スライム姿から人の姿へと変わったピンク色のスライム────シンシヤと開発した覚えのない少年型の機械人間────キラ。
シンシヤはリムルと同じ蒼銀の髪をしており、触覚のような二本のアホ毛を持つが、リムルとシズさんと違って短髪だ。
中性のリムルと違って明らかに女性であることがわかる。
黄色の瞳であるリムルと違い、まつげや瞳の色も紅やピンク色に近い色合いをして、おっとりとした目付きをしていた。
キラは黒髪で左耳にかける様に三つ編みした髪をしていて、両耳部分にイズやアズと同じヒューマギアモジュールを有している。容姿も男の子だ。
「多分将来、二人でこの国を背負って立つことになると思いますんで、どうぞよろしくです!!」
そう笑顔で言ってくるシンシヤ。
しかし、キラの方は俺達が驚愕している事に気付き、何やら奇妙だと疑い始めた。
「シンシヤ。なんか変じゃない?」
「え?どこがですか?」
シンシヤはなにも疑問に思っていないようだ。
疑問に思うキラと疑問に思っていないシンシヤ。
そんな相反する二人に対して俺は質問した。
「シンシヤとキラっていったね。俺とリムルが父親だって言っていたけど……」
「はい!私のパパはリムル=テンペストで、キラのパパはオーマ=テンペストですよ!」
シンシヤはそう言い切った。どうやら、二人の父親は俺とリムルということは間違いないんだろう。
「それじゃあ。お母さんは誰か教えてくれる?」
そう質問すると、シンシヤは口を開こうとした時に、怪訝そうな表情を浮かべた。
「……あれ?ママって誰でしたっけ?キラは覚えてますか?」
「いや。そういえば僕も全然覚えてない」
どうして思い出せないんだ?二人で怪訝の表情を浮かべて苦悩している。
母親の事を一切覚えてないのか。明らかに可笑しいな。
「ということは、母親は……もしや私!!」
「紫苑君。いつ君は出産したんだい?」
「ってか、なんで心当たりありそうな顔してんだよ!!誤解されるから止めろ!!」
「そ、そうですよ!リムル様とオーマ様に限って、そんなことある筈がないです!」
「「娘が申し訳ありません!」」
何やら心当たりがありそうな表情を浮かべきっている紫苑にウォズとリムルと朱奈がツッコミを入れ、娘の思い込みの激しい発言と行動に謝罪する紫苑の両親────父・紫生と母・紫織────
「しかしリムル様、オーマ様。お二人の分身体を捕食してしまったという可能性は?」
燃黄からの質問に対して俺が答えた。
「それだと、スライムであるシンシヤしか適応されないだろ。キラは100%
「なら、コイツらは一体何者だ?」
俺の返答を聴いて滅が聴いてきた。
「わからん。現状で把握していることは三つ。一つ目は、俺とリムルの因子がそれぞれに含まれていること。二つ目は、この子達に名付けした存在がいること。三つ目はその存在が二人の母親であり、その母親の記憶を二人が覚えていないということぐらいだな」
いったい誰の仕業だ?
俺とリムルの因子を手にする方法なんてあるのか?
「どうするよ……まさか養育費を払う必要があるのか?」
「魔物に養育費ってあるのですか?」
「いや。衣食住さえあれば養育費はそれほど重要な問題ではない。食に関しても森の魔物を討伐して食せばよいだけだ」
イズが曙彌に養育費の有無を訪ねるとそう答えた。
まぁ、ゴブリンだった頃のリグルド達もドワーフ王国で少なからず取引を行なっていたらしいから、最低限の金銭は必要なのだろう。
「え~?お金なんていりませんよ?」
「シンシヤの言う通りです。僕たちは父さん達と一緒に暮らしたいだけです」
シンシヤとキラも俺とリムルと一緒に暮らすことが願いである為、養育費など気にしていないようだ。
<演算者>、二人の魔素の中に俺とリムルの因子が入ってるんだよな?
【是。対象二人から、主とリムル=テンペストの因子が確認されています】
なら、二人の所有している能力を鑑定してくれ。俺達の因子があるなら、俺達が持っている能力を受け継いでいるはずだ。
【了。個体名:シンシヤ。並びに個体名:キラの解析鑑定を開始します】
<演算者>の解析鑑定が終わるまで、どうするものかと考えていると、何やらリムルとシンシヤという子が話をしていたらしく、シンシヤという子は何やらショックを受けているようだった。
『おい、リムル。何を言ったんだ?』
恐らくリムルが何か言ったのだろうと思って、<思念伝達>で確認した。
『え?いやぁ、俺の分身体をいつのまにか捕食したのかって聴いたんだけど……』
………………はぁあっ!!?
