転生したら、仮面ライダーになった件   作:森雄

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憧れ(ソウゴ)との会合

 ラビットタンクスパークリングに変身した分身1の左脚「クイックフロッセイレッグ」がラピッドバブルを発生させて魔王ゲルドの目の前に簡単に高速移動した。

 

「!?」

 

 先程の俺に行なったのと同じ高速移動による接近を許してしまった魔王ゲルドは、分身1の右脚「ヘビーサイダーレッグ」によるタンクの脚にあたるタイヤと同じ回転を行ないながらもインパクトバブルで更に破裂時に衝撃波を受けてしまい、蹌踉け反る。

 

 分身1が右腕「クイックフロッセイアーム」の(ラビット)スパークリングブレードで切断攻撃を、左腕「ヘビーサイダーアーム」の(タンク)スパークリングブレードで刺突攻撃を徒手空手の応用でダメージを与える。

 

 しかし、攻撃を受け続ける魔王ゲルドではない。

 彼は分身1の手を両手で掴むことで、攻撃手段を防いだ。

 しかし、分身1は全身から大量の泡を放出させることで、能力を引き上げることで、魔王ゲルドを持ち上げた。

 

「なにっ!?」

 

 驚愕する魔王ゲルドを相手に上空へと放り投げる。

 上空に飛ばされた魔王ゲルドだが、レーザーブーストフォームによるベクトル操作で上空に飛ばされようとも浮かぶことだけでなく飛行することも出来るため、上空で停止しては、巨大な拳のエネルギーを4つほど作りだしては、分身1に向けて放った瞬間。

 

 仮面ライダーゼロワン・シャイニングホッパーに変身していた分身2が4つのエネルギーの巨大拳を全て対処を終えると、魔王ゲルドの眼前へと現れた。

 

 ゼロワン・シャイニングホッパーには敵をラーニングすることで行動を予測して約25000通りの対処パターンを約0.01秒で最適解を導きだして算出することができるスペックを持つ。

 

 つまり、魔王ゲルドの攻撃を約0.01秒の間に最適解を算出して対処して彼の眼前に現れたのだ。

 空中で格闘戦を行なう分身2と魔王ゲルド。

 そんな二人の戦闘に本体である俺がライドヘイセイバーのハンドセレクターを電王まで弄った。

 

ヘイ!電王!

 

 ライドヘイセイバーの柄部分にあるボタンを押した。

 

電王デュアルタイムブレーク

 

 その音声と共に赤い光の筋が刀身に充塡されたことで、赤い光の刀身となったライドヘイセイバーを持って、ギーツ・ブーストマークⅡの高機動力を用いて分身2を相手にしている魔王ゲルドの背後に回り込んで、ライドヘイセイバーを振った。

 

「ぐっ……!?」

 

 背中に強烈な一撃を与えた本体の俺はそのまま魔王ゲルドの左腕に、分身2は右腕に組み付いた。

 そんな俺達の状態に分身1がドリルクラッシャーを取りだして、カブトムシのフルボトルをブレードモードのドリルクラッシャーに装填して、ビルドドライバーのレバーを回しながら、俺達三人よりも上空へと飛び上がって、泡によって強化したドリルクラッシャーの必殺技を魔王ゲルドへと突き刺す。

 

ボルテックブレイク

スパークリングフィニッシュ

 

 ドリルクラッシャーで突きを行なうと、ドリルの先端からカブトムシの角状の巨大エネルギーが現れて魔王ゲルドの胴体へと突き刺さる。

 

 本体の俺と分身2は突き刺さったと同時に離れていた。

 

 カブトムシの角の形をしたエネルギーによって突き刺された魔王ゲルドは抵抗虚しく湿地帯へと叩き落とされた。

 魔王ゲルドが落とされたことで、その場に土煙が起きてしまったが、そんなことを気にも止めずに俺と分子1・2が湿地帯へと降りたって、分身1はビルドドライバーのレバーを回し続ける。

 分身2はゼロワンドライバーに装填したシャイニングホッパープログライズキーを更に押した。

 本体の俺はディケイドライドウォッチのボタンだけを押した。

 

Ready Go!

