転生したら、仮面ライダーになった件   作:森雄

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森の騒乱編
大鬼の再会


 シズさんを助けてから翌日。

 

 俺はリムルとシズさんと共にヴェルドラが封印されていた洞窟へと向かっていた。

 

 その際にゴブリン・キングへと格上げしたリグルドに話しかけられた際にリムルが人間の姿を得たことで味覚を得たことへの祝いとして宴会が行なわれる事になった。

 司法・立法・行政・生産物の管理大臣・警備総隊長のルグルド・レグルド・ログルド・リリナ、そしてラグルドはそれぞれの長官として務めてくれていることを聞いた。

 

 そして次に遭遇したリグル達と会話をしていた。

 

「リグル」

「オーマ様、リムル様!」

「食料調達、ご苦労さん」

 

 そう言ってリグル達に近づいていった。

 リグルの他にゴブタやゴブエモンなどのホブゴブリンや山兜喇を初めとする五人の鬼人も一緒に食料調達を任せていた。

 

「今夜は宴会の予定だ。美味しそうな獲物を頼むよ」

「今日はリムル様も食べるっすか?」

「おうよ!なんせ、この身体には味覚があるからな!」

「いっぱい食べたら、おっぱいも育つっすかね?」

 

 そう言われてリムルが回し蹴りをゴブタの腹部に入れた。

 失言をしたゴブタは腹部に強烈な一撃を入れられて瀕死といっていい程に悶えていた。

 

 そんなゴブタにシズさんが近づいた。

 

「ゴブタ君。ちょっとお話ししようか?」

 

 目が笑っていない黒い笑みを浮かべたシズさんにゴブタは連れて行かれた。

 おそらく説教を受けるのだろう。ゴブタの失礼さに関しては是正の必要があるが、アレは矯正不可だろうな。

 

「──────最近は森の奥から移動してくる魔獣が多いので、獲物は豊富ですから、特上の牛鹿をご用意いたしましょう」

「おう、頼むな」

「警備態勢は大丈夫か?」

「強化しておりますので問題ございません」

 

 俺は山兜喇とリムルはリグルと話していた。

 

「それなら、問題はなさそうだな。さて、シズさん!そろそろいいか?」

「うん。いいよ」

 

 こってりと説教を受けたのだろうか、ゲッソリとしたゴブタと共にシズさんがやってきた。

 シズさんの了承を得て、俺達三人はヴェルドラが封印の洞窟へと入り、湖がある場所にいた。

 

「ここら辺でいいか」

「そうだな」

 

 俺達が洞窟内へとやってきた理由は、お互いの能力を把握することだった。

 

「さて、自分達の能力を把握するとしよう」

「ええ」

 

 そう言って、俺は<演算者>に自分の持っている能力を全て把握し始めた。

 

 シズさんを助けるために手にした<転生者>も隈なく把握した後、俺が全ての能力の中で気になっているのは<仮面ライダージオウ>・<継承者>・<魔王霸道>・<勇者王道>の四つだった。

 

<演算者>。なぜ<仮面ライダージオウ>の権能が<継承者>の権能で転換されるんだ?

 

【解。主人はジオウのみならず、平成から令和の仮面ライダーの力を行使できます。しかし、アーマーとして纏う際に、主人がライダーの力を最大限発揮できるように、<継承者>によって権能が転換されます】

 

 それにしては、ヴェルドラの封印の時には転換されなかったよな?

 

【是。転換されるのは各時代の1号ライダーの力のみです。しかし、主人が進化を続けると2号ライダー以降の力を最大限発揮することができると考察します】

 

 ライダーの力はわかったが、<継承者>の権能が2つに別れるのはなぜだ?

 

【解。<継承者>が2つの特殊能力へと転換されるのは、仮面ライダー世界の変身者達の魂・意思を能力として具現化されたモノと思われます】

 

 それなら、リムルも2つ獲得するはずだろ?

 

【否。2号ライダー以降の変身者の魂・意思は1つによって具現化されています。1号ライダーのみが2つである理由は、1号ライダーは各時代の担い手である為、変身者の魂・意思を具現化するには2つ必要になったものと思われます】

 

 随分と複雑だな……

 

 そう呆れていると<演算者>から新たな報告があった。

 

【告。<仮面ライダージオウ>の権能:平成戦士と令和戦士に新たな権限が解放されました】

 

 新たな権限?

