転生したら、仮面ライダーになった件   作:森雄

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伝承探索編
獣王国との貿易


 今日の俺は前世以来で仰々しい服装を着用していた。

 

 なぜそんな姿をしているのかと言われれば、今日が獣王国ユーラザニアとジュラ・テンペスト連邦国との使節団を送りあう日だ。

 メンバーは団長の俺を筆頭に、副団長のウォズと紅丸。後はリグルやリチルやアズや迅。そして幹部候補となる機械人間とホブゴブリンが数名だった。

 

 爪刃率いる雷爪豹族が馬車を引く事となった。

 

「諸君。是非とも頑張ってきてくれたまえ!」

 

 壇上に上がって右手を挙げながらそう告げるリムルに住民達が静まりかえった。

 

『おい。それじゃあ短すぎるだろ!』

『え?ダメか』

『盟主がそんな短い発言が許されるわけないだろ……特に謙るような発言は御法度だぞ』

 

 呆れたように注意を促した。

 リムルはコホンと咳払いした後に、更に発言した。

 

「いいか、お前ら。今回は相手と今後も付き合っていけるのかを見極めるという目的もある。我慢しながらじゃないと付き合えそうもないのなら、そんな関係はいらん。お前達の後ろには俺や仲間達がいる。恐れず自分達の意志はキッチリ伝えろ。遊戯を結べる相手か否か、その目で確かめて欲しい。頼んだぞ!」

 

 リムルの演説に住民が歓声を上げる中、リムルが話しかけてきた。

 

「それじゃあオーマ。頼んだぞ」

「あぁ。外交なら慣れているかな」

 

 国家間の会合は俺の方が経験豊富だからな。

 とはいえ、相手は弱肉強食を不変の法則(ルール)とする魔物の中で魔王と呼ばれる一画だ。

 少々違うが異文化の交流もできれば更なる発展にも繋がるだろう。

 

 そう思ってはウォズ達を連れて獣王国ユーラザニアへと向かって行った。

 

 ────────────────────────

 

 数日を掛けて獣王国ユーラザニアに到着した俺達使節団は首都に入り、魔王カリオンが住む王宮前にて豹車(ひょうしゃ)を止めて降りた時に、目の前に知っている人物が佇んでいた。

 

「使節団の方々、ようこそお越し頂きました」

 

 佇んでいたのは暴風大妖渦(カリュブディス)討伐以後に使者としてやってきたフォビオだった。

 

「よぉ、よく来たな!歓迎するぜ!」

 

 野性的な笑みを浮かべてやってきたのは獣王国ユーラザニアの国王にして、魔王であるカリオンだった。

 

「まさか、お前がやってくるとは思わなかったぜ!」

「なに。互いの国の公益が有益か否かの判断だ。此方は盟主が二人なのでな。一人が出向くのは必然だろ」

「ハハッ!確かにな!」

 

 そう笑い合っている中、カリオンがこう言ってきた。

 

「それよりも、その覇気をどうにかしてくれないか?」

 

 カリオンの言うとおり、俺は二種類の覇気を放出していた。

 これは、新国家であるジュラ・テンペスト連邦国は他国からすれば文字通り新しい国だ。

 そんな国家の盟主が魔王が治める国へと国交樹立を結ぼうというのだ。

 

 いくら俺が魔王の座へと推薦されていようとも、推薦者はギィ・ミリム・カリオンの三人であって、俺はまだ魔王では無いから、魔王同士の相互不可侵条約が通用していない。

 その間に侵略行為を行なわれる可能性だってある。

 

 魔王との間に国交樹立を結ぶためには第一印象が大事だ。

 

 だからこそ、予めウォズや紅丸達との間で最初に盟主からの覇気を獣王国ユーラザニア中に発することにした。

 

 実際に、俺の覇気を受けて魔王カリオンですら冷や汗を隠し切れていなかった。

 

「すまんな。二国間との国交樹立に対して不満だらけな獣人にはお誂え向きだと思ってな」

 

 謝罪しながら、放っていた覇気を抑えた。

 すると、ようやく話すことができるようになったのか、カリオンの部下が不満な表情を浮かべていた。

 

「やはり納得出来ません!」

「ん?」

 