スパークリングフィニッシュ

シャイニングインパクト

ギ・ギ・ギ・ギーツファイナルアタックタイムブレーク

 

 大量の泡を放出したライダーキックこと"スパークリングフィニッシュ"。

 本体の俺と分身1よりも先に魔王ゲルドにキックを放った後、吹き飛んでいる魔王ゲルドに高速移動で追いつき再びライダーキックを行なう"シャイニングインパクト"。

 そして、ギーツ・ブーストマークⅡの力を纏ったディケイドアーマーについたバーミリオンバンチャーを象った拳状のエネルギー弾を4つと共に突撃してライダーキックを繰り出した。

 

 三人のライダーキックを相手に、魔王ゲルドは両腕に膨大な炎を纏わせて巨大な両拳で迎撃してきた。

 三人のライダーキックとアナザーギーツのライダーパンチが衝突して、拮抗ができていた。

 

 四人の攻撃が周りに衝撃波として被害を与える。

 

「くっ……!?」

「オーマ様!」

 

 衝撃波に耐えながらこの戦いの行く末を見守るリムル達。

 

 拮抗が崩れず、衝突している俺達と魔王ゲルドだったが、突如、俺の脳裏にノイズが走った。

 ノイズは更に酷くなり、何かの映像が流れ込んでくる。

 なんだ?

 

 攻撃しながらも、脳裏に走った映像がハッキリと見えた。

 そこは大飢饉といっていい程の枯れ果てた大地だった。

 遠くから泣き声が聞えた。そちらに視線を向けると豚頭族の子供が大きく泣き喚いていた。

 

 そんな子供の前に目元に線が入った豚頭族がいた。

 その豚頭族は自らの腕を引きちぎった。

 

【腹が減ったのか。さぁ食べなさい。しっかり食べて、大きくなるのだぞ】

 

 切り傷から大量の血を流しながらも子供のために自身を幾度も傷つける豚頭族。

 恐らくこれは、魔王ゲルドの記憶であり、今回の行動を行なった原因にして、起因なのだろう。

 そう思いながら、この記憶の中を見ていると、ゲルドを父としてもつ逞しく育った豚頭族が頭を下げて具申した。

 

【この大飢饉の中、王であるあなたまで失っては、我ら豚頭族にはもはや絶望しかありません。どうかおやめください!】

【……一昨日産まれた子が今朝飢えて死んだ。昨日生まれた子はもう虫の息だ。この身は如何に切り刻もうと再生するというのに……これがすでに絶望でなくて何だというのだ。仮面ライダーギーツの伝承が本当ならば、この世に飢えるモノなど無くなる】

【王よ。どちらに……!?】

 

 何処かへと向かおうとするゲルドに王と崇める息子が呼び止める。

 

【森に入り、食料を探しながら、仮面ライダーギーツの力を得る】

【あの地は暴風竜の加護を受けし場所……】

【その暴風竜は封印されて久しい。少しばかりの恵みを頂戴する】

【しかし、仮面ライダーギーツの伝承はどう捉えても、眉唾としか……】

 

 息子は仮面ライダーギーツの伝承を信じていなかった。

 だが、魔王ゲルドはそれでも縋るしかなかった。

 

 ジュラの大森林へと足を進めるが途中で倒れた。

 そんな彼の前に現れたのはゲルミュッドだった。ゲルミュッドから食料と名を与えられて豚頭帝として進化したことで<飢餓者>を手にした。

 そして、ゲルミュッドと共にヴァティスが現れた。

 

【やぁ。豚頭帝のゲルド。君の手伝いをするタイムジャッカーのヴァティスだ】

【…………】

【君はこれから、ジュラの大森林に住まう生物を喰らい続けるといい。そうすれば、君が求めていた伝承を手に入れることができるよ】

 

 そう甘い呟きにゲルドは反応してしまった。

 

【頑張って喰らい尽くすんだ。そうすれば、君の望む──────飢えのない世界を創世する力を得られるよ】

 

 そう言われてゲルドは唯々ジュラの大森林内にいる強力な魔物を喰らい続けていた。

 飢えによる眼前で死ぬ子に何も出来ぬ無力感への苦悩が、甘い言葉にのってしまった。

 