 

【是。アナザーライダーを討伐する毎に、元となった仮面ライダーへの変身権限が解放されました】

「…………は?」

「ん?どうしたんだオーマ」

 

 俺が声に出した事にリムルとシズさんは俺を見てきた。

 

「いや、気にしないでくれ」

 

 誤魔化しながらも<演算者>に訪ねた。

 

 どういうことだ!?

 

【解。転換された<仮面ライダービルド>や<仮面ライダーウィザード>などの戦士能力に<仮面ライダージオウ>と同じく変身という権能があります。しかし、主人はジオウ以外の変身権限が封印されており、権限を解除する方法はアナザーライダーを倒すことです】

 

 倒したアナザーライダーの元のライダーに変身できるようになったってことか?

 

【是。主人が倒したアナザービルド、アナザーウィザード。個体名:ラグルドが倒したアナザー響鬼を討伐した結果。仮面ライダー響鬼、仮面ライダーウィザード、仮面ライダービルドへの変身が可能です。同時に変身する際に特殊能力<仮面ライダージオウ>そのものが転換される為、<仮面ライダージオウ>の権能の全てが使えなくなります】

 

 それはそれで、手段が一つなくなるようなものだが、<仮面ライダージオウ>でも他のライダーの力を完全に使い熟せるわけじゃないか。

 

 因みに<仮面ライダージオウ>そのものが転換されるなら、ビルドの時に<継承者>が転換されて出てきた<物理学者>と<創製者>も出てくるのか?

 

【是。アーマー時と同じく<継承者>が転換されます】

 

 そうなれば<継承者>の能力継承も使えない状態になるが、使いようによってはなんとかできるだろう。

 

 そう<仮面ライダージオウ>と<継承者>についてはわかった。

 後は、未だに安定していない<魔王霸道>と<勇者王道>の原因はわかったか?

 

【否。申し訳ございませんが、未だに原因不明です。しかし、個体名:井沢静江の救出の際に、主人の心情に一時的に反応していました。何らかの共通点があると思われます】

 

 そうか。その共通点を探してくれ。

 

【了】

 

 俺は<魔王覇道>と<勇者王道>以外をちゃんと理解したことで、自身の能力の復習は終わった。

 

「確認が終わったぞ」

 

 俺がそう言うと、リムル達も終わっていたのか既に談笑していた。

 

「おう。思ったより確認が長かったな」

「確認したいことが色々とあってな。シズさんも体調の方は大丈夫か?」

「うん。オーマ君に与えられた特殊能力<挑戦者>と<仮面ライダーウィザード>のお陰で、以前よりも動けるようになったよ。あとは最後ノ希望を途絶えないようにすれば、命の危険はないみたい」

 

 俺が<演算者>を通して与えた3つの特殊能力が、シズさんを延命させている。

 そして、その効果が途切れないようにする為に、気をつける部分を知るために能力の確認に誘ったが……正解だったようだ。

 

<挑戦者>の権能:最後ノ希望は、所有者が希望を失わない限り、肉体・精神問わず健康状態であり続けるというシズさんのような危険な状態から脱却させるには大助かりな力だ。

 

「さっきリムルさんと話してたんだけど、リムルさんが私の<変質者>を獲得したみたいなの」

「ほう。前のシズさんの肉体を捕食した際に、<大賢者>が能力を複製したと言ったところか。なら……」

 

 俺は手を伸ばすと幾つかのレーザー光が俺の分身体を創り出した。

 

「リムル。俺の分身体を捕食して獲得できる能力があるか。確かめてくれ」

「おう。いいぞ」

 

 了承したリムルは人型からスライム姿へと変わり、分身体を捕食した。

 

「どうだ?」

 

 俺が尋ねてみると、リムルが人型になって応えた。

 

「おう。機械人間(ヒューマギア)に擬態できるようになったし、特殊能力<転生者>も複製できたぞ」

 

 ほう。

 種族はまだしも、<転生者>も複製したのか。

<大賢者>も演算と解析に関して上位の特殊能力みたいだな。

 

「そうなると、無性なスライムでも性別変換できるようになったわけか」

「あ、あぁ。そうだな」

 

 リムルが目を逸らしながらそう言った。

 内心性別が変更できる事に喜んでいたな……

 

 そう呆れていたが、俺達は把握は全て終えたので、街に戻る事にした。

 