 そして案の定一人の獣人が異議を申し立ててきた。

 

「まだ魔物や魔人は納得できます!しかし、人間なんぞを配下にするなど魔物の恥だ!」

「くだらん事をほざく」

「なんだとっ!!?」

 

 異議を申し立ててきた獣人の意見があまりに陳腐な発言である。

 

「お前達はウォズより弱すぎる。なんならそれを証明してやろうか?」

 

 挑発してやるとその獣人がやる気になっており、カリオンも俺達の実力を示すことに異議もなかったので、早速ウォズと獣王国の獣人を相手にすることになった。

 訓練場のような場所にやってきた俺達は舞台に立ち上がっているウォズと白虎を思わせる姿をした男がいた。

 俺と紅丸達は舞台から離れた場所で見ようとしていた。そんな俺にウォズから<思念伝達>が入ってきた。

 

『申し訳ありません、我が魔王』

『気にするな。お前の真価を見せてやれ』

『はっ!』

 

 ウォズに力を獣人に見せる事を伝えた。

 ウォズが俺に<思念伝達>を使えるのは、ミリムがいた際に俺とウォズとの間に魂の回廊を繋げておいた。<演算者>が主人の進化によって眷属である魔人・人間にも影響が起きるそうだ。

 その進化に関しては、"魔王の種"の場合は多量の魂を養分にすることで進化するようだが、積極的に魂を集めようとは思っていない。

 魂を集める事になるのだとしたら、俺にとっては敵対勢力への粛清は行ない、必要な時に命を奪うだけで十分であり、その際は非情に徹するだけだ。

 

 それ以外では政治的な粛清で十分だろう。

 

 そう考えている間に、カリオンが立ち上がって告げた。

 

「いいか、お前ら!今回の手合わせは友誼を結ぶに相応しい相手か否かの確認だ。その目で確かめろ!」

 

 カリオンがそう言うと、白虎を思わせる男が戦う様に構えた。

 

「現三獣士・白虎爪スフィアの父にして、元三獣士筆頭のバルバロッサ。よろしく頼む」

「我が魔王、オーマ=テンペストの筆頭配下。時の預言者ウォズ」

「魔王?お主達の主は魔王ではないだろ」

 

 ウォズが俺を魔王呼びした事にバルバロッサが疑問を浮かんでいた。

 見学している獣人達も気になったようで、俺とウォズを視ている。カリオンだけはギィの提案に賛同した一人な為、魔王を名乗る可能性はある。

 

 だが、ウォズは魔王を名乗る前から俺を魔王呼びしているけどな。

 

「私の正体を言おう。私は遙か未来からやって来た未来人でね。我が魔王は全ての世界を統べる魔王ギィ・クリムゾンよりも強い最高最善の魔王だ」

 

 ウォズが未来からやってきた事など誰も知らなかった。かくいう俺もそうだ。

 ソウゴさん達と出会った際のウォズが未来人である事など知らなかったことから、並行同位体である目の前のウォズも未来人なんて知る由もない。

 しかも、あの魔王ギィよりも強いと豪語するとはな……

 

「ふん!何を言うかと思えば、未来人などと喚くは、あの魔王ギィよりも強いなどと片腹痛いわ」

「言葉ではなく実力で物申したらどうだい。獣畜生君」

 

 そう言ってウォズはキカイミライドウォッチを使って仮面ライダーウォズへと変身した。

 

キカイ!

アクション!投影!フューチャータイム!デカイ!ハカイ!ゴウカイ!フューチャーリングキカイ!キカイ!

 

 複眼にキカイとカタカナで描かれた頭部にスパナ型のアンテナに、ROBOTを連想させる意匠が入ったウォズの姿があった。

「フューチャーリング」はジオウの「アーマータイム」と似ていて別ライダーの力を纏う形態だからな。機械的な力を有した形態になったウォズがバルバロッサと対峙した。

 

 バルバロッサが両手を白虎の手へと変貌させては雷を纏って爪撃を行なってきたが、ウォズはジカンデスピア・槍モードで受け止めながらも後方に飛び退いた。

 同時に、両肩のスマートウォッチ画面に似た両肩部分にあるフック付き鎖を出してバルバロッサの四肢を押さえた。

 

「なにっ!?」

「油断したね」

 

 ウォズはその間にベルトを操作して必殺技を繰り出した。

 

ビヨンド・ザ・タイム!

