曙彌達に敵対的な視線を向けられているキラとシンシヤ。
シンシヤはリムルを能力の影響で殺しかねない行動を取り、キラは俺に助けを求めはしたがシンシヤと共に行動している俺の子供を名乗る不審者と思っているだろうな。
そう配下達の考えを予想しながらも俺は二人に歩み寄った。
「と、父さん。どうかシンシヤを許してあげて!」
キラはシンシヤを許して欲しいと懇願してきた。
原因がリムルの失言のせいとはいえ、流石に暴れすぎたと思っているんだろう。しかも<殺戮者>の影響で盟主を殺しかねなかったんだ。
配下である曙彌達が敵視して排除しようとするだろう。
特にリムル推しの紫苑が暴走しかねないだろう。そんな彼等の暴走を起こさないようにする為には盟主である俺かリムルの決断が必要だ。
そう思いながらキラとシンシヤに無言で歩み続ける。
返答せずに近寄る俺へと向ける瞳に恐怖心を感じられる。俺の言葉にシンシヤへの決定が決まるんだから仕方ないだろうな。
俺と二人の距離が手を伸ばして届くほどに近づいた。
「…………」
沈黙がこの場を包み込んでいる。
そんな中、俺は二人を抱き締めた。
『!?』
突然俺が抱き締めた事に誰もが驚いていた。
「と、父さん?」
「ごめんな。キラ、シンシヤ」
「え?」
俺は二人の頭を撫でながら告げた。
「父さんもリムルも、記憶があやふやになっている所があってな。二人のことやお母さんの事を覚えていないんだ。リムルの失言もそのせいだ。シンシヤにとって、とても傷つけてしまったな。本当にごめん」
「い、いえ……」
父親のように子供達に謝罪する俺に配下達が戸惑っていた。
そんな配下達の困惑など気にもせずに俺は二人に一つの提案を申した。
「傷つけておいて厚かましいけど……二人がよかったら、この街で暮らさないか?」
「え?」
「いいの?オーマおじさん」
キラとシンシヤが信じられないように見てきた。
シンシヤがリムルが殺しそうになってしまっていたから、この提案されるなんて思わなかったんだろうな。
『おい、オーマ!?』
『リムル。少し黙っていてくれ』
リムルから<思念伝達>がきたが、少し黙ってもらった。
「あぁ。二人が良ければな。それに俺とリムルの記憶が戻らない可能性だってある。そうなると、子供であるお前達の事を一生思い出せないことになる」
そう伝えると二人は不安そうにこっちを見ている。
「キラ達がお母さんの元に連れて行ってくれるか?二人はお母さんの事を覚えてるだろ?」
「うぅん。それが……」
「思い出せないです」
二人の返答を確信を持てた。
「そうか……だったら、一緒に記憶を取り戻そう。一緒に暮らしていけば、お母さんのことも思い出せるかもしれねぇしな」
二人の瞳をしっかりと見ながら提案した。
俺の言葉に嘘偽りがない事を解析系の特殊能力で解析鑑定を受けている事を<演算者>から報告を受け取りながらも、妨害しないように告げていた。
解析した結果。俺が嘘偽りをしていない事を理解した二人は、お互いの顔を見てから俺の提案に対して答えてくれた。
「うん!」
「父さん達と暮らす!」
二人が了承してくれたので、二人の頭を優しく撫でながら笑顔で感謝を告げた。
「ありがとう」
二人を抱っこしながら曙彌達に体を向けた。
俺が二人を抱き締めた際に、幹部以外の者達も集まっていたらしく、住民達がいた。
そんな住民達に俺が言った。
「みんな!キラは俺の息子、シンシヤはリムルの娘だ!!この街に住むことになったから、仲良くしてやってくれ!!」
そう俺が告げると住民達がワッ!!と騒ぎ出した。
抱っこした二人を下ろすと、キラとシンシヤと似た年齢の子供達が二人に集っていき、話しをし始めていた。
戸惑いながらも会話をする二人だったが、すぐさま仲良くなったらしく打ち解けていた。
そんな二人を温かく見守っていると、背後にウォズがいた。
「我が魔王。今夜お話しがあるのですが……」
「わかった。幹部を集めておいてくれ」
「了解した」
ウォズにそう指示を出した俺は二人を連れて、キラ達が現れる前にジーン達を召喚した場所へとやってきた。
「父さん、ここは?」
「二人が街に来る前に、父さん達が作業していた場所だ」
ジーン達を召喚したのは良いが、二人が現れた際に作業が途中で終わってしまったのだ。だから残りの作業を進めるべく未起動状態の
その近くの机には、この
俺はそのプロぐらいズキーを手にして起動した。
PRESIDENT:DAN KUROTO
動き出したといっても未起動状態の際に乗せている台に肩肘を着いては頭を乗せて、横になった。
その行動が終わると素体となるコーディングがされた。
その姿は紫色のTシャツに黒色の背広を着た黒髪の20~30代の青年姿だった。
「……随分と偉そうな格好だね」
ジーンが呆れながらも呟いた。一緒についてきた亡と緑咲も呆れた様にしており、ジト目で新たな
「当然だ」
横になっていた男型の
「私の名は檀 黎斗。幻夢コーポレーションの代表取締役社長だ。この世界の事はゼアから既に共有されている」
偉そうな態度で語りながら周囲を歩み続ける黎斗。
「ならば、この世界に新たなライダークロニクルを開催しようではないか!!」
両手を高らかに大広く挙げながらそう宣言する黎斗のテンションの高さに呆れていた。
コイツはバカなのか?