「そうだ。リムルさん」

「ん?」

「これを受け取ってくれないかな?」

 

 シズさんは持っていた仮面をリムルに渡していた。

 抗魔の力を有した仮面を見て、リムルは驚いていた。

 

「いいのか?」

「うん。たぶんリムルさんに渡している方が良いんだと思うから……貰って欲しいの」

 

 そういうシズさんにリムルは受け取ることにした。

 

「ありがとうな」

 

 リムルが受け取った事を確認したので、今度こそ俺達は街に戻った。

 

 ────────────────────────

 

 街に戻ると、牛鹿など食料調達し終えたリグル達も戻っていた。

 

 しかし、奇妙な部分があった。

 

 山兜喇や緑咲達が、なにやら六人ほどの大鬼に集まりながら歓喜の笑みを浮かべながら喋っていた。

 

「なんだが騒がしいね」

「なんだ?」

「さぁな……曙彌!」

 

 騒いでいる理由を知るために曙彌を呼んだ。

 俺の声に気付いて誰もがこちらに視線を向ける。

 

「オーマ様、リムル様、シズ殿。お戻りでしたか」

 

 曙彌を初めとした鬼人達が俺達を迎えた。

 

「何の騒ぎだ?」

「はっ!実はオーマ様達に助けられた日から豚頭族に殺されたと思っていた我が子らと、この度再会することができました。ご報告が遅れまして申し訳ございません!」

 

 曙彌が頭を下げて謝罪してくる。

 しかし、我が子らだと……

 

 俺は六人の大鬼族へと視線を向ける。そこには確かに曙彌を助ける際に家の中にいた曙彌と似た容姿を持つ男の大鬼と巫女服の女大鬼には見覚えがある。

 

「そこの二人はアナザービルドの前にお前と一緒にいた子らだな」

「はっ!息子よ、娘よ。我らの主に挨拶せよ」

 

 そう告げる曙彌。

 そんな曙彌に従って紅髪の男と巫女服の女が近づいた。

 

「あの時我らを助けて下さった魔人が主だと親父から訊きました。我らの同胞を助けて頂き、感謝申し上げる!」

 

 そう言う曙彌の息子は頭を下げた。巫女服の娘や他の大鬼も頭を下げてきた。

 

「気にするな。偶然大鬼族の里の近くにいただけだ。今日は宴を催すつもりでな。十分楽しんでくれ」

 

 そういって、宴会の準備を黙々と行ない、ゴブイチや料理系ヒューマギア達によって調理された料理を口にするのだった。

 人化を得て味覚を手にしたリムルは串肉を食した。

 

「うんっっっまぁぁい」

 

 満面の笑みを浮かべて食事の旨さを身に沁みて感じていた。

 

「正式に俺達の配下になる?」

 

 食事を楽しんでいる間、俺は曙彌が息子と一緒にある事を告げてきた。

 

「はい。どうか新たに増えし同胞含め、我らの忠誠をお受け取り頂けませんでしょうか?」

 

 そう言って頭を下げる曙彌とその息子。

 

 大鬼族の長と次期里長としての判断を告げてきたのだ。

 豚頭族への怒り・憎しみを持ちながらも、生き残った同胞達の事も考えての答えなのだろう。

 

 最初は配下になる話はしていなかったが、豚頭族の件が解決した後のことを考えての答えだろうな。

 

「わかった。お前達が良ければ俺とリムルの配下として動いてくれ」

「「はっ!」」

「では明日。息子と娘を初めとした六人は俺のテントに来い。今はただ宴会を楽しんでくれ」

「わかりました。ありがとうございます」

 

 曙彌達の話を終えると俺達は宴会を楽しんでいた。

 

 ────────────────────────

 

 翌日の早朝。

 

 俺のテントに曙彌が昨日やって来た六人の大鬼を連れてやってきた。

 

「俺達の配下となった証たる名を与える」

 

 そう言うと曙彌の娘が急に止めに入った。

 

「お、お待ち下さい。名付けとは本来大変な危険を伴うもの。それこそ高位の……」

「心配するな。問題ない」

「ですが……」

 

 魔素切れによる低位活動状態になることをいってるんだろうが、<魔王霸道>と<勇者王道>がどれだけ不安定なのかを身を以て知るべし。

 予想だが、今回は六人で低位活動状態になるだろうな。

 不安定な状態の二つの特殊能力を把握する必要もあるし。今、名付けして<演算者>が解析できるようにするとしたら、低位活動状態のほうがいいかもしれないしな。

 