 

 左手にエネルギーを溜めているウォズ。

 そんなウォズの隙を見計らって、バルバロッサが拘束から逃れて手に電撃を纏わせて殴りつけていく。

 

フルメタルブレイク

 

 しかし、エネルギーの蓄積が終えたウォズもカウンターで殴りつけた。バルバロッサの電撃を吸収しながら威力が増強したライダーパンチがバルバロッサの頬へと鋭く突き刺さって、壁際にまで殴り飛ばされた。

 

 それを見届けた俺はカリオンに視線を向けた。

 カリオンは立ち上がり、こう告げた。

 

「見たか、お前ら!元三獣士のバルバロッサすらも簡単に倒して退ける奴らだ。獣王国と友誼を結ぶに値する存在であることが示された。その上、この事は獣王国内でのみの緘口令とするが……ジュラ・テンペスト連邦国の盟主が一人、オーマ=テンペストは俺様を初め、魔王ギィとミリムの賛同の元、魔王の座に推薦する事が決まった男だ!」

 

 カリオンがそう告げると、獣王国の民達は誰もが驚いていた。

 当然だろう。

 以前は豚頭帝を傀儡の魔王にしようとしていたが、それは失敗するもそれ以上の実力者が魔王へと推薦されることになったのだ。

 しかも、推薦の発起人は最古にして最強の魔王ギィ・クリムゾンだ。

 その事は触れては射ないが、最古の魔王が二人も推薦に賛同している事に意味があるのだ。

 

 最古の魔王二人から推薦されてもいる俺の配下だという事実を先程の戦いと合わせて獣王国の民達は、ジュラ・テンペスト連邦国が十分に友誼を結ぶに値する存在であり、俺が魔王の座に座すと不可侵条約によって獣王国は侵略されることはない。

 

「彼等を軽んじることは許さん!いいな!!」

『ははっ!!』

 

 カリオンの一言で獣王国の民達は俺達を友誼を結ぶ者として認めたのだった。

 

 ────────────────────────

 

 同時刻、ジュラ・テンペスト連邦国ではリムル達が迎えた獣王戦士団でフォビオ以外の三獣士が部下達を携えて来訪していた。

 

「お初にお目に掛ります。ジュラの大森林の盟主様。私はカリオン様の三獣士が一人、黄蛇角のアルビスといいます」

 

 降り立ったのは金髪が混じった黒髪に錫杖をもった和服を着た女性、三獣士筆頭アルビスだった。

 

「はっ。弱小なるスライムが盟主だと?馬鹿にしてんのか!?」

 

 そう言って虎車の扉を脚で蹴り開いた女がいた。

 その者こそ、ウォズが相手にしているバルバロッサの娘にして現三銃士の最後の一角・スフィアだった。

 

 その発言はリムルとオーマの眷属である紫苑達は無論。彼等の兄弟弟子でもあるヨウム達ですら不愉快な発言だった。

 

「その上、矮小で小賢しく卑怯な人間共とつるむなど、魔物の風上にも置けねぇ」

 

 苛立ったように告げるスフィアにアルビスが苦言を申す。

 

「控えなさいスフィア。カリオン様の顔に泥を塗るつもりですか?」

「うるさいぞアルビス。俺に命令するな」

 

 流石の物言いにリムルも苦言を申すもスフィアは何処吹く風だった。

 リムルはヨウムにスフィアと戦う事を告げた。その事にヨウムは最初は否定的だったが、仲間達から実力を示すようにせがまれてしまった事から断れず了承した。

 

「……しょうがねぇなぁ。ちゃんと骨は拾ってくれよ旦那」

 

 そう言って腰にスクラッシュドライバーが装着したヨウム。

 戦おうとしていたヨウムだったが、リムルを抱えていた紫苑が朱奈に預けて前に出た。

 

「黙って聞いていればリムル様に対する暴言の数々、我慢に我慢を重ねていましたが、どうやらその必要はなかったようです」

「紫苑さん。ちょっと……」

 

 自分が戦うはずが紫苑が出張ってしまったために、呼び止めようとするヨウムだったが、紫苑は止まる事はなかった。

 

