しかもこっち。
信じられない。
自分の胸に2つの膨らみがついていることが。
「隊長…本当に、隊長なんですか…!?」
「え…?え…?え…!?」
キラの頭が寝起きの朦朧から困惑へと更新されて行く。寝ぼけていた意識は急速に覚めていく。
自己主張の激しい豊満な2つの胸。
長く伸びた茶髪のストレート。
口を揃えて10人に10人が美人だと言うだろう。
「…えぇ…?え…?こ、これ…髪…!?…こ、声も…!?どういうこと!?え!?え!??」
自分の身体を弄りながら慌て困惑の声をあげる。
髪の毛や身体、手を触れる。何度も見返す。
シンはそれを呆然とした顔で数秒見続けた後。
「…あっ……た…たいちょ…!?」
シしろどもどろになりつつもなんとか平静を保とうとする。
「い…一旦落ち着いてください!!貴女…隊長なんですか…!?」
キラはシンの方を向くと目を見開き
「ぼ…僕は、僕はキラだよ…?えーと、キラ・ヤマト…フリーダムのパイロットで、ラクスの……恋…人…?で…コンパスの隊長……で、合ってる…よね?」
もはや自分の記憶すら信じられなくなったキラは心細そうに焦りつつシンに確認をする。
「え…えぇ、ハイ…。本当に…キラさん…なんです…ね…?」
正直誰でも知ってる情報だがここで疑ってもキリがない。シンは目をそらしつつそう返す。
「でも、隊長なら一体何でこんなことに…?」
キラはまだ落ち着かずに、指や胸をなんとも言えない顔で眺めている。
「えーと…たい…ちょう…?」
「…シン…?僕…なんか…変になっちゃったみたい…?」
「その…変になったって言うより……女の…子みたいになってますね…。」少し目を伏せながらすっかり変わってしまった隊長の身体を眺める。
「隊長…身体、変なとこありません?痛かったりだとか…」
「変なとこしかないけど…そういうのは今のところないかな…」
と言いながら、キラは自分の手を胸に当てた。
「ちょっ…その…本物…なんですか…?」
「……なんでこんなことに…」と独白と共に儚げな顔を歪ませる。
「……とりあえず、誰かに説明しないと…誰かに…」
「だ、誰かって…シンは信じてくれたけどこんなことどう説明すれば…」
と言うとシンも額を抑える。
「あーっ、えーっ…急に隊長がおかしくなったなんて言っても………そうだ!監視カメラ!監視カメラならこの謎の変化も事細かに撮影されてるはずだから…!」とシンが言うも
「士官の個室に監視カメラがついてるわけない……よね?…よく知らないけど。 仮についてたとしても、今のままじゃそれを見るとこまで一苦労じゃ…」と少し高くなった声で無情に返す。
「…あーーーっもうっ!!でもどうにもしないわけにもいかないじゃないですか!!ここはいっそ…ダメ元でルナ辺りにでも力説してみるとか……本気で説明すればきっと……!何もしないよりは…!」と諦め悪く続ける。
確かに何もしない訳にはいかない。それは分かっているが…
「…でも何でルナマリアなの?」
「いやっだって…コノエ艦長だと初っ端から大事になってややこしくなるし、アーサー副長もなんかややこしくなりそうだし…ハインライン大尉は…上手くいえないけど何か間違った選択な気しかしないしアグネスは論外だしそれ以外はあんま関わりない人ばっかじゃないですか…ヴィーノとか キラさんの前からの知り合いがいるならともかく、今はルナが一番信頼できるかなって…」
確かにそれは最もだ。最初から大事になってしまうと説明どころでもない。といっても説明できるようなこともないのだが。