『この大馬鹿者がッ!!』
『えぇ……っ!!?』
<思念伝達>で叱咤された事に戸惑うリムル。
なんでそんな事を言ったんだ……この馬鹿はっ!!!
キラは何やら俺達に対して怪訝そうにしていたから心情はどうかわからないが、シンシヤに関してはリムルを父親として信じて止まない様子なんだぞっ!!!
そんな子が分身体を捕食して事で得た能力から父親呼びしているだけじゃないかっと言われたと考えても可笑しくないだろっ!!
況してや、実の父親から自分の子供ではないと言われた子供のショックは途轍もないことは、前世で偶然にも似た事と出会ったことがあるから、ようく分かっている。
シンシヤがショックに立ち直れなかったとしたら……
「パパと出会えても嬉しかったのに……褒めて貰うと思ったのに……」
「シンシヤ」
シンシヤが涙目になってキッと此方を睨み付けた時だった。
「心はとても傷ついているですっ!!!」
そう言うと、シンシヤの周りに突如として<黒雷>が発生して、俺達の足下など降り注ぐ。
「アタシがパパの娘だって証拠なら、他にもいっぱいあるんですよ?例えば、パパとそっくりな能力……こんなのとか!」
シンシヤがそう言うと、彼女の上空に封印の洞窟内で使ったリムルの<黒炎>が起きていた。
しかも、街の一部を覆うほどの黒い炎が……
それを見て俺達は大変驚いていた。
「あ、あの炎は……!?」
「周囲の魔素を使っていません。彼女の力そのものです」
朱奈とイズがシンシヤが放っている<黒炎>を見てそう言った。
しかもその炎の大きさは先ず間違いなく、魔王種になる前のリムルと同等の力を秘めている。
「特別能力<黒炎>!!パパ……証拠を叩き付けてあげます!!」
そういってシンシヤはリムルに襲い掛かってきた。
<黒炎>を同じ能力で能力で対処した。リムルが<粘鋼糸>によってシンシヤを拘束しようとするも、同じ能力を持って抵抗してのけるシンシヤ。
「リムル様と同じ能力ですね」
「あぁ」
「オーマ君。何を落ち着いてるの!?」
俺とイズがそう話しているとシズさんが訴えてきた。
「あのシンシヤって子の暴走はリムルの失言が問題だ」
「だからって……」
「命の危険があれば止める。それまでは介入する気はない。お前達も手を出すな!」
リムルとシンシヤの争いに参加する気がない事と、配下達に手を貸さないように言った。
「し、しかし……それではリムル様が……!?」
そんな俺の発言にリムル推しである紫苑が抗議してきた。
同じ思いの者達が俺に視線を向けている。
「先も言ったが、あのシンシヤって子が暴れる原因はリムルの失言だ。手を出すことは許さん」
威圧するように告げたことで、リムル推しの紫苑や最近リムルと良い関係であるシズさんは明らかに心配そうに視線を向ける。
そんな会話をしている間、リムルは手にしていた能力を駆使してシンシヤを止めようとするが、やはり同じ能力を有しているシンシヤには通用しないようだった。
「だぁあ!!せっかく整備したのに!!いい加減に大人しくしてくれ!!」
リムルの<粘鋼糸>を繰り出した。
「あいこで~……<
同じ能力でリムルから出てきた粘鋼糸を防いでみせたシンシヤ。
「オーマ!手を貸してくれ!!」
「断る!」
「……はぁあ!?」
同じ能力での攻防戦に時間だけが過ぎていく状況下に置かれているリムルが助力を求めてきたが、俺は断った。
断られるとは思ってもみなかったのか、リムルは一段と驚愕していた。
「なんでだよっ!!?」
「曙彌達にも言ったが、シンシヤが暴れている理由はリムルの失言が原因だろ。自分の責任ぐらい自分で取れ!」
「うぐっ!?」
自責しろと言われて、リムルの胸に言葉の刃が突き刺さった。
「け、けどさぁ……」
「安心しろ。街に被害がないようにだけはしてやる」
そう言って、シンシヤの<黒炎>と<黒雷>が街に被害が起きないように、二人を囲む様に薄くながらも結界状に展開して被害が及ばないようにしていた。
俺が助力しないことも、曙彌達が手を貸さない理由も<大賢者>から恐らく報告を受けたであろうリムルは、溜め息をついた。
「はぁ~……しかたないか」
そう言って腰に新たなベルトを出した。
スクラッシュドライバー
「あれは……」
「あれはスクラッシュドライバー。ビルドドライバーの強化型変身ベルトだよ、我が魔王」
リムルは手にゼリー飲料のようなものを取り出していた。
そのゼリー飲料のガラには青水色のドラゴンの横顔の模様が入っていた。
ゼリー飲料の蓋部分を軽く弄ったリムルがスクラッシュドライバーの装填スロットにせっとしてレンチ型レバーを下ろした。
「変身!」
レンチ型レバーを下ろすとリムルを覆うように、巨大ビーカーと装置ケミカライドビルダーが出現してビーカー内に成分が満たされていき、リムルへとまとわりついた。
潰れる!流れる!溢れ出る!