「貴女の相手は私です」

「面白い。スライムと新種族の配下がどの程度のものか、このオレが確かめてくれる!」

 

 そう言ってスフィアと紫苑の戦いが行なわれた。

 紫苑は本能的に行動を起こす気質が多く、スフィアも嬉々揚々とした表情を浮かべて暴れている事から同類なのだろう。

 

「──────まったくしょうがありませんね、スフィアは」

 

 そんなスフィアに呆れてしまうアルビスだったが、折角出てくれたヨウムの相手を用意した。

 

「代わりに貴方があの人間の相手をなさい、グルーシス」

「え?」

 

 アルビスが視線を向けた先にいたのは色黒で虎車の運転手を行なっていた男の若手獣人だった。

 

「オレですか……人間の相手ね……まぁいいか。遊んでやるよ、人間」

「おう。よろしくな」

 

 右手に持っていたロボットゼリーボトルをスクラッシュドライバーへと装填した。

 

ロボットゼリー

 

 ヨウムは左手の掌を上空に向けながらも相手を指差すように構えてから告げた。

 

「変身!」

 

 スクラッシュドライバーのレンチを押し倒した。

 すると、嘗てシンシア相手に変身したリムルと同じ様にビーカー型の筒に包まれては、そのビーカーがヨウムへと圧縮されると、特殊なアンダースーツ姿の頭部から溢れ出たゼリーが上半身に纏われて固まった。

 

潰れる!流れる!溢れ出る!

ROBOT IN GREASE!

ブラァ!

 

 ヨウムは仮面ライダーグリスへと変身した。

 初めて仮面ライダーを見る獣人達は眼前で変身された事に驚愕した様子だった。

 

ツインブレイカー

 

「心火を燃やして……ぶっ潰す!!」

 

 左手にツインブレイカーを携えると、ビームモードでグルーシスへと銃撃した。

 グルーシスはエネルギー弾が放たれた。

 

 放たれたエネルギー弾を回避したグルーシスが両手に手にした小刀を投げ付けた。

 ヨウムは持っていたゴリラボトルを好くラッシュドライバーへと装填してからレンチ型レバーを一度倒した。

 

GORILLA CHARGECLASH!

 

 右手にゼルによって出来た一回り以上大きいゴリラの腕が形成されて飛んで来ている小刀二本を殴りつけた。

 すると、殴りつけられた小刀がグルーシスへと飛ばされた。

 

 グルーシスは両手で柄部分を見事にキャッチすると、そのままヨウムへと向かう。

 そんなグルーシスを相手にヨウムはスクラッシュドライバーの副作用で、性格が高揚してしまい、好戦的な動きが活発になってきた。

 

「高揚!」

 

 グルーシスへと迫ったヨウムが小刀の攻撃をわざと胸板で受け止めながらも、スクラッシュドライバーにリムルと同じドラゴンゼリーを用意しては装填した。

 

ドラゴンゼリー!

ツインブレイカー

 

 すると、激しくスパークがヨウムを襲うもすぐさま慣れたのか、右手にまでツインブレイカーが纏われた。

 

「動乱!」

 

 右手をアタックモードに変えたツインブレイカーをグルーシスへと突き出す。エネルギーが纏われたツインブレイカーのブレードを回避する。しかし、その余波がブレードの周囲にまで及んでいた事から紙一重で回避した左頬に傷が付いた。

 

「くっ……!?」

「熱狂!」

 

 突き出した右手のツインブレイカーを左側へと斬りつけるように回すヨウムだが、その攻撃を回避されてしまうも、そのまま回転してから左脚で蹴りつけた。

 両腕で蹴りを受け止めたグルーシスだったが、その蹴りの強さから上空へと蹴り飛ばされてしまう。

 

 そんなグルーシスへと左手のツインブレイカーで銃撃するヨウム。

 放たれたエネルギー弾を小刀で斬りつけながらも、対応できずに幾度か銃弾を受けてしまうグルーシス。

 

「誰が俺を満たしてくれんだよぉぉ!!」

 

 正しく狂戦士(バーサーカー)と言って良い発言をするヨウムは両手のツインブレイカーに四つのフルボトルを装填した。

 

SINGLE

TWIN

 

 そのボトルはアタックモードにタンクボトルにドラゴンボトルを、ビームモードにラビットボトルとロックボトルを装填した。

 

TWINFINISH!