 ゲルドはその甘い言葉のままに大鬼族などの多くの魔物を喰らい始めていった。

 そして、魔王種へと進化したことで、ヴァティスがアナザーギーツの力を与えて貰ったことでゲルドはこう思った。

 

【あの魔人を喰らえば、漸く求めている世界が……飢えのない世界が手に入る】

 

 そんな魔王ゲルド願望を知ると同時に、俺の脳裏に走っていたノイズが途切れた。

 はっきりとした視界の中で、いまだに魔王ゲルドとの拮抗がやまずにいたが、互いのエネルギーが限界を迎えて爆発した。

 キックを行っていた俺と分身達は爆発による衝撃で大きく吹き飛ばされてしまい、変身が強制解除されて、分身達も消失した。

 

 魔王ゲルドも強力なエネルギー同士の爆発だった為、アナザーギーツとしての姿を解除され、後退りしながら片膝をついた。

 

「我が魔王!」

「オーマ!大丈夫か!?」

「あ、あぁ……」

 

 心配する仲間の声に返答しながら、俺は戸惑っていた。

 

<演算者>。さっきの映像はなんだ?

 

【告。仮面ライダーギーツとアナザーギーツの力が共鳴し、<大願者>の権能:完全記憶が魔王ゲルドの願いを感知した影響で記憶を知覚したと考えます】

 

 魔王ゲルドの願望はある意味間違ってはいない。

 だが、彼の願いを叶えるために喰われるつもりはない。

 況してやヴァティスがこの件に関わっているのなら、必ずなにか裏があるとしか思えない。

 

 だが、魔王ゲルドを倒したら、豚頭族は先ず間違いなく力を失って死者数が増えるだろう。

 どうすればいい!?

 

 苦悩している俺と違い、決意を固めている魔王ゲルドは立ち上がり、またもアナザーギーツ・レイザーブーストフォームになって持っていた首切り包丁を手にして一瞬で俺の前へと現れて首切り包丁を振り下ろした。

 

「オーマ!?」

「オーマ様!?」

 

 答えも出ないままに魔王ゲルドからの攻撃を受けるかと思われた時だった。

 ベルトに収まっているジオウライドウォッチが強く光った。

 

 ────────────────────────

 

「……ここは?」

 

 ジオウライドウォッチが光ったと同時に俺の意識が湿地帯とは別の何処かにいた。

 

【告。ジオウライドウォッチから、強力な力の干渉を確認。ここは主人の精神世界を主体とした精神異空間です】

 

 いったい誰が干渉したんだ?

 

「久しぶりだね」

 

 聞き覚えのある声が後ろから聞えた。

 後ろを振り返ると、見覚えのある容姿がそこにいた。

 

「常磐ソウゴさん」

「あれ?俺、自己紹介したっけ?」

 

 ソウゴさんは頭をかしげる。

 

「あの時、アナザーライダーがソウゴさんの名前を言ってましたよ」

 

 あの化け物達の中で高らかに笑っていたアナザーライダーがソウゴさんの事を呼んでいたことを告げると思い出したのか、「あぁ。そうだったね」と苦笑していた。

 

「でも、どうしてソウゴさんが俺の精神に?」

「実はさ。君と出会って世界を創造しなおした時に、君が悩んだ時には、こうやって出会えるようにしてたんだ」

 

 何でもないように言っているが、凄いことを平然とやるな。

 この世界と違ってそういう能力(スキル)があるわけじゃないのに、よく出来たな。

 

 そう思っているとソウゴさんが言ってきた。

 

「それにしても、俺と同じ顔だね」

 

 そう。

 今まで触れなかったが、俺の容姿はヒューマギアモジュールをつけた常磐ソウゴさんだ。

 その事を知った時は本当に驚いた。

 

「俺も知った時は驚きました」

 

 苦笑しながら言うと、ソウゴさんも苦笑した。

 

「それで、何で悩んでいたのか。教えて貰っていい?」

 

 そう訪ねてくるソウゴさんに俺は魔王ゲルドのことを相談した。

 

