目が覚めると知らない景色だった。キラキラと光を反射する川、青々とした木々。
ここはいったい何処なんだろうか。ふと、後ろから音がしたので振り返るとそこには――。
巨大な狐が鎮座していた。
「……へ?」
いつまで経っても此方が動かないことに痺れを切らしたのか巨大狐を口を開いた。
「どうした?我が子よ、さっきからぶつぶつと」
キャーシャベッター……喋った!?
「無視か?」
ひぇ、睨まれた。ど、どどうすればいいんだ? そ、そうだ対話だ。
ガタガタと震える膝に抑え、狐の顔を見つめる。しかし、恐怖で視点が右往左往してしまう。
あ、あとは声を出すだけだ。
「あ、貴方様はどなたでしょうか?」
「何を言っておる。そなたの母じゃよ。天狐母様と呼ぶがよい」
「へ? お、親? はぁあ!?」
何とあろうことか、この狐は自身を親と名乗ってきたのだ。
つまるところ俺、私はこの狐から生まれたことになる。
「そちは私から生まれた娘じゃよ。所でのお前の名前をどうしようかのー。まさか生まれてすぐに人型に化けれるとは思わなんだ。流石私の娘といったところかの」
何が何やら。自称母が考え込んでいる隙に横を流れていた川を覗き込む。
そこには狐耳を生やした幼女が写りこんでいた。ふむ、髪の色は母の毛の色と同じ金色か。
む、目の色は赤に青がのっかったような色だ。これはもしかすると私は人間ではないのだろうか。
「何をブツブツ言っておる。お前の名前は面倒だから狐でいいじゃろう」
「早速育児放棄!? 名前が狐って名前にすらなっていないじゃん!」
「おぉ、産まれてすぐに反抗期かや? しかし、親に向かってその口の利き方はいかんぞ。それに名前なぞあとから好きに名乗るがよい」
「え、えぇ。でも狐はねえ……ですよ!」
「うるさい、えぇーい。この話はやめじゃ! 今から妖力と能力の確認をする」
な、投げ出した。所で今、すごく興味深いことを言ってなかったか。確か、能力と妖力の確認? なにそれ、この世界怖い。
しかし、能力か……
「母様。能力なのですが……持ち合わせていないみたいです。」
「ふむ、分かるのか?」
いや、わかんないけど。なんか、変なんだよなぁ。
どーなってんだろう。 うーん。話してみるか。
「わからないですが……なんか頭の奥にぽっかりと空いてる感覚があるんです」
変な感じだ。だけど確信をもって言えることは能力はないってことだけだ。
少し残念な気持ちになるが次の母様の言葉で顔が綻びる
「まぁあ、能力なんぞただの飾りじゃし。妖力さえ使えたら何とかなるじゃろ」
わしゃわしゃと頭を撫でながら母様は笑いかけてくれる。出会って時間は経ってないが心からこの狐が母親だと思っているのだろう。
私の口もさらに緩んでいく。
「そうなんですか……所で母様は能力があるのですか?」
「ふむ、私のか? 私の能力は幻覚と幻想を司る程度の能力じゃ」
「幻覚と幻想? なんだかよくわからないですね」
「何れ能力を使って見せてやる。ほれ、妖力を練ってみよ」
「どうやって妖力を練るんですか?」
「まず体の中にある妖力を探すんじゃ。なぁに、最初から人型で産まれたお前なら簡単じゃよ」
とりあえず探してみるか……これか? なんか血管とは別の管のようなものから禍々しい何かが流れているはわかったが、これか?
「たぶん、ありました。禍々しい力見たいなのが」
「ほう、流石といった所じゃな。それを血管につなぐのじゃ」
「えい」
あ、なんか
その瞬間、私を中心に地面が吹き飛んだ。
え……?どういうこと? なにが起きた?
「すさまじい妖力じゃな」
「え?」
「今から制御できるように修行じゃ」
「え?」
そして私の人生と地獄の修行が始まった
つづく