 

 ビームモードに装填した赤兎(ラビット)によるエネルギー弾を更に高速化して、錠前(ロック)によってグルーシスを束縛した。

 

TWINBREAK

 

 ヨウムはグルーシスへと近づくと、アタックモードによる戦車(タンク)の威力強化とドラゴンのパンチ力強化によって物理攻撃が更に強化されてグルーシスに大きなダメージを与えたのだった。

 

「……ガハッ……!!」

 

 グルーシスは真面に攻撃を受けてしまったため、重傷を負ってしまった。

 

「まさか、グルーシスが負けるとは……」

 

 アルビスはグルーシスが敗北するとは思っていなかったのか、とても驚いていた。

 勝利を収めたヨウムはロボットゼリーを取り外しては変身を解除した。

 そんな時だった。

 

「!?(なんだこの急激な魔素の高まりは……!!)」

 

 ヨウムは突如として感じ取った急激に高まる魔素に気付いて視線を向けると、そこには紫苑が辺り一帯を吹き飛ばすほどのエネルギーを溜めた極大魔力弾を用意していた。

 

「おい紫苑。この辺り一帯をふっとばす気か!?」

 

 リムルも流石に拙いと思ったのか紫苑にそう告げるも、紫苑には聞えていなかった。

 

「……いいぞ。見せてみろ。本能を解き放て!!そしてオレをもっと楽「それまで」」

 

 スフィアも紫苑との戦闘で気分が上がっていたらしく、本能的に楽しもうとしていが、下半身を蛇の状態にしたアルビスが錫杖を紫苑へと突き付けていた。

 

「……もう十分です。この当たりに致しましょう」

「……ちっ。いいトコだったのに」

 

 リムルは自分達が試されていた事に気付いた。

 アルビスとスフィアが連れて来た部下達に友誼を結ぶに相応しい事を示すために、スフィアが挑発したということを。

 そして、獣人は誰よりも弱肉強食を遵守している魔物である為、獣王戦士団の末席に入っているグルーシスが仮面ライダーになっているとはいえ、仙人へと進化しているヨウムに敗退したことは、それだけで友誼を結ぶ強者である事を示した事になるのだ。

 

「見たか、お前ら。彼等は強く度胸もある。我らが友誼を結ぶに相応しい相手だ。彼等とその友人を軽んじることはカリオン様に対する不敬と思え。わかったな!!」

『ははッ!!』

 

 スフィアの発言に部下達は頭を下げて従った。

 相手方が友誼を結ぶ事に不満がないことを知るとリムルも安堵して、紫苑に声を掛けた。

 

「紫苑。お前もそれでいいな?」

「は、はい……ですがあの……コレ、どうしましょう?」

「コレ?」

 

 紫苑が何やらぷるぷると震えながら何かに困っている様子を出しているため、疑問に思うリムルだったが、すぐにその理由がわかった。

 

「こ……魔力弾(これ)……」

 

 紫苑が溜めていた魔力弾が更に巨大なものへと変わり果てていた。

 明らかに暴発寸前の状態だった。

 

 流石の事態に両者が慌てる中、リムルが朱奈の腕の中から出ていくや人間体に変貌して降り立った。

 

「しょうがねーな、紫苑は」

「!」

 

 アルビスは人間姿になったリムルが何かをしようとしている事に気付く。

 

「紫苑、撃て」

 

 リムルは魔力弾を撃つように言った。

 しかし、放てばどのような被害が起きるか分かっている紫苑は放つ事に躊躇していた。

 

「ですが──────」

 

 それでも自信ありげに放つ様にリムルは言った。

 

「大丈夫。俺を信じろ」

「は……はいっ!!」

 

 紫苑はリムルを信じて放った。

 その極大魔力弾はリムルの<暴食者>によって一瞬の内に消え去った。

 その光景を直視した誰もが唖然とした。

 

「ほい。お終い」

 

 その後。リムル達は使節団のアルビス達を迎え入れて宴をしていた。

 




次回~切札の魔女~
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