「……」

「願いに(いい)(わるい)もない。善か悪かは、その者が願いを叶えるために取った行動によってかわります。魔王ゲルドは行動は間違っているだけで、それ以外は極々正当な願いです。俺が魔王ゲルドを討伐すれば他の豚頭族は弱体化して死者数が増えていく。その行動が正しいのか……悪いのか……」

「気持ちは分かるな」

「え?」

 

 ソウゴさんの言葉に俺は驚いた。

 

「実はさ。俺も利用されてたんだ」

 

 ソウゴさんはウォズが所属している歴史の管理者クォーツァーの目的「平成ライダーの歴史を舗装し直す」という平成時代そのものを根本からやり直すという目的のためにクォーツァーのリーダーの代わりとしてスウォルツの目の前でソウゴさんを選ぶように仕向けられていたそうだ。

 

 その後、スウォルツによって力を与えられたソウゴさんは平成ライダーのウォッチを正式に継承し続けてきたが、最後に継承したドライブウォッチを継承した直後に、クォーツァーが行動に移ったそうだ。

 しかも、ライドウォッチの継承はクォーツァーがソウゴさんを利用して奪い取るための傀儡の王として利用されていた。

 その事を知って気落ちしながらもクォーツァーを相手に戦って一度敗北したが、その際に自分が王になろうとした理由の根源を思い出したそうだ。

 

「君にもあるはずだよ」

「それは、ソウゴさんの覇道と王道に憧れて……」

 

 憧れを追って走り続けただけで……

 そう思っているとソウゴさんは首を横に振った。

 

「ううん。君にはちゃんと自分自身で覇道と王道を持つ王様になろうとした理由があるよ」

 

 そう言って右手を挙げるソウゴさん。

 

 その行動に反応するように、俺達の横に映像が見えた。

 その映像は幼い頃の俺が、両親と共に公園に遊びに来ていた映像だった。

 

 優しい母は、ベビーカーに座る俺に目線を合わせて尋ねてきた。

 

【界翔は大きくなったら、どんな大人になりたいの?】

【僕はね。大きくなったら王様になる。王様になって●●●●にするんだ!】

 

 その言葉を聞いて両親は笑いながらも肯定してくれた。

 

「君の夢は、世界を良くする最高最善の王様を目指した俺の夢よりも、遙かに超えた夢だ。それを抱いたのは他の誰でもない。君自身だよ」

 

 ソウゴさんは真剣な眼差しで俺を見つめた。

 

「君は何のために王様になろうと思ったの?他の人に認められるため?それとも、自分が特別だって証明するためかな?」

 

 ソウゴさんの質問に俺は否定した。

 

「違う。今頃になって、俺自身の夢の根源を思い出した。たとえ世界が変わろうと、人間や人外など関係ない!俺が王になりたかったのは、世界を良くし、俺の夢の果てである"●●●●"を果たすためだ!…………漸く吹っ切れました、ソウゴさん。魔王ゲルドの願いを叶え、魔王ゲルドを苦悩から解放する。それが、今の俺の成すべき事です!」

 

 俺の中で明確な意志が固まった。すると、それに反応するように世界の言葉が流れ込んでくる。

 

 [確認しました。個体名:オーマ=テンペストが"魔王の種"と"勇者の卵"を獲得……成功しました。<魔王覇道>と<勇者王道>が個体名:オーマ=テンペストに定着を確認。<魔王覇道>と<勇者王道>の常時発動を開始します。

 

 これにより、種族の進化を開始……成功しました。種族:機械人間(ヒューマギア)から聖魔刻機人(カオスマギア)に進化しました]

 

 俺の目の前に"魔王の種"と"勇者の卵"が出てきた。

 手に持つジオウライドウォッチと共鳴するように種と卵は形を変えて、二つのライドウォッチが合わさったような新たなジオウのライドウォッチへと変化した。

 

「これは?」

「光と闇、過去と未来。二つの世界を統べるのが、真の王様なんだ。そのジオウⅡライドウォッチが、今の君が目指す国造りの力になってくれるよ。頑張ってね!」

「はい!ありがとうございました!!」

 

 俺はソウゴさんに礼を告げて、背後に出来た光の扉へと入り、意識を現実世界へと戻っていった。

 




次回~王の凱旋~
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