そう思っていると<演算者>から提案があった。
【告。個体名:
話が進みそうにないし、<演算者>の提案を採用するか。
そう思って俺はガチャコンバグヴァイザーを顕現した。
「さぁ、神の偉業を手伝いをするがいいいぃぃぃぃぃぃ!!!?」
具現化したアイテムを向けると、黎斗がガチャコンバグヴァイザーのなかへとオレンジ色の粒子と共に吸収された。
「えぇ!?」
「オーマ=テンペスト。何をしたんだ?」
ガチャコンバグヴァイザーの中に黎斗が吸収された事に緑咲は目が飛び出そうな程に驚き、亡は何をしたのかと尋ねてきた。
俺が説明しようとした時にガチャコンバグヴァイザーから声が聞えた。
「何をする、オーマ=テンペストぉぉぉおおお!!」
ガチャコンバグヴァイザーの画面で吸収された黎斗が牢屋に収監された極悪囚人の如く画面を叩いたり頭突きをしていたりと暴れ狂っていた。
「話が進みそうにないからマナーモードにする」
「マナーモ……」
コツンっと画面を小突いた結果、簡単に画面が消えた。
言っておくが殺したわけじゃない。ただ黎斗のよくわからない言動でこの場の空気が変になるよりは、ただ黎斗の声が聞えないようにした。
まぁ、封印のようなものだ。
黎斗がバグスターウイルスとバグスター化できることが封印の最大限の条件だけどな……
そのことをこの光景を見ていた皆に教えた。
「はは。異世界のギーツは凄いことするね」
ジーンは呆れながらも笑っていた。
亡も仮面ライダーゼロワン世界のゼロワンの変身者がしそうなことじゃないなと思っていそうな表情だった。俺は俺、彼等の世界の
「オーマ叔父さん。その人は出てこれるの?」
「あぁ。少しはこっちの話しを聴いてくれる様になったら、皆に黎斗を紹介するよ」
そうシンシヤに言った時だった。
「檀黎斗の名は、もう捨てた」
マナーモードにして聞えないようにしていた筈の黎斗の声が聞えた。
すぐさま、手に持つガチャコンバグヴァイザーの画面がいつのまにか復活していた。
「私の名は…………」
全員に見える様にゼアを通じて壁に投影した映像にはガチャコンバグヴァイザーの画面の映像……つまり、黎斗の顔面が大きく映っていた。
自分の名前を捨てたと言っていたが、俺とリムルみたいに異世界用の名前でも付けるのか?
「真・檀黎斗だ!!」
『…………』
顔面に笑顔を浮かべ、彼の後ろの背景に習字で書かれた名前が提示されていた。告げられた自己紹介に俺達全員が呆けてしまうのだった。
その後、俺は黎斗の封印を解いた後、黎斗のゲーム作成用業務室を作成してそこを貸し与えてガシャットの作成を任せていた。
亡と緑咲には副作用が少ないようにゼアとアークと通じて量産型ライダー用の変身ベルトの作成を依頼してからはシンシヤとキラの二人に街内を案内していった。
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亡達に依頼してから時間が過ぎて夕刻頃。
ウォズに頼んで会議室に幹部達を集めていた。会議室も以前より幹部が多くなった事から手狭になったため、以前の会議室を、国会議事堂にある衆議院議場をモチーフに改築してもらった。
まず最初にジーン達四人を紹介した後、キラとシンシヤについての話しになった。因みにキラとシンシヤには子供達と一緒に温泉に入って貰っている。
「それで、なんであの二人に滞在を提案したんだ?」
そう聴いてきたのはリムルだった。
リムルの質問に俺は淡々と返答した。
シンシヤとキラが何者かの能力によって創造された存在であること。
その存在を母親として二人は認識していること。
しかし、二人には母親の記憶がない為、因子元である俺とリムルを父親として把握している事を告げた。
「──────……つまり、あの子達の記憶を態々消してまで俺達に接触させた何者かを知るには、滞在させた方が監視もしやすい。それが盟主としての判断だ」
「では、オーマ様個人のご意見はなんでしょうか?」
盟主としての判断を教えたが、俺個人の意見として確認を取ってきたイズ。
そんなイズの質問にも答えた。
「俺個人としては、このまま親子として生活するつもりだ」