「と、とにかく、まずは協力者を増やすことが大事です。付いてきてください。この時間ならギリギリ起きてる筈…」といい、ドアの方に向かったシンがこちらを振り向くと。またシンが微妙な、何ともいえないがあちらも何ともいえないと顔に書いてある表情をした。
「え、えーと…まだ他に何かあった?」嫌な予感しかしないがそれをシンの心の中だけに仕舞わせるのも悪いので一応尋ねる。
シンもバツが悪そうに答える。「えーと…その…2つ。まず一つ…縮みましたね…」
言われて初めて気付く。前まではギリギリキラのがハッキリ高いと言えるほどの身長差だったが、今ではキラの顔がシンの胸元までしかない。
「これも何かその、こんなになっちゃった副次効果…なのかな」
「そうかもしれませんね…。…で、特に気になるのがこっちなんですけど…隊長、服…。というかズボン…」言われキラは下を向き、反射的に自分の服を確認する。
別に寝る前と変わらない、着っぱなしのコンパスの白のロングコート…かと思いきや。その服の裾は外にしかなく、下のズボンはその姿を確認できず、真っ白な生足がその姿を拝ませていた。
「…これって…」キラが呟き。
「…スカート…ですよね。…しかもミニ。赤服改造してる奴は女の人ならちょくちょくいましたけど、これ……誰が隊長をおかしくしてこんな服着せたって言うんですか…」と呆れたように、もうツッコミきれないというよにシンが答えた
しかし既にキャパはオーバーしてたキラには、もはや自分の身体より外側に羽織っている服のことなどどうでも良かった。
「…とりあえず、ルナマリアのとこに行ってみよう?」
「はい…。」
「げっ」
時間が時間なので、誰もいない通路を一直線に抜けていたシンはそんな声を上げる。新路上に人がいたからだ。
しかもそれは目指してたルナマリアではなくーよりにもよってといわんばかりか、シンが苦手としているアグネスだった。
しかし正面からやってきているのだ。ここでUターンして引き返すのも嫌味らしい。しかしここでこんなになったキラを最初に見せるとまた色々拗れる気も…。
同じくキラもアグネスに対しては複雑だ。何しろ、一度殺されかけたのだから。
全てが終わった後、彼女は事情聴取という名の取り調べを受けはしたが深くは追求されなかった。今回の件は各所の責任を積めるとコンパスも操られていたとはいえ証明できないキラの行動が発端なためそこを有耶無耶にするためだった。また、彼女はクライン総裁の命令でフリーダムの元へ行ったとも言っているのだ。それ以上の追求はできなかった。
アグネスは今は滅多に会うことはないアスラン・ザラを狙うという無謀な手段に出たがキラへの態度が悪くなったかと言われると、アスランと仲がいいことは流石に知っているのか一度殺しかけておいてまた媚を売ろうとはしている…。
向こうからやってきたアグネスはシンを一瞥しそのままスルーしようとして…、シンの後ろに丁度隠れていたキラのことに気が付いた。
「あ、おはようございます、隊長」
と一言挨拶すると、彼女はそのまま去っていく。2人はそこに立ち止まったまま立ち去るアグネスを見送りー…
「…いやちょっと待てよアグネス!」一瞬そのままスルーしそうになるがシンが思い出したように声を上げる。
「何よ?朝っぱらからそんな大きな声出して。何の用?」
「な、なんのって…、アグネスお前、隊長見て何か思わないのか…!?」反応されたら反応されたで面倒臭いとは思っていたが、いざ完全スルーされるとそれはそれで不気味である。
「何って…何よ…?」
アグネスはよく分からないまま踵を返しキラに近づく。
(うっ……。)
彼女は予想以上にづけづけと近づいてきた。
(何か…でかい…?いや、僕が小さくなったからか…?)