「名付けは嫌か?」

「そういうことでは……」

 

 俺に尋ねられて言い淀む娘さんだったが、その兄である次期里長が間に入った。

 

「異論などない。ありがたく頂戴する」

「では、始めよう」

 

 そう言って俺が六人に新たに名付けをすると、予想通りに目の前が真っ暗になった。

<演算者>。今のうちに解析を頼む。

 

【了】

 

 六人に名付けをしてから三日後。

 俺の耳に声が聞えてきた。

 

「……本当に大丈夫か?」

「大丈夫ですお父様。私がしたくてやっているだけなのです」

 

 一人は曙彌だな。もう一人は誰だと思い閉じていた瞼が開かれた。

 すると、視界には巫女服に身を包まれた桃色髪に白色の二本角を持つ美少女だった。

 俺の後頭部に誰かの膝を枕にしている感触があることから、恐らく彼女が膝枕してくれているのだろう。

 

「起きたかオーマ」

「大丈夫?」

 

 右側からリムルとシズさんの声が聞えたので見ると、スライム状態のリムルを膝に抱える紫色の髪に黒色の一本角を持つ美女とその近くに正座するシズさんがいた。

 

「お目覚めになられましたか、オーマ様」

 

 横になっている状態だったので上半身だけ起こすと、曙彌と一緒に二人の若者と一人の老人がいた。

 

 一人は曙彌を若くした紅髪に黒色の二本角を持つ青年に褐色肌に青色髪の白い一本角の青年。そして白髪の短い二本角を生やし、ダンディな髭を生やした老人。

 なるほど。

 

「紅丸か。鬼人に進化したようだな」

「はっ!オーマ様の名付けのお陰で父と同じく戦士能力<仮面ライダークウガ>を手にしました」

 

 曙彌と一緒にいる次期里長である紅丸は名付け前……つまり大鬼の時よりも大柄だった体躯が一回り小さくなったが、内に秘めた魔素量が前の時よりもかなりの量が増えているな。

 

「オーマ様。朱奈です。お目覚めになられて本当に良かったです」

 

 そう言ってきたのは、俺を膝に乗せていた美少女だった。

 大鬼の時よりも更に可愛く。そして綺麗な美少女になったな。

 

「朱奈か。目を覚ますまで膝に乗せていたのか?」

「はい」

「すまない。迷惑をかけたな」

「そんな!?ご迷惑だなんて……」

 

 謝罪する俺に慌てる朱奈。

 何やら頬を赤くしているがなぜだ?

 

「紫苑です。オーマ様につけて頂いた名前とても気に入っています」

 

 次に聞えてきたのはリムルを膝に乗せている紫髪の美女こと紫苑だった。

 紫苑は大鬼の時の野性味が薄れて随分と知的な雰囲気になったな。

 

「気に入ってくれてなによりだ。そうなると紅丸の後ろにいるのは白老だな?以前よりもかなり若返ったな」

「ほっほっ。自分でも驚いておりますぞ」

 

 そして、青髪の青年に視線を向けた。

 

「蒼影だな。随分と気配の消し方が上手いな」

「お褒めに預かり光栄です。ご回復、お慶び申し上げますオーマ様」

 

 進化した鬼人達と話ながらも、俺は<演算者>に二つの特殊能力の安定化の解決策が判明したか聴いたが、どうやら不可能だったようだ。

 

 さて、いったい何が足りないのだろうな。

 

 そう思っていると、もう一人いない事に気付いた。

 

「もう一人はどうした?」

「ああ。ヤツはカイジン殿の工房に黒蘭(くろか)と一緒に入り浸ってて……」

 

 そう言いながら紅丸が開かれた扉の外を見ていると、誰かがこちらへとやって来ていた。

 

「オーマ様。元気になって良かっただよ。分かっかな。オラ黒兵衛だ」

 

 見た目はあまりに変化はないが鬼人に進化しているな。

 だが安心感のある普通のおっさん風の黒兵衛だな。

 

『ホッとするだろ』

『確かに』

 

<思念伝達>で意見を求めてくるリムルの言葉に同意した。

 

 そんな一時を暮している俺達の街に、新たな種族がやってきていることを知らずに…………

 




次回~戦準備・前編~
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