その発言を訊いて、誰もが驚いていた。
「い、いいんですか?誰に創られた存在かもわからないのに」
戸惑った声で訪ねてくる紅丸。
「あぁ。問題なのはあの二人の母親の方だ。創られた存在に問題を押し付けるなど論外だ」
「しかし、あのシンシヤという者の攻撃力は明らかにリムル様とオーマ様ほどのものです。オーマ様が張って頂いた結界のおかげで一部の石畳が破損されております。それを許すのですか?」
「それはリムルの失言によるものだ」
蒼影が反論してきたが、被害が起きたのはリムルの失言である為、責める理由にはならない。
そのことを伝えると誰もが黙った。
「お前達にひとつ聞くが……親が悪人だからと言って、子も悪だと思うか?」
そう訪ねると皆が疑問そうにしていた。
しかし、俺と同じ異世界転生したリムルだけが解答した。
「いやいや。流石に子供が悪行してなかったら悪じゃないだろ」
リムルもその考えのようだ。
親が悪だからと言って、子供までもが悪人扱いする異世界の差別行為はよく知っており、把握している。だからこそ、前世では差別撤廃を法的に決定しては、罰則もちゃんと取り付けたほどだ。
シンシヤとキラは創造主であり母親認識である存在に創造されたのは間違いないだろう。だが、それだけで罰するなど言語道断だ。
その事を皆に語るとリムルやシズさんは俺の意見に賛成してくれた。
そしてもう一人が颯爽と賛成した。
「私も賛成です」
「ゲルド?」
異世界人であるリムル達と違ってこの世界で生まれたゲルドが真っ先に賛成の意を告げた。
少々意外だった為、訪ねてみた。
「生まれた子に罪はありません。教育の仕方によって誤ちを踏まずにいられるのでしたら、共に生活することがよいかもしれません」
豚頭魔王ゲルドの行動理由を間近で見ていたゲルドらしい発言だ。
食糧を失い飢餓の状態になって苦しんだのだ。それによって大鬼族の里を滅ぼしたことや蜥蜴人族の里にも被害を出してしまった事による罪悪感がある。
例え俺達が罪を引き受けたとはいえ、ゲルドにとっても、二の舞を起こさないためにも、子供が罪を負わない方法を選択したのだろう。
ゲルドの気持ちを察したのか曙彌達も同意してくれた。
「では、キラは俺と、シンシヤはリムルと生活する。異論はないな?」
そう最後の確認をすると、全員が頷いた。
「それにしても、あの二人を創りだした存在って誰なんだろうな?」
そう呟いたリムルに反応したのはウォズだった。
「その事なのですが、一つだけ心当たりがあります」
「マジで!?」
「はい。あのシンシヤという子が変身した仮面ライダーの名は王蛇。鏡の世界で戦う仮面ライダー龍騎の世界に存在するライダーだよ」
「鏡の世界?」
ウォズ曰く、仮面ライダー龍騎の世界は鏡の中「ミラーワールド」でライダー同士で抗争するライダー版バトルロワイヤルを行ない、勝者だけが自身の願いを叶える事が出来る世界だそうだ。
「そうなると、そのミラーワールド内に俺達が存在しているってことか?」
「もしくは、鏡に干渉する
仮面ライダー龍騎の力で鏡の世界に向かうべきか。そう思っているとウォズが進言してきた。
「しかし、仮面ライダー龍騎世界のライダーの力を持つ者は、我が魔王だけ。そして仮面ライダー龍騎に第三者を連れて行く力はない」
「そうなると、俺達が護衛として参戦することもできないか」
ウォズの進言を聴いて紅丸がそう告げた。
「シンシヤ様とキラ様の記憶がないのは、オーマ様しか入れないことを見越して消去したのでしょうか?」
「恐らくそうだろうな」
イズの考えに滅が同意した。
シンシヤとキラを創りだした存在への対応に皆が熟考した結果。やはり二人の記憶の回復を最優先にすることになった。
「それから、蒼影達には大森林に人間・魔物関係なく孤児がいないか確認してくれ。ゲルドは孤児がいた場合のことを考えて匠と共に孤児院を学校の敷地内に建設してくれ」
「御意」
「わかりました」
二人のように身元不明な子供がいないかの確認とそんな孤児の対応を用意することにした。
「それじゃあ、今日の会議はこれでお終いな。今日はゆっくり休んで明日からも頼む!」
『はい!』
次回~注目する者・前編~