元々はそこまで気にしてなかったが、メイクの濃いこの顔が大きく感じ正面から近づいてくると流石に威圧感を感じる。
「…化粧水でも変えましたか?」
「は?」
素っ頓狂な事を言い出すアグネス。しかしシンの反応で違うと気づいたらしい。しかしいくら考えても何も浮かばなかったようで。
「すみません、私向かうところがあったので、これで」と言い足早に去って行ってしまった。
「あ…アグネスの奴…ボケたか…?」
流石にこの異常事態に気が付かないことに疑問は抱いたが…
「…隊長?」
キラの方を見ると、彼は細くなった指を首に当て考え事をしていた。
「ちょ、どうしたんですか…?」
「うーん…その…何か凄く悪い可能性が頭をよぎったんだけど…」と苦笑いをしながら返す。
悪い可能性…?このアグネスとの会話から?
「…ごめん、一旦確認したいことがある。ルナマリアに会うのは後にして、まず僕の部屋に行きたい。」
「か、確認って何を?別にいいですけど…」
と話をし、2人は行き先を変更しキラの部屋へと向かった。
部屋は当然ロックがかかっており、生体認証かマスターキーがなければ開かないが…
「…開いた」
「…開きましたね」
部屋の扉はまるで当然のように、姿の変わった部屋の主を受け入れた。
部屋の中は、一見違いは見当たらない。元々自宅はともかく、軍艦に私室をあまり持ち込んでいなかったので、生活用品以外は最初のあるがままの姿だった。
キラは何かを確認するかのように部屋の奥、クローゼットへ足早に向かって行った。
なんとなく付いてきたシンだが、当然のように部屋に踏み込んでから、あれっこれ入っちゃっていいのかなと思い当たり、足踏みをする。
「ん…?これ…」
ふとデスクの上に置いてあったアルバムが目に入る。
目を凝らすと。中にはいくつかの小さな写真が飾られているのがうっすらと見えた。勝手に見ていいものかと悩んだが、やはり興味に打ち勝てず本を開くと…
まず総裁ラクス・クラインとアスハ代表の写真。2人はプライベートでも仲がいいとは聞いている。
そして横にはアスランとアスハ代表が写った写真が載っている。2人の見た目的に最近撮られたものだろうか。どうにもここは彼が親しい人物の写真を飾っているらしい。何とも微笑ましい話だ。と思い写真を追っていくと…
「…誰だ…?」
アスランの横に写るは、どこかで見たことがある気がするが、あまり知らない茶髪の美女。
また写真を追ってくと、シン自身はあまり知り合いというわけではないが、幾度か見たことのある顔ぶれが。これもキラの友人のハズだ。
…しかし、また先程の女だ。他の写真に映る人は9割がた見たことがあるし、知らない人はそれだけ写真の枚数も少ない。
しかし、この女性は特に写真が多い。彼女1人の写真はほぼなく、だいたいは誰かと写っているものなのだがー…
…ここで、あることに気づいた。
そこまで考えたところで横からの声がその思考を遮る。
「シン…」
「あっ…!すみません隊長!つい勝手に…!」と慌てながらアルバムを閉じるが、キラの様子に気付く。
酷く衰弱…というかよわったといった感じで、茫然自失といった様子だ。
流石に放って置けない様子だったし放っておく気もなかったので向かう。
「ちょ…どうしたんですか!?隊長…一体何を見て…」
「…シン、これ見て…。」死んだ目をしたキラが、その細い指でシンの袖口を引っ張り、そのまま先程キラが行ったクローゼットまで引っ張る。
「…シン、これ…どう思う?」
クローゼットに特段変わった様子はなかった。綺麗に整理されてるように見えたが、ようく目を凝らすと、違和感に気付く。
…クローゼットの中の服は、全て
「…はぁ?…えぇ…?この服…どこから…!?」
キラは、まだ死んだ目をしたまま、決心して口を開く。
「シン…これは僕の想像なんだけど…。」
「…もしかして、僕、女の子だったことになってる…?」
はい。
遅れました。
言い訳はしません。
次はもっと遅れます。
あと評価よろぴく
【展開質問】キラの変化に気付ける人は…?
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カガリ
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ラクス
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アスラン
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ルナ
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シンだけ