DRAGON IN CROSS-Z CHARGE
ブラァ!
白銀の素材が形成されて頭部から水色ゼリーが噴きだした。ゼリーが頭部と胸部と両肩に付着していき、頭部と胸部にクリアブルーでドラゴンの頭部を象ったゼリーが固まった。
両肩はドラゴンの横顔を思わせる模様がついた装甲がついた。全体的に黒と紺を基調とした仮面ライダークローズと対照的に全身を銀色のボディアーマーのような装甲に覆われて明るい色合いをしていた。
「仮面ライダーの力なら、対応できないだろ!」
仮面ライダーに関わる
いくら同じ能力を持っていようと
「仮面ライダーの力を使ってきましたね。でも、私にだってあるんですよ!!」
「なにっ!?」
シンシヤがそう言いながら、右手に紫色のカードデッキのような箱を取りだした。そのカードデッキの表面に黄色の蛇の紋様が刻まれていた。
「なんだ?アレ」
「アレは……もしや、あのシンシヤって子の正体は……」
シンシヤが取りだしたカードデッキに疑問を抱いていると、何やらウォズがそのカードデッキを見て反応していた。
なにかわかったのだろう。後で聴いてみるか。
そう思いながらシンシヤが自身の目の前に水魔法で水鏡を作りだした。その水鏡にカードデッキを向けると、シンシヤの腰にベルトが装着された。
「シンシヤ!なにも変身する必要は……」
「パパに認めさせるためです!」
シンシヤの行動が行き過ぎていると思ったのかキラが止めに入るが、シンシヤは止まる気がなく、変身ポーズを取った。
「変身!」
そして、ベルトへとカードデッキを装填すると、まるで数多の映し鏡がシンシヤへと合わさった。
すると、シンシヤの姿がコブラを思わせる仮面ライダーへと変身した。
「仮面ライダー!?」
「そんな!?」
「あのシンシヤって子も、仮面ライダーになったっすよ!!?」
シンシヤが変身した事に驚く曙彌達。
あの仮面ライダーはいったい……
疑問に思っている俺に<演算者>から報告があった。
【告。個体名:シンシヤが仮面ライダー王蛇に変身しました。これにより、<
仮面ライダー王蛇と<殺戮者>か。随分と殺伐とした能力の名前だな。
そう思っていると、何やらキラが慌てたように俺に近づいてきた。
「父さん、今すぐシンシヤを止めて!」
「?どういうことだ?」
「シンシヤが仮面ライダー王蛇に変身したら、特殊能力<殺戮者>が容赦なくリムルさんを殺しかねない!」
キラの発言に誰もが驚愕していた。
「おい!それはどういうことだ!?」
「返答次第ではただではすまんぞ!」
紅丸と紫苑がキラに問い詰めるが、蒼影達も発言はしないが、敵意を向けていた。
敵意を向けられていることに気付きながらも、キラは怯えることなくシンシヤを止めなければならない理由を教えてくれた。
「シンシヤの<殺戮者>は所有者の敵対者への殺意を10倍にまで上げてしまうんだ!このままだとリムルさんを殺してしまうかもしれないんだ!」
なるほど。
そう思っていると、既に王蛇はコブラの尻尾を思わせる剣「ベノサーベル」を振ってクローズチャージにダメージを負わせる。
クローズチャージも負けてはおらず、ツインブレイカーを左手に装着して打撃装置「レイジングバイル」を展開してベノサーベルを振り払いながら王蛇の身体に突きを入れてダメージを与えていた。
「ハハハ!殺してあげますよ、パパ」
「俺が止めてやる!!」
リムルとシンシヤの精神は能力によって完全に呑まれ始めているな。
「ねぇオーマ君。リムルさんの様子が変な気がするんだけど……」
「シズ殿。それなら話は簡単だよ」
シズさんの疑問にウォズは「逢魔降臨暦」を開いた状態でリムルが使っている変身ベルト「スクラッシュドライバー」の副作用について語っていた。
スクラッシュドライバーはネビュラガスの効果をビルドドライバー以上に注入されている為、変身するとビルドドライバー時の変身以上の好戦的な言動を行なってしまうらしい。
自力でその副作用を乗越える事が出来ればいいが、初めて使用している事と副作用が<大賢者>ですら処理しきれないのかもしれない。
そう考えるとシンシヤの<殺戮者>の影響も考えると、そろそろ止めに入るべきか。
そう思って俺の腰に飛電ゼロワンドライバーを装着した。
「我が魔王?」
「止めるのか?」
「あぁ。まったく、世話の焼ける親子だ」
確認を取るウォズと滅に返事しながら、右手に一段と長いプログライズキーを手にしていた。
EVERYBODY JUMP!
起動させたのはメタルシルバー色で形成されており、展開時に一匹の大きなバッタができていた。
このプログライズキーはメタルクラスタホッパープログライズキーを飛電ゼロワンドライバーに認証させた。
AUTHO RISE!
認証させたメタルクラスタホッパープログライズキーをを飛電ゼロワンドライバーに装填した。
PROG RISE!
Let's Rise! Le,Le,Let's Rise
「変身!」
大きなバッタの脚部分になっている認証プレート「メタルライザー」を折り畳みながら、クローズチャージと王蛇へと向かった。
METAL RISE!
Secret material! 飛電メタル!
メタルクラスタホッパー!
"It's High Quality."
飛電ゼロワンドライバーから大量の銀色のバッタが溢れ出てきて、俺に身に纏わり付いた。
全身が鈍い白銀に輝く金属質名見た目となり、蛍光イエローの複眼と善人に駆け巡るエネルギーライン兼特殊装甲を持ち、頭部と肩が鋭利な形状に変化した、新しい素体を身につけたゼロワン──────仮面ライダーゼロワン・メタルクラスタホッパーへと変身した。
俺は手に新たな武器を携えた。それは展開状態のライジングホッパープログライズキーを剣型に落とし込んだ形状をした大剣プログライズキー型アイテム「プログライズホッパーブレード」だ。
プログライズキーホッパーブレードの持ち手にある「キックオントリガー」を数回押した。
するとプログライズホッパーブレードから数万体のクラスターセルが二人の間へと飛んでいき、集約してバッタから鉄の防壁に変化した。中空に突然と現れた事で二人の攻防を強制停止する事が出来た。突然現れた鉄の防壁に驚いている二人の隙を見て、持ち手の「キックオントリガー」を5回以上引いておいた。
<演算者>。シンシヤにも
【是。個体名:シンシヤから
OK。これで、止めるぞ。
<演算者>からの返答を訊きながらも二人に近づいた直後、発生させていたクラスターセルの防壁がまたもバッタ姿に変わってプログライズホッパーブレードの刀身へと集約していき、鈍い白銀色のノコギリの刃に似た鉄の棘が形成された。
プログライジングストラッシュ
プログライズホッパーブレードを一閃すると、強烈な一撃に吹き飛ばされたリムルとシンシヤ。
二人は強烈な一撃を受けたことで変身解除へと至り、荒れた石畳に背中を付けた。
「シンシヤ!」
「リムル様!」
「大丈夫、リムルさん?」
キラと紫苑とシズさんが近寄って安否確認を行なった。他の者もリムルの安否確認を行ないながらもシンシヤとキラが逃げられないように囲んでいた。
そうなるだろうな。いくら結界を張っていたとはいえ街に被害を起こし、同時にリムルを殺害しかねない行為を行なったんだ。仕方がないだろうな。
そう思いながら、俺も変身を解除してリムルに近づいた。
「少しは反省したか?」
「は、はい……」
本当に反省できたかわからないが、今はその言葉を信じるとしよう。
そう思いながらも俺はシンシヤ達に視線を向けた。
そこにはシンシヤを守る様な態勢を見せるキラと自分の行為が危うく父親を殺しかねなかった事を理解して顔色を青くしているシンシヤがいた。
そんな彼等に俺は歩み寄った。
次回~神様降臨~