望により、弟子入りは3年後とする。良いな?」
「「「ははぁ!」」」
その後、家族に報告するためにもすぐさま家に戻った。鳴神から鶴観まで結構距離はあるはずだが、不思議と疲れもせず、帰路に着いたのであった。
キャラ紹介
□主人公
妖怪鴉に転生した読書オタク。前世は難病を患っていたが病院に居る間に崩壊シリーズをあらかたプレイ。そのため直近の記憶はホヨバースで塗りつぶされているためどんな病気だったか、家族構成はどうだったか、死んだときの年齢等を覚